【ミラノサローネ2009】
Philipsが提案する照明の未来

~Euroluce照明展レポート その2

照明との関係を2つのレベルでデザイン

Philips社LIRIOのブースにあった特別展示「The Beauty of Interaction」では、照明の未来を垣間みることができた

 Philips社の照明商品のブランド「LIRIO」では、有機ELを使った未来の照明のコンセプト展示「The Beauty of Interaction」を披露していた。

 これは環境意識が高まり、光源が変わっていくのに合わせて、人と照明との関わりそのものをもう1度、根本から考え直そうとした試みで、照明と人との関わり方(インタラクション)を2つの視点で考えている。

 まず1つ目は、工業デザイン的な視点で、通常、設置後はスイッチのON/OFFしかなかったペンダントライトも、利用者が光源のついた枝を回転させて自由に照明の形を変えることができる、形状面、デザイン面からのアプローチだ。

 そしてもう1つは操作方法からのアプローチで、これは照明と離れたところにスイッチを用意するのではなく、照明そのものに内蔵した近接センサーを使っ て、電源のON/OFFや明るさを調節できるようにしようという試みだ。スイッチ部分を触ると照明がつき、その後、手を近づけたり離したりすることで明るさを調節できる(手を近づけると明るく、手を遠ざけると暗くなる)。

 展示されていたコンセプトモデルは特に名前はないが、フロアスタンド型のものが1つ、天井から吊るすペンダント型のものが1つ、そして壁面に取り付けるタイプの物が1つ、合計3種類あった。

ペンダント照明。モビール(天井に吊すインテリア)のような照明の各枝を回して、光の形を変えることができる


工業デザイン的なアプローチを取ったフロアスタンド照明枝の部分を下に垂らして、壁際のデコラティブなイルミネーションとして楽しむこともできれば、枝の部分を持ち上げてフロアスタンドとして使うこともできる

壁面照明。壁に取り付けた部分を中心に180度好きな向きに回転できる。光源がついた枝の部分も回転が可能

 いずれも有機ELを埋め込んだ細長い板状のライトが基本の構成要素となっていて、スイッチ部分を触ると照明が明るい光が灯ったり、もう1度触ると板の裏側についた有機ELパネルが灯ったり、もう1度、触ると有機ELパネルが1つずつテンポよく消えて行ったりする(現在は1個単位でついたり、消えたりのアニメーションになっているが、将来的にはきれいなグラデーションを描きながらついたり、消えたりするようにしたい、とのことだった)。

 明るい照明がついた状態で、手をセンサー部に近づけると、照明が明るくなり、遠ざけると暗くなる。

 センサーはフロアスタンドモデルでは、光源がついている反対側の側面部分に、ペンダンチライトはペンダントの下側部分に、壁際ライトは回転する板を支える軸の上側に用意されていた。


3つのコンセプトモデルでは、電源のON/OFF、光源の切り替えそして明るさの調節用に近接センサーを使った共通のスイッチが内蔵されている


 Euroluce会場では、まだまだコンセプト段階の展示も数多くあったが、ここまで全体的なデザインを考えた照明はなかなか見かけない。さすがヨーロッパ随一の家電メーカーといった印象だ。





(林 信行)

2009年4月23日 19:10