三菱、吸引力/脱臭機能に優れた紙パック式掃除機「雷神」

 三菱電機は、10月1日より発売する紙パック式掃除機「雷神 TC-BXA15P」のメディア向け内覧会を行なった。雷神は、紙パック式掃除機のラインナップのハイエンドモデルで、価格はオープンプライス。店頭予想価格は5万円前後。

雷神 TC-BXA15Pホースをつないだ状態使用イメージ

 同社によると、最近の掃除機市場においてはサイクロン式の構成比が拡大し、特に高級ゾーンではサイクロン式の伸びが顕著だが、「ゴミを触らずにゴミ捨てができる」などの理由から紙パック式掃除機を選ぶ人も多く、紙パックの人気も根強いものがあるという。

サイクロン式の構成比が拡大しているが、紙パック式も安定傾向にあるという紙パック式を選ぶ人は、ゴミがたっぷり吸える、排気の清潔性、紙パックの捨てやすさなどを重視しているという
三菱電機 家電製品事業部 クリーナー技術課 課長 岩原明弘氏

 「サイクロン式掃除機には、高額なものが多く、紙パック式掃除機というとどうしても安価なイメージがつきまとう。多少高くてもお客様に買っていただける紙パック式掃除機を作りたかった」(三菱電機 家電製品事業部 クリーナー技術課 課長 岩原明弘氏)という。

 新モデルの雷神の開発にあたっては、これまでの紙パック式の弱点であった吸引力、脱臭機能に注力、さらに騒音、節電、使いやすさといったニーズにも対応するため、本体構造や基本機能などを全て見直したという。

紙パック本来の性能を活かすために集じん室を従来の2.2倍に

 まず、吸引力については、紙パック本来の性能を十分に活かすために、紙パックをセットする集じん室の大きさを従来の約2.2倍とした。従来の紙パック式掃除機では、本体サイズの小型化を優先していたため、集じん室のスペースが充分に取れず、紙パックが広がりきれていなかったという。

 雷神では、モーターの配置や風路設計の見直しなどにより、本体サイズはほぼそのままに、紙パックのための大型ボックス「クリーンBIGボックス」を搭載した。これにより紙パックの集じん容積は従来の約2.4倍となり、紙パックの年間使用量も従来の半分以下の3枚程度に抑えられるという。

従来の紙パック式掃除機の集じん室(右)に比べて、約2.2倍「クリーンBIGボックス」を採用紙パックの集じん容量は従来の約2.4倍になったという。左が雷神のクリーンBIGボックスで集じんした紙パック、右が従来タイプの紙パック式掃除機で集じんした紙パック本体カットモデル。前方(右)にクリーンBIGボックスを配置、後方(左)にモーターを搭載する

 また、同社によると、従来の紙パック式掃除機は、紙パックにゴミが溜まってくると、風路がふさがれて吸引力が低下するという問題があったという。雷神では、クリーンBIGボックスの内部や側面に、風を通すための風路を確保。このため、紙パックの容量が一杯になってきても、吸引力を確保できるという。

 クリーンBIGボックスは、本体上部から取り出す仕組みで、ゴミ捨てや紙パックの交換が簡単にできる構造とした。ボックスが汚れた場合は、水洗いにも対応する。

風路をしっかり確保することで、紙パックにゴミが溜まってきても吸引力が落ちないというクリーンBIGボックスの側面には風路を確保するための溝が設けられているクリーンBIGボックスは本体上部から取り出す

光触媒と青色LEDでダブルの脱臭システム

 脱臭対策としては、ニオイ分子を吸着/脱臭する「光触媒フィルター」と、光触媒フィルターに吸着したニオイを酸化分解する「青色LED」を搭載する。青色LEDはコンセントプラグを差し込むと自動で点灯する仕組みで、光触媒フィルターを照射しニオイを酸化分解するだけでなく、光触媒フィルターの脱臭効果を再生する機能もあるという。

 これら2つの脱臭機構により、家庭ごみのニオイ成分の約82%を占めるアセトアルデビトを約95%、ペットのいる家庭に多いアンモニアを約99%除去できるとしている。

右の黒いフィルターが脱臭効果のある「光触媒フィルター」光触媒フィルターの背面には、光触媒フィルターを照射する青色LEDが搭載されている。青色LEDは本体のコンセントを差し込むと、自動で点灯する仕組み

掃除機の「キーン」という音を消す

 運転音では、人間の耳が敏感に感じる音の周波数を少なくすることに注力した。これは、「SONE値」という、人間の耳に実際に聞こえる大きさを参考としたもので、騒音レベルを表すdBとは、計測方法が異なる。人間の耳は同じ音量であっても、周波数の違いで聞こえ方が異なっており、周波数2K~6KHzの周波数は、特に大きく、不快に感じるという。

 「掃除機の風切り音の『キーン』という音は2K~6KHzに当てはまる音で、音量が同じでも、特に音が大きく聞こえる周波数」(三菱電機 家電製品事業部 クリーナー技術課 課長 岩原明弘氏)

 雷神では、耳障りな音を低減させるために、モーター周りに、音を抑える音響カバーや消音材を搭載したほか、ファンモーターの形状を従来の8枚翼から16枚翼に変更。これにより、SONE値は従来より約20%低減しているという。運転音は56~59dB。

ファンモーターの形状を改良した翼の枚数を増やすことで風切り音を低減したという。写真右が新採用の16枚翼、左が8枚翼

手元のセンサーで自動で省エネ

 省エネ性では、手元グリップに「振動センサー」搭載。センサーが掃除の一時中断を検知すると自動でパワーダウンして、無駄な消費電力を抑制し、掃除再開時には、自動でパワーが戻る。ヘッド部分ではなくて、手元グリップにセンサーを搭載することで、ヘッドを交換した際も省エネ運転が可能だという。

手元グリップに振動センサーを搭載するアタッチメントを付け替えた場合でも、省エネ運転が可能運転状態は本体に表示される

 使い勝手の面では、回転ブラシに絡んだ髪の毛やペットの抜け毛を簡単に除去できる「毛絡み除去機能」搭載のパワーブラシを採用するほか、腰をかがめず立ったまま使える「大型コードリールボタン」、運転状態がひと目でわかる「大型表示」機能を採用する。

本体後方にある大型コードリールボタン腰をかがめず立ったまま使える回転ブラシに絡んだ髪の毛やペットの抜け毛を簡単に除去できる「毛絡み除去機能」搭載のパワーブラシ。写真では髪の毛を白い糸で再現している
ヘッドブラシの側面からブラシだけを抜き取るようにするブラシカバーに糸が絡まってとれる仕組み取れた糸は絡まっている状態なので、簡単に捨てられる

フラットな本体デザインを活かした“デコ”雷神も

三菱電機 クリーナー営業課 担当課長 赤石都良氏

 雷神は、デザインも一新している。

 「プレーンでフラットな面を多めにとった、ほかの掃除機とは一味違うデザイン。このデザインを活かした新しい試みとして、“デコ”雷神を提案できたら」(三菱電機 クリーナー営業課 担当課長 赤石都良氏)と語る。

 雷神では、本体カラーとして赤系の「ルビーレッド」と、白系の「キャンバスホワイト」の2色を用意するが、キャンバスホワイトのキャンバスには、「真っ白なキャンバスを自由に使って欲しい」という意味が込められているという。

 内覧会では、実際に三菱電機の社内デザイナーが、装飾を施した“デコ”雷神も展示。シンプルなデザインに、思い思いの装飾が施されていた。

「デコ家電」を意識したというキャンバスホワイト社内のデザイナーがデコった雷神女性らしいデザインも

 三菱電機では、今回発売する紙パック式掃除機「雷神」のほかに、サイクロン式掃除機「風神」も展開している。このネーミングには意味が込められているのだろうか。

 「名前を意識したというのはもちろんあるが、それだけではない。紙パック式掃除機「雷神」は青色LEDを使ってニオイ成分を分解するという機能も搭載しているので、エレクトリックなネーミングでそこをアピールできたらという想いを、サイクロン式掃除機「風神」は独自のサイクロン構造に”風の研究が成し得た、新時代の神業”の想いをそれぞれ込めた」(三菱電機 クリーナー営業課 担当課長 赤石都良氏)






(阿部 夏子)

2011年9月13日 17:12