やじうまミニレビュー

イーゾン「あつあつ加熱パック」

~火がなくても加熱調理ができる防災&アイディアグッズ
by 藤山 哲人


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


イーゾン「あつあつ加熱パック」。「モーリアンヒートパック」という名前でも販売されている

 3月11日の東日本大震災から半年。先日は東北や近畿地方で豪雨で河川が決壊したり、大規模な土砂崩れが起きたりと、自然災害の怖さを思い知らされる日が続いている。

 今回紹介するのは、そんな緊急時の非常用持ち出し袋に、家族の人数分だけは入れておきたい加熱袋「あつあつ加熱パック」だ。



メーカーイーゾン
製品名あつあつ加熱パック
希望小売価格840円
購入店舗Amazon.co.jp
購入価格840円


災害直後の火が起こせない状況でも、温かい食事が食べられる

 この加熱袋は火を使わずに、水だけで食品などを加熱するというもの。災害時など、火が使えない状況の便利グッズとして使えるのだ。

 大規模な自然災害の直後には、電気もガスも利用できないということもあるだろう。この加熱袋が防災用品として役立つのは、そんな災害直後で火も起こせない状況だ。とくに冬ともなれば、暖をとる手段がない場合は温かい食事を食べるのが、一番体が温まるだろう。

 そこでこの加熱袋を非常用の持ち出しグッズとして、家族の人数分だけ用意しておくと、災害直後でも水と非常食があれば温かい食事にありつけるというわけだ。水道が通っていなくても、水だけは買い置きのミネラルウォーターなどを利用すれば良いだろう。

加熱用のバッグ、おにぎりなど水に浸したくない食品を入れる防水バッグ、発熱剤が3つ

 本製品のセットの内容は、加熱用のバッグ、おにぎりなど水に浸したくない食品を入れるための防水バッグ、発熱剤という3つの構成になっている。

 使い方は非常に簡単。まず加熱袋に発熱剤を入れ、そこにレトルト食品などを入れて、発熱剤の袋に書かれているぶんの水を加熱袋に注ぎ、最後に袋のチャックを閉めるだけ。発熱剤はアルミ粉末が使われており、水と科学反応することにより、発熱剤は最高でおよそ98℃まで熱を出す。チャックを閉じた袋の中は、水が蒸気となって、ちょうど蒸し器のような様態になる。この発熱剤はおよそ15~20分持つので、レトルトカレーとパックのご飯がちょうど温められる時間だ。

 以上が全体の概要だが、ここからは具体的な調理例として、レトルトカレーとごはんを同時に温める作業を、順を追って紹介する。

1)加熱袋に発熱剤を入れる

 発熱剤は、使い捨てカイロのように袋を開けた瞬間から発熱するのではなく、水を入れると発熱するタイプなので、特に急ぐ必要はない。ただし空気中の湿気を吸ってしまうので、1時間以内に準備すること。

加熱袋の材質は硬く、底が広く取られているので、5cm程度の幅のあるものを加熱しても、安定して自立する発熱剤は袋の底に寝かせて置いておく

2)食品を投入。水浸してもいいものはそのまま、ダメなものは防水バッグを活用

 加熱袋に発熱剤を投入した後は、食品を加熱袋に入れる。レトルトカレーやパックご飯のように、パックがそのままお湯に入っても問題がないものは、そのまま入れて問題ない。もし、おにぎりのようなものを加熱する場合は、防水バッグに入れ、チャックをしっかり閉じて、加熱袋の中に入れよう。

レトルト食品などを、直接加熱袋に直接入れるパックご飯は、レンジで温める場合は封を少し開ける必要があるが、本製品ではそのままボイルできる

3)発熱剤の袋の線まで水を入れ加熱袋に注ぐ

 加熱袋の中に水を入れる。発熱剤の袋がそのまま水の計量カップになっている点が便利だ。水を注いで10秒もすると、シューという音とともに蒸気が吹き出してくるので、加熱袋のチャックを閉めて、投入した食品ごとの調理時間だけ待つ。

水を注ぐ。発熱剤の袋がそのまま水の計量カップになっているため便利10秒もするとシューという音とともに蒸気が吹き出してくる
カレーとご飯が同時に15分ほどで温められた

 結果的として、アツアツのごはんとカレーのできあがり。おいしくいただきました。寒い日は辛いカレーにすると体の芯から温まるだろう。

 なお、パッケージには、1回に加熱できるものの目安として、以下のような表記があった。ごはんとおかずは一緒に温めた方が効率的だ。

 


食品1回で加熱できる分量
アルファ化米100g
レトルト食品300g
真空パックシュウマイ15個
水(密閉式のアルミ缶に入れる)400cc
350ml缶2つ
缶詰2つ

ふかしイモとミネストローネの調理にチャレンジ

 本製品は何もレトルトの温めだけに使うものではない。アツアツのふかしイモの調理にもチャレンジしたので、以下に写真で紹介しよう。

ふかしイモの調理にチャレンジ。ジャガイモをティッシュでくるむそれを水に浸して、防水バッグの中に入れる。今回は2個同時に調理できるかをテストしてみた
寒い日や加熱に時間のかかる調理をする場合は、バスタオルなどで加熱袋を囲って冷めないようにすると良い加熱袋の中は、6分後で94.4℃をマーク
30分経過したが、まだ87℃と熱いできあがり。全体的にはホクホクでおいしく食べられた。ただ中心から2cm程度は、まだシャキシャキとした食感もあった。ジャガイモは1個にしたほうが、芯まで熱が通るだろう

 ためしに40分ほどふかしたものを食べてみたところ、ちょっと芯が残っていた。どうやらジャガイモは1個にしたほうがよさそうだ。とはいえ、外側の部分はホクホクでおいしく食べられた。火なしでここまで調理できるのは素晴らしいぞ!

 さらに、ミネストローネの調理にも挑戦した。 防水バッグで作れる分量は、およそ2人前なので5人家族の場合は少し味を濃い目に作って、あとからお湯で薄めてもいいだろう。できたスープを取り出してみると、見た目はイイ感じだが、残念ながら完全に火が入っていないようで、野菜は硬いままだった。ミネストローネの場合は、2回ほど加熱してやる必要がありそうだ。

手軽なミネストローネ作ってみよう。材料はこんなかんじで、だいたい2人分程度だ加熱時間が限られるので、材料はできるだけ細かくして、防水バッグに投入。最後に固形スープの素を入れて準備完了タオルで包んで保温効果を高める。発熱剤は景気よく湯気を出している
1時間半すると、容器内の温度は62.3℃まで落ちた。さてちゃんとできているだろうか?見た目はイイ感じのしあがりだが、野菜がまだ硬かった。もう1個くらい発熱剤を使った方が良さそうだ


アイディア次第で災害からアウトドアまで広く使える便利グッズ

 ひと通り使ってみたが、災害時の備えにはもちろん、アウトドアや海外旅行にも使えそうだ。

 例えば、「車中泊」。字のごとくキャンプ場に行くのではなく、パーキングエリアやドライブイン、道の駅(国土交通省が運営するドライブインで2011年9月現在997駅ある)などに車を止めて、車内で1泊して旅をするというものだ。しかし、地方や山間部に泊まるとなるともなると、コンビニも少ない。あらかじめ調達しておいたレトルト食品を食べることもあるだろうが、15cm程度の小さなナベしか掛けられない携帯型コンロでは、カレーとごはんの温めも手間がかかる。

 しかしこの加熱袋があれば、携帯コンロよりも大きなものが加熱できるだけでなく、火を使わないので車内での調理も可能だ(ただし、換気は必要。また、極微量の水素が発生するので火気厳禁)。

 また、キャンプでも便利そうだ。2ツ口(ツーバーナー)のコンロを使って、片方でお湯を沸かし、もう片方で炒め物をやっていると、「スープを作るコンロがないじゃん!」なんてことに出くわす。しかし加熱袋を持参していけば、ちょっとしたコンロにも使えるのだ。

 長期の海外旅行にも良いだろう。2、3日の旅なら問題ないが、数週間も海外に滞在するとパン食に飽きてしまって、お茶漬けが猛烈食べたくなるなんて時がある。余談だか筆者が一番辛かったのはパキスタンでの滞在。とにかく何を食べてもカレー味、もしくはカレー風味(たとえばマトンカレーに、メインはカレー風味のローストチキンといった具合)。お茶漬けが欲しくてたまらなくなった。

 そんな時は、加熱パックとパックごはん、お茶漬けの素をトランクに入れていくといいだろう。国やホテルのランクによっては、お湯が部屋で沸かせる場合もあるが、防水バッグに現地調達したミネラルウォーターとパックご飯を入れて加熱すれば、簡単にお茶漬けができる。しかも外国で食べるジャパニーズファストフードは超ウマイ!

 このように「アツアツ加熱パック」は、防災グッズとしてはもちろん、工夫次第で使い方は幅広い。価格は1セット800円程度なので、とりあえずお試しで買ってみて使ってみるといいだろう。

 最後に「アツアツ加熱パック」が活躍するシーンをまとめておこう。

・災害直後の火が起こせない場合に備えた防災グッズして
・車中泊の加熱道具として
・キャンプの予備コンロとして
・長期の海外滞在のお供として

 世界で特許を取得中というこの加熱パック。まだまだいろいろな使い方を秘めてそうだ。





2011年 9月 16日   00:00