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パナソニック、新開発の「ナノイーX」による主要な吸引系アレルゲンの無力化を検証

 パナソニックは、新たに開発した高機能帯電微粒子水「ナノイーX」が、主要アレルゲンである「View 39」に含まれる、ダニやスギなど生物由来の吸引系アレルゲン17種すべてを分解し、無力化できることを検証できたと発表した。

様々な効果が考えられる中で、今回は主要アレルゲン「View 39」に含まれる生物由来の吸引系アレルゲン17種すべてを分解し、無力化できることを検証できたと発表

 そもそもナノイーとは何か、発表会で登壇した同社 ホームアプライアンス開発センターの所長、本橋 良氏は次のように説明する。

 「ナノイーとは、空気中の水に高電圧をかけることで生成されるナノサイズの微粒子イオンのことです。約50〜20nm(ナノメートル)の大きさで、弱酸性の水でできています。

 その水には反応性の高いOHラジカルが含まれていて、このOHラジカルが脱臭や菌、ウイルス、アレル物質の抑制効果を発揮します」

 脱臭や菌などの抑制で重要なのは、ナノイーと呼ばれる水の微粒子の中に含まれる、OHラジカル。そして新開発されたナノイーXは、このOHラジカルの生成量を、従来のナノイーの10倍にしている。

 つまり今回の発表会では、10倍に増えたOHラジカルが、空間に浮遊する菌やウイルス、アレル物質にどのように作用するかを検証した結果、期待通りの効果を発揮してくれることが分かった、というもの。

パナソニック アプライアンス社 技術本部 ホームアプライアンス開発センター 本橋 良氏
ナノイーを生成するデバイスを改良。ナノイーXでは従来ナノイーよりも、OHラジカルの密度が濃いナノイーを発生させる
ナノイーが菌を無力化させる過程の、初期段階のイメージ図
OHラジカルの多いナノイーXは、従来ナノイーよりも素早く菌を無力化できる(イメージ)

 本橋氏によれば、ナノイーに出来ることは大きく3つ。1つは空間を清潔にすること。脱臭や除菌、ウイルスやアレル物質の抑制で、この特性を利用して、空気清浄機やエアコンなどに応用されている。

 2つめが、肌や髪の毛に潤いやツヤを与えるなどの効果が考えられる。こちらはドライヤーやスチーマーに活用されている。

 3つめが、鮮度の保持や栄養素のアップで、冷蔵庫に搭載。

 この中で、今回検証したのが、空間をいかに清潔にできるかという点。具体的には、アレルギー性疾患の主要原因とされる代表的なアレルゲン「View 39」のうち、生物由来の吸引系アレルゲン17種でテスト。ナノイーXは、その全てのアレルゲンを抑制できたという。

 抑制できた「生物由来の吸引系アレルゲン」の詳細は、ダニ1種(ヤケヒョウヒダニ)、樹木花粉4種(スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ)、草本花粉4種(カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギ)、真菌(アルテルナリア、アスペルギルス、カンジダ、マラセチア)、動物(ネコとイヌのフケ)、昆虫(ゴキブリ、ガ)の17種。

 なお、この中で新たに抑制が実証できたアレル物質は、ヤケヒョウヒダニ、アルテルナリア、カンジダ、マラセチア、ゴキブリ、ガ、ハンノキ、シラカンバ、ヨモギの9種。

ナノイーXによる抑制効果が実証されたView 39の、生物由来の吸引系アレルゲン
新たに抑制が実証できたアレル物質

花粉や脱臭にも効果を発揮

 多くの人が悩む花粉症の原因と考えられるアレルゲンについても、詳細にテスト。既に低減効果が検証されていた、スギ/ヒノキ/カモガヤ/ブタクサのほかに、ススキ/シラカンバ/ヨモギ/オリーブ/ビャクシン/モクマオウ/ハンノキに作用できることが分かっているとする。

 またタバコ臭や汗臭など、普段の生活の中で気になる臭いについては、脱臭効果だけではなく脱臭速度がスピードアップしたとする。

新たに7種の花粉に効果があることが分かった
新たに焼肉臭にも効果を発揮。タバコ臭については、従来ナノイーに比べ、その脱臭スピードが10倍に進化

 ナノイーの効果と速度については、簡易的な実験が披露された。まず、菌やウイルスに見立てた試薬(有機物)を用意。この試薬が変色すれば、効果があったことになるという。

 実験前に、OHラジカルと同様のメカニズムで、菌やウイルスを抑制できるという「オキシドール」を試薬に垂らした。すると青みの強かった試薬の色が、黄色がかった緑色に変色。ナノイーでも、同じ緑色系の色に変色した時点で、効果が出たということになる。

菌やウイルスに見立てた試薬使った実験。ナノイーXデバイスでは、約10分前後で試薬の色が変わった

様々な場所でナノイーが活用されている

 効果が実証されたというナノイーXを搭載した製品は、現状では9月15日に発売される加湿空気清浄機「F-VXM90」のみ。

加湿空気清浄機「F-VXM90」

 だがナノイー技術は、これまで公共の場所などでの採用も進んでいるという。一例として挙げられたのが、トヨタの乗用車や、山手線などの鉄道車両。同社は、今後も様々な場所で、活躍の場を広げていきたいとした。

ナノイーXデバイス
山手線用のナノイーデバイス
トヨタ車用のナノイーデバイス
ナノイーデバイス搭載の30車種一覧