長期レビュー

パナソニック「ホームベーカリー SDーBM102」(2/4)

~手を変え品を変え、食パンを焼いて焼いて焼きまくる!
Reported by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)




 前回はホームベーカリーに関する説明に終始したが、今回はいよいよパン作りレポートである。

パン焼き初心者が、いよいよ「基本の食パン」に挑戦

 

こちらが基本の食パンの材料。水は自前の計量カップを使ってしまった。やはり見慣れているので手を伸ばしやすいようだ……
 「本当に便利なんだろうか」と半信半疑で重い腰を持ち上げた筆者。「基本の食パン」を作るべく材料の確認から開始。取扱説明書の通りに計量し、材料をそろえていく。

 スポンジ系の食感というイメージから、卵、バター、牛乳をふんだんに使うのかな……と想像していたのだが、材料は思いの外シンプル。強力粉250g、砂糖大2、塩小1、バター10g、スキムミルク大1、ドライイースト小1、水180ccだそうだ。繰り返し作っていたらなんとなく覚えられそうだ。

 ここで最初に気をつけたいのは、この「大」と「小」の意味。これは「大さじ」「小さじ」ではない。付属のスプーンで何杯かを表しているのだ。かくいう筆者も最初は間違えて思わず大さじ小さじで計ってしまった。初回は材料を別の容器に用意したこともあり、混ぜる前に気づいて事なきを得たが、危ないところだった。

 そう。このスプーンはかなり大事。このホームベーカリーの命とも言えるものだ。このスプーンのおかげで作業がかなり楽になっているからである。強力粉とバターだけはグラム単位で測れるスケールが必要だが、砂糖、塩、ドライイーストは付属のスプーンを使えばラクチンだ。なお、大さじスプーンなどが必要な場合は「大さじ」「小さじ」と明記されているので覚えておいていただきたい。ちなみに水も付属の計量カップで対応できてしまう。ついつい自前の計量カップを使ってしまいがちだが、ちゃんと付属しているので忘れず活用したいところだ。

 

材料をすべてパンケースに入れ、本体にセットドライイーストを小で1杯用意するドライイーストを「イースト容器」に入れる

 毎回10gのバターを計るのは面倒だと思う人は、最初から10g単位で切れ目が入った製品を活用するとよいだろう。少々割高になるが、切り取るだけで済むため、計りがいらないし、計る際の容器も不要。半分で約5gだから、15g、25gなんてときも便利。

 さて。「パンの材料ってこうなんだ!」と新鮮な驚きを感じながら、計量した材料を慎重にパンケースに移し、書かれている通りに一生懸命山の形を作り、周りに水を流し入れてみた。ドライイーストを「イースト容器」に入れ、ふたをし、「ドライイースト」の「食パン」を選択。レーズンは「なし」、焼き色は「標準」になっていることを確認し、「スタート」ボタンを押した。

 

ドライイースト準備完了「コース」はドライイースト、メニューで食パンを選ぶスイッチオン!

 初めての食パンは、あっけなく成功!

 

4時間後、ブザーに呼ばれて行くと記念すべき食パン第1号が完成していた
 4時間後、ふたをあけて「えっ?」と思った。いきなり成功したからである。4時間前は粉と水だったのが、こんがりと膨らんだパンになっている。しかもいい香り! 翌日でもしっとりしておいしい。初めて作ったパンだが、とても素人作とは思えない。パン作りを一切経験していない自分が、まさかこんなパンが作れるなんて夢にも思わなかった。おっと、間違えた。筆者は材料を指示通り計量して入れただけであり、パン作りの全工程をこなしてくれたのは「SD-BM102」なのだ。

 「ホームベーカリーを使うとはこういうことか」と納得。初回だけは計量にかなりナーバスで、いちいち別の容器に用意してからあわせてみたり、「水を流し入れる前はパンケースの中でしっかり山を作らないといけないのかしら?」「山ができないと失敗するのかしら?」と心配してみたりしたが、2度目の「基本の食パン」で悩みは解消した。

人生初の自家製食パンをオーブン用の網の上で冷ます。ゴロンとした風貌だ裏側をみると、羽根の穴が開いていた。これは仕方ないことなのだ粗熱が取れたところで包丁を入れる

上手に切れず、断面は美しくないが、味と香りには大満
 パンケースをボウルに見立て、計りに載せてゼロリセットし、いきなり強力粉を入れて計ってしまうのだ。そこへさらに材料を追加する。そうすれば余計な容器は不要。山もチョチョイとスプーンで整える程度。そんな感じで細かいことはほとんど気にしないのに、パンはしっかり焼けていた。

 こうなると、「これからパンを作るぞっ!」なんて気合いゼロだ。ハイハイハイハイと容器に材料を投入し、山を作ったら水をざっと回し入れ、ドライイーストを容器に入れておしまい。あとは焼き加減を確認して「スタート」。次にアラームに呼ばれて行ってみると、毎回まるまると膨らんでこんがり焼けたパンの頭が迎えてくれる。あまりの簡単さに「パン作り」なんていうのもおこがましくなるほどだ。材料を整頓しておけば、5分程度で準備は完了してしまうだろう。形容するならお米をといで水をいれてスイッチを押す炊飯と一緒である。

 

「タイマー予約」を使えば、好きな時間に焼きたてパンが食べられる


 焼きたてパンに感動して狂喜乱舞していたが、ご飯と違って、焼けたらすぐ取り出して粗熱を取らねばならない。しかし毎回4時間後に呼ばれるのは大変なので、3度目からは指定した時刻に焼き上がる「タイマー予約」機能を活用し始めた。

 この予約機能は「食パン」「フランスパン」「全粒粉パン」「メロンパン」「天然酵母パン」で利用できる。最短予約時間はそれぞれのパンの所要時間に対して+10分までとなっており、最長でドライイーストなら13時間後、天然酵母なら10時間後までセット可能だ。

 「予約」ボタンを押したら、「時」「分」を押して焼き上がり希望時刻を入力。「スタート」を押してセット完了。パンの中にはいきなりいつも通りの「ねり」が始まるので驚くが、タイマー予約時は「ねり」の工程を終えてから、次の工程までを待機するのが仕様。このあたりについても取扱説明書にパンごとに具体的な工程表が添えられているので安心だ。

 寝る前に材料を入れたパンケースをセットし、食べたい時刻を指定すれば、あとはホームベーカリーが勝手に調整してくれる。以後、このタイマー予約には散々お世話になったが、ホームベーカリーに睡眠を妨げられたことは一度もなかった。

いつものように材料をパンケースへパンケースを本体にセットし、焼き上がり時間をセット初めての予約。少々小さめになってしまった。たまにはこういうこともある。
実はホームベーカリーを使うにあたって抱いていた密かな野望を実行に移すそれは朝食に自家製パンのトーストを作り、これまた手製のクラムチャウダーと一緒にを食べること。カリカリに焼いたトーストをちぎり、クラムチャウダーにつけて食べるのだ!
至福の瞬間! サクサクでおいしい
 設置場所と近ければ目覚まし代わりになってくれるかもしれない。とにかく速やかに取り出さなくてはせっかくパンが台無しになる。そのため「取消」ボタンが押されるまで、「SD-BM102」は繰り返し何度もアラームを鳴らし続ける。このため大抵の人は筆者同様に目を覚ますのでは……。もちろん余裕を持った時間にセットするのが望ましいことはいうまでもないが。

 ちなみに炊飯の場合、予約により浸し時間が長くなるとご飯の食感が変わってしまうこともあるが、ホームベーカリーは違っていた。予約ありでもなしでも変わらないできなのだ。素人は「発酵の時間は大丈夫なの?」なんて思ってしまいがちだが、このあたりは「SD-BM102」を信頼してOKだと断言できる。

「基本の食パン」をベースに、材料の配合を変えてちょいとアレンジ


 慣れてくるとひとひねり加えたくなるもの。まだ「基本の食パン」しか経験してないが、その範囲で配合を変えてみたくなった。基本的な材料でアレンジできる範囲は決まっており、砂糖は約1/2~約2.5倍、砂糖とスキムミルクなら約1/2~約2倍の範囲で変化をつけられるという。

 取扱説明書によれば、砂糖はパン用酵母の栄養となり、発酵の熟成を促す作用があるほか、風味や香り、焼き色に影響する。増やすと焼き色が濃くなり、減らすと淡くなり、高さも低くなるという。砂糖の代わりに蜂蜜(25gまで)に変えてもよい。

 油脂はパンのキメを細かくし、やわらかくしっとりとした食感にする効果がある。バターの代わりにマーガリンも使えるというので、バターのストックがない! というときもちょっと安心だろう。

 乳製品にはパンの味や香り、色つやをよくし、固くなりにくくする作用がある。スキムミルク大1は牛乳70mlに相当するそうなので、スキムミルクの代わりに牛乳を使ってもOKだそうだ。好みで卵も入れられるが1個まで。入れる分だけ水を減らすといいらしい。ただ、生の牛乳や卵を使うときは腐敗の恐れもあるので、予約タイマーは使わないほうがよい。

 とりあえず、簡単なところでバターとスキムミルクの量を倍に増やしてみることにした。すると「幸せの色ってキツネ色ですか?」といいたくなるようなパンが完成! ひとりで食べるのがもったいなくなり、知人らの集まりに持参したところ、「いい香り~!」と喜ばれ、すかさずちぎって食べ始めた。「これホントにおうちで作ったの!? すごいね~!」とほめられた。自分は材料を入れただけなので、ちょっと申し訳ない気分になった。
 
焼けたばかりのバター&スキムミルク2倍パン
見事や色つやに思わずうっとり
ワッと膨らんだ感じがいい
中はふわふわだ
スライスして出したら、パン屋のパンと区別できないんじゃ? と自画自賛

予約で「ソフト食パン」や「フランスパン」を焼いてみる

 

この日は朝7時50分に予

 「基本の食パン」に慣れて来たところで、食感に変化をつけてみようと思いはじめた。「SD-BM102」のメニューには、いかにもやわらかそうな「ソフト食パン」と、表面バリッの代表格「フランスパン」がある。これらを予約で作ってみたのだ。

 まず「ソフト食パン」。材料をみると「基本の食パン」よりバターの量が5g多いだけだ。「確か油脂はしっとりさせるんだったな」と思いながら材料を入れてパンケースをセットし、「ドライイースト」の「ソフト食パン」で予約スタート。

 翌朝お目にかかったのは、優しい焼き色のパン。触って見ると焼きたて段階からふわふわしている。それまでのパンはパリッとした皮が特徴的だったから、明らかに違う。こんなにソフトだと100円ショップで購入した「パン切り包丁」が通らないぞと思ったほどだ。(この後、切れると評判のパン切り包丁をAmazonで購入した)

 

焼き上がったソフト食パン。皮の色が優しいよく膨らんでいる側面はそこそこ歯ごたえがあるが、こう見えて全体的には柔らかい
 
ソフト食パンの柔らかさを確かめてみた
 次に「フランスパン」。材料をみると、強力粉に加えて薄力粉がプラスされていた。その代わりスキムミルクがない。ドライイーストも通常の3/4だ。パンによって違うのね。しかも水には「冷水」とある。室温が25℃以上のときは10ml減らすのだという。ガスファンヒーターの温度計は25℃を超えていなかったので、レシピ通りの配合でスタートしてみた。すると翌日現れたのは食パンの形をした立派なフランスパンであった。
フランスパンは強力粉と薄力粉をあわせるが、作業はやはりパンケースに入れるだけ
メニューで「フランス」を選択
これが人生初の自家製フランスパン!

 一般的なフランスパンのイメージは長いバケットだ。「SD-BM102」のパンケースでは残念ながらあの形を再現できない。とりあえず普通の食パンの形になってしまうが、表面のバリバリ感はまさにフランスパン! 色も香ばしい香りもフランスパン! キメもちゃんとフランスパン。「材料入れただけでフランスパンまでできちゃったよ……」と思った。

新調したばかりのパン切り包丁でカット。香ばしい香りがふわっと……皮のでき具合


 ただ唯一気になることがあるとすれば、皮以外の部分が広い点。食べていて皮に到達するタイミングが長くなるとちょっとフランスパンらしさという点で違和感が……贅沢な悩みだが。

 なお付属のスプーンに、ちゃんとドライイースト3/4用のメモリが用意されていたのには感心した。


ソフト食パンの柔らかさを確かめてみた
 


いよいよ念願の「レーズンパン」でも作ってみるか!

  ちょうど操作にも慣れ、具材の自動投入も試したい時期だったので「レーズンパン」を作ってみたくなった。せっかくなので焼き色も濃いめにセットし、香ばしさを演出してみることにした。


 レーズンなどの具入りパンを作るには、自動投入と手動投入の2パターンがある。自動投入には「レーズン・ナッツ容器」に所定の分量の具を入れておき、「レーズン」を「あり」にセットすれば勝手に追加してくれる機能だ。対応しているメニューは「食パン」「早焼きパン」「ソフト食パン」「フランスパン」「全粒粉パン」「メロンパン」「デニッシュパン」「天然酵母パン」「パン生地」の9種類。ドライイーストの食パンなら開始から約50分~1時間30分後、天然酵母なら約3時間20~30分後といった具合に、メニューや室温に応じて異なる時間に自動的に投入される。

スケールで60gのレーズンを計量左にレーズン、右にドライイーストを入れる「レーズン あり」で、焼き色は「濃」にセット

 自動投入可能な具材は、乾燥してるもの、溶けにくいもので、レーズンやプルーン(60gまで)、カシューナッツやくるみ(40gまで)、ベーコンやサラミ(50gまで)、オリーブ(20gまで)となっている。ただし痛む恐れがあるので予約で使うことは避けよう。

 一方で自動投入できないのは、水気や粘りけのあるもの、溶けやすいものだ。容器に貼り付いてしまう恐れがあるためだ。例としてアルコール漬けフルーツ、タマネギなどの刻んだ野菜、チーズ、チョコレートなどが上げられる。

 自動投入はできないが、手動投入することで具として使うことは可能だ。そこで使うのが「レーズン あり♪」である。「♪」マークがポイントだが、別にうれしさを表現しているわけではない。投入タイミングがきたらブザー音で知らせてくれるという意味である。市販の本によっては“ミックスコール”と呼ぶものもある。ブザーが聞こえたらふたをあけて3分以内に直接パンケースの中に具を入れる。すると3分後には自動的に調理が再スタートする仕組みなのだ。

 今回は「基本の食パン」にレーズンを追加するので、レーズン60gをあらかじめ容器に入れておき、「レーズン あり」にセットしてみた。ふたを開けるとこれまで以上にこんがりきつね色に焼けたパンが姿を表した。急いで中から取りだして、網の上で冷ます。ケースに保管してみたところ、半日経過してもしっとり感は失われていなかった。

 

完成したレーズンパン! はみ出し者もいるようだ焼き色を濃くすると、まさにこんがりといった色合いに仕上がる違う角度からも見ると、やはりはみ出したレーズンが……

 翌朝、トーストして前夜から作っておいたクラムチャウダーと一緒に朝食。そう。これがやりたかったのだ! 表面がこんがりきつね色に焼けているせいで、耳もしっかりしている。自家製のプレミアム感もプラスされて最高! こういうのを贅沢と呼ぶのだろう。

カットしてみた。ばらつきはどうしようもないトーストにしてみた。これで好きなときにレーズンパンが食べられる。もちろんレーズンの買い置きは必要だが
 

オニオンチップスやベーコンチップスを入れて、お酒に合いそうなパンを

  レーズンパンの野望は達成したが、どうせならもうちょっと具を増やしてみたい! 具を入れて総菜パンのように食べられるパンは作れないものか? と考えてみつけたのが、オニオンチップスやベーコンチップスである。これにガーリックパウダーを加えたら、お酒の席にも出せそうなパンになるんじゃないか。

 そこで、ガーリックパウダーを2g、オニオンチップスを20g、ベーコンチップスを25gという配合で入れて見ることにした。合計で60gに満たないが、どうみても容器入る量ではない。手動投入にもうってつけだ。

 「基本の食パン」で「レーズン あり♪」にしてみたところ、1時間後にブザーがなった。用意していた材料をすかさず投入し、あとはお任せだ。すると、ほんのりとガーリックの香りが漂うパンが完成した。膨らみ方に偏りが見られたが、具を入れすぎるとあまり膨らまなくなるらしい。中はもちもちとした食感だ。

 

今回投入した具。左からオニオンチップス、ベーコンチップス、ガーリックパウダー「基本の食パン」は通常通りパパパッと配合。ガーリックは粉末なので最初からあわせてしまうメニューのポイントは「レーズン あり♪」
 
ブザーに呼ばれてふたを開けたところ。これがねかしたあとの生地なのだ
具材を投入する
手動投入でも、自動のときと同じように「レーズン・ナッツ容器」のふたが開く。故障ではない
これが完成直後の特製パン
チップスやガーリックの香りがするが、膨らみ方は少なかった
少々コンパクト

 オニオンとベーコンの味がするので、何もつけずにそのままで食べられる。特に耳の付近が香ばしい。耳周辺を重点的に食べたくなる。これは定番決定かもしれない。ただ、何かもうひと味欲しいところ。次はブラックペッパーを加えてみようと思う。

 ちなみにトーストにしてから目玉焼きをトッピングし、軽くマヨネーズをかけたところ、「こういう味あるよね!」という魅惑の一品が完成した。一口サイズにカットしてカリッとトーストしたら香ばしく、パーティのトッピング用にもよさそうだ。手動投入を上手く活用すると、バリエーションが増えそうだ。


ナイフを入れると、具が満遍なく行き渡っているのが分かるこのまま食べてもおいしいし、トーストするとさらに香ばしい目玉焼きをのせてしまった。おいしさとカロリーはバーターということで……
 パン作りはまだまだ終わらない。次回はさらにステップアップを狙って、憧れのメロンパンや天然酵母パンなどに挑戦だ。




2009年4月14日 00:00