家電製品ミニレビュー

パナソニック「エコナビ搭載 スパイラルパルックシーリングライト」

~普通に使って節電する、エコなシーリングライト
by 藤原 大蔵
パナソニックの「エコナビ搭載 スパイラルパルックシーリングライト HHJZ1320」。8~12畳向け、クール色となる

 リビングルームで一般的な照明といえば「シーリングライト」。いわゆる天井直付け型の照明器具だが、光源に環形の蛍光灯を用いているため発光面が大きく、一台だけで部屋を明るくできる点が特徴だ。しかも最近では、リモコン操作で点灯/消灯/調光が気軽にできるものもあり、日中の補助照明としても使うことができる。

 しかし、このリモコン操作は正直手間だ。無駄な電気を使わないように、マメに消したり調光した方が良いのはわかるが、いちいちピッピッとボタンを押していくのは面倒くさい。温度を設定すればあとは放っておけるエアコンと比べると、操作性は格段に落ちる。そのため、日中、外光が入って部屋が十分に明るいのに、面倒くさがってシーリングライトを点けっぱなしにすることがしょっちゅうある。

 そこで今回紹介するのが、パナソニックの「エコナビ搭載 スパイラルパルックシーリングライト」である。製品名に含まれる「エコナビ」とは、パナソニック独自のセンサー機能のこと。要は、室内の明るさを検知し、自動的に適切な明るさに調光、無駄な電力を使わないようにしてくれるというのだ。

 結論を先に言ってしまうと、このエコナビ機能のおかげで、まるでエアコンが室温を一定に保つように、一日中室内が適度な明るさに保たれた。しかも、それに伴って消費電力もぐっと抑えることができた。というわけで、今回はこの製品について、その実力と使い勝手をレポートしよう。


メーカーパナソニック
製品名エコナビ搭載 スパイラルパルックシーリングライト
品番HHJZ1320
タイプ8~12畳・クール色
価格オープンプライス
購入店Amazon.co.jp
販売価格25,800円

取り付けは簡単。らせん状の「スパイラルパルック蛍光灯」を新採用

 “エコナビ搭載”とはいっても、大きさは536×153mm(直径×高さ)、重量は3kgと、一般的なシーリングライトとほとんど変わらない。天井にシーリングライト用の配線器具として一般的な「引掛埋込ローゼット」や「角型引掛けシーリング」などがあれば、問題なく取り付けられる。

 取付け作業はとても簡単で、数分で終わってしまった。付属のアダプターを天井にある引掛けシーリングにはめ込み、本体を押し上げるようにしてセット。あとはコネクターを接続してランプを取り付け、カバーをはめ込めば完了。特に難しい事はなかった。気をつける点としては、器具の端についているエコナビの「明るさセンサー」の位置を、正しく機能させるために、外光が入る窓から離すように設置するだけである。

取り付け作業は簡単。まずは、天井にある「引掛けシーリング」付属するアダプターをはめ込む次に、蛍光灯のベース本体を取り付ける。コネクタをアダプターに差し込み、蓋を閉める蛍光管を固定金具に差し込みながら、ランプの先のピンをソケットに入れる
ソケットのレバーを閉じて蛍光灯を固定次に、カバーを取り付ける。カバーは虫が好む紫外線をカットするという“ムシベール”仕様最後に、器具の正面にある膨らみの部分を、窓の反対側に設置する。ここにはエコナビのランプと明かりセンサーがついている
平面でらせん状の新形蛍光灯「93形スパイラルパルック(FHSC93ECW)」を採用。最大直径は320mm、蛍光管の太さは約20mm。20,000時間という長寿命を誇る

 本製品にはエコナビのほか、もう1つ特徴がある。それが、光源の蛍光灯に新たに搭載された、平面でらせん状の「スパイラルパルック蛍光灯」だ。一般的な環形蛍光灯とは異なり、蛍光灯の中央部にも蛍光管が配されているため、器具から均一な発光が望める上、同じ消費電力でありながら従来の蛍光灯よりも明るくなっている。しかも寿命も長く、一般的な製品では10,000時間台のものがが多い中、スパイラルパルック蛍光灯では20,000時間となっている。

 本体にはこのほか、リモコンも付属する。灯りに関する全てのコントロールはもちろん、リモコン自体にLEDが付いているため、手元灯としても使うことができる。自立するため、テーブルの上に置いたり、寝かせたりと、置き方も自由だ。専用のフォルダーも付属している。

あかりのコントロールは、付属のリモコンで行なう。立てても寝かせても安定して置けるデザインだリモコンにはLEDの手元灯がついている。目が覚めた時や、イザという時の手元のあかりとして便利


スパイラルパルックは力強い明るさ

 取り付けが終わったところで、まずはエコナビを使わず、素のままの明るさと消費電力を紹介しておこう。

 壁面の主電源を入れ、リモコンの全灯(100%の明るさ)ボタンを押すと、眩いぐらいに部屋全体がパッと明るくなった。テーブル上の明るさを実測すると576Lx。じっくりと本を読んだり、縫い物をするなどには十分な明るさだ。リモコンを使って無段階調光ができるので、普段からここまで明るくしておく必要はないが、思いっきり明るくできるポテンシャルがあるというのは心強い。

全灯。テーブル上の明るさは576lxの明るさ。眩しいほどである手動調光70%で369lx。くつろぎやちょっと本を読むなど適した明るさだ手動調光50%で247lx。テレビ視聴やくつろぐ明るさとして十分
手動調光15%(最小)。目いっぱい調光すると76LxになったこちらはLEDの常夜灯。こちらも6段階の調光が可能だ。消費電力は1W以下だった
スパイラルパルック(中央)と、従来形のFHD100形環形蛍光灯(外側)を比較してみよう。消費電力はほぼ同じ

 ここで、新しいスパイラルパルックが、ほぼ同じスペックを持つ従来型の蛍光灯と比べて、どのくらい違うのかを比較してみよう。用意したものはFHD100形の環形(サークル形)の蛍光灯がついたシーリングライト。どちらも消費電力は最大100W前後、管の太さは20mm前後となっている。ただし、両者の照明器具のシェード形状がまったく違うので、同じ条件になるように蛍光灯をむき出しにして比べてみた。

 その結果、スパイラルパルックは従来の蛍光灯よりもさらに明るいことが分かった。スパイラルパルックは器具の中心から光が広がっているため、従来型よりも器具の見た目が自然な印象だ。なお、消費電力も少しだけだが抑えられている。

カバーを外したスパイラルパルックの明るさは、全灯で753Lx、最小で93Lxだったこちらは従来型の蛍光灯(FHD100形)、の明るさは、全灯で588Lx、最小で78Lxだった
スパイラルパルックは器具の中心から光が広がる環形蛍光灯は、光りの見え方にムラができてしまう

エコナビ始動には簡単な環境設定が必要

 とても明るいシーリングライトであることがわかったので、いよいよエコナビをスタートさせたいが、実はエコナビを機能させるためには、その前に1つやっておくことがある。

 それは、夜間、リモコンの全灯ボタンを押して100%の明るさで点灯し、リモコンにある「環境設定」ボタンを押して20秒ほど放っておくことだ。とても簡単な作業だが、適切に明るさを調節するためには、取り付けた部屋ごとに必ず行なう必要がある。

 環境設定が終わったら、エコナビ機能がスタートできる。なお、このままだと夜間の最大の明るさが100%という設定になるため、より省エネ効果を上げたい場合、そこまで明るさが必要でない場合は、70%、50%に設定することも可能。エコナビ時にリモコンの「明るさ調節ボタン」を数回押すだけで選ぶことができる。

環境設定、エコナビの明るさ調整(100・70・50%の3段階)はリモコンで行なうエコナビが機能しているは時、緑色のランプが点灯する。設定時や測定時はこれが点滅する。ランプの右側にあるのが、室内の明るさを検知する「明るさセンサー」だ

放っておいても勝手に調光、一定の明るさを保ってくれる

 いよいよエコナビを使用して、朝から晩まで本当に自動的に調光してくれるのかを追ってみた。

・実例1:昼間でも暗いリビングルームの場合

 まずは昼間だ。実は我が家のリビングルームは日中でもほとんど陽が差し込まないため、真っ昼間でも照明が必要になるが、とはいっても100%点灯では明るすぎるという面倒くさい環境だ。そのため、最大の明るさを70%(最大370Lx前後)に設定してみた。写真は、朝9時から夜21時まで、3時間毎に点灯した状態と消灯した状態を撮影している。

 この結果、昼も夜も見事に一定の明るさを保ってくれたのだ。12時間の間、窓から入ってくる外光で部屋の明るさは1~22Lxと変化するが、点灯中は367~388Lxと、見た目にはほとんど変わらないほど明るさが一定していたのである。

【エコナビ使用時】
9時375lx
12時:388lx15時:368lx18時:367lx21時:373lx
【消灯時】
9時11lx
12時:25lx15時:5lx18時:1lx21時:1lx


・実例2:明るい外光が入る仕事部屋兼、寝室の場合

 次に仕事部屋、兼寝室に設置した。ここは外光が入りやすく、昼間は照明なしでも十分に明るい。パソコンの画面と部屋の明るさを整える程度の明るさが欲しいため、最大の明るさを50%(最大250Lx前後)に設定し、実例1と同じように見てみた。

 その結果も良好だった。外光の影響を大きく受けてもしっかりエコナビが機能して、明るさがほぼ一定に保たれたのである。外光のみの部屋の明るさは0~170Lxと変わるのだが、点灯時は242~280Lxの明るさを保ってくれたのである。(なお、撮影日の天気は薄曇)

【エコナビ使用時】
9時250lx
12時:280lx15時:251lx18時:233lx21時:242lx
【消灯時】
9時44.8lx
12時:167lx15時:78lx18時:3.7lx21時:1lx以下

 2つのシーンで実験してみたが、調光がとてもスムーズなのがとても気に入った。明るさセンサーが室内の明るさの変化を検知すると、約10秒間の測定後、2分~4分と時間をかけて調光する。これが、変化にほとんど気づかないぐらい穏やかなのだ。もちろん、カメラのフラッシュを焚いたような、瞬間的な光の変化には反応しない。コロコロとめまぐるしく調光されるわけではないのである。


エコナビを使ってどれだけ電気代が安くなるのか?

 エコナビを機能することで、点けっぱなしにしても自動的に調光してくれる事はわかったが、調光せずに点けっぱなしにした時と比べたら、どのぐらい電気代がオトクになるのか。朝8時から就寝する0時まで16時間点けっぱなしにし、1時間毎のワット数を基に、年間の電力料金を算出して比較した。

 その結果、全灯(100%)とエコナビ100%設定では、年間で6,417円電気代が安くなり、49.9%オトクになる試算となった(全灯12,848円、エコナビ6,431円)。これがエコナビ70%設定なら、8,215円の電気代削減(63.9%減)、エコナビ50%設定なら9,291円の削減(72.3%減)と、さらなるに省エネにつながることになる。

【エコナビ使用時とエコナビなしの場合の電気代比較】
比較対象エコナビで削減できる
年間電気代
エコナビなしと比べた
年間の省エネ率
全灯100%vsエコナビ100%\6,41749.9%
全灯100%vsエコナビ70%\8,21563.9%
全灯100%vsエコナビ50%\9,29172.3%
調光70%vsエコナビ70%\2,94738.9%
調光70%vsエコナビ50%\4,02353.1%
調光50%vsエコナビ50%\1,96735.6%

エコナビの自動調光による、消費電力の変化。外光により室内の明るさが大きく変化するが、それに応じてエコナビが機能し自動で省エネしているのが明らかだ

 刻々と変化する外光にエコナビはしっかり機能し、常に無駄な電力が費やされないように見張ってくれている事は明らか。単に調光して点けっぱなしにするよりは、エコナビを機能させたほうが確実に省エネに繋がるなることは間違いないだろう。

 なお、この試算結果は、ある一日のデータから算出したものなので、必ずしも現実に即した数字ではない。天気や季節で外光は毎日変わるし、本製品を設置する部屋の環境はさまざま。さらにいえば、部屋の目的や明るさの感覚は人それぞれだ。あくまでも試算である点は、ご注意いただきたい。


主婦や自営業など、昼間から照明を点灯する生活スタイルの人に

 普通のシーリングライトとして使いながら、確実に省エネができるという、かなり賢いシーリングライトだ。特に人に代わって常に室内の明るさを見張り、自動的に調光してくれるエコナビは本当にすごい機能だと感じた。刻々と変化する外光を感じ取って、人間の手で頻繁に調光するのは現実的ではないが、本製品なら普通に使っているだけで、自動でそれを行なってくれるのだ。

 念のため指摘しておくと、エコナビは調光はしてくれても、自動消灯してくれるわけではない。外光が明るく、蛍光灯の光が抑えられても、実際には消えているわけではなく、明るさが最小になっているだけである。なので、長時間外出する際などは、やっぱり自分で消灯して、電力を無駄遣いしないようにしたい。

エコナビはあくまでも自動調光するためのもので、自動消灯できない。写真は50%のエコナビモード照明を点けなくても十分に明るい時は、やっぱり消灯する必要がある

 設置した日から、省エネ直接つながる快適な調光を自動でしてくれる、とても便利なシーリングライトだ。主婦や自営業など在宅時間が長く、昼間でも灯りを点けているような生活スタイルを送っている方に、特にお勧めしたい。





2010年8月31日 00:00