イベントレポート IFA 2014
パナソニック、本格化しつつある欧州市場への展開
(2014/9/8 00:00)
パナソニックは、2014年9月5日から、ドイツ・ベルリンで開催中の「IFA2014」のパナソニックブースの様子を、一部報道関係者を対象に事前公開した。
今年のパナソニックブースでは、「A Better Life, A Better World」をテーマに、白物家電やデジタルAVC、企業向けソリューションまでを展示。「くらしをより上質なものにする、新たな体験や価値を提案する」という。
パナソニックブースは、約3,300平方メートルの展示スペースを活用。入口部分には、「4Kワールド」として4K関連製品を展示。テレビによる「見る」から、デジカメ、ムービーによる「撮る」へと拡大する4Kコンシューマ向け商品群をラインアップしたほか、業務用カメラ、98型ディスプレイによるデジタルサイネージ、20型4Kタブレットといったソリューション事例を紹介した。
初公開の製品としては、4K 60P記録に対応した新製品「HC-X1000」、今年秋に発売する4K業務用カメラレコーダー「VARICAM35」、映像編集用の31型4Kモニター「BT-4LH310」などを展示する。
また、コンシューマ向け製品では、65型および55型の4K液晶テレビ「AX900シリーズ」、85型の「X940シリーズ」、55型、48型、40型の「AX630シリーズ」といった欧州市場向けに新たに投入する製品を展示している。
未来の上質なくらしを提案する、コンセプト展示「Better Living Tomorrow」
コンセプト展示は、「Better Living Tomorrow」として、家電と調和した住空間を展示し、キッチンやリビングなどの生活シーンに応じた新たな家電の価値を体験できる形でデモンストレーション。少し先の未来の上質なくらしを提案した。
火をかける場所を選ばないクッキングヒーター「Freestyle induction hob」や、Freestyle induction hobを利用して上下から熱を与えて調理できる「3D griller」、プレート上で冷たいままで保存できる「Cool plate」、熱をかけて自動的にかき混ぜることができる「Auto Stirrer」を公開した。
これらは、今年4月からアプライアンス社に、AVCネットワークス社から一部事業を移管。デジタルイメージング技術とネットワーキング技術、インテリジェントコントロール技術、各種センサー技術に、家電技術を融合したことで実現する新たなソリューションとなる。
さらに、鏡に向かうだけで肌の状態を確認したり、その日のスケジュールに最適なメイクなどを紹介。推奨する化粧品などを表示して、そこから購入できるといった近未来の様子も体験できる。
白物家電製品では、洗濯機・乾燥機では、欧州初導入となるオートケア機能や、独自のスチーム機能を切り口とした展示に力を注いでいる。これらは、資本および業務提携関係にあるスロベニアのゴレーネ(Gorenje)との協業によって実現したものも含まれており、提携から1年を経過してその成果が明らかになってきたといえよう。
本格化しつつある欧州市場への展開
また、IHクッキングヒーターをはじめとするビルトイン機器群を展示。クッキングエリアにおいては、パナソニック独自のIHクッキングヒーターの温度調理技術を強調。辻調理師専門学校の日本料理教授による調理も実演する。
調理小物商品の展示が増加しているのが特徴で、欧州市場への展開を本格化しつつあることが裏付けられる。
さらに理美容商品では、ナノイーの特徴を生かしたドライヤー、ヘアーアイロン、シェーバーなどを展示。プロのスタイリストによるヘアスタイリングショーなども行なう。
一方で、パナソニックのデザインフィロソフィーである「Future Craft」についても、それを具現化した代表的な商品を展示している。
参考展示としては、65型の曲面型の有機ELテレビの試作品を展示。これまでの展示は55型であったが、それを拡張した格好だ。
デジタルAVC関連では、スマートテレビ「VIERA」の4Kモデルの展示や、テレビやブルーレイディスクレコーダーに録画したコンテンツをどこでも楽しめる「TV Anywhere」、衛星放送をチューナーなしで楽しめる「SAT> IP」といった、欧州地域の独自機能も含めた多彩なサービスを紹介する。
BtoBソリューションでは、パナソニックが欧州で取り組む企業向けソリューションの事例として、電気自動車向け電池供給や住宅用エナジー関連システム、クラウドモニタリングサービスなどを紹介している。
4年ぶりに復活したTechnicsブランドは、歴代製品も展示
IFA 2014のパナソニックブースで最大の目玉となるのが、4年ぶりに復活したTechnicsブランドの製品だ。
欧州市場に先行投入する形で、約4万ユーロ(約500万円)のリファレンスシステム「R1シリーズ」と、約4,000ユーロ(約50万円)のプレミアムシステム「C700シリーズ」の2シリーズを初公開。
試聴ブースを設けたほか、1965年に発売した、Technicsブランドの第1号製品となるスピーカーシステム「Technics 1」をはじめとする、同ブランドの歴代製品を展示。欧州で認知度が高いTechnicsの歴代製品を懐かしむ来場者もいるだろう。