三菱、ニオイ成分を80%除去する介護・医療現場用の脱臭機

~脱臭フィルターを温めて性能を回復
急速脱臭機 デオダッシュ DA-8000A

 三菱電機は、吸い込んだニオイ成分を80%除去する脱臭機「急速脱臭機 デオダッシュ DA-8000A」を、10月上旬に発売する。希望小売価格は262,500円。家電量販店の店頭では扱われず、介護用品の卸業者やリース業者を通じて展開していくという。

 主に介護・医療施設向けに販売される脱臭機。同社の調査によると、高齢者向けの施設ではニオイに困っている事例が多く、現状では換気や消臭スプレー、家庭用空気清浄機で対策をしていることが多いという。しかし、換気は室温が寒くなったり、消臭スプレーは効果が一時的だったり、空気清浄機では目立った効果が得られないなど、さまざまな問題があったという。

排泄臭に含まれるニオイ成分の除去に特化した脱臭機。そのため、タバコ臭の除去には向いていない

 本製品は、排泄臭に含まれるニオイ成分を除去することに特化した点が最大の特徴。アンモニアやメチルメルカプタン、硫化水素といった、医療・介護現場におけるニオイ成分の除去に適した触媒を、脱臭フィルターに配合した。

 この結果、ニオイ成分を除去する能力は、同社の2009年の空気清浄機「MA-83D」が20%前後であるのに対し、本製品では80%という高い数値となった。臭気ランクでは、「楽に感知できる」という約2.5ppmから、「何のニオイであるかわかる弱いニオイ」という約0.5ppmまで抑えられるという。


本体前面パネルを外したところ。大きめのホコリをキャッチするプレフィルターが備わっているプレフィルターを取り外すと、中にはHEPAフィルターがある。空気清浄効果もある
HEPAフィルターを取り外した中に、脱臭フィルターが備わっている。取り外しはできない脱臭フィルターは、フィルターの1/8サイズのヒーター(写真銀色のパーツ)で温められ、脱臭能力を回復する

 また、脱臭フィルターが捉えたニオイ分子は、本体内のヒーターで加熱することで自動的に分解・除去されるため、フィルターの脱臭力は回復する。このため、フィルターの交換や手入れの必要は、約10年間不要という。ヒーターは8日かけてフィルター全体を自動的に脱臭力を再生するが、本体パネルのボタンを押せば、任意のタイミングでの脱臭力再生もできる。

脱臭フィルターが脱臭効果を再生する仕組み。通常の脱臭フィルターは活性炭を使用しているため、使い捨てになるが、本製品は触媒を使用しているため、温めて化学反応を起こすことで脱臭力が回復できる

 本体デザインでは、使いやすさを目指したユニバーサル設計を採用。本体は腕を曲げずにハンドルが持てる高さとし、ハンドルには持ちやすいゴム調の素材を使用した。また、4輪のキャスターも搭載することで、転がして簡単に操作ができるようにした。また、介護施設では入所者による誤使用を防ぐために、コンセントが高所に設置されることが多いが、本製品では3.3mの長尺電源コードを備えることで対応する。

本体底部にはキャスターを搭載。重量は11.5kgと重いものの、簡単に動かせる取っ手は無理に腰を曲げなくても握れる
文字は見やすいよう大型化されたコードは3.3mと長い

 本体サイズは425×292×663mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は11.5kg。フィルターは脱臭フィルターのほか、プレフィルター、HEPAフィルターも搭載する。空気清浄運転の目安は36畳まで。1分間当たりの風量は8.0/5.1/1.7立方m/分(強/中/弱)。消費電力は64/19/5.5W(同)で、ヒーター再生運転時は45W。運転音は51/40/20(同)。チャイルドロック機能、30/60/120分のオフタイマーも備える。本体カラーはホワイトとブラックが用意される。

 同社では、介護施設の現場で実際に本製品の試作機を使用しており、オムツ交換時の高い脱臭性能を実証しているという。本製品を使うことで、介護する側にとってもされる側にとっても、快適な介護・医療の実現に役立つとしている。

本製品の効果があるニオイと効果が少ないニオイの一覧。ペット臭にも効果があるため、ペットショップなどのへの展開も検討しているという
 





(正藤 慶一)

2011年9月5日 16:44