やじうまミニレビュー

墨運堂「PopCornゆび筆」

~“もしも自分の指先が筆だったら?”を実現した筆記具
by 小林 樹


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


墨運堂「PopCornゆび筆」

 子供の頃、電車の曇りガラスに指を押し付け、絵を描いた経験はないだろうか。指先が筆記具になったような感覚に、夢中になったものだ。今回ご紹介する「PopCornゆび筆」(以下、ゆび筆)は、実際に指でじかに絵や文字を描く楽しみを味わえる製品だ。

 ゆび筆は、先端部分が毛筆になっており、指先に装着して使う点が特徴。奈良の書道用品メーカー「墨運堂」が開発したれっきとした筆の一種なのだ。


メーカー墨運堂
製品名PopCornゆび筆
希望小売価格735円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格735円

 ゆび筆の本体を見てみると、サイズは親指より少し大きい程度で、黄色い6本の触手状の部分がホルダーになっている。ここに指を差し込んで装着すると、字を書いたり、絵を描くことができる。ホルダーは普通サイズと指の太い人用の2種類があり、筆先の太さには、細、中、太の3種類があり、今回私は普通サイズの中の太さを購入した。

パッケージ。指サイズを確認できる穴が開いている。今回使用した中サイズだと、指の直径は13mmが目安裏には使用法などが記載されている
指を差し込むホルダー部は触手のようホルダーがしっかり指をくわえ込むのでブレない

 さっそく指を差し込んでみると、ホルダーが指に吸い付くような感覚で、指先がしっかり固定された。そのまま用意した墨汁を含ませて、半紙に文字を描いてみる。毛は硬すぎず、柔らかすぎず、さらさらと半紙の上を滑るので、描き心地は、筆で書いている時と大差ない。墨汁の香りが、小学校の書道の授業を思い出させる。

 ちょうど正月シーズンだったので、仲間を誘って今年の抱負をしたためることにした。書き上げたものを見てみると、一見、普通の毛筆で書いたものと変わりない。トメ、ハネ、ハライなどは、慣れればそれなりに表現できてくるものだった。

 文字を書く道具としてみると毛筆にはかなわないが、指で文字を描いたときの想いや勢いがダイレクトに伝わるのはゆび筆ならでは。毛筆とは違った面白さがある。

墨汁をたっぷり含むことができる書初めしてみました
トメ、ハネ、ハライも、それなりに表現できる使用したのは中の太さのゆび筆だが、文字の太さは力のかけ具合で変えられる

 次に、ゆび筆で思い思いに絵を描いてみた。字を描いた時と違って、絵を描くのにはこう書かなきゃいけないという縛りがない。自由に気ままに適当に、シュルシュルと筆を動かせる。なんだか不思議な解放感がある。

ドラム式が欲しくてつい…カニが食べたくてつい…
線の太さは、含ませる墨汁の量と筆圧によって操れるので、表現の幅は広い水を含ませれば絵筆のように濃淡も表現できるもちろん普通の絵の具でも絵が描ける

 線の太さは、含ませる墨汁の量と筆圧によって操れるので、表現の幅は広い。墨汁以外にも普通の絵の具も使えるし、上記の画像のように、水を含ませれば濃淡も表現できるので、絵筆としても十分に使えるものだ。ほかにも、ゆび筆を同時に何本も指にはめて、それぞれ違う色の絵の具で絵を描くなんてこともできるかもしれない。自分次第で様々な使い方ができるのだ。描けるものの幅が広がる平筆タイプのゆび筆があると、なお嬉しいと思う。

机に立たせておけるので、使う時に便利指にはめたままマウス操作も可能中太の筆は、細かい文字を書くには太すぎた

 嬉しいのは、机に立たせておけること。墨汁や絵の具が机を汚すのを防いでくれるし、場所もとらないので便利だ。

 ちなみに、こんな使い方する人がいるのかどうかわからないが、指にはめたままマウスを操作することもできる。筆ペンとして使いたければ、今回私が試用した中太の筆でなく、一番細いタイプを選んだほうが無難だろう。

 ゆび筆の製品ページでは「脳と指と画面が一体につながり、感性が感知できるタンジブルメディア」と紹介されていた。“タンジブル”とは情報に直接触れるというような意味であるらしい。初めて読んだ時は正直、言ってる意味がわからなかったが、実際にゆび筆で描いてみると、確かにそんな感じがする。自分の想いが指を伝ってそのまま線となり形となっていくのは面白い。

 ゆび筆で童心に返って無邪気に楽しむも良し、感情の赴くままに描き殴ってストレス発散にするも良し。子供の玩具と侮ることなかれ。自分なり使い方を発見するのも、ゆび筆ならではの楽しみである。気になった方はぜひ、この不思議な感覚を味わっていただきたい。


2011年 1月 19日   00:00