長期レビュー

東芝「過熱水蒸気オーブンレンジ 石窯ドーム ER-GD500」 その1

~石窯みたいなスチームオーブンレンジがやってきた
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



東芝「過熱水蒸気オーブンレンジ 石窯ドーム ER-GD500」

 ヘルシオとの思い出が、ビストロのグリル皿でこんがり上書きされようとしていたある日、再び編集部のA嬢から連絡が。「すずまりさん、せっかくなので今度は東芝の新しいオーブンレンジも試しましょう! 石窯みたいなドーム型なんですよ。ヘルシオは引き続き編集部で預かります」なんてことだ!! そんなわけで、今度は東芝の「過熱水蒸気オーブンレンジ ER-GD500」(以下、石窯ドーム)を1カ月に渡って試用することになったので、使用感などを全3回でお届けしよう。


メーカー東芝
製品名過熱水蒸気オーブンレンジ 石窯ドーム ER-GD500
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格93,220円

石窯での焼き上げをイメージしたドーム構造で、オーブン調理にこだわった製品

 こうして新たにやってきたのは、赤いスチームオーブンレンジ。本体サイズは、500×497×398mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは21kg。これまでのヘルシオ、ビストロと比べてやや軽い。もちろん女性がひとりで設置するにはかなりヘビーだが、設置の際、気持ち軽くなっていてちょっぴり嬉しかったのは言うまでもない。背面をぴったり壁につけられる点もありがたい。

正面から見た様子ボディカラーは、レッドのほかにシャンパンゴールドが用意されている上から見た様子。奥に見えるのは排気口
側面の様子。排気口が確認できる。底面近くに「手かけ」が用意されている背面の様子側面の様子。こちらも排気口と底面近くに「手かけ」が用意されている

 付属品は角皿2枚、こんがりプレート1枚、焼網1枚、450ccの給水カセット1個、水受け1個、取扱説明書(クッキングレシピ付)となっている。実は珍しいことにミトンが付属しない。石窯ドームが初めてのオーブンレンジになるという方は、別途用意しておいたほうがよさそうだ。

左は「給水カセット」右は「水受け」。本体下に収納される「給水カセット」のキャップを外したところ。満水で450cc入る「給水カセット」はフタも外れる

 石窯ドームは扉のガラスがドーム型にデザインされており、なかなかおしゃれである。ただ庫内は隅々まで全部見渡しやすいほうがいいんじゃないか、という気がしなくもなかったが、実は扉を開けると中の天井もドーム型をしていたのだ。この石窯ドームは、このドームがポイントらしい。

庫内の様子天井はドーム状。右奥には「赤外線センサー」がある左側面にはスチームヒーターとスチーム吹出口がある

 昨年8月に公開された記事や、東芝の商品情報にもある通り、「石窯ドーム」はオーブン性能にこだわった製品なのだ。熱量を素早く庫内に伝える「石窯トルネードエンジン」を搭載し、熱をうまく循環させるために、扉のデザインだけでなく、天井部分とヒーター部分もドーム構造を持たせているため、均一な焼き上がりが可能。角皿にも改良が加えられ、熱が対流しやすいよう風路が設けられたという。しかもオーブン調理では200℃までの到達時間が約5分と短いため、素早く焼き上げられるようだ。

レンジ、スチーム、オーブン、発酵、グリルに対応。「過熱水蒸気」調理も可能

 オーブン調理には石窯ドーム「過熱水蒸気」「ハイブリッド石窯」の3種類が用意されており、ヘルシー効果を期待したいときは「過熱水蒸気」や「ハイブリッド石窯」を選べるのも大きな特徴だ。

 「過熱水蒸気」とは、“水で焼く”ヘルシオや、ビストロにも搭載されていた、ヘルシー効果が期待できる水を使った調理機能だ。つまり石窯ドームでもヘルシーな調理が可能だということであり、「ハイブリッド石窯」とは、過熱水蒸気でカロリーをカットしたあと石窯ドームで焼き上げるという、いわば両者のいいとこ取り的な調理ということらしい。これまではどちらか一方だったので、1つの調理で両方使えるというのは珍しいのではないだろうか。

 もちろんオーブン機能だけでなく、レンジやスチーム、グリルも可能だ。レンジではワンタッチで温めが開始できる自動機能に加え、手動で1,000W、600W、500W、200Wから選べるほか、400Wのスチームレンジや、マイナス10~90℃まで任意の温度で調理できる「お好み温度」も備えている。600Wと200Wで連続加熱できる「煮込み」も可能だ。

 スチーム調理では、スチーム発生までの時間は業界最速の約13秒と短いのも特徴。スチームとレンジを合わせた調理やスチームのみの調理ができ、素材を生かした低温調理が可能な「適温スチーム」という機能も備えている。

 また専用の「こんがりプレート」を使った調理も珍しいだろう。予熱として底面からの電波でプレートを加熱してから材料を乗せるので、焦げ目がつけられるという調理らしい。

 このほか、付属の取扱説明書を見たところ、パンやお菓子のレシピが非常に豊富で、解説も細かいのには驚いた。パンは3段階の難易度表示がついており、経験に応じて選べるようになっているのだ。扉に表示されたメニューでもパン関連は豊富で、当然のことながら発酵機能も用意されている。「パン作りに気合いの入ったオーブンだな」という印象を受けた。

角皿を入れてみた様子角皿と焼網を庫内にセットした様子こんがりプレートを入れてみた様子
熱が回りやすくなっているという角皿2枚と、焼網。流しに入るサイズだ角皿と焼網こんがりプレート

操作キーの数はちょっと多めで、ややクセがありそう

操作キー。上段左から「メニュー設定ダイヤル」「あたため/スタート兼用キー」「とりけしキー」、下段左から「のみもの」「生解凍」「こんがりプレート」「オーブン/過熱水蒸気」「スチーム」「レンジ」

 操作および表示機能周りを具体的に見てみよう。

 まず、扉を開閉すると電源が入り、扉を横断するように「扉メニュー」が点灯する。これは石窯ドームで選べる自動調理メニューを一覧表示したものだ。

 「扉メニュー」の下には液晶の「表示部」があり、調理メニュー番号、温度、時間、ページ番号、仕上がりの強さ、角皿の位置などを表示する。ヘルシオはカラー写真と日本語表示、ビストロはモノクロで選択中のメニューが大きな文字で表示されていたが、石窯ドームでは「扉メニュー」の番号のみが表示される。なお、電源が入った状態では「0」表示となり、この状態で5分以上扉の開閉がなければ、自動的に消灯する仕組み。

 「表示部」の右側にあるのは「メニュー設定ダイヤル」で、自動調理メニュー(扉メニュー)の9~40番の選択や、選択した操作における温度や調理時間、仕上がりの設定に用いる。

 「メニュー設定ダイヤル」の右側は「あたため/スタート兼用キー」で、調理の開始や自動調理メニューの1~3の選択に用いる。他のメニュー選択後に押せば調理開始だが、扉を閉めてから1回押せば初期設定温度80℃の「1 スピードあたため」、2回押すと初期設定温度75℃の「2 ソフトあたため」、3回目は80℃の「3 スチームあたため」に切り替わる。いわゆるご飯やおかずをスピーディに温めたいというときは、このボタンを1回押すだけでOKだ。


「あたため/スタート兼用キー」では1~3番までのメニューが選択できる。ボタンの押下と同時に温めが開始される。仕上がり変更は加熱開始後15秒以内に行なう「メニュー設定ダイヤル」を回すと、9~40番のメニューが選択できる。(1~8番は選択できない)

 この「あたため/スタート兼用キー」の周囲には、8ブロックに分かれたランプがついており、時間の経過に応じて点灯する。具体的な残り時間は液晶に表示されるのだが、半分ほど経過した、などが感覚的に分かるようになっている。

 一番右側の「とりけしキー」はその名の通り、操作の取り消しや、調理の中止が可能なキーだ。

 一番下に並んでいるのは「タッチメニューキー」と「手動調理キー」である。「タッチメニューキー」とは、「のみもの」および「生解凍」の2種類をさし、時間などを指定せずに簡単に使えるようになっている。それぞれのキーを押すごとに割り当てられたメニュー番号が切り替わる。


「タッチメニューキー」の「のみもの」では4、5番のメニュー選択となる。加熱開始後15秒以内なら仕上がり具合の変更が可能。仕上がりは記憶される

 「手動調理キー」は残りの「こんがりプレート」「オーブン/過熱水蒸気」「スチーム」「レンジ」の4つを指す。時間や温度を設定するマニュアル操作用のキーで、こちらも各キーを押す毎に予熱の有無や、オーブン調理の種類などが呼び出せる。グリルや発酵機能は「オーブン/過熱水蒸気」ボタンに割り当てられている。


「手動調理キー」の「オーブン/過熱水蒸気」では、キーを押し続けることで石窯ドーム、過熱水蒸気、ハイブリッド石窯に関する選択と予熱の有無、グリルの切り替えが可能。発酵は石窯ドームの設定温度を45℃以下にすると選択できる

 操作ボタンは、ヘルシオは5個、ビストロは4個だったのに対し、石窯ドームは9個。キーの数が多いため、その使い分け方を頭で理解するのが大変そうな気配である。

 とりあえず、ご飯やおかずは「あたため/スタート兼用キー」であたため、ホットミルクやドリンク、お酒は「のみもの」ボタン、冷凍した肉の解凍は「生解凍」ボタンを使い、本格的な調理を行なうのであれば、「メニュー設定ダイヤル」で9番以降のメニューを選ぶか、「手動調理キー」によるマニュアル操作で調理する、と覚えておけばよさそうだが……

 次回は、あたため機能や焼きものについてお届けする予定だ。



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2010年3月11日 00:00