長期レビュー
パナソニック「ホームベーカリー SDーBM102」(1/4)
パナソニック「SD-BM102」 |
ただしどのホームベーカリーを選ぶかでは困った。そこでお願いしたのは「最新で!」 するとタイミング良く発売が重なった(?)パナソニックの「SD-BM102」がやってきた。機能を見ていたら、いろんなものが作れそうでだんだん楽しくなってきた。
家電製品というのは、特に料理に関わる家電製品というものは、常々使う人に夢を与えてくれるものだと考えている。使っている自分、楽しそうな自分、おいしい料理を味わっている自分……。実際にやるならないに関わらず、描くのはひたすらポジティブな「幸せ」だ(笑)。パンなど母が作っている脇で丸めたことがある程度。そんな自分がこれから1カ月に渡ってパン作りをするわけだから、楽しくなくちゃ困る。
しかし届いた箱を眺めながら「でもやっぱり面倒かも。焼いたパンが売ってるし……」というホンネもポロリ。生活になじまなかったらどうしようという不安もアリの船出となった。
メーカー | パナソニック |
製品名 | ホームベーカリー SDーBM102 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 21,500円 |
パナソニック「SD-BM102」を正面から見たところ | 操作部の様子 |
●パン作りの工程とホームベーカリーの威力
実際に使い始める前に、「そもそもパンて? どうやって作ってるんだっけ?」という部分をおさらいしてみた。
パンと呼ばれるものは多種多様。街のベーカリーを見れば一目瞭然。実にバラエティ豊かだ。世界に目を向けて見れば、固いもの、薄いもの、長いものなどいろんなパンが主食として食べられていると分かるだろう。
「昔パンを焼いたのは~」という歌があるが、パンの発祥は紀元前6,000年前、古代メソポタミア地方が発祥といわれているとか。もうどれだけ昔かと想像も付かない。最初は水と小麦粉を混ぜることから始まったパン作り。当初は単純に溶かして焼いただけだったようだが、あるとき生地に天然の酵母菌や乳酸菌がとりつき、自然に発酵をはじめた。それを焼いてみたら……というのが現在の発酵型のパンのルーツらしい。
日本には戦国時代にキリスト教とともに伝えられたが、本格的に作られ始めたのは1840年のアヘン戦争を受け、国内でも軍備を進めた際のこと。このときパン作りの指揮を執った江川太郎左衛門という人物は「パンの祖」といわれているという。
現在、一般的なパン作りの手順としては、「材料を計量して混ぜる→こねる→一次発酵→丸めて休ませる→形を整える→二次発酵→膨らんだらオーブンで焼く」という流れだ。バリエーションが増えればそれだけ手間もかかり、材料が変われば神経も使うわけで、この手間を考えるとつくづくパン屋さんはすごいと思う。
これを「ホームベーカリー」で行なうとどうなるか。「材料を計量して容器に入れる→アラームがなったらパンを取り出す」となる。間の作業は全部内部にセットする容器がやってくれるのだ。ボウルはいらない。ヘラもいらない。こねるための台も、発酵のための容器も、さらにはオーブンもいらない。さすがにロールパンは出てこないが、イギリスパンに似たような形のパンができあがる。それでこんな小さな機械が全部やってくれるとは、なんとも不思議な気分だ。
● 予約やレーズンなどの自動投入機能も搭載。パスタや餅も作れる
ここで改めて今回使用したホームベーカリー「SD-BM102」の機能について見てみよう。サイズは241×304×322mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約6kg。想像していたより意外と邪魔になりにくいサイズ感だ。電源コードはコードケースに収納できるので、ハンドルを持って移動させれば好きな場所に設置できる。
主な構成は、本体、パンケースで、パンケースの中央には「パン羽根」または「めん・もち羽根」を取り付けて使用する。付属品は、パンケースの取り出しで使用する「ミトン」1組、20ml~210mlまで10ml単位で計量できる液体専用の「計量カップ」1個、天然酵母の生種作りに使用する、ふた付きの「生種容器」、小麦粉やバター、水以外の材料を素早く計量できる「スプーン」1本。
電源コードは収納できる | 上ぶたを持ち上げたところ。左側が「レーズン・ナッツ容器」、右が「イースト容器」 | 「レーズン・ナッツ容器」は取り外して洗える |
左からミトン、計量カップ、生種容器、スプーン、めん・もち羽根 | これさえあれば安心!の「スプーン」 |
計量カップ(左)と生種容器(右) | 「SD-BM102」の主なパーツ |
本体のふたは2層になっており、つまみを持って上にもちあげると「上ふた」が開き、ドライイーストの自動投入に用いられる「イースト容器」と、具を自動投入できる「レーズン・ナッツ容器」が現れる。さらに本体両サイドについている「ふた開け部」を持ち上げると、調理を行なう「パンケース」が現れるという構造になっている。
「ふた開け部」を持ち上げるとパンケースのある収納部分が現れる | 中に見えるのがパンケース | パンケースを取り外す |
パンケースを取り外した内部の様子 | ふたの裏側。左側が「レーズン・ナッツ容器」、右が「イースト容器」 |
初めてみるホームベーカリーの構造に思わず「へ~~~」とうなってしまった。人間がせっせとこねる作業を、こんな5~6cmの羽根がやってくれちゃうのだ。「パン羽根」と「めん・もち羽根」が用意されていることから分かるように、対応範囲は実に幅広い。
左が「めん・もち羽根」、右が「パン羽根」 |
「取扱説明書=ほぼレシピ」な状態だけに、そのほかのレシピも豊富。シナモンロール、抹茶黒豆ロール、お楽しみちぎりパン、パネトーネ、オリーブパン、バターロール、クロワッサン、ヨーグルトパン、ベーグル、フォカッチャ、レモンケーキ、チョコケーキ、カボチャケーキ、抹茶甘納豆ケーキと夢のようなラインナップ!
「めん・もち羽根」に付け替えれば、「うどん」「パスタ」「餅」もできる。うどんとパスタの場合、麺の形になって出てくるのではなく、「生地」の状態だ。あとはお好みの太さにカットして茹でるというわけ。「餅」はいわゆるホームベーカリーが「餅つき器」になると思えばよい。ただし、残念ながら「そば」には対応していない。そばはかなりデリケートで、水回し(加水)が大変なので仕方ないのだろう。
操作部 |
「スタート」ボタンが押されると必ずできあがり時刻が表示され、途中で具材を手動で追加したりと操作が必要な場合はアラームで知らせてくれるなどの細かい配慮もなされている。
●取扱説明書はとにかく必見!
付属の取扱説明書を開いて機能をざっくりと見たわけだが、この取扱説明書の丁寧さと来たらビックリするほどだ。読むのが面倒に思われがちだが、本機のそれはオールカラーでイラストや写真がとにかく豊富。しかも機能説明だけでなく、パン作りの工程、材料がどのような役割を果たすのか、自動投入できる具材とできない具材、失敗しないパン作りのコツまで具体的に説明している。一般的なパンなら付属の器具で足りてしまうが、パン生地からのアレンジパンとなると道具が必要になってくる。このあたりも、イラストとともに具体的に紹介しているので参考になる。
パン作りにおける基本情報が学べるおかげで、アレンジする際も納得して材料を調整できる。とりあえず作りたいという方は作りたいメニューのページを開いて、書いてある通りにすればいいのだが、時間があったらぜひ目を通しておきたい内容だ。
取扱説明書の一部「パンの基本材料」 | 「パン作りの流れとコツ」も丁寧に図解されている |
というわけで、次回からはいよいよパン作りに関するレポートをお届けしたい。
2009年4月7日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)