長期レビュー

パナソニック「LEDシーリングライト HH-LC600A」最終回

~外光に応じて調光/消灯。「エコナビ」なら勝手に節電してくれる
by 藤原 大蔵

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



パナソニック「LEDシーリングライト HH-LC600A 調色タイプ」

 全3回に渡って、パナソニックの「LEDシーリングライトHH-LC600A 調色タイプ」を紹介しているこの連載。第1回目では、取り付けから4種類の選べる配光「普段」「くつろぎ」「シアター」「勉強」を取り上げた。2回目にはその4シーンにおける連続調光・調色の様子と、消費電力とともに紹介した。

[第1回目のレポートはこちら]
[第2回目のレポートはこちら]

 最終回となる今回は、窓から入ってくる外光に応じてライトの明るさを自動で調光し、自動で節電してくれる「エコナビ」を中心に紹介しよう。


外光を自動で検知し、LEDで明るさをちょうどよく抑えてくれる。それが「エコナビ」

 このエコナビ機能を使う前に、そもそも「エコナビ」とは何か、という話をしておく。エコナビとは、パナソニックが家電製品全般に渡って展開している節電機能のこと。機能は製品によってまちまちだが、基本的にはセンサーを用いることで、自動的に運転中のムダを省き、手軽に節電するというのがテーマだ。

エコナビで点灯すると、外光の明るさに応じて自動調光、自動消灯するため、付けっぱなしの状態と比べて、効果的に節電できる

 このLEDシーリングライトに搭載されているエコナビ機能は、日中も照明を点灯する生活スタイルの人に、特にお勧めしたい機能だ。日中、「エコナビ」モードで点灯すると(以降、「エコナビ点灯」)、本体の明るさセンサーが、刻々と変わる外光を検知して、LEDライトの明るさを自動で調光し、節電しながら部屋全体の明るさをほぼ一定に保つ。

 さらに、外光が強くなり、照明無しでも部屋が十分明るいとセンサーが判断すると、自動で消灯までしてくれるのだ。これまでも自動調光機能を搭載したシーリングライトはあったが、完全に消灯してくれるのは本製品が初めて。自動調光も最大100%~最小5%と範囲が広く、「節電のために、こまめにスイッチを切る」という煩わしさから開放される。

 エコナビ点灯の操作はいたって簡単だ。点灯・消灯に関係なく、リモコンの「エコナビ」ボタンを押すと、本体の緑色の“エコナビランプ”が光り、エコナビ点灯がスタートする。なお、エコナビ点灯の光色は「普段モード」で最後に選んだ色で点灯するので、点灯前に「白い色~暖かい色」の調色ボタンを押して、好みや季節に応じた光色を選んでおくと良いだろう。

パナソニックホームページで紹介されている「エコナビ」の解説図。外光や他の照明器具の光を自動的に検知して、明るさを調節、消灯する。つまり、自動で省エネしてくれる機能だエコナビ点灯中は、緑色のエコナビランプが点灯する。刻々と変化する外光などの光を、明るさセンサーが見張っているエコナビ点灯に必要なボタンは2つ。光色を選択し、緑色のエコナビボタンを押すだけだ

 「エコナビ点灯」の配光パターンは、直接光と間接光の両方が点灯する「普通モード」と同じ。日中の補助照明の無駄な電力を抑える機能なので、夜間の使用に適した「くつろぎ」「シアター」の間接光の配光や、「勉強」のように、100%を超える明るさには対応していない。

 より節電効果を高める場合は、日中の部屋の明るさの上限を設定すると良い。エコナビ点灯中に、リモコンのフタの内側にある「明るさ調節ボタン」を押すごとに、エコナビ点灯での上限の明るさが、100%→70%→50%→100%……の順で明るさが変わる。ボタンから指を離せば、自動的に「エコナビ点灯」が再スタートする。例えば50%を選択すれば、明るさの範囲は50~5%、あるいは消灯となる。これなら通常のエコナビ点灯よりも、さらに高い省エネが期待できる。

エコナビの最大の明るさは、100%、70%、50%の3種類の中から選べる。リビングルームでくつろぐならば、50%で十分に明るいと感じられた明るさ調節に必要なボタンは1つ。エコナビ点灯中にリモコンのフタを開け「明るさ調節」ボタンを押す。押すごとに100%→70%→50%→100%……と変わる。気に入った明るさで指を離せば、エコナビモードが再スタートするエコナビの光色は「白い色~暖かい色」まで、自由に選択できる

部屋が外光で十分に明るくなると本当にライトが消えた!

 それでは、実際の部屋では「エコナビ点灯」がどのように機能するのか。日中でも暗めの我が家のリビングルームと、早朝から太陽光が差し込む「寝室兼仕事部屋」で使ってみた。

・日中でも暗い、10畳のリビングルームの場合

 我が家のリビングルームは、窓が小さく、またビルに隣接していることもあって、昼間でも照明が必要だ。部屋の広さは約10畳。通常の過ごし方なら、シーリングライトの真下にあるテーブルの照度が200lxもあれば、十分に明るいと感じられる。そこで、明るさの上限を50%、光色は「白い色100%」に設定して、エコナビ点灯をスタートした。なお、外光が一切無い時、明るさ50%、白い色の光100%の直下の明るさは194lxだった(本稿での照度は、すべて約2m直下のもの) 。

外光の少ないリビングルームで、エコナビ点灯(明るさ調節・50%)による明るさの変化を撮影した。エコナビは外光の明るさによって照明を自動調光し、部屋全体の明るさがほぼ一定に保たれているのがわかる。この部屋の場合、消灯することはなく、一日中自動調光しながら点灯し続けた

 早朝6時に測定を開始。既に太陽は昇り始めているが、窓の外はほんのりと明るい程度だ。エコナビボタンを押すと、すぐにシーリングライト本体の“エコナビランプ”が点滅して、検知が始まった。検知は3分程度で終わり、その時の明るさは172lx。明るさは全く問題ない。

 8時になると、外光はさらに明るさを増す。それでも照度計の値はほとんど変わらず175lx。外光の変化に応じて、ちゃんと調光しているようだった。

 午後1時。夏の我が家のリビングルームでは、この時間帯が一番明るい。エコナビ点灯の部屋の明るさは、190lx。テーブル面の明るさは数値的には早朝の値よりも15lxアップしているが、部屋全体の明るさの印象は大きく変わらない。外光の変化に伴い、しっかり調光しているのが確認できた。

 その後、日没になっっても、170~190lxの明るさを保っていた。というわけで、エコナビ点灯は見事に部屋の明るさを均一に保ちながら、知らぬ間に節電をしてくれたわけだ。

 なお今回のリビングルームで使用した場合、自動消灯はしなかった。これはリビングルームに強い外光が望めず、自然光だけで部屋が十分に明るならないためだろう。消灯するところもしっかり確認したいが、それは次の項で紹介しよう。

・日差しが多く入る、6畳の仕事部屋兼寝室の場合

シーリングライトを仕事部屋兼寝室に取り付け、環境設定をした。仕事中に資料を広げるので「明るさ調節」は70%を選んだ

 次に、我が家で窓が一番大きく外光がもっとも入りやすい、東南に面した6畳の仕事部屋兼寝室にシーリングライトを取り付けて、エコナビの働きぶりを見てみよう。仕事する際にベッドの上に資料を広げる事が多いので、明るさ調節は先程より明るめの70%(305lx)に設定した。光色は「白い色100%」のままだ。

 測定を開始したのは朝5時。夏の日の出は早いので、この時点で外はけっこうな明るさになった。エコナビ点灯時、部屋の明るさは320lxだった。

 6時になると245lxと数値が大幅に落ちたが、部屋全体はまだまだ明るいまま。そして6時半、日差しがたっぷり入ると、ここで照明が自動消灯した。この時の部屋の明るさは、外光だけで245lxだった。

 この消灯状態はしばらく続き、太陽が見えなくなる15時50分になって、やっと自動で点灯した。この時の明るさは210lx。夕暮れの18時過ぎになると、照明はやや明るさが強くなり303lx。完全に外が暗くなった時は316lxとなった。これで、設定時とほぼ同じ明るさになった。

シーリングライトを仕事部屋兼寝室に取り付け、環境設定をした。仕事中に資料を広げるので「明るさ調節」は70%を選んだしばらく消灯状態が続いたが、太陽が傾き、部屋に直接光が入ってこなくなった16時前に自動的に点灯した。夕暮れの18時過ぎに、直下は「明るさ調節」で設定した明るさに近づく。外光が入らなくなると、設定した明るさとほぼ変わらなくなった

 ちなみに別の日に、明るさ調節50%でも試したが、自動消灯は70%設定よりも10分早い6時20分、自動点灯は70%設定よりも20分遅い16時10分だった。

明るさ調節・50%時のエコナビ点灯は、70%設定よりも10分早く自動消灯した50%のエコナビ点灯の場合、70%設定よりも遅く自動点灯した。時間差の分、もっと節電できるだろう

 以上の結果から、エコナビ点灯は外光の明るさに伴って自動調光し、外光だけで室内が十分明るくなれば自動的に消灯し、暗くなれば自動点灯してくれることがわかった。さらに、明るさ調節によって自動消灯・点灯する時間に差が出ることも確認できた。

 使ってみて感心したのが、自動調光がとてもスムーズに行われたことだ。明るさセンサーが室内の明るさの変化を検知すると、数分かけて徐々に調光するのだが、普通に過ごしていれば、ほとんど気づかないぐらい穏やかだった。また、点灯・消灯も穏やかで、瞬間的に点いたり消えたりを繰り返すことはないので、煩わしさも無い。点灯するか、消灯するかの決定は、数分の時間をかけてじっくり判断されるようだった。

日中に十分な外光があれば、エコナビによりライトは消える。曇ったりすると、いつの間にかほんのりと点灯することがあった。雲が去れば、再び消灯。この点灯・消灯は穏やかに行なわれるので、煩わしさは感じられなかった。明るさセンサーは自動消灯中も、しっかり部屋の明るさを見張っているようだ


エコナビで、電気代はこれだけ安くなる

 というわけで点けっぱなしにした状態でも、エコナビ点灯なら自動調光、自動消灯、自動点灯することがわかった。しかし、自動調光のない「普段モード」のままで点けっぱなしにしていたとしたら、どのぐらい電気代に差が出るのだろうか。ここで簡単に比較してみよう。

 例えば、上記の仕事部屋兼寝室の状況を基にして、朝6時から夜18時までの12時間点灯した場合。

 明るさ調節70%のエコナビ点灯なら、最大消費電力は50W。実質的な点灯時間は2時間40分足らずだったので、電気代に換算すれば約3円。これに、外光の明るさによって明るさを5%まで自動調光してくれることを加味すれば、電気代はさらに安くなるだろう。

 一方、普段モードで点灯し、70%の調光状態でエコナビなしの場合、自動消灯はされないため、12時間ずっと点けっぱなしとなる。この場合の電気代は13円で、エコナビ点灯の4倍以上になるのだ。

 単純計算で、1日10円の差が出ることになり、年間で3,650円の節約になる。リモコンのエコナビボタンを押すか押さないかで、これだけの差が出るのだ。

 もちろん、この比較はある一日の結果だけで算出したので、現実に即していない。外光の明るさは天気や季節で変わり、日照時間も変化する。そのうえ、本製品を設置する室内の環境もさまざまだからだ。とは言っても、日中に点灯するなら、単に調光して点けっぱなしにするよりは、エコナビ点灯の方が確実に省エネできる、といったことがご理解いただけるだろう。なんと言っても、無駄な照明を勝手に消してくれるのは大きい。

 なお、エコナビ点灯で自動消灯した際の消費電力は0W。ワットチェッカーでは測定不可能なほど低かった点も付け加えておこう。

エコナビの「明るさ調節」毎の最大消費電力。光色が「白い色100%」の場合、左から100%は83W、70%は50W、50%は30Wだった。明るさ調節するほど節電効果が高くなるエコナビ運転中、器具を別のライトで照らし、暗くなる過程の消費電力の変化を撮影した。明るさ調節・50%の場合、徐々に減光し、2分45秒かけて最終的に消灯した。消灯時の消費電力は0Wで、測定不能なほど低い

色味が大切な食事のシーンにもピッタリ

 全体的な機能については以上だが、ここからは3回の連載で紹介しそびれた、細かい点について、評価させていただきたい。

 まずは、演色性がとても良い点。色の見え方を表す「平均演色評価数(Ra)」は、「白い色~暖かい色」のすべての色で、Ra80と高い。数値だけでなく、実際の食事をどの光色で照らしても、食べ物全てが新鮮でおいしそうに見える。これは素晴らしいことだ。もちろん、そこに集う人々の顔色も自然で健康的に見えるので、生活の中心のあかりとして、リビングルームはもちろん、ダイニングキッチンのメイン照明としても勧めだ。

白い色100%で照らした食事の風景。白い食器は若干青みがかるが、食事はとてもおいしそうに見える。色合いもくすまないので、使用してまったく問題ない(撮影時のホワイトバランスは「オート」)混色で照らした食事。ニュートラルで自然な白色が再現される。こちらも食事の明かりとしてまったく問題ないだろう(ホワイトバランスは「オート」で撮影)暖かい色100%で照らした風景。白い食器に淡いピンク色が被るが、色味は全くくすまずにおいしそう。白熱電球と同じ印象で、演色性が高いことがわかる(ホワイトバランスは「白熱電球」に設定して撮影)

 シーリングライトというと主にリビングルームで使うものではあるが、それ以外のシーンでも使い心地も良かった。今回のエコナビ点灯の実験のために、仕事部屋兼寝室でもしばらく使ってみたのだが、涼しげな白色光は仕事用の照明、就寝前はくつろぎモードというように、その時々の状況に適したあかりが、スイッチ1つで変えられるのは本当に便利だ。起床から仕事、そして就寝まで、快適な照明環境が得られる。

 また、シーン別の明かりでは、「シアター」モードで意外な活用法があった。あかりの向きを、窓に面したカーテンだけを照らすように設置すると、カーテン付近が部屋で一番明るくなり、薄いカーテンでも、外から室内の様子が伺いにくくなる。いわゆる“光の目隠し効果”が簡単に演出できるのだ。もし照明とテレビとの取り付け位置が合わなかったら、夜でも厚手のカーテンを閉めたくない時の照明テクニックとして、活用してみてはいかがだろうか。

シアターモードでカーテン方向を照らした室内の様子。光の方向が限定されるシアターモードは、窓辺以外をやわらかな反射光で照らすため、薄いカーテンでも中の様子が見えにくくなる薄いカーテン越しの外から見た室内の様子。(上)くつろぎモードのあかり:中央の人影、室内に置かれている物がわかる。(下)シアターモードのあかり:人や物に直接光が当たらないので、中が見えにくい(同じ条件で撮影)

 最後になるが、常夜灯も非常に便利だった。明るさは6段階の調光ができ、もちろんLEDなので、消費電力は測定不可能なぐらい低い。「おやすみモード」は30分、または60分後にタイマー消灯してくれる。

リビングルームで常夜灯を点灯している様子。一番明るくても2m直下は0.07lxだった常夜灯は6段階の調光ができる。(上)一番明るい時(0.07lx)、(下)一番暗くした時(0.02lx)
常夜灯の操作に必要なボタンは2つ。「常夜灯」ボタンを押し、好みによって明るさを調節する常夜灯の消費電力は最大、最小に関わらず、測定不可能なほど低かった
全てのモードで点灯時、右下の「おやすみ」ボタンを1度押せば30分後、もう一度押せば60分後にタイマー消灯ができる。タイマー時間はリモコン液晶部に表示されるがカウントダウンはしない。消灯後、おやすみモードは解除され、表示も消える。明かりをつけながら眠る人には便利な機能だ留守中に在宅を装う「るすばんモード」もリモコンで操作できる。方法はリモコンの「るすばん」を押す。点灯時刻、消灯時刻が表示され、10秒後に現在時刻に切り替わる。なお、るすばんモードの時刻は、るすばんモード実行中に変更できる

モード切り替えでいちいち光色を調節するのが面倒

 ここまでは良い点ばかりを紹介しておいて何だが、実はとても気になる点が1つあったので、指摘しておこう。

 それは、無段階の調光・調色ができる「普通モード」は、明るさと光色の組み合わせが1つだけで、それも一時的にしか記憶できないところ。しかも、「エコナビ点灯」と「普段モード」の光色は依存しあっているので、昼間、夜と使い分けようとすると面倒が起こるのだ。

 具体的な例で示そう。昼間は自然光に合わせて、白い光色でエコナビ点灯、夜は暖かい光色で明るさを抑えた普段モードで毎日点灯するとしよう。この場合、夜に普通モードで点灯すると、日中の白色のままで点灯するので、電球色へいちいち調色が必要だ。さらにその翌日、日中に再びエコナビ点灯すると、電球色のままで点灯する。またも白色に調色し直す手間があるのだ。調光・調色は無段階で変化し、調整中はリモコンに数値が出るわけでもないので、混色を選ぶ時には、いつも曖昧な気分にさせられる。

 ゆえに、エコナビ点灯と普段モードの光色は独立して調整できた方がいい。また、明るさ・光色も一時的な記憶だけでなく、「お気に入り」として固定して記憶できれば、もっと便利に、大胆に各モードが使いわけられるはずだ。付け加えると、「くつろぎモード」でも調色できれば、さまざまなくつろぎのシーンの演出ができただろう。

一度使うともう戻れない。居室全般のメイン照明にお勧め

 とはいっても、今まで使ったどのシーリングライトよりも魅力的なLEDシーリングライトだ。ほぼ同じ消費電力の蛍光灯シーリングライトよりも、大幅に明るく、さまざまな過ごし方に適応した明かりが、リモコン一つでドラマチックに作り出せるのは、それだけでも楽しく、豊かな気分になる。しかも、夜は明かりの質を高めながら、昼は消灯までできる「エコナビ」で、効果的な節電ができるのも嬉しい。価格に見合うだけの価値が十分あるシーリングライトだと感じている。

 今回の長期レビューを書くにあたり、毎日このLEDシーリングライトを使っているが、一日中快適なあかり環境が簡単に手に入るので、一度使い始めるともう後へ戻れないほどの便利さを感じた。演色性も高いので、リビングルームはもちろん、ダイニングルームやキッチン、勉強・仕事部屋から寝室まで、長時間過ごす居室全般のメイン照明として、大いにおすすめしたい。



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2011年9月20日 00:00