やじうまミニレビュー

センチュリー「ボイスけむりの見張り番」

~壁に穴を開けない、賃貸住宅向け火災警報機
by 正藤 慶一

センチュリー「ボイスけむりの見張り番」
 2010年4月1日、東京都のほとんどの地域で、既存住宅への火災警報器の設置が義務化されるのをご存じだろうか。

 消防法の改正により、2006年より新築住宅に対する火災警報器の設置が全国的に義務化されたが、既存住宅についても2008年頃から一部地域で義務化が始まっており、東京都でも今年の4月1日よりスタートするのだ。実際のところは“設置の義務化”と言いながらも、設置しないことによる罰則規定はなく、拘束力はほぼ無いに等しいのだが……。

 しかし個人的には、今すぐにでも火災警報機を導入したい。というのも、先日ガスコンロの火を3時間ほど付けっぱなしにしてしまい、冷や汗をかいたことがあった。大事には至らなかったが、もしもの時のための備えとして、ぜひとも設置しておきたかった。

 そこで選択したのが、センチュリーの「ボイスけむりの見張り番」である。

メーカーセンチュリー
製品名ボイスけむりの見張り番専用取付板
直販価格4,580円400円

 煙で火災を感知する、いわゆる「煙式」の電池式警報機。煙を感知すると、警報音とともに「火事です、火事です」という大音量の音声が鳴る仕組みになっている。他の部屋の警報機と連動できる「移報接点」機能は備えていない。本体サイズも99×39mm(直径×高さ)と標準的で、言ってしまえばスタンダードな機能の警報機である。

本体サイズは99×39mm(直径×高さ)という、標準的なもの裏面のカバーを取り、付属のリチウム電池をセットすれば準備完了。ヒモは点検や警報の停止などに使用する
本体下部の「警報停止」ボタンを1秒ほど押せば動作確認、2秒以上押せば警報音が流れる。警報音は当然ながらかなりうるさい。これならいざという時にも気付くだろう

別売りの専用取付板(写真左)を使えば、壁に穴を開けずに取り付けられる。右の本体パッケージにはテープは含まれておらず、ネジ類だけなので注意
 この「ボイスけむりの見張り番」の良いところは、別売りの専用取付板と両面テープのセットを使って、壁に取り付けられるという点。他社の製品を見ても、テープを使っての設置を推奨しているところはない。しかも、取付板に同梱されているテープが優れものなのだ。

 両面テープで取り付けるメリットは2つある。まず1つは、取り付けがラクなこと。一般的に、火災警報機の取り付けには、ネジやビスなど、壁に穴を開けて取り付けるものが多い。そのため、ドライバーなどの工具が必要になる。その点本製品なら、両面テープで取り付け用の板を貼り、そこに火災警報機本体をハメ込むだけ。ハッキリ言って、簡単である。

 2つ目は、壁に穴を開けずに済むため、賃貸住宅に使いやすいという点。賃貸住宅の場合、ネジなどで壁に穴を開けると、引っ越しの際に敷金から壁穴の修繕費を引かれてしまう、なんてケースも考えられる。もちろん、大家さんに「これは義務です!」と主張すれば免除されるかもしれないが、本製品ならテープを剥がすだけで、入居当初の状態にすぐ戻せる。

 テープには、剥がした跡が残りにくくきれいに剥がせる、3M社の「コマンドタブ」を使用する。「テープ跡が残って逆に修繕費を取られるのでは……」ということを心配することもないだろう。引っ越し先でも、コマンドタブだけを購入すれば貼り替えも簡単にできる。

 というわけで、賃貸住宅の我が家の寝室に取り付けたのが以下の写真だ。なお、東京都では、全ての居室、階段、台所に設置が必要としている。

「専用取付板」のセット内容。板(左)とテープがセットになっている。テープはくっつきやすく剥がしやすい、3Mの「コマンドタブ」まずは専用取付板を壁に取り付け、その上から警報機をセット。取付板を取り外す場合は、板からハミ出るタブを引っ張れば良い警報機を取り付けたところ。ガタついたり剥がれることもなく、非常に安定している

壁紙には取り付けられないため、押し入れの柱部分に設置した
 上の写真で、壁面に取り付けず、押し入れ脇の柱に付けているのには訳がある。このテープ、板壁や柱、金属面には問題ないが、壁紙には十分に粘着しないため、取り付けられないのだ。購入する方は、まずは自宅の壁回りをチェックし、取り付けられそうな場所がるかどうかを確認すると良いだろう。また、基本的には「壁面用」なので、天井への取り付けは推奨されていない点にも注意したい。

電池が切れる10年後に、メーカーから連絡が入るという面白いサービスも用意されている。申し込みは同梱のハガキで
 本製品にはおもしろいサービスがある。それは、同梱のハガキをメーカーに送ることで、同梱の電池が切れる10年後、手紙・電話・メールのいずれかで、電池交換を促すよう連絡が入るというもの。これにより、電池切れに気付かないという不測の事態を防ぐ狙いがあるのだ。しかも同社によれば、例えメーカーが倒産しても、他社がその連絡業務を引き継ぐということになっているとのこと。本当に役に立つかはその時にならなければわからないが、手紙を地中に埋めて数年後に掘り返す「タイムカプセル」のようで面白い。なお、電池切れや故障を明かりや音声で知らせる機能も備わっている。
 

 他の部屋の警報機と連動する機能を備えていない、スタンドアローンな製品のため、一戸建てなど部屋数が多い家庭よりも、ワンルームなど少人数世帯向けの製品といえるだろう。賃貸住宅にお住まいの方は、とりあえず1台購入してみてはいかがだろうか。



2010年1月5日 00:00