東京電力、東日本大震災による被災からの復旧過程を公開

~計画停止発電所の復活や緊急電源の設置も紹介

 東京電力は11日、「電気の供給力確保に向けた取り組み」をWebサイト上で公開した。

 内容は、「地震・津波による発電所への影響」「火力発電所の取り組み」「今後の需給見通しについてのご案内」の3つで、東日本大震災による被害と、そこからの復旧過程、緊急電源の設置などが紹介されている。

 東京電力は、震災以来、主にプレスリリースの形で現状を公開してきたが、情報の公開に偏りがあり、現状が把握できない場合があった。今回の「電気の供給力確保に向けた取り組み」では、各発電所ごとに情報が整理されており、これまで明らかでなかった情報も明らかとなった。

 以下、いくつかの例を紹介する。

【1】「火力発電所の取り組み」の「取り組み(1) 被災した火力発電所の復旧」では、リリースだけでは不明だった、広野火力発電所の各発電所がいつ運転再開したかが明らかになった。

 1号機:7月3日、2号機:7月11日、3号機:7月16日、4号機:7月14日、5号機:6月15日(5月13日確認運転を実施)となっている。

 リリースでは、震災によって停止した2号機と4号機の動向は報告されていたが、1/3/5号機については情報がなかった。

 同様に、鹿島火力発電所において、不明だった1号機と4号機の運転再開日が明らかとなった。1号機:5月16日、2号機:4月7日、3号機:4月6日、4号機:4月1日、5号機:4月8日、6号機:4月20日となっている。

東日本大震災による被害の状況

【2】「取り組み(2) 長期計画停電発電所の運転再開」では、長期停止中だった横須賀火力発電所において、再開された発電機と、その運転再開日が明らかになった。

 4月24日に2号ガスタービン、6月2日に1号ガスタービン、6月19日に3号機、7月6日には4号機が運転再開された。この4基が選ばれた理由は、比較的設備状態の良かったからとされている。

【3】「取り組み(3) 新たな電源設備の緊急設置」では、「今夏の緊急設備電源の設置状況」という表が公開され、緊急設置電源の状況が把握できるようになった。

今夏の緊急設備電源の設置状況
姉崎火力発電所に設置されたディーゼルエンジン4台。現代重工業より無償譲渡された

 また、姉崎火力発電所に設置された、ディーゼルエンジン4台については韓国の現代重工業からの無償譲渡であったことが明らかにされている。この件については、発表時のリリースでは明記されていなかった。同様に紹介されているタイの発電公社(EGAT)からの無償貸与については、決定時及び設置時のリリースで明記されていた。

 以上のような情報を除いても、被災状況の写真と復旧後の写真の差は印象的で、復旧に参加した各企業の努力の大きさが感じられた。話題が火力発電所に限定されているという欠点はあるが、現時点での1つのレポートとして重要なコンテンツであり、今後も保存と更新が行なわれることを望みたい。






(伊達 浩二)

2011年8月12日 19:16