長期レビュー
東芝「過熱水蒸気オーブンレンジ 石窯ドーム ER-GD500」 最終回
過熱水蒸気オーブンレンジ 石窯ドーム ER-GD500 |
最終回となる今回は、鶏のから揚げ、ハンバーグ、とんかつといったちょっと濃厚なメニューに加え、1時間程度でできるパンや、巷で人気のポンデケージョについてのレポートを紹介しよう。1回目はこちらから、2回目はこちらから。
■過熱水蒸気で作る「鶏の唐揚げ」
まずは定番の「鶏のから揚げ」から。レシピ集に従って鶏肉を一口大にカットし、ビニール袋の中で市販のから揚げ粉をまぶしつけ、角皿の上の網に並べる。手法としては普通のから揚げ作りと変わらない。
あとは自動調理メニューの「鶏のから揚げ」を選び、調理開始。焼き上げ方法としては「過熱水蒸気」が選択されていたのでそのまま選択したが、「鶏のから揚げ」ではこのほかに「石窯オーブン」と「ハイブリッド石窯」が選択できる。ヘルシー効果を期待したいときは「過熱水蒸気」または「ハイブリッド石窯」を選ぶといいらしい。
鶏肉にから揚げ粉をまぶして、網の上に並べる | 今回は「過熱水蒸気」を選んで焼いてみた。メニュー選択時には、選択した調理名を日本語で表示してくれると助かるのだが | 完成した鶏のから揚げ |
ソフトだが、なかなかいい色に仕上がっている |
所要時間は21分ほどだ。できあがった鶏のから揚げは、取り出したときにもっとジュージューと音が鳴っているかと思いきや、意外と大人しかった。「石窯ドーム」の過熱水蒸気仕上げの食感はややソフトである。柔らかめの仕上がりが好きな方にはちょうど良いかもしれない。ただし、カットしてみると、中には、まだわずかに赤みの残ったものも見られた。
ヘルシオのときは下味を付けて、さらに市販のから揚げ粉をまぶしてちょうど良い味だったが、「石窯ドーム」では、から揚げ粉だけでしっかり味が残っていた。これもまたメーカーによる違いが出ており、面白いところだ。
1個分が大きすぎたのか、中には赤みの残るものも見られた | 柔らかい歯ごたえが好きな方にはちょうど良い | 使用後の角皿と網の様子 |
鶏のから揚げ作りの様子 |
■普通のパン粉とオーブン専用パン粉の2種類で「とんかつ」を作ってみた
次は、これまた拙宅のオーブン調理の定番となりつつある「とんかつ」作りに挑戦だ。
ヘルシオでは、事前に油を混ぜて焼き色をつけた「こんがりパン粉」を使用した。ビストロでは油をまぶした普通のパン粉を使ったが、衣は二度づけだった。「石窯ドーム」では、油をまぶさない普通のパン粉を使用し、普段通り薄力粉、卵、パン粉の順で衣をつけておくのだが、角皿にオーブンシートを敷き、並べた肉の上から、大さじ2杯分のサラダ油を満遍なくかけるという方法だ。これまで試したシャープのヘルシオ、パナソニックのビストロとは微妙に違っていて、面白い。
いつも通りに衣をつけ、角皿に並べたらサラダ油をかける | 満遍なくかけたつもりでも、ついている部分とそうでない部分ができてしまう | 手動調理メニューの「オーブン/過熱水蒸気」から、予熱なしの「石窯オーブン」を選択。焼き時間は25分にセット |
「石窯ドーム」の自動調理メニューに「とんかつ」がなく、レシピ集にもシンプルなとんかつが掲載されていなかったため、レシピ集の「みそサンドとんかつ」を参考に、手動料理メニューの予熱なしの「石窯オーブン」を選び、300℃で25分焼き上げてみた。
結果、味はさっぱりめのとんかつなのだが、衣に不満の残る結果となった。サラダ油に触れた部分はこんがりしているが、裏面には水気が残っており、部分的に白いままのパン粉も見られたのだ。一度全部裏返し、追加で5分焼いてみたところ、やや改善された。
完成した石窯ドーム流「とんかつ」 | 衣の白さとムラが気になる | 裏側の状態。水分を含んだものや、加熱しきれていないとおぼしきパン粉が確認できる。この後裏面を上にしたままさらに5分焼いた |
カットしてみると熱は通っている | お皿に盛りつけてみたが、やや物足りなさを感じてしまった | 使用後の角皿の様子。オーブンシートのおかげで手入れは簡単だったが、やはり焼き上がりが気になった |
このとき、「石窯ドーム」では延長加熱ができないことに気づいた。一度調理が済むとすべて解除されてしまうので、再度設定し直しとなる。手動調理のオーブンならまだ選択は早いが、グリルの場合はキーを何度も押さなくてはならないので大変だろう。
調理中、およびできあがった「とんかつ」の様子 |
「とんかつ」の決め手は、衣がいかにこんがりサクサクに仕上がるか、だろう。しかし、オーブン調理の場合は油で揚げないという前提条件があるため、各社苦労しているわけだ。
以前、オーブン調理用のパン粉が売られているという情報を入手していたので、試しに「石窯ドーム」で使ってみようと思いついた。購入したのはトラストフーズのオーブン調理専用パン粉「揚げずにフライ!」である。
衣作りは卵や薄力粉を使う通常通りの手順だ。ヘルシオの「こんがりパン粉」のように色づいたパン粉を満遍なくつけたら、角皿に直接並べてみた。焼き上げは予熱なしの300℃の石窯オーブンで25分である。なお、今回はサラダ油はかけていない。
トラストフーズのオーブン調理専用パン粉「揚げずにフライ!」でとんかつ作り | 材料は通常通り | 満遍なくパン粉をつけて、角皿へ |
すると、香ばしくサクサクした衣の「とんかつ」が完成した。裏返す際に角皿に一部こびりついてしまったが、裏もドライな仕上がりである。盛りつけてみたが、色合いもいい。「石窯ドーム」と相性よさそうである。どうやら小麦粉も卵もいらない衣が販売されているので、機会があればさらに試してみたいと考えている。
できあがった「とんかつ」 | きつね色になっている。 | 裏側の様子 |
衣の厚みも上々だ | 盛りつけ例。食用をそそる焼き色だ。添えてあるパンは、この後ご紹介する「らくらくベーカリー」で焼いたもの |
■「ハイブリッド石窯」でハンバーグを焼き上げる
「石窯ドーム」の大きな特徴は、通常の石窯オーブン、過熱水蒸気に加え、両者を併せた「ハイブリッド石窯」による焼き上げが選べる点だ。そこで、焼き具合が如実に分かる「ハンバーグ」を使い、石窯オーブン、過熱水蒸気、ハイブリッド石窯の3つで焼いてみることにした。
まずは一番気になる「ハイブリッド石窯」から。合い挽き肉300g、タマネギ1個、卵1個、パン粉1カップに牛乳大さじ3杯、塩、胡椒、ナツメグを使って、レシピ通りに4人分のハンバーグを用意。角皿に4つ並べ、上段へ入れたら自動調理メニューの「ハンバーグ」を選択。そのままでは「過熱水蒸気」のみになるので、さらにボタンを押して「ハイブリッド石窯」を選択した。
手作りハンバーグ4人分を角皿へ | かなり柔らかいのは肉のせいだろうか | 自動調理メニューの「11 ハンバーグ」を選択したら「ハイブリッド石窯」に切り替える |
調理時間は22分。途中で中を覗くと、かなり肉汁が浮き上がっているのが分かった。仕上がりは想像していたよりかなり白っぽく、柔らかい。裏がえすと全く焦げ目がなかった。水分が多いせいか、食感は煮込みハンバーグに近い柔らかさであった。嫌いではないし、むしろどちらかといえば好きな方だが、やはりもっとワイルドな焦げ目が欲しい!
完成したハンバーグ。かなり水っぽい印象に…… | フライパンで作るようなワイルドな焦げ目が全くない | 角皿には脂が流出していた。フライパンとは違い、この油でソースを作らなければ、その分かなりヘルシーだ |
「ハイブリッド石窯」によるハンバーグの焼き上がり具合 |
白っぽく柔らかいハンバーグに、気分が“消化不良”気味に(苦笑)。もう少し水分の少ないハンバーグではどうだろうか、と考え、スーパーで市販されている、焼くだけのハンバーグで試してみることに。すると、やはり焦げ目そのものは少ないものの、手作りハンバーグほど水っぽくないハンバーグが完成した。材料次第で違いがでるようだ。
焼くだけの状態になったハンバーグを用意 | 「ハイブリッド石窯」で焼いてみたら、焼き色こそ少ないものの、ふっくらといい感じに | この市販ハンバーグは、ナイフを入れると肉汁がでてきた! もともと脂肪分が多めだったのだろうか |
■「石窯オーブン」で市販のハンバーグを焼き上げてみた
次に焼き方を変えて「石窯オーブン」モードで市販のハンバーグを焼いてみた。「ハイブリッド石窯」モードが市販ハンバーグでいい具合だったので、今回も焼くだけのハンバーグを活用してみた次第。
焼き上がりは実によかった。フライパンで強火で焼いたようなワイルドな焦げ目が、表だけでなく裏にもついて、かなりおいしそうにできた。このワイルド感は過去最高ではないだろうか。ナイフを入れてみると、表面とのコントラストが食欲をそそる。さすが石窯ドーム。これはお勧めである。
焼くだけのハンバーグを用意。(「ハイブリッド石窯」のときとは違うスーパーのため、素材の配合が異なる可能性は高い) | 焼き上げに「石窯オーブン」を選択 | 焼き上がったハンバーグ。かなりテンションのあがる焼き色だ |
裏返してみたところ、裏面にもしっかり色がついていた | ナイフを入れるとおいしそうな断面が現れる | 相当量の脂が流れでていて驚いた。やはり既成品だからであろうか。この脂を摂取しなければ、かなりのカロリーダウンにつながるだろう |
「石窯オーブン」で焼くハンバーグの焼き上がり具合 |
■「過熱水蒸気」でハンバーグを焼き上げてみた
ハンバーグシリーズのラストは、「過熱水蒸気」である。こちらでも市販の焼くだけハンバーグを使用した。
焼き上がりは予想通り、やや焦げ目の少ない仕上がりになった。ナイフを入れてみると中央部にわずかだが赤みが残っているのが確認された。それほど厚みあるハンバーグだとは思えないのだが……仕方なく再び「石窯ドーム」に戻し、今度は「石窯オーブン」で5分焼いてみたところ、こんがりしたハンバーグになった。鶏のから揚げでも赤みの残る部分があったが、「石窯ドーム」の過熱水蒸気は少々パワー不足なのだろうか?
焼き上げ前のハンバーグ | 焼き上げに「過熱水蒸気」を選択 | 完成した「過熱水蒸気」焼きのハンバーグ |
裏には焦げ目が確認できた | ナイフを入れると、中央部にわずかだがまだ赤い部分が見られた | さらに「石窯オーブン」で5分焼いた状態 |
「過熱水蒸気」で焼くハンバーグの焼き上がり具合と、「石窯オーブン」による再加熱後の様子 |
■「こんがりプレート」で、「豚肉のアスパラ焼き」を作ってみた
「石窯ドーム」が他のスチームオーブンレンジと異なるのは、「こんがりプレート」なるものが付属してくる点だ。ただ、これまでハンバーグやとんかつなど、“こんがり”して欲しい一般的な肉料理には全く登場しなかった。不思議なアイテムだと思っていたら、専用のレシピが用意されていたのであった。そこで、アスパラガスを豚バラ肉で巻いた「豚肉のアスパラ焼き」を試してみることにした。
アスパラガスを豚バラ肉でグルグル巻きにしたら、「石窯ドーム」の下段に「こんがりプレート」だけを入れ、手動調理メニューから予熱ありの「こんがりプレート」を選択。時間を10分にセットして「あたため/スタート」キーを押す。
手動調理メニューから「こんがりプレート」を選んで、専用の「こんがりプレート」を予熱する。角皿はNGだ | 予熱した「こんがりプレート」に油を塗布し、材料を並べる | 調理時間は10分弱。「アスパラガスには長くないか?」と少々心配に |
予熱が完了したら、プレートにサラダ油を塗り、上の材料を並べる。すでにプレートが熱されているので、この時点でジュージューと音が鳴り出している。「石窯ドーム」に「こんがりプレート」を戻し、再びスタートボタンを押したら、あとは完成を待つばかりだ。
完成した「豚肉のアスパラ焼き」は、しなしなと柔らかく、かなり水っぽい。「こんがりプレート」の運命やいかに!? という結果になってしまった。火の通りやすい野菜を電子レンジで長時間加熱しているのだから当然の結果なのだが、肝心の肉の焦げ目も想像したほどはつかなかったため、強度が保てなかったのではないかと推測。脂身が多かったのも敗因かもしれない。
先にも述べたが、“こんがり”というと、個人的にはハンバーグもとんかつも“こんがり”希望だし、から揚げだって“こんがり”がいい。もちろん焼き野菜だって“こんがり”がおいしい。だが、用意された特定のメニューに絞られているのは残念だ。もう少し「こんがりプレート」の存在価値が際立つものが欲しいと感じた。
完成した「豚肉のアスパラ焼き」 | レモンをかけていただく。味は悪くないのだが、あまり“こんがり”しなかったのが残念 |
■「らくらくベーカリー」なら、パンが1時間で完成する!
レシピ集を見る限り、「石窯ドーム」はかなりパンに力を入れている。これはやはり何か挑戦せねばならない。(普段はホームベーカリーに任せきりなので)パン作り初心者にも簡単なレシピはないものか……と探していたら、自動調理メニューに「らくらくベーカリー」なるものを発見。発酵から焼き上げまですべて「石窯ドーム」で一貫して行なえるようコース化されたものらしい。難易度も「1」で、手順を見る限り、所要時間は1時間程度である。これなら筆者にもできるかもしれない!
これが実に簡単で、見事に筆者のハートをわしづかみにした! パン生地を混ぜたら、自動調理メニューから「らくらくベーカリー」を選ぶ。すると一次発酵がアナウンスされるので、生地の入ったボウルにラップをかけて庫内に入れ、「あたため/スタート」キーを押すのだ。すると電子レンジで発酵が進む。
「らくらくベーカリー」の材料は強力粉、バター、塩、砂糖、牛乳、ドライイースト | 材料をよく混ぜたら、「石窯ドーム」の中へ | 「らくらくベーカリー」を選ぶと、自動的にレンジ発酵になる |
一時発酵が完了したら生地を取り出し、ガス抜きをしてからパンの形を整え、10分ほど待機。その後再び庫内にパンを移して「あたため/スタート」キーを押すと、成形発酵へと移る。次の工程まで「石窯ドーム」はずっと待機してくれるので、成形に時間がかかっても問題はない。
成形発酵が済んだら、発酵中のパンをシートごと角皿に移し、角皿を庫内へ。ここでまた「あたため/スタート」キーを押すと、焼き上げに入る。焦げ目が足りないようなら、余熱を使えばOKだ。コロンと丸い、焼きたてパンが完成である。
成形したら10分ほど寝かせる | 庫内に戻し、「あたため/スタート」キーを押すと、成形発酵になる | 成形後は角皿に移して、再び「あたため/スタート」キーを押すと、焼き上げに入る |
振り返ると、一次発酵7分、待機10分、成形発酵6分、焼き上げ16分、余熱10~15分。手順通り進めていくと、途中の成形時間も含めても1時間少々でパンが焼き上がってしまうのだ。いずれも「あたため/スタート」キーを押し続けるだけで次の工程に入れるという便利さだ。パン作りというと数時間を要するものと構えてしまうのだが、これなら気軽に挑戦できる。本当に「らくらくベーカリー」である。
しかも、焼きたてのコロンとしたパンはかみしめるほどに甘みがあり、実においしい。ホームベーカリーはなくても、ときどきパンを作りたいという方にはぴったりのモードだと思う。成功に味を占めて、あんぱんを作りたくなってしまった。
完成したパン | やはり焼きたてのパンは最高である | 裏も綺麗な焼き色で感激 |
なお、レンジ発酵なので、クッキングシートの代わりにアルミホイルを使わないように注意したい。
「らくらくベーカリー」で作ったパンの様子 |
途中で粒あんを包むだけ |
この「らくらくベーカリー」の簡単さ、おいしさに気をよくした筆者は、生まれて初めて、あんぱん作りをする気になった。これはすごいことである。
作り方は極めて単純で、成形する際、缶詰の粒あんを中に入れて丸めるだけ。これがまた素朴なあんぱんに仕上がり、大感激。ちょっと出かけたいとき、手土産や小腹対策でつまめるおやつを持参したいときなどに非常に便利だ。アレンジし甲斐もあり、個人的にかなり手放したくないメニューになった。ただし、余熱ではなく、延長加熱ができるとありがたいかもしれない。
焼き上がったあんぱん。量を倍にしてみたら、ギリギリ角皿1枚で足りる量だった | 包み方が下手なので、あんこが漏れてしまったものもあるが、100%満足な出来! | 自宅で作るから味わえる焼きたてのあんぱん |
■憧れの「ポンデケージョ」が簡単にできた!
レシピ集でもう1つ、簡単に作れるパンとして紹介されていたのが、パン屋さんでもおなじみのチーズパン「ポンデケージョ」である。写真を入れても1/2ページで説明が済んでしまうほど簡単なのだ。
こちらは強力粉ではなく、200gのタピオカ粉(粉末)と100gもの粉チーズを使うのが特徴。このほか卵、牛乳、水、サラダ油、塩が加わる。ドライイーストは不要だ。
レシピ通り材料をよく混ぜたら、薄くサラダ油を塗った角皿に丸めて並べる。打ち粉が必要になるため、丸めずにスプーンで直接落としてもよい。手動料理メニューで予熱ありの「石窯オーブン」を選び、190℃の25分にセットしてから予熱する。あとは材料を並べた角皿をセットして焼くだけだ。丸めなくてもふっくらと膨らんだ自家製「ポンデケージョ」が20分程度で完成。1時間もかからず、外はカリカリ、中はもっちりという焼きたて特有のおいしさを十分に堪能できる。
タピオカ粉は通販で購入 | ダマにならないよう、材料をよく混ぜる | 食べやすい大きさに丸めた生地を角皿に並べる |
知人に配ったところ「お店で買ったみたい!」と大好評。レパートリー入り決定の簡単メニューとなった。「らくらくペーカリー」といい「ポンデケージョ」といい、難易度「1」で簡単な割に喜びは大きい。そんなメニューがある点をかなり評価したいところである。
焼き上げは、手動料理メニューで、予熱ありの「石窯オーブン」を選択 | 完成したポンデケージョ | 外はサクサク、中はチーズの風味がしてもっちり柔らかい |
■何気に重宝したスチームによる「肉・全解凍」
実は肉系の調理をするにあたり、密かに感動したのが「7 肉・全解凍(スチーム)」だった。庫内に入れたら「生解凍」キーを押して、「7 肉・全解凍(スチーム)」」を指定すればいいのだ。材料の重さを入力する必要はない。食材によっては解凍に20分近くかかるのだが、非常に扱いやすく、自然に近い状態にまで解凍してくれるのである。
カチコチに凍ったハンバーグの肉も、中までしっかり解凍される。薄切りの豚肉なら完全にバラバラになり、鶏肉なら一口大に切りやすい。「石窯ドーム」の「スチーム生解凍」は安心して任せられる機能といえるだろう。
冷凍したハンバーグ | どんどん出番が増えていった解凍機能「7 肉・全解凍(スチーム)」 |
解凍後の冷凍ハンバーグ | 中までやわらかく、しっかり解凍されている |
■ナビゲーションに一考を!
パン作りや、独自の機能が光る魅力的な製品だが、最後まで気になったのはナビゲーションについてだった。
たとえば、とびらのメニューのまとめ方が、目的と機能が混在している印象だ。「あたため」の中に揚げ物用の「カラッとあたため」が含まれず、「オーブン・過熱水蒸気」としてまとめられていたり、「らくらくベーカリー」が「パン工房」にあるかと思って見たらなく、やはり「オーブン・過熱水蒸気」としてまとめられているなど、目が泳いでしまいがちだ。ダイヤル操作で、メニュー番号を1つ間違えたことに気づかなかったという失敗も初めて経験した。
キー配置にしても、ダイヤル操作で選択できないものがあったこと、タッチメニューキーと手動調理メニューキーが並んでいたことにかなり戸惑い、押す前にちょっと考えたりということもあった。また、青いボタンは押すとまだ先の設定があることを意味するが、赤と青が同時に光るため、青は「OK」と勝手に解釈して、つい赤を押して悩んだこともあった。取扱説明書を読めば分かることばかりだが、「読むのが面倒だから使わない」という機能も出て来そうな気がしたのだ。
ヘルシオ→ビストロ→石窯ドームと、オーブンレンジを短期間に乗り換えるケースはまずないだろうから、筆者の体験がかなり特殊であると言わざるをえないが、ナビゲーションやキー配置をもう少し使いやすくしていただけたら素晴らしいのに、と思う次第だ。
1カ月に渡って使用してみて石窯ドームは何よりオーブン機能が光る製品だと感じた。2品同時あたためなど、ヘルシオやビストロにあって「石窯ドーム」にはない機能もあったが、「石窯ドーム」の石窯オーブンの焼き上がりはすばらしい。実際に試したパンは2品だけだったが、簡単で楽しい内容に非常に満足した。パンやお菓子系に力が入るのも頷ける。パン作りに目覚めてしまうと、返却が惜しい!
2010年3月26日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)