東芝、“世界初”人間の声で操作するエアコン「大清快VOiCE」

~「暑い」で設定温度を下げて、「ストップ」で運転停止
大清快VOiCE NDRシリーズ

 東芝ホームアプライアンスは、音声でエアコンが操作できる“世界初”のエアコン「大清快VOiCE NDRシリーズ」を、11月上旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は21~33万円前後。冷房面積が約14畳の「RAS-402NDR」の店頭予想価格は27万円前後。


ボイスコントローラーが音声を認識。「暑い」で温度を下げて、「ストップ」で停止

 音声を検知するボイスコントローラーを付属したエアコン。ボイスコントローラーには、あらかじめ「暖房」や「タイマー」、「停止」といった音声認識ワードが26個登録されており、これらの言葉に反応すると、エアコンがその言葉に従って運転する(機能は21アイテム)。

本体に付属するボイスコントローラー。これが人間の声を認識する声を出す前に、拍手やノックなどで3回音を鳴らし、音声認識回路を起動しておくボイスコントローラーにはスピーカーも搭載されており、運転状況を声で知らせる

 例えば「暑い」という言葉を認識すれば、設定温度を下げて抑えて運転する。また、「暖房」と言えば、20℃で暖房の強風運転を行なう。停止する場合は「ストップ」または「停止」と告げれば、運転が止まる。

 このボイスコントローラを使用するには、言葉を発する前に、ボイスコントローラ本体のスタートボタンを押すか、拍手やノックなどで3回音を鳴らして、音声認識回路を起動しておく必要がある。音声認識回路には、低消費電力の回路「CL3 Wake-Up」を採用。生活雑音による誤認識を防ぎ、さらに電源となる乾電池の消耗を抑える効果があるという。

 ボイスコントローラはさらに、東芝製のLEDシーリング照明器具や、液晶テレビ「REGZA」のON/OFF操作にも対応する。


東芝ホームアプライアンス 取締役 長澤敦 エアコン事業部による、音声操作のデモ。この動画は、運転時のようす停止時には「停止」や「ストップ」と告げれば良い

東芝製のLEDシーリングライトや液晶テレビのON/OFF操作もできる。デモでは液晶テレビのOFFがうまくいかなかった。操作にはコツがあるようだ拍手3回の代わりに、ノックを3回しても音声認識回路が起動できる。また、中央のボタンを押しても起動する


節電モードなど多彩な運転コースも音声で操作可能

 運転モードには、冷房や暖房、除湿といった基本運転のほか、「節電」「おすすめ」「おまかせ自動」「パワーセレクト」といった自動運転モードも搭載。これらもボイスコントローラ機能に対応する。

 「節電」は、冷房時は室温32℃、暖房時は室温17℃を目安に、“業界最小”の0.2kWの低出力で運転する。「おすすめ」は、冷房時は室温28℃、暖房時は室温20℃に自動設定し、さらに室内機に搭載された人センサーによって、人の居るところだけを認識して送風する。

 「おまかせ自動」は、人センサーと室内の明るさセンサーを使ったモードで、部屋が暗くなると、自動的に節電運転に切り替える。また、人の不在を4時間以上検知すると、自動で運転を停止する。最後の「パワーセレクト」では、最大運転電流を、通常の75%、または50%に設定することで、エアコンの最大能力を抑えて運転する。

「節電」モードなら、通常の冷房よりも最大で約55%の節電効果があるというおまかせ自動運転は、人センサーと明るさセンサーを使って節電する

 東芝ではこの音声認識機能を搭載した理由として、エアコンの多機能化により、リモコンのボタン数の増加や液晶の表示内容の複雑化などが見られたため、使いやすさを向上させる狙いがあったという。

東芝ホームアプライアンス 取締役 長澤敦 エアコン事業部

 「寝室など部屋が暗い時は、リモコンの文字が見にくい時がある。その時に声で動かせればすごく使いやすい。キッチンで料理している奥様にも便利。家の中にはたくさんのリモコンがあるが、外出前など忙しい時にも、声で操作できるのはとてもうれしい機能。操作がわらかないというご高齢者にも、福音となるのでは。エアコンの新しい時代を築こうと、開発した」(東芝ホームアプライアンス 取締役 長澤敦 エアコン事業部)

 なお本製品には、通常のリモコンも付属する。

就寝時や家事中、外出前の慌ただしい時に便利という東芝のLEDシーリングライトやテレビの操作も可能


東芝独自の「デュアルコンプレッサー」はさらに省エネ化

東芝独自のコンプレッサー「デュアルコンプレッサー」をさらに改良した

 室外機では、同社独自のコンプレッサー「デュアルコンプレッサー」を改良した。

 デュアルコンプレッサーとは、2つのシリンダーを搭載したコンプレッサーで、パワフルに冷暖房を行なう場合には2つのシリンダーを運転し、逆に室温を維持する際など低出力で運転する場合は、1つのシリンダーだけで運転する。これにより、コンプレッサーの回転数を落とさずに、高効率を維持したままで能力を抑えた運転ができ、“扇風機並み”という消費電力45Wの低出力運転もできるという。

 今回搭載されたデュアルコンプレッサーでは、シリンダーの扁平化、冷媒の吸込口の一本化、吸込配管の短縮化により、ロスや損失を低減。コンプレッサー単体の効率が向上したという。

パワフルに運転するときには、2シリンダーで運転部屋の冷暖房ができた後は、1つのシリンダーで能力を抑えた運転をする使用頻度の高い、低出力運転時のエネルギーをカットする効果がある
新しいデュアルコンプレッサーでは、シリンダーを扁平化するなどロスを低減したさらに、冷媒の吸込配管を短くすることで、損失を低減した

 清潔機能では、同社独自のイオン機能「ピコイオン」を放出し、室内機内部の「プラズマイオンチャージャー」でホコリや菌などを熱交換器に捕獲、ドレン水とともに屋外へ排出する「ピコイオン空清」機能も備える。また、運転停止後に、フィルター掃除とエアコン内部を乾燥する「自動お掃除」機能も搭載する。

 このほかの機能では、“業界最小”の消費電力45Wで、冷えすぎを抑えた運転をする「涼風運転」、約1分間の早さで温風を吹き出す「ダッシュ暖房」、エアコンの消費電力をリアルタイムで表示する「リアルタイムモニター」などを、従来モデルより継承する。

 室内機のサイズは790×299×293mm(幅×奥行き×高さ)。本体カラーはプレシャスホワイトとプレシャスシャンパン。本体デザインは、“フラット&スクエアフォルム”という新パネルデザインを採用している。

“扇風機並み”という45Wの涼風運転も継承消費電力のリアルタイムモニターも備える
プレシャスホワイトプレシャスシャンパン
 

“節電時代に応える、21世紀型のエアコン”

東芝ホームアプライアンス 石渡敏郎 取締役社長

 東芝ホームアプライアンスの石渡敏郎 取締役社長は、2011年度のエアコン需要については、通年で平均並となる740万台との予想を示した。

 また、ユーザーに対して行なった調査において、「今夏に向けてのエアコン節電対策」の1位が「省エネタイプを選ぶ」、家電選びのポイントの1位が「同じ価格なら節電性に優れた家電が選びたい」との結果になったことから、「(ユーザーの)家電に対する節電志向は今後も続いていく」と分析。そのうえで、今回発売する大清快VOiCEについて「省エネ、節電時代に応える、21世紀型の、業界をリードするエアコン」と評価した。

2011年度のエアコン需要は740万台の予想ユーザーに対して行なった「今夏に向けてのエアコンの節電対策」の調査では、「省エネタイプを選ぶ」がトップだったまた、「同じ価格なら節電性の高い製品を購入する」という意見も強く、ユーザーの節電志向は今後も続くという





(正藤 慶一)

2011年9月12日 17:39