三菱、使いやすくなった“本格サイクロン”風神

風神 TC-ZXA20P

 三菱電機は、使いやすさを向上させたサイクロン式掃除機「風神 TC-ZXA20P」を9月1日より発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は7万円前後。

 風神は、2つのサイクロン機構を搭載し、ゴミを3種類に分けて分離するサイクロン式掃除機。フィルターを使わずに、遠心分離だけでごみを取り除くため、目詰まりがなく、吸引力が持続する“本格サイクロン”としている。同社によると、従来モデルはこれまでになかったサイクロン機構や排気のきれいさなどでユーザーの満足度は非常に高かったというが、その一方、メンテナンス性や使い勝手の面では不満もあったという。

 2代目となるTC-ZXA20Pでは、これらのユーザー調査を踏まえ、基本的なサイクロン機構はそのままに、ダストカップ、ヘッドブラシ、運転モードのそれぞれで使い勝手を向上している。

本体正面本体側面本体には2つのサイクロン機構を搭載し、ゴミを大きさに応じて3種類に分ける
ヘッド部分は本体後部あるいは、本体裏面に立てかけることができる前モデルは、これまでにない本格的なサイクロン機構がユーザーに評価されたというその一方使い勝手の面では不満点も挙がった

 サイクロン機構では、微細なゴミを吸着し、ゴミの粒子を大きくをするマイナスイオン放出機能を新たに搭載。これにより、サイクロンボックス内でのゴミの分離性能が向上したという。

 また、遠心分離により分けられたゴミが入るダストカップには、風の力による圧縮機能を追加した。これは、綿ゴミなど大きめなゴミを回収する左側のダストカップに追加された機能。サイクロン機構のある部屋からバイパス風路を設けることで、風によってゴミが圧縮され、従来の約2倍の綿ゴミを集めることができるという。

ダストカップ内に風路を設けて、風の力でゴミを圧縮する機構を新たに搭載したゴミが圧縮された様子。これにより従来の約2倍の綿ゴミを回収できるというダストカップに続く風路(右)。風路内でマイナスイオンを発生させることで、微細なゴミを大きくし、ゴミの分離性能が向上するという

 ダストカップは、洗浄のために分解できる構造となっているが、従来より分解しやすい構造に改良している。

新モデルのダストボックス(左)、従来モデルのダストボックス(右)従来モデルは分解した時の部品の数も多く、分解するまでにも手間がかかったTC-ZXA20Pのダストボックスは簡単に分解できるほか、部品の数も少なくした

 ヘッドブラシは「毛がらみクリーン 自走式パワーブラシ」を新たに搭載した。風神では、従来モデルより回転ブラシを引く抜くと、ブラシに絡みついた毛などがブラシケースに残る「毛がらみクリーン」機能を搭載していたが、従来はモーターを搭載していなかった。新モデルでは、モータ搭載の自走式パワーブラシを採用。力を入れずに掃除ができるようになったほか、壁際のゴミも残さず取れるようになったという。

新たに採用した「毛がらみクリーン 自走式パワーブラシ」裏面。ブラシに絡みついた毛が簡単に取れる点が特徴従来のブラシ(左)と比べたところ。従来はモーターを使わずにブラシ内に風を取り込んでブラシを回していたため、ヘッド前方にスペースが必要だった。「毛がらみクリーン 自走式パワーブラシ」では、モーターを搭載したことで、前方のスペースを省略。壁際までしっかり掃除できるようになったという

 運転モードでは、手元グリップ部分の振動センサーで掃除の中断を検知し、自動でパワーを抑える「省電力モード」を新たに追加した。一般的な掃除機では、節電用のセンサーをヘッド部分に搭載していることが多いが、TC-ZXA20Pでは、センサーを手元グリップ部分に設けることで、アタッチメントを付け替えた時も省電力モードが作動するという。

 そのほか、新たなアタッチメントとして、通電しなくても使える「2WAYキャッチローラー」を追加した。2WAYキャッチローラーは、衣類のホコリ取りなどに用いる「エチケットブラシ」を搭載したローラーで、ブラシでキャッチしたホコリを内部で取り除く。風神と組み合わせて使うことで、ホコリをそのまま吸い込めるほか、単体でも使用できる。

 操作性では、持ちやすさに配慮してハンドル位置を本体重心部に変更したほか、床を傷つけにくいソフト車輪を4輪全てに採用した。

運転モードは本体前方のランプでも確認できる単体でも利用できる「2WAYキャッチローラー」エチケットブラシを採用
取り除いたホコリはブラシ内部に溜まるTC-ZXA20Pに取り付けて使用できるほか、単体でも使える本体裏面。4つある車輪は全て、床材を傷つけにくい「ソフト車輪」を採用している

 本体サイズは254×401×303mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は4.9kg。最大消費電力は1,000W。吸込み仕事率は250W。本体には、アタッチメントとして「2WAYロングノズル」「ふとんブラシ」「2WAYキャッチローラー」が付属する。本体カラーはルビーレッドとプラチナシルバー。

 下位機種として、ヘッドブラシの種類が異なり、「ふとんブラシ」「2WAYキャッチローラー」などが省略されている「TC-ZXA15S」を同時発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は5万円前後。本体カラーはメタリックブルーとシルバー。ブラシはエアーエンジンブラシとなる。

「TC-ZXA20P」プラチナシルバー「TC-ZXA15S」左から、シルバーとメタリックブルー
三菱電機 家電製品技術部 クリーナー技術課 グループリーダー 柳沢健児氏

 三菱電機 家電製品技術部 クリーナー技術課 グループリーダー 柳沢健児氏は、同社が打ち出す“本格サイクロン”について「従来の国内サイクロン式の製品は、サイクロンといいながらも紙パックを使っていないだけであって、結局はフィルターでゴミを濾しとっていた。弊社の従来製品も含めて、そういうサイクロンは、粉ゴミに弱かったり、フィルターの目詰まりがひどかったりと、色々弱点がある」と語った。

 また、一般的な掃除機に比べて低い、250Wという吸い込み仕事率については「他社の吸込み仕事率はそこから、どんどん下がるが、風神は吸引力が落ちない。数字だけでなく、使い始めてからの吸引力の持続が大事」と自信を見せた。

会場で行われた実験。風神で小麦粉を吸ってみる。問題なく、ぐんぐん吸い込んだ排気口にあらかじめ挟んでおいた黒い紙には、小麦粉は一切付着していなかった。サイクロンでしっかり遠心分離されている証拠だ一方、フィルターを使用する従来タイプの掃除機では、この通り。フィルターに粉が詰まって、掃除もかなり大変そうだ





(阿部 夏子)

2011年7月25日 14:54