長期レビュー

パナソニック「GOPAN ライスブレッドクッカー SD-RBM1000」 その3

~お米パンのトーストなど、さまざまなアレンジに挑戦!
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



GOPAN ライスブレッドクッカー SD-RBM1000

 米粉を使わず、米粒からそのままパンが作れるホームベーカリー「GOPAN」。パナソニックから発売された2代目モデルの「GOPAN ライスブレッドクッカー SD-RBM1000(以下、SD-RBM1000)」については、これまで2回に渡って、各機能と実際の使用感と、様々なお米で作ったパンのバリエーションをお伝えした。

 最終回となる今回は、お米パンのトーストなど、さまざまなアレンジも試してみたい。

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お米パンをトーストにしたらどうなる?

 食パンを焼いて作るトーストは、朝ごはんの定番という方も多いだろう。では、GOPANで作ったお米食パンのトーストはどうだろう? 

お米食パンを、オーブントースターで焼いてみた(冷凍はしていない)羽根の穴が気になる……

 お米食パンをオーブントースターで焼き、市販の強力粉で焼いた小麦食パンと比較したところ、見かけの上では違いが見られなかった。ただ、やはり小麦とお米の風味の違いは若干感じられた。食感も、小麦のほうが軽い印象だ。この食感の違いは、冷凍してから焼くと、よりはっきり現れる。お米食パンのほうが、歯ごたえがザクっとしっかりしていた。

 GOPANでは、強力粉の代わりに上新粉を使って、「小麦ゼロのお米食パン」も作れる。作り方については前回の記事で詳述しているが、ではこの「小麦ゼロのお米食パン」を冷凍して、トーストにした時の味わいはどうだろうか。

 さっそく小麦ゼロのお米食パンを2枚スライスして一晩冷凍し、翌朝、オーブントースターの「冷凍トースト」モードで焼いてみた。すると、パンの耳の部分はちょっと固いが、意外にも内相はふんわり! パンというよりは、しっとりしたパウンドケーキを食べているような歯ごたえである。

 ただ、焼き上がるまでに少し時間がかかった。拙宅のオーブントースターの場合、小麦食パンなら5分で焼きあがるが、小麦ゼロのパンを焼いた場合、5分ではほとんど焼き色がつかない。様子をみながら、さらに2分ほど焼いて完成した。

冷凍した小麦ゼロパンのスライスを2枚用意オーブントースターの「冷凍トースト」モードで焼いてみたトータル7分でトースト完成
バターやマーマレードを塗ってみた。お菓子のようにも見える内相はしっとりしていて柔らかい。パンというより、ケーキに近い

 ちなみに、時間が経過し、乾燥してしまったパンを食べようと思ったとき、よく思いつくのがフレンチトーストだ。フレンチトーストとは一般的に、溶いた鶏卵と牛乳を混ぜ合わせてパンに浸し、バターを塗って焼き直したもの。

 フレンチトーストにすると、米パンも普通のトーストもそれほど差を感じなかった。

2日ほど経過して、乾燥してきたタイ米食パンをスライス卵と牛乳を混ぜた液に浸し、バターで焼く最後に蜂蜜をかけて完成。こうなると、小麦だ、お米だというのは関係ない

お米食パンのレーズン入りは作れるか?

 SD-RBM1000には、取扱説明書のほかに、レシピ集「Cook Book」がついている。このレシピ集の中で気になったのが「グルメパン」である。グルメパンとは、レーズンなどの具入りのパンのこと。

 だがSD-RBM1000のレシピ集には、小麦から作るグルメパンしか紹介されていない。そこで、お米パンでもレーズンパンを作ってみたいと考えた。普通、具入りパンを作る際には、工程の途中で、具材を投入する。お米パンの場合は、「浸水→ミル→練り→発酵→焼き」と進むので、「練り」の段階で入れることにした。

 SD-RBM1000でお米パンを作ると、「練り」が始った時に「粉おとし」のコールが鳴る。これを投入のタイミングのサインにみたてて、レーズンを60g入れてみた。すると、残念なことに、できあがったレーズンパンは、レーズンの粒感がほとんど消えてしまっていた。どうやら練りの勢いで、入れたレーズンが粉砕されてしまったようなのだ。

見るからにレーズンの陰が薄いレーズンパンカットしてみたが、やはりレーズンの姿はない。ほとんど練り込まれてしまった模様。味はほのかにレーズンといえなくもない……

 そこで再挑戦。発酵の段階に入ってすぐ、手動でレーズンを入れ、手早くヘラで混ぜてみた。すると、レーズンがしっかり残ったレーズンパンができたのだが、容器内で慌てて混ぜたせいか、レーズンが均等に散りばめられなかった。レーズンの混ざったお米パン作りは、なかなか難しい。

 最終的に、「粉おとし」から15分後、ある程度生地がまとまったところに投入するのがベストだった。タイミングを見逃さないよう、目が離せないのが手間だ。次のモデルではぜひ、具入りのお米パンが作れるコースを搭載して欲しい。

発酵に入ってすぐ、手動でレーズンを追加、ヘラで混ぜた完成したお米のレーズンパン頭の部分の焼き色の付き方が微妙に違うような気も
側面を見ると、レーズンの塊がカットしてみたが、やはり混ぜ方が足りない様子オイルコーティングされたレーズンだったせいか、小麦食パンに比べキメが粗いせいか、抜け落ちやすいようだ

味噌味のお米パンが食べてみたくなった

 お米食パンの準備に慣れてくると、さらに新たなメニューに挑戦したくなってくる。そこで挑戦したのが、調理に使う「にんにくみそ(コチュジャン入り)」を入れたお米パンだ。

せっかくお米を使うので、「にんにくみそ」で和風の味付けをしてみたくなった練りの途中で「にんにくみそ」を追加焼き上がりはごく自然なパンができた

 小麦グルテンが投入され、練りが始まったのを確認したら、スプーンで1杯半程度のにんにくみそを追加。すると、にんにくみその風味が効いたお米食パンが完成した。なかなかおいしい。肉や野菜などを巻いて食べてもよさそうだ。

 ただし、できたての膨らみはよかったのだが、焼き上がりからしばらくすると、急速にしぼんでしまった。しぼんだせいで、羽根の穴が目立ちすぎてしまう。糖分、塩分、水分が過剰になったことが原因かもしれない。自己責任にはなるが、自己流のアレンジが色々楽しめるのも、ホームベーカリーの魅力の1つだ。

あら熱をさましている間に、かなりしぼんでしまった味噌で色がついた内相。穴が目立つ。左は普通のお米食パン
自家製の焼き豚を挟んで食べてみることになかなかイケる。野菜も挟むとよさそう

お餅を作ってみた

 お米を使ったパンであれこれ楽しんでみたが、お米つながりということで、最後は「餅」でしめたいと思う。

 GOPANでは、「小麦パンケース」に「ヌードル羽根」をセットして、餅を作る。1回で作れる量は2合分(1個35gの丸餅12個分)、または、3合(1個35gの丸餅18個分)だ。

 お米食パンとは違い、お餅の場合、「ミル」の工程はない。開始から50分間、「ヌードル羽根」が水と餅米をかき混ぜ続けるのだが、その過程でゆっくり加熱され、餅米が柔らかくなると同時に練られるという感じだ。最後の10分が「つき」工程で、仕上げとなる。ガッガッガッと混ぜる音だけが聞こえるが、特にうるさいと感じるレベルではない。

 できるお餅はなめらかでおいしく、申し分ない。つきたての餅が食べたいときには重宝する機能だ。

「小麦パンケース」に「ヌードル羽根」をセット2合分の餅米と水を用意「調理・もち」キーを押して、スタートするだけ
1時間後に、熱々のつきたて餅が完成!寒い日はお汁粉にすると心も体も温まる

お米が砕かれてない! という悲劇発生

 これまで3回に渡ってGOPANのレビューをお届けしているが、全てのレシピが成功したわけではない。ある日、とんでもない事態が発生した。「ミル」時の音がいつもと違うので覗きにいったところ、轟音は響いているのに、米粒がほとんど動い ていないのだ。焦っているうちに「ミル」が終わり、目の前で小麦グルテンとドライイーストが投下され、かき混ぜられてしまった。完全に失敗していることは 明らかだ。慌ててパンケースを取り出したが、パンケースの入れ方がよくなかったのだろうか。

 実は、このようなことがこれまで2回起きてい る。原因は不明だが、「ミル」がはじまったときの音が違うのは分かった。正常に稼働するときは「ブーン」という重く低い音が響くのだが、失敗しているとき は、乾いたような音が混ざる。もしそのような音が聞こえてきたら、すぐ見に行ったほうがいい。

 もし「ミル」の初期で気づけたら、一端パン ケースを取り出し、中をボウルに移してから、米パン羽根を取り外し、挟まっている米粒を取り除いてセットしなおし、材料を戻してからパンケースもしっかり 入れ直そう。ふたをすると「ミル」が再開するので、そこで砕かれていることが確認できればOKだ。

 2回目は初期に気づけたので、この方法でリカバリーできた。その後は、必ず「ミル」が正常に作動していることを目視確認している。本体に中の様子が覗ける窓がついていてよかったとつくづく思う。

まったく砕かれずに、小麦グルテンとドライイーストが投入された材料「ミル」工程の代わりにハンディブレンダーで……と思ったが、グルテンの強力な粘りに阻まれ、粉砕できずフライパンで焼いてみた。自分でおやつとして「処理」

音は、夜間に作動させるのは気が引けるレベル

 GOPANが登場した時、多くのユーザーが驚いたのはその音の煩さだろう。SD-RBM1000で刃よりも、前モデルよりも動作音が抑えられているというが、それでも正直、夜間に作動させるのは気が引けるレベルといわざるをえない。

 最大の音は、お米の粒を粉砕させる「ミル」で生じる。約40秒間大きな音が鳴り、約5分間停止するという流れを10回繰り返す。終始鳴り続けるわけではないが、1時間近くは煩い状態が続くわけだ。仕方ないことだと頭では分かっているが、やはり使う時間帯は考える必要がある。

使っていなかったヨガマットをたたみ、上に綿のバスタオルを敷いて使っている。これが答えだとは思わないが、多少効果は感じている

 当初は床に直置きしていたが、階下への影響も考え、今はヨガマットを折りたたみ、その上にさらにバスタオルを乗せて使っている。これで多少音と振動が減ったような気がするが、夜間の使用は控えている。「自動投入ケース」の動作音や、練りの音は、すでにホームベーカリーを利用されている方なら、ほとんど気にならないだろう。

 対策としては、設置場所に応じて防音対策をし、朝、どうしても焼きたてのパンが食べたい場合は、就寝時間前に「ミル」が終わるよう、逆算して準備、予約するなどの工夫をお勧めしたい。

音は気になるけれど、導入すると幸せに!

 音の大きさは想像以上だったが、仕上がりについては「米でここまでパンらしいパンが作れるとは思っていなかった」というのが正直なところで、これはもう素直に感動するしかない。

 米パンだけでなく、麺類、ケーキ、ジャムなども作れるので、楽しみ方はいろいろだ。パンも焼けて、餅も作れる。「これで、炊飯器としても使えたら完璧! 」などと思ってしまう。炊飯はさすがに厳しいとしても、リゾットやおかゆあたりができたら、さらに便利だと思うのだが、いかがだろうか。

 あとは、具入りのお米食パン、そして「メロンパン」が作れたらなお嬉しい、と個人的には思っている。



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2012年1月30日 00:00