シャープのプラズマクラスター搭載商品、世界で販売累計3千万台を達成

~5千万台へ“ウェアラブル”モデルの開発や海外展開を強化

 シャープは、同社独自の除菌・脱臭技術「プラズマクラスター」を搭載した商品の世界累計販売台数が、2000年9月の発売から2010年末までで、累計3,000万台を達成したと発表した。

プラズマクラスターイオンの発生装置を搭載した同社の空気清浄機2000年9月の発売から、約10年で3千万台を達成したことになる

イオン発生機が販売を加速。2010年は認知率も4割から7割へ

 プラズマクラスターは、プラスとマイナスのイオンを空気中に放出し、有害物質を分解・除去するシャープ独自の技術。現在では空気清浄機のほか、エアコンや冷蔵庫など、同社の11品目に搭載されている。また、自動車や鉄道、エレベーターといった異業種にも採用されている。

空気清浄機のほか、冷蔵庫や洗濯機、サイクロン式掃除機にもプラズマクラスター機能が備わっている自動車や鉄道、エレベーターなど、異業種にも数多く搭載されている
シャープ 健康・環境システム事業本部プラズマクラスター機器事業部 鈴木隆事業部長

 発表会に登壇した、シャープの健康・環境システム事業本部プラズマクラスター機器事業部・鈴木隆事業部長は、プラズマクラスターの普及における「3つの牽引力」として、第三者機関が効果を検証する「アカデミックマーケティング」、同イオンを発生することに特化した「イオン発生機創出とラインナップ拡大」、エアコンや冷蔵庫など「プラズマクラスター搭載商品の広がり」という3点を指摘した。

 特に、2008年10月に発売したイオン発生機については「プラズマクラスター拡大の原動力になっている」(鈴木氏)という。

 「ユーザーにプラズマクラスターイオンの効果をもっと実感していただきたく、2008年10月に、イオン濃度をそれまでの従来の10倍(1立方cm当たりで25,000個)にしたイオン発生機を発売した。イオン発生機はこれまでに250万台を販売しており、これは2008年末から2010年末までのプラズマクラスター搭載機器の売り上げ1,000万台のうち、4分の1を占めていることになる。インフルエンザの流行が終わった2010年も販売は伸びており、年間を通じて生活の必需品という認知が進んでいるのでは」(鈴木氏)

 また、一般ユーザーに対するプラズマクラスターの認知度も高まっており、2009年4月は42.8%だったのが、2010年4月には73.9%に上がったという(シャープ調べ)。

2008年に発売した、プラズマクラスターイオンの発生機が、拡大の原動力になっているというイオン発生機はリビング用からポータブルタイプ、車載用などさまざまなバリエーションが用意されているイオン発生機の売り上げだけで250万台を達成しているという(業務用含む)
イオン発生機は、インフルエンザが流行した2009年にヒット。しかし、2010年も売れ続けている同社調べでは、2010年4月のプラズマクラスターの認知率が7割を超えているという


さらなる拡大には「ウェアラブル」モデルの開発やアジア諸国の販売強化が鍵

 プラズマクラスターをさらに普及を拡大するための重点戦略として、鈴木氏は「新たな用途開発」「グローバル展開の強化」を指摘した。

 「新たな用途開発」では、家庭では下駄箱やクローゼットなど家庭のすみずみに利用できる「家中プラズマクラスター」、個人用途では更なるコンパクト化を進め、手軽に身につける“ウェアラブル”なプラズマクラスターの開発を検討しているという。

ホームユースでは、家庭のすみずみに利用できる「家中プラズマクラスター」の開発を検討している将来的には、手軽に身につけられる“ウェアラブル”なプラズマクラスターも作っていくという

 公共空間向けには、異業種展開をさらに加速していく方針とのこと。すでに一部で導入されている高級ホテルや、パチンコなどアミューズメント施設への展開についても力を入れていくという。

 発表会では、南海電気鉄道の鉄道車両「12000系」に、プラズマクラスターが大手私鉄で初めて搭載されることも明らかにされた。12000系は大阪と和歌山を結ぶ有料特急「サザン」として、今秋に営業運転される予定。


すでに数件のホテルでプラズマクラスターが採用されているが、これをさらに増やしていくというパチンコなどアミューズメント施設へも導入していく。台の脇にモジュールが搭載されている山形新幹線「つばさ」に続き、南海の特急「サザン」の新車両にも搭載されるという
プラズマクラスターの海外の売り上げ比率を、30%に引き上げる方針

 「グローバル展開の強化」では、海外売上の構成比率を、現状の10%から、2013年度には30%へ引き上げていく方針を発表。日本と同様に、アカデミックマーケティング、テレビCM、店頭販促による効果実感の3本柱で展開していくという。

 海外ではまた、その土地に適した“ローカルフィット商品”を創出し、拡大する方針。たとえば、バイク利用者の多いインドネシア向けには、ヘルメットを除菌・消臭するプラズマクラスターイオン発生器を、1月末に投入する。

 「プラズマクラスターは現在約100カ国で展開しているが、売り上げ規模ではまだまだ十分ではない。今度、特にASEAN・中国を重点強化地域に置き、グローバル展開を進めていきたい。特に地域市場ニーズにマッチした商品は鍵を握ると考えている」(鈴木氏)

海外でも日本と同様、「アカデミックマーケティング」「テレビCM」「店頭販促による効果の実感」の3つを軸にするというアジア諸国の量販店の店頭。日本に似た店頭展示が行なわれている
海外では、その土地に適した“ローカルフィット商品”を販売していくという。写真は、インドネシア向けのヘルメット用プラズマクラスターイオン発生機本体(写真)からプラズマクラスターイオンが発生し、ヘルメットを消臭・除菌する本体の上にヘルメットを被せるように設置する
プラズマクラスター搭載商品は、2010年末で約100カ国に展開されている2013年に世界で5,000万台の販売目標を掲げた

 鈴木氏は最後に、「世界中のあらゆるところに、プラズマクラスターの“ぶどうマーク”を広げ、社会貢献をしていきたい」と語り、2013年に5,000万台の販売を達成するという事業目標を掲げた。


タイとインドネシアにおける、プラズマクラスターのテレビCM。日本と同様、音楽に「プラズマクラスター」という言葉をのせた内容となっている





(正藤 慶一)

2011年1月17日 15:26