パナソニック、“薄型・狭枠”で機器に組み込みやすい有機EL照明
パナソニック電工は、薄型で発光面積が広い有機EL照明モジュール「EMSS080830100」を、12月26日に発売する。価格は1ロット100個で、1個当たり約3万円前後。現在、同モジュールの試作品を利用した展示ケースを、東京都千代田区の出光美術館にて公開している。
機器に組みやすい“薄型・狭枠”設計が特徴の有機EL照明モジュール。
有機EL照明モジュール(電球色タイプ) | 山型の展示ケース |
本体サイズは102×95×8.9mm(縦×横×厚さ)で、発光部分は80×80mm(縦×横)。枠幅を最小限に抑え、さまざまなデザインの器具に対応できるようにしたという。同社では、建物に備え付けの薄型照明器具に最適としている。
光源には、パナソニック電工と出光興産の合併会社、パナソニック出光OLED照明が9月に発売した「有機EL照明パネル」を使用している。色温度3,000Kで、電球色タイプとなる。演色性はRa90以上、輝度は3,000cd/平方m。さらに1Wあたりの発光効率は17lmで、一般的な白熱電球の15lmを上回り、消費電力は2.8Wに抑えた。また、寿命は、白熱電球の約10倍の1万時間で、同社では長寿命としている。
このほか、光源には環境負荷が懸念される水銀を含まず、光には紫外線を含まないため、照射物への影響がほとんど無いとしている。
設置面では、取り付けしやすいよう、ツメを引っ掛け、スライドさせて固定する「スライドイン」構造を採用。簡単、安全に発光部の取り替えができるとしている。
本体重量は96g。発光パネル部分の発光効率は30lm。調光可能範囲は3~100%。
ツメを引っ掛ける | スライドさせる | さらに反対方向に戻すと、取り付けられる |
出光美術館に導入する山型の展示ケースの試作品。天面に有機EL照明モジュールを配置している |
同社では、出光興産と共同で、この有機EL照明モジュールを搭載した山型の「展示ケース」の試作品も開発。2012年1月7日から東京都千代田区の出光美術館で開催される展覧会「三代 山田常山 ―人間国宝、その陶芸と心」に設置する。
山型の展示ケースは、作品を見るときにケースの縁が遮らない、展示物を近くから見やすいといったメリットがあったが、幅の狭い天面には、これまで蛍光灯が 使われることが多かったという。有機EL照明モジュール(電球色タイプ)を採用することで、発熱による展示品への影響も抑えるうえ、光源が薄型で目立ちに くくなり、展示品が見やすくなるといったメリットがあるという。
ケースの全長は1,500mm。ケースを2つ連結させて、最大3,000mmの長い巻物状の作品を展示することも可能。
パナソニック電工では、今後自動車や住宅設備メーカー、照明メーカーに向けて、機器への組み込み用デバイスとして提案していくという。
(小林 樹)
2011年12月22日 18:45