シャープ、人工知能で最大15%節電できるプラズマクラスター冷蔵庫

プラズマクラスター冷蔵庫「SJ-GF60W」

 シャープは、人工知能で最大15%節電できるプラズマクラスター冷蔵庫「SJ-GF60W」を11月4日より発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は35万円前後。

 除菌・脱臭効果のあるシャープ独自の「プラズマクラスター7000」技術を搭載した容量601Lの冷蔵庫。同社では、新モデルの開発にあたり、震災以降の生活意識を調査。それによると、夏の電気不足による節電意識の高まりのほか、自宅で食事をする「内食傾向」の高まりや、健康志向が高まっているという。シャープではこれらの調査結果を受け、新製品のコンセプトを「電気のエコ」「野菜のエコ」「氷で楽しくエコ」の「トリプルエコ」にしたという。

震災以降の電力不足により、節電意識が高まったという食に対する意識も高まり、健康志向、節約志向が高まったという冷蔵庫の新モデルのコンセプトとして「電気のエコ」「野菜のエコ」「氷で楽しくエコ」の「トリプルエコ」を掲げる
製品本体冷蔵室内製氷室
急速冷凍室冷凍室野菜室

人工知能を採用した「節電モード」

 電気のエコでは、従来機種より搭載する高性能コンプレッサーと、効率の良い放熱構造による「e-coolシステム」を強化。さらに、ドアの開閉や庫内温度、外気温を検知する3つのセンサーと、検知結果によって運転を制御する人工知能による「節電モード」を新たに搭載した。節電モードでは、ドア開閉頻度や食品投入状況に応じて、庫内温度を細かく検知、コンプレッサーの運転を適切に切り替えるなどして、自動で使用電力を削減するという。これにより、就寝・外出時などドアの開閉を長時間行なわない時間帯には、最大で15%の節電効果が得られるという。

 なお、節電モードは任意で設定する仕組み。節電効果に応じて、操作パネルに設けられた「葉っぱマーク」の色や形が3段階に応じて変化する。

3つのセンサーの検知結果によって、自動で運転を制御する「節電モード」節電モード中は、葉っぱマークが表示される

野菜が約2倍長持ちする「ステンレス・ロック野菜室」

 野菜のエコは、野菜が約2倍長持ちする「ステンレス・ロック野菜室」を新たに搭載した。同社によると、健康志向の高まりから野菜を摂取する人が増えているにも関わらず、購入した野菜を食べきれずに捨ててしまうケースも多いという。ステンレス・ロック野菜室は、野菜室の密閉度を高めることで、野菜に直接冷気を当てないことで、野菜本来のハリやみずみずしさを従来の約2倍長持ちさせることができるという。

 野菜室内は、上段のケースで下段のケースを密閉する構造になっており、上段のケースには密閉性をアップさせるためのロックも備える。また、下段ケースの底面には輻射冷却効果を高める「うるおいステンレスプレート」を配置。冷えムラを抑えて、野菜全体を冷やすことができるという。

野菜が約2倍長持ちする「ステンレス・ロック野菜室」。底面にはステンレスプレートが配置されている上段で下段を密閉する構造で、上段には密閉ロックもついている冷気を直接当てないため、野菜が長持ちするという。右がステンレス・ロック野菜室で、保存した野菜、左が従来の野菜室で保存した野菜

自宅でのロックアイスが作れる「氷で楽しくエコ」

 氷で楽しくエコでは、市販されているロックアイスのような氷が自動で作れる「おうちでロック製氷」機能を新たに搭載した。これは、節電の一環で冷たさを持続するためにお酒に氷を入れて飲む人が増えたということに着目して、搭載した機能。一部の酒造メーカーからは、氷を入れて飲むためのワインや日本酒、ビールなどがすでに発売されているほか、一部のスーパーでは大きめの製氷器の売り上げが伸びたという事実もあるという。

 おうちでロック製氷では、用途に合わせて4種類の氷に対応。従来比約2.3倍の大きさで、透明度が高い「キラットモード・大」、サイズの小さい「キラットモード・小」のほか、標準モードの氷も大・小を備える。シャープでは、「キラットモード・大」の氷は溶けにくく、見た目にもきれいなので、お酒だけでなく、冷麺などの料理の演出にも向くとしている。

 なお、本体に搭載されている製氷皿は1つで、氷の大きさは、製氷皿に入れる水の量で調整する。キラットモード・大の氷を作る場合、最大で約8時間程度かかる。

氷で割って飲むお酒が相次いで発売されているという大きさイメージ。上が「キラットモード・大」の模型、下が「キラットモード・小」の模型市販のロックアイスのような氷が自宅で作れる

脱臭性能やデザイン性も向上

 冷蔵室内の清潔性や脱臭性においては、シャープの独自技術「プラズマクラスターイオン」により、庫内に浮遊するカビ菌や付着菌を除菌するほか、高濃度のプラズマクラスターイオンを集中的に放出することで、キムチや漬物など強いニオイを抑える「強脱臭」モードも搭載する。

 また、冷蔵室背面の冷気ダクト部にはニオイ粒子が浸透しにくい発砲断熱材を採用。長期間使い続けることで、発生する冷蔵庫特有のニオイを低減するという。

冷蔵室庫内のプラズマクラスター吹き出し口冷蔵室背面の冷気ダクト部にはニオイ粒子が浸透しにくい発砲断熱材を採用する

 本体デザインは、シャープとしては初めて、ガラスドアを採用する。ガラスドアは、傷がつきにくく、汚れが付いた場合でも簡単に拭き取ることができるとしている。デザイン性を重視するため、操作パネルはタッチ式とした。操作パネルは、指を触れた時だけ浮かびあがり、未使用時は消える。

 また、一般的なガラスドアでは、磁石を使用できないが、SJ-GF60Wでは「冷蔵庫にモノを貼りつける習慣がある人が多い」として、左側のドアだけ、磁石対応とした。

シャープとしては初めてガラスドアを採用する操作はタッチパネルで行なう左扉だけはマグネットに対応する

 本体サイズは750×728×1,820mm(幅×奥行き×高さ)。本体カラーはブリリアントブルー、ブリリアントホワイト。

シャープ 健康・環境システム事業本部 副本部長 冷蔵システム事業部長 新晶氏

 シャープ 健康・環境システム事業本部 副本部長 冷蔵システム事業部長 新晶氏は、電気のエコ機能について「この夏は節電対策で、皆が色々なことに取り組んできたが、冷蔵庫はコンセントを抜くわけにはいかない家電。だったら、冷蔵庫自身で15%節電できれば良いと思った」と話した。また、今回から搭載したロックアイス機能については「自宅にこもって節電ばかりしているのではなく、楽しさも必要。ロックアイスを買うこともなくなり、節約にもなる」と話した。

シャープ 健康・環境システム事業本部 冷蔵システム事業部 国内商品企画部 副参事 藤原義也氏

 会場からは、今回から搭載した「節電モード」について質問が集中した。シャープでは、従来「エコモード」という名称で、消費電力を低減するモードを搭載していたが、今シリーズから節電に変更している。これについてシャープ 健康・環境システム事業本部 冷蔵システム事業部 国内商品企画部 副参事 藤原義也氏は「名称については、とにかく分かりやすくしたいという思いから決定した。今や白物家電の多くには、消費電力を低減するモードが搭載されており、シャープでもどこかのタイミングで名称を揃えていきたいとは思っている」と語った。

 また、「節電モード」がなぜデフォルトで設定されておらず、自分で選択する仕様になっているのか、という質問に関しては「節電モード選択中は冷蔵室内の温度設定が約1℃上がる。これについて食品へなんらかの影響が出るわけではないが、お客様によっては、冷えなくなったと感じる人もいるので、選択できるようにしている」と説明した。

 庫内容量などが異なる下位機種も10月14日より順次発売する。製品の詳細は以下の表の通り。

全7機種が発売される。右からSJ-GF60W、SJ-XF60W、SJ-XF56W、SJ-XF52W、J-XF47W、SJ-XF44W、SJ-XW44W

 












形名SJ-GF60WSJ-XF60WSJ-XF56WSJ-XF52WSJ-XF47WSJ-XF44WSJ-XW44W
定格内容量601L560L515L465L440L
ドア数6ドア5ドア
ドアタイプガラスドアフレンチドア(鋼板)どっちもドア
発売日11月4日10月14日11月25日
希望小売価格オープンプライス
店頭予想価格35万円前後30万円前後28万円前後25万円前後24万円前後23万円前後22万円前後







(阿部 夏子)

2011年9月16日 17:18