家電製品ミニレビュー

プロト「RITEX ASL-030」

~懐中電灯が一体になったLEDセンサーライト
by 伊達 浩二
プロト「RITEX ASL-030」

 東日本大震災以来、懐中電灯型のLEDライトや、周囲をまんべんなく照らすLEDランタンの人気が高い。震災時の停電に加えて、その後の計画停電の記憶が、まだ色濃く残っているからだろう。

 本日取り上げるプロトの「RITEX ASL-030」も人気商品の1つで、普段はセンサーライトとして使えて、イザというときには懐中電灯になるという卓上ライトだ。

 人感センサーは、暗い場所で、人が近づくと自動的に点灯するもので、廊下や階段のような、明かりを点けるのが面倒な場所に適している。懐中電灯を、いつも目に付くところに置いておけるというメリットもある。


メーカープロト
製品名RITEX ASL-030
標準価格3,150円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格2,380円

 

 なお、RITEXはブランド名で、メーカー名はプロトとなる。オンラインショップによっては、メーカー名がムサシと書かれていることがあって混乱している。調べてみると、プロトは輸入業を担当しているムサシの子会社だ。Webサイトは、ムサシと共有しているので、ほぼ一体の組織と考えてよいだろう。

 購入したのは5月だったが、この時点では品薄気味で2,500円前後の価格が多かった。現在は送料込みで2,000円を切っているところが多い。

少し大きめの本体

 到着したASL-030の本体は思ったよりも大きかった。太さは単一形乾電池と同じぐらいで、長さも20cm近くある。

 現時点では、メーカーのWeb上に製品情報がないようなので、細かく仕様を書いておこう。本体サイズは45×195mm(直径×長さ)、重量が約130g(電池除く)。LEDは日亜化学工業製の白色LEDで、卓上ライト用に2つ、スポットライト用に1つ配置されている。

ブリスター型のパッケージ背面に取り扱い説明が書かれているパッケージの内容。本体とホルダー、木ネジとコンクリートウォール用のプラグ、両面テープが入っている
本体正面。上から懐中電灯部分、センサー、センサーライト懐中電灯部分のアップ。レンズというよりも素通しに近い
重量は電池込みで175gだった30cm定規との比較。ほぼ20cmほどの長さ

 電源は単三アルカリ乾電池が3本。電池寿命は、卓上ライトで約25時間、スポットライトで約35時間、卓上ライトをセンサーモードで使うと1日10回点灯で約300日間持つとしている。乾電池は、片側に2本入れ、それと並べて、もう1本入る形になっている。

 スイッチはスライド式のものが1つあるだけで、「卓上ライト/センサー/OFF/懐中電灯」と書かれている。このスイッチは、どの設定になっているかが、わかりにくい。「卓上ライト」と「懐中電灯」は両端なので直感的に選べるのだが、「センサー」と「OFF」の区別がつきにくいのだ。せめて位置を示す白い線でも入れてほしかった。スイッチをOFFに入れたつもりで、センサーに入っていることが何度かあった。

電源は単三アルカリ乾電池3本。横に2本並べて入るので、本体は太い操作部分はスイッチ1つに集約されているスイッチのアップ。今どの機能が選択されているのかが、わかりにくい

明るい卓上ライト、やや物足りない懐中電灯

 まず、卓上ライトを試してみる。これは、かなり明るい。以前に紹介したELPA「PM-L255」という卓上LEDライトも明るいと思ったが、さらに明るい。LEDは2個だが、それをつなぐ白いチューブが散光するので、チューブ全体が光っているように見える。

 この製品をテーブルの隅に立てて置けば、ランタン代わりにして、2~3名で食事できる明るさがある。ランタンと違うのは、四方をまんべんなく照らすのではなく、90度ぐらいの方向を照らすことだ。なので、テーブルの真ん中ではなく、隅に置く必要がある。

以前にレビューしたELPA「LEDPM-L255」(右)との比較。懐中電灯部分だけ大きいELPA「LEDPM-L255」(手前右)は断面が三角だが、RITEX「ASL-030」は丸い
センサーライトを点灯した状態。白いチューブが散光するのでミニ蛍光灯のように見える。立てて使う時は、懐中電灯部分を下にすると安定する机での使用例。卓上は十分に照らせる

 次に、部屋の隅の棚に置いて試して見ると、ぼんやりとだが部屋全体が照らされて、どこに何があるかはわかる。もちろん、蛍光灯などの明かりとは比べものにならないが、4畳半ぐらいまでなら、家具を避けて歩くぐらいはできる。ただし、かなり近づけても雑誌などの文字を読むには明るさが足りない。周囲を照らすための明かりであって、読書には向かないのだ。

 懐中電灯として使うには暗い。最近の強力なLEDライトを見慣れた目には、物足りない明るさだ。また、最近のLEDライトは均一の明るさを持った円形の光で照らすものが多いが、この製品は明るいスポットが中央にあり、その周囲は一回り暗くなる。廉価な電球式の懐中電灯のような配光だ。

懐中電灯を点けたところきちんとしたレンズが付いたLEDライト(右)と比較すると、光が均一ではなく中央が明るいのがわかる懐中電灯として持ったところ。かなり大きい製品であることがわかる

センサーライトとして使う

 次にセンサーライトを試してみよう。センサーライトとして使用する場合は、スイッチを切り換えるだけで良い。点灯するのは、卓上ライトで、懐中電灯を点灯することはできない。

 この製品のセンサーは、集電式赤外線人感センサーというもので、熱源が動くことを探知している。センサーの範囲は、4mの距離で、横に100度、縦に50度と、やや狭い。それをカバーするために、壁などに固定する場合は、付属のホルダーを使用する。ホルダーは、かなり広く動くようになっている。ホルダーは凝った構造で大きめだ。

 ホルダーの固定用として、両面テープとネジ、コンクリート壁用のプラグも付属している。説明書によれば両面テープは仮止め用で、かならずネジで固定するようと記されている。今回は試用だったので、天井に両面テープで仮止めして使ってみた。

 本体が重いため、仮止め用の両面テープは非常に強力になっている。壁紙などが剥がれる危険性があるので、仮止めだからと言って、気軽に貼らないようにしたい。

付属のホルダーは、やや大きめだが、固定角度の自由度が高いホルダー部分のツメが、本体横の溝にはまって固定される
縦方向に傾けた例そのまま反対側に傾けたところ左右にも傾けることができる

 今回は廊下の天井に仮止めして、数日使ってみた。センサーの範囲は、あまり広くないが、高さのある天井に付けたことと、ホルダーを使って歩いてくる方向に向けることができるので、十分にカバーできた。

廊下の天井仮止めしてみたこんな感じで、歩いてくる方向へセンサーを向けることができる

 次に壁に取り付けようとしたのだが、ホルダーが大きいので、壁からかなりはみ出てしまい邪魔に感じる。ウチの廊下が狭いせいもあるが、本体とホルダーが大きめなので、存在感がありすぎるのだ。こういう用途には、もっと小型でシンプルな製品の方が向いているようだ。

 今は、台所のシンク脇に置いている。ホルダーを使わなくても、懐中電灯部分を下にして立てておくと、人が近づいたときに手元を照らしてくれるのだ。廊下や階段に設置する場合も、ホルダーにこだわらず、棚や窓枠などを利用するという手もありそうだ。

玄関での使用例。十分に明るい浴室での使用例。防水ではないので濡れないように注意が必要だ

 なお、横倒しにしておくと、本体が丸いことと、電池が偏っていることで、LEDチューブの部分が上を向いてしまう。本体だけで使う時は、立てて使う方が良い。

 センサーライトとして使っていると、電池寿命は気にならない。丸2カ月使っているが、電池の消耗は感じられない。ちなみに、メーカーの保証範囲外になるが、手元のエネループを試したところ、とりあえず問題なく動作した。

防災用品としてお勧め

 ASL-030は、センサーライトとして使うには、大きめのサイズに注意する必要がある。ホルダーも大きいので、狭い廊下などでは取り付け場所を選ぶところがある。むしろ、洗面台や台所の隅に立てて置くような使い方が向いている。ホルダーは多機能だが、もう少し、シンプルな構造で小さいものが有っても良いだろう。

 理想的な使い方は、廊下や階段の窓枠に立てて置き、普段はセンサーライトとして使い、イザというときに、そのまま握って懐中電灯や簡易的なランタンとして使う、というあたりだ。防災用品として、お勧めできる製品だ。

 とくに卓上ライトとしての実用性は高い。可能性が低くなったとはいえ、計画停電時などには重宝すると思う。懐中電灯としては、実用的に使える範囲だが、せっかくのLEDライトなので、もう少し光学系をがんばると、良い製品になるはずだ。






2011年8月22日 00:00