長期レビュー

東芝「大清快VOiCE EDRシリーズ」

東芝「ルームエアコン 大清快VOiCE EDRシリーズ」その1

~デュアルコンプレッサーでとにかく省エネ!

リビングのエアコンを11年ぶりに買い替える!

東芝ホームアプライアンス「ルームエアコン 大清快VOiCE EDRシリーズ」(RAS-562EDR)。カラーはシェルホワイト

 現在、住んでいるマンションに引っ越してから、まもなく11年が過ぎる。その際に設置したリビングのエアコンは2002年製のため、まだまだ省エネ機能が充実しておらず、能力も低いものだった。角部屋で比較的、風通しもよいことから、夏でも基本的には窓を開けて扇風機を使い、エアコンはあまり活用していなかった。

 暖房にいたっては、温風が上に舞い上がってしまい、サーキュレーターと併用してもなかなか足元が温かくならないため、石油ファンヒーターを使ってきた。つまり、エアコンの暖房機能は、灯油の買い置きがなくなってしまった時の、“もしもの時用”でしかなかったというわけだ。それに何よりも、冷風であれ、温風であれ、エアコンの風が直接当たるのが不快に感じられ、エアコンそのものが好きでなかった。

 ただ、東芝ホームアプライアンスのエアコン「大清快」シリーズを知ってから、エアコンに対するイメージが変わった。「大清快」シリーズは、同社ならではの圧縮機「デュアルコンプレッサー」による省エネ性の高さや、扇風機並みの消費電力で冷房運転(=涼風運転)ができる点などが魅力。買い替えのタイミングでは、ぜひこのシリーズのエアコンをリビングに設置したいと思ってきた。しかも、昨年の秋に発表された「大清快VOiCE EDRシリーズ」では、新たに暖房時にも「保温運転」ができるようになり、より魅力が増している。これなら、夏の冷房も我慢せずに使えそうだし、冬も灯油をこまめに買いに行く必要もなくなり、便利に使えそうだ。

 EDRシリーズは、大清快シリーズの中でも、すべての機能が搭載された贅沢なフルスペックモデルだが、広いリビングだからこそ、ワイド気流などの良さが実感できるはず。11年というのは、買い替えのタイミングとしても妥当だろう。ということで、夏を迎える前で設置工事も混まないこの時期に、購入を決定した。

 今回から3回にわたって、製品の特徴や、実際に使ってみての感想、お手入れの仕方などを紹介していく。

メーカー東芝ホームアプライアンス
製品名大清快VOiCE EDRシリーズ
品番RAS-562EDR
購入場所ヨドバシ.com
購入価格268,000円

愛犬・大和にもぴったりの涼風運転

 ここであらためて、「大清快VOiCE EDRシリーズ」の特徴を説明しておこう。大清快の1番の特徴は、室外機内に搭載されているエアコンの心臓部「コンプレッサー」の圧縮部が2つのシリンダーで構成されている「デュアルコンプレッサー」を採用していることで、他社にはない独自の技術だ。

室外機に搭載するデュアルコンプレッサー
カットモデル。縦に2つのシリンダーが並ぶ
設定温度に近づくと、1つのシリンダーだけ動かして消費電力を削減

 これにより、運転開始時など大きな能力を必要とする際には2つのシリンダーを動かし、設定温度に近づいてくると1つのシリンダーだけを動かして小さな能力で運転するように切り替えるため、消費電力を抑えることが出来る。ON/OFFの繰り返し、つまり冷房と送風の繰り返しで設定温度を保とうとする運転方法と異なるため、より快適に、しかも少ない消費電力で運転できるのだ。

 このデュアルコンプレッサーによって、「涼風運転」や「保温運転」をすることも可能だ。これは、温度が安定した後の運転時では、わずか45W~60Wという(わが家に設置したRAS-562EDRでは55W)扇風機並みの消費電力で冷暖房ができるというもの。

 わが家にはラブラドール・レトリーバーの愛犬・大和がいて、この6月には12歳の誕生日を迎える。大型犬としてはすでに老犬の域に入り、夏の暑さには弱い。実は、昨年の8月末の猛暑続きの中で、大和が熱中症になってしまい、回復するのにずいぶん時間がかかった経験がある。今から考えると、エアコンの冷房を入れっぱなしにして外出するようにしておけばよかったのだが、「風が通るから大丈夫だろう」「電気代も心配だし」などの理由で、エアコンのスイッチを入れておかなかったことを悔やんでいる。

 そんな大和のためにも、より省エネなエアコンを導入したかったわけで、安定運転時には1時間1円程度の電気代ですむ「大清快VOiCE」の涼風運転は本当に魅力的だ。愛犬のために選んだエアコンといっても過言でないほどなのだ。

 このEDRシリーズには、従来モデルでは「涼風運転」だけだったのだが、暖房時にも同様の消費電力ですむ「保温運転」も加わっている。日当たりのよいリビングなので、冬の休日の昼間などは、この保温運転で十分に暖かく過ごせるのではないかと期待している。

「VOiCE」の名前の由来、音声を認識するボイスコントローラ

 さらに、リモコンのほかに音声を認識するボイスコントローラが付属し、料理中だったりしてリモコンを使えないときにも、声でエアコンの操作ができるのも大きな特徴だ。

 このボイスコントローラを使用する方法は2つあり、天面についている白いスタートボタンを押すか、3回手をたたくと、コントローラのお知らせランプが点灯して、「準備完了」となる。

リモコンのほかにボイスコントローラも付属している
ボイスコントローラはまん中の白いスタートボタンを押すほか、3回手をたたくと機能する仕組み

 ランプが点灯している間に、「運転」「停止」「除湿」など、決められた言葉で話しかけると、その信号をエアコンの室内機に送信し、本体がそのように機能する仕組みだ。新製品となるEDRでは、室内機の情報も受信する双方向でのやりとりが可能になっているため、電気代やお天気、運転状況の確認などもできるようにバージョンアップされている。

運転内容を音声で知らせてくれる音量の調整は、裏面のカバーを外して行なう
声が小さいように感じたので、音量を「大」にセットし直した
東芝製のテレビのON/OFFもできた

 また、東芝のLED照明器具やテレビのON/OFFもこのボイスコントローラでできるようになっている。わが家の液晶テレビは東芝「REGZA」なので、さっそくテレビの前にコントローラを置いて、「テレビ! 」と話しかけてみたところ、特に設定をすることもなくON/OFFが出来た。

 認識してくれる「命令の言葉」については、決まった単語があるのでそれを覚えるまではしばらくかかりそうだが、厚紙でできた「ボイスコントローラ簡単ガイド」が同梱されていたので、エアコンのそばに置いて活用したい。

いつでも手元に置いて使える「ボイスコントローラ簡単ガイド」がついている。厚紙で出来ていて丈夫なつくりだ
「ボイスコントローラ簡単ガイド」の裏面。エアコンの操作のほか電気代やお天気など28種類の音声を認識する
エアコン本体の使い方などについては「取扱説明書」を確認する

設置場所を選ばない、ワイド気流

 EDRシリーズは、エアコン室内機の端から端までフルサイズの吹き出し口で、最大180度の広角で気流を送る「広角ワイドルーバー」が搭載されている。そのため、設置場所を選ばず、部屋全体に風を送る機能に優れている。風を送るフラップ(羽根)の形状の工夫で送風路にスムーズな流れを作り、最大の到達距離が20mに及ぶという。この点も、今回のエアコンを選択するにあたって、決め手の1つとなった。

今回の選択の決め手の1つにもなった広角ワイドルーバー。エアコン室内機の端から端までフルサイズの吹き出し口で、最大180度の広角で気流を送る
暖房運転時の様子。ルーバーの上部、まん中にある四角い部分に「人サーチセンサー」。右端の小さな四角い部分が「明るさセンサー」と「お天気センサー」

 というのも、これまで設置していたエアコンをあまり使わなかった理由の1つとして、設置場所がベランダに近い、リビングの一角だったためか、冷風も温風も部屋全体に行き渡りにくく、設定温度になるまでにかなり時間がかかってしまうこともあった。エアコンの室内機から少し奥に引っ込んだところにダイニングテーブルがあるため、実際に過ごしている空間になかなか気流が届かなかったのだ。

 リモコンの使い勝手などの詳細は、次回以降にあらためて紹介するが、リモコンのカバーをスライドすると現れる「快適気流」ボタンを押すと、「広角ワイド」や「右ワイド」などの風向きが選べる。また、本体には「人サーチセンサー」がついており、人の動きに合わせて、風を当てたりよけたりすることも可能だ。

リモコンのカバーをスライドさせると左上に「快適気流」ボタンある
「快適気流ボタン」を押すごとに広角ワイドや右ワイドなどの「ワイド気流」が選べる
1か所だけに集中して風を送る「スポット気流」機能も搭載する

冷房ボタンを2度押しすると、扇風機並みの消費電力(RAS-562 EDRでは55W)で冷房ができる「涼風運転」になる。この夏、愛犬のために大活躍が期待されるモードだ

暖房ボタンの2度押しでは「保温運転」になる

わずか1時間ちょっとで設置工事完了!

 エアコンの取り替え工事というのは初めての経験だったが、ベテランの業者さんだったこともあり、1時間強という短時間で作業は終了した。

 当初、エアコンの室内機の設置場所をダイニングテーブルの真上の位置に移動しようと考えていたが、業者さんにコンセントの位置の関係上、やはり従来と同じ場所でいったほうがいいとのアドバイスを受けて、そうすることに。

 「エアコンは扇風機と違って部屋全体の空調をするもの。風の方向性を考えるより、いかにフラップで遠くまで風を送り届けられるか、冷暖房能力のパワーがあるものを選ぶのが大事。それを考えると、これまでの設置場所でも十分機能を生かせるはず」という話はとても説得力があった。

11年前に引っ越した際に取り付けた2002年製のエアコン。写真右手の壁に設置場所を移そうとしたが、設置業者さんのアドバイスにより従来と同じ場所に設置することに決定
これまで使っていたエアコンを取り外したところ

 コードが見た目に美しく配線できるようにと、コンセント部分の天地をひっくり返して設置し直してくれたことにも感激した。これまでは余ったコードを束ねていたが、今回はムダなくきれいに配線されてすっきりと収まっている。

大清快RAS-562EDRの電源プラグ。単相200Vのため、3つの差し込み口となっている
コードがすっきりと収まって見た目に美しく配線できるようにと、コンセント部分の天地をひっくり返して設置し直してくれた
コンセントに電源プラグを挿したところ。これまでは向きが反対だったので余ったコードを束ねていたが、ムダなくすっきりと配線されて仕上がりが美しい
設置完了した様子。省エネ性が高まり、フィルターの自動おそうじ機能も搭載されているため、これまで使用していたものより奥行きがあり、前方にせり出した印象

 設置完了後には、部屋のどの位置にエアコンを設置したのか室内機に登録する必要があるが、これについても、リモコンのカバーをスライドすると一番下に現れる「点検」ボタンを使って行なうことを教えてもらった。さらに、フィルターの自動おそうじ機能が正しく運転されるかどうかのチェックや、暖房機能の運転確認などをしてすべて終了となった。

取り付けの後、リモコンを使って据え付けの位置を登録する。操作はリモコンのカバーをスライドさせると一番下に現れる「点検」ボタンを尖ったピンなどで押して行なう。
点検ボタンを押すと、画面に「点検」の文字が表示される。これは通常、設置業者が最後に行なうものだが、今回は作業の様子を見せてもらった
続いて表示される画面で「据付位置」を選択し、部屋のどの位置にエアコンを設置したのかを選んで完了

 これまでのエアコンに比べて室外機がかなり大きく、特に高さがあるのに驚いたが、これは、省エネと暖房性を向上させるために、熱交換器の容積を大きくしているため。この室外機があるからこそ、省エネ運転が可能になるのだから頼もしい。

フィルターの自動おそうじ機能が正しく稼働するかどうかもチェック
室外機の様子。サイズは799+69×299+52mm×630mmと大きめだ

 無事に設置が完了した「大清快VOiCE EDRシリーズ」。次回はPM2.5にも対応するという空気清浄機能や、センサーによる自動制御機能など、実際の使い勝手について、詳しく紹介する予定なので、お楽しみに。

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神原サリー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」べく、家電分野を中心に執筆やコンサルティングの仕事をしています。モノから入り、コトへとつなげる提案が得意。生活家電・美容家電分野の記者発表会にはほぼすべて出席。企画・開発担当者や技術担当者への取材も積極的に行い、メーカーさんの現場の声を聞くことを大切にしています。