やじうまミニレビュー

卓上メモ「マメモ TM1」

~紙のメモよりも便利で経済的な“電子メモ”
by 藤山 哲人


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


キングジムの卓上メモ「マメモ TM1」

 パソコンが一般に普及し始めた20年ほど前の話。これからは、書類はすべてパソコンのディスクに記録し、手紙類もすべてE-mailになり、手帳はザウルスをはじめとした電子手帳に取って代わって、オフィスに紙がなくなる“ペーパレス オフィス”の時代がやってくる、なんて予測があった。

 が、20年を経過した今、オフィスは未だに紙であふれ返り、ちょっとしたメモはメールじゃなく、付箋紙に書いて手渡されている。一般家庭でも紙が増える一方。今では、近所のスーパーでA4のコピー用紙を500枚を1箱も買い求めるひと人ヒト……20年前には決してなかった光景だ。電源を入れてしばらくたたないと使えない電子機器にくらべ、紙は鉛筆さえあれば起動時間0秒で済んでしまうという便利さはまだまだ健在だ。

 そんな現代のメモ事情に一石を投じてきたのが、キングジムの卓上メモ「マメモ TM1」だ。


メーカーキングジム
製品名マメモ TM1
希望小売価格6,279円
購入店舗Amazon.co.jp
購入価格4,527円

起動時間0秒! 紙と同じ“メモ感”を再現

 マメモは、付属のペンで画面をタッチするだけで、メモを書いたり、既に書かれたメモを起動時間0秒で表示できる“電子メモ帳”。紙を使わずにメモが取れるため、ポストイットやメモ用紙を使う必要がないのだ。

 さっそく使ってみたいので、使用準備にとりかかる。まずは電源となる別売の単4アルカリ電池、もしくはエネループを3本入れ、言語の設定で「英語」か「日本語」を選択。次に、画面に表示されるいくつかの+印をペンでタッチして、表示する液晶とタッチパネルの誤差を修正する(タッチパネルの機器ではおなじみ)。

 ちなみに、電池としてエネループを使う場合は、「乾電池の選択」の画面でエネループを指定する。マメモは、エネループに最適化したモードを搭載している。エネループ以外のニッケル水素電池を使う場合も、エネループを選んでおいた方がいいだろう。

 最後に日時の設定をすれば終了。セットアップの時間は1分もあれば終わるハズだ。

使用前にはいくつかの準備が必要。まずは言語の選択。これは説明が日本語になるか英語になるかの違いで、機能差はない画面に表示される+印をペンでタッチし、液晶とタッチパネルとの誤差を修正する。ここをテキトーにやると、書いた場所と表示場所がズレてしまうので注意
電池の選択。アルカリ電池とエネループの違いは、初期電圧が1.5Vか1.2V、終止電圧(いわゆる寿命です)が0.9Vか1.0Vの違いなので、恐らくバッテリの容量表示などに関係しているのだろう時計の設定。指定の時刻にアラームを鳴らす機能(後述)もあるので、当然だが正確にあわせると良い

 画面のサイズは、8cm四方の大きな付箋紙と同じ程度。ただしこれはアイコンを含んだ大きさで、実際にメモを書き込めるのは、上部の約41×66mm(縦×横)の部分のみ。一般的な付箋紙の2枚分相当と言えば分かりやすいだろうか。解像度は159×256ドット(縦×横)で、数値から見るとかなり解像度が低く思えるが、実際に字を書いてみると、大きな文字なら20文字程度、小さい数字だけを書くなら14文字で7行ぐらいは書き込める。

画面の大きさは、大きな付箋紙と同じ程度。ただしメモを書き込めるのは、一般的な付箋紙2枚分程度。3.08インチとのことだこのぐらいの文章量なら1枚に書き込める

 新しくメモを書く場合には、液晶下部に並んでいるアイコンの左から2番目をタッチ。これで真っ白なメモ帳が表示され、自由に絵や文字を書き込める。多少電子機器を使い慣れていればマニュアルを見なくても使いこなせるはず。最大99枚のメモが書けるので、よほどのことがない限り、メモ帳が足りないなんてことにはならないだろう。

 ここで便利に感じたのが、時刻入力機能だ。メモを書いている最中に時計をタッチすると、メモの右肩にタイムスタンプを打ち込めるというもの。とくに電話のメモなどで便利に使えそうだ。

 以前に書いたメモを見るには、アイコンの両端にある矢印をタッチするだけ。通常は時計が表示されている部分は、総メモ数と何枚目のメモを表示しているかに切り替わる。不要になったメモは、コミ箱のアイコンをタッチし、確認メッセージでOKを選ぶと、そのメモを削除できる。

アイコンは左から、前のメモを表示、新しいメモ、メモ帳にアラーム設定、アラームON/OFF、時刻(メモ表示中は、メモの数)、メモを捨てる、設定、電池容量、次のメモを表示のアイコン、となっている新しいメモのアイコンをタッチすると、真っ白なメモ帳が追加される。メモの右上にタイムスタンプを打てる

左の矢印をタッチすると前のメモ、右をタッチすると次のメモが表示できる不要なメモを表示して、ゴミ箱をタッチ。確認メッセージが表示されるので、不用意に消してしまう心配がない。

 このほか、設定アイコンをタッチすると、画面のコントラストやペンの太さなどを設定できる。ただし消しゴム機能はないので、フィーリング的にはボールペンでメモを取っている感じだ。この設定画面では時計合わせのほか、書いたメモをすべて削除するなどの機能も備えている。

 ちなみに、本体に電源OFFスイッチはなく、30秒放置しておくと自動的に電源が切れるようになっている。電池の寿命は通常のアルカリ乾電池で7カ月、エネループで6カ月とマニュアルに記載されているが、これは1日にメモを50回表示させ、20回の書き込みをした場合。一般家庭使うなら、もっと長持ちするだろう。メモの内容は、デジカメと同じ不揮発性メモリに記録されるので、電池交換をしても内容が消えない点もポイントだ。

 最後になったが、実はマメモに残したメモは、マメモ以外で見られない。PCやプリンタへアウトプットする術がまったくないのだ。個人的にはやはり、USBでパソコンに転送したり、赤外線通信で他のマメモにメモを転送するといった機能が欲しいところだ。

コントラストの調整やペンの太さを変えられる。メモを書いている最中に太さを変えることもできる細いペンは、線が細すぎて見えにくいかも?

電子メモ帳ならではのアラーム付きToDoメモ

 マメモでは、電子メモ帳ならではの機能として「ToDoメモ」というのがある。これは、メモを書いたあとにToDoのアイコンをタッチすると、指定時間にアラームを鳴らしメモの内容を表示する機能だ。

 指定の日時になるとアラームが鳴り、そのメモの内容が表示される。若干音が小さいが、もしアラーム音に気がつかなかった場合は、アラームアイコンが点滅するので、予定時刻が過ぎたことが分かるようになっている。

 日時の指定もできるので、見たいテレビ番組をメモしてToDoにしておくのもいいだろう。ビジネスシーンでは、手帳やパソコン、携帯端末で管理している人がほとんどだと思われるので、「荷物が何時に着く」といったその日の簡単なToDoに使える。

ToDo機能を使うには、メモを書いたあとで「ToDo」をタッチアラームを鳴らす時刻をセットして完了


マメモはスタティック(静的)なシーンで活躍!

 ここまでマメモの基本機能を見てきたが、マメモが活躍するのはどのようなシチュエーションだろうか。改めて「メモ」というものを考えてみると、使い方は大きく分けて2つのタイプがあることに気付く。

 1つはスタティック(静的)なメモだ。電話機の近くに置いてあるメモ帳や、冷蔵庫にある家族の連絡メモがソレだ。会社では、放出品やお土産置き場にある「みなさんでどうぞ」と書いてあるメモが相当するだろう。この手のメモは置き場所が決まっていて、その場所にずっとあることでメモとしての機能を発揮するものだ。

 もう1つはダイナミック(動的)なメモ。家族や仕事仲間に書いたメモを回覧したり、電話を取り次いだときのメモが代表だ。

 現時点で、マメモが機能を発揮するのは「スタティックなメモ」だろう。赤外線通信でメモをほかのマメモに送れるようになればダイナミックなメモにも対応できるが、マメモには現時点でアウトプット機能はない。メモを移動して使うシーンには、マメモは向かないだろう。

 その点を踏まえると、マメモが活躍するのは、次のようなシーンだ。

・窓口業務で大活躍

 尋ねてきたお客様の名前や、尋ね先の部署や担当者を頻繁にメモしている受付業務では大活躍間違いなし!

・電話メモとして最適

 会社でも自宅でも、電話のそばに置いておけば、電話番号や内容をメモするのに便利に使える。また自宅であれば、伝言メモ帳としても十分に使えるはずだ。

受付業務などでは、マメモが大活躍すること間違いない。はっきりいって鉄板だ電話の脇に置いておけば、家庭でもオフィスでも、内容をメモするのにちょうどいい

・ダイニングの家族コミュニケーションツールとして

 いつもダイニングテーブルの上に置いておけば、家族同士のコミュニケーションツールとしても便利だ。ありきたりだが「おやつが冷蔵庫に入ってます」「昼ごはんはチンして食べてね」と言ったメモを残すのに便利だろう。

・子供の落書き帳として

 ウチでは1週間ほどダイニングの上にマメモを置いていたのだが、一番書き込みが多かったのが子供の落書き(笑)。中には超気合の入ったものまで残されていた。

・屋外作業のメモ帳として

 工作が趣味の筆者は、外で金属や木材を加工するシーンが多いが、ちょっとした寸法をメモした紙を置いておくと、風の強い日は作業中どこかに飛んでいってしまう。その点、このマメモなら重量があるので多少の風が吹こうとも飛んでしまうことがない。D.I.Y用のメモとしても重宝する。

「冷蔵庫にケーキあるよ」など、家族のコミュニケーションツールとして、ダイニングキッチンに置いておくのもいい娘がマメモで落書きしやがった! でも、ニンテンドーDSに慣れてるだけあって、うまく描けてるじゃん!これも娘の落書き。「不動神」って何っ! 気になる~!

 というわけで、上記のようなスタティックな環境であれば、マメモは紙のメモ帳よりも便利で経済的に代用できるだろう。身の回りで紙のメモを使っているシーンがあれば、ひとつ導入してみてはいかがだろうか。




2010年 8月 16日   00:00