シャープのエアコン「つつみ込む気流」が、“冷えすぎを防ぐ”と評価



「つつみ込む気流」機能を備えた同社のエアコン。「癒し快適エビデンス推奨マーク」が貼られている
 シャープは、同社のエアコンに搭載されている「つつみ込む気流」機能が、冷えすぎによる不快感を抑え、快適感を向上する効果があるとして、大阪健康サービス産業創造協議会(以下、OHS協議会)の「癒し快適エビデンス推奨マーク」の認証を受けたと発表した。

 つつみ込む気流とは、同社のエアコンに搭載されている、体に直接体を当てない空調技術のこと。エアコン吹き出し口にある上下両開きの「ロングパネル」で、冷房時は天井に、暖房時は床に風を送り、さらに「左右なめらかガイド」で風を壁面に沿わせることで、室内全体を包み込むように冷暖房を行なう。これにより、直接体に風を当てず、室内の温度のムラを抑えて空調できる仕組みとなっている。


同社のエアコンの変遷。2008年度の機種から、「つつみ込む気流」を採用している「つつみ込む気流」の図解。冷房時は天井に、暖房時は床に風を送り、さらに壁沿いにも送風することで、直接体に風を当てない空調技術冷房運転時のイメージ図。風を細く絞り込んで、部屋の遠くまで風を送る

部屋の天井や壁面を冷やすことで、体に風が当たらなくても「ちゃんと涼しい」という冷房時の室内温度のサーモグラフィー。「つつみ込む気流」(右)は室内全体をまんべんなく温度設定どおりに空調している

「つつみ込む気流」のデモ展示。天井に沿って風が送られるため、紙がヒラヒラと舞うが、部屋の中心部には風が当たっていない。しかも、温度は設定温度通りに22℃となっている従来の「風が当たる気流」(動画中:左)と「つつみ込む気流」(右)における、部屋の冷やし方の比較。つつみ込む気流は部屋の周囲を冷気が通るため、輻射熱も防げるという


癒し快適エビデンス推奨マーク

 今回はこのつつみ込む気流が、冷房運転時において、従来の“風を当てる気流”に比べて、足の冷えすぎを抑え快適感を向上させることが実証実験にて確認できたとして、OHS協議会の「癒し快適エビデンス推奨マーク」の認証を受けた。

 OHS協議会とは、大阪府・医師会・大学・健康関連企業などで構成される協議会で、「癒し快適エビデンス推奨マーク」は、家電など健康関連製品の「癒し」「快適性」といった効果について、社会的・科学的な意義が認められる製品を、OHS協議会が推奨することを示すマークのこと。今回が同マークの取得第一号となる。

 実証実験の内容は、「冷房が苦手」という20~65歳の女性がデスクワークをし、つつみ込む気流と従来の風を当てる気流で冷房されたエアコンルームで30分間休息した後、足の内部の血流量と体温の時間変化を測定するというもの。この結果、つつみ込む気流は従来の気流に比べ、足内部の血流量が多くなり、体温の低下も抑制する効果があったという。さらに、感覚を数値化するVAS検査(Visual Analogue Scale)でも、快適感が向上する結果になったという。


臨床試験における、「つつみ込む気流」と「風が当たる気流」での、足の血流量の比較。つつみ込む気流では、脚のつま先の血流量が多く、冷やしすぎを抑えていることがわかる足内部の血流量のグラフ。「つつみ込む気流」の法が血流量が多い
こちらは実験開始から30分後の体温の変化。「つつみ込む気流」では体温が変化していないが、従来の「風が当たる気流」は冷えすぎのため体温が下がっている快適さを数値化する検査においても、「つつみ込む気流」が「風が当たる気流」を上回っていた

シャープ 健康・環境システム事業本部 空調システム事業部 第一技術部 副参事 大塚雅生氏
 健康・環境システム事業本部 空調システム事業部 第一技術部 副参事 大塚雅生氏は、エアコンの評価を第三者機関から受けた意図について「当社による臨床試験にてさまざまなデータを取得できたが、薬事法の絡みがあり、メーカーとしては(ユーザーに対して効果を)説明できなかった」と、自社でアピールするには法律の壁があったことを明らかにした。

 また「癒し快適エビデンス推奨マーク」については「医療機器ではないがお客様に対してなかなか効果を説明できない製品に対して“正しいものである”というのを証明するためのもの。評価に関しては、科学的に妥当な方法でデータを蓄積しており、しかも医学系の学会論文にて採択されたもののみに与えられている」と、その信頼性を説いた。

 「癒し快適エビデンス推奨マーク」の認証を受けた機種は、2009年度の最新モデル「キレイオン Y-SXシリーズ」および小型タイプの「Y-SVシリーズ」。2008年度モデルの「W-SXシリーズ」と「W-SVシリーズ」も対象となる。

 

新型インフルエンザに対するプラズマクラスターの効果は不明

シャープ 健康・環境システム事業本部 空調システム事業部 副事業部長 鈴木隆氏
 健康・環境システム事業本部 空調システム事業部 副事業部長の鈴木隆氏は、同社のエアコンの販売方針について「エアコンの省エネ性能は各社とも高いが、我々はそれに加えて、つつみ込む気流とプラズマクラスターイオン(空気中に浮遊するカビ菌やウィルスを分解・除去する効果のあるイオンを放出する、シャープ独自の技術)で、“健康性能”を追求し、健康的な家庭内空調を目指していきたい」と語った。

 なおプラズマクラスターイオンは、空気中のヒトまたは鳥インフルエンザウイルスを除去する効果があると第三者機関により評価を受けている。現在世界的に感染が拡大している新型インフルエンザのウイルスに対する除去効果についても期待が高まるところだが、鈴木氏は「効果は不明。当社では豚インフルエンザウイルスが抽出できておらず、検証もできていない」とした。


シャープのエアコンは、空気中のウイルスを除去する効果のある「プラズマクラスターイオン」を発生機能を搭載する機種が多いプラズマクラスターイオンは、空気中のヒトまたは鳥インフルエンザを除去する効果を、第三者機関によって評価されているが、新形のインフルエンザウイルスについては現在のところ「効果は不明」とのこと

2009年5月12日 15:41