やじうまミニレビュー

無印良品「自分でつくる クリスマス ヘクセンハウス」

~憧れのお菓子の家を作る
by 藤山 哲人


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


無印良品「自分でつくる クリスマス ヘクセンハウス」

 男女を問わず子供の頃にあこがれたものがある。

グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」に登場した「お菓子のお家」だ。

 枕元で読んでもらったお話に耳を傾け、お菓子の家に憧れ、甘い夢を見たことがあるだろう。そんな読者も今となっては、お菓子より100万円札束のレンガでできたお家に憧れるようになってしまったが……。

 とはいえ、お菓子のお家は子供にとって永遠の夢。それをかなえてくれるのが、無印良品の「自分でつくる クリスマス ヘクセンハウス」だ。


メーカー無印良品
製品名自分で作るクリスマス ヘクセンハウス
購入場所無印良品ネットストア
販売価格945円


 かなり難易度は高いが、親子で作ればクリスマスの飾りになるだけではなく、食べられちゃうというご褒美まである。クリスマスには気が早いかもしれないが、製作工程を中心に筆者と娘たちの功労をお届けしよう! そう。コレ結構、苦労するのよ……


午後3時:まずは生地作りからスタート!

なんだかワクワクするセット内容

 お菓子のお家の素材は、すべてクッキー。これらを接着するのは、アイシングと呼ばれる粉砂糖と卵白を混ぜたものだ。パッケージ写真の屋根に乗っている白いものは、クリームではなくアイシングというわけ。

 パッケージに同梱されているものは、クッキー用の粉、家のパーツを切り出す型紙、色をつけるココアパウダー、アイシング用の粉砂糖と絞り器、飾り用のサンタと組み立てマニュアルとなっている。

 自分で用意するものは、砂糖とバター、牛乳にたまごなどの食材。これに加えてクッキーを切る道具に、割り箸やサランラップ、オーブンシートなどがある。

 まずはパッケージ裏に書いてあるクッキー生地の作り方とパーツの切り出し方を熟読して、全体を把握して欲しい。説明では制作時間3時間とあったが、実際はもっとかかるので午前中、もしくは午後の早い時間からスタートするといいだろう。ちなみに我が家は、3時からスタートした。

溶かしバターにココアパウダーを入れて生地の材料を準備こんな感じのココアバターのできあがり。簡単!かんたん!

 まずはクッキーの生地作りから。写真のように、茶色いクッキーを焼くためココアバターを作る。これぐらいなら、お菓子初心者の筆者でも余裕だ。

 次にクッキーの生地作り。バターに砂糖を入れ、よくなじむまで混ぜ合わせる。甘いものをほとんど食べない筆者は、大量に投入された砂糖を見てビックリしたが、クッキーってそんなモンらしい。そりゃ太るわ……

大きめのボウルに溶かしバターを入れるそこに砂糖を入れ混ぜ合わせるこんな感じになるまで混ぜる

 塊になったところへ、同梱のクッキーの粉と牛乳をさらに混ぜ合わせる。手作りクッキーはよくおやつに出ていたが、製作現場を見たのは初めて。なんか楽しそうだ。

クッキーの粉をすべて投入たまご(半分)を入れて……牛乳も混ぜる

 さあ、これからが大変だ。説明にはヘラで混ぜるとあったが、ぜんぜん生地にまとまらず粉っぽい。さすがに小学3年生の力では無理があったのか、見るに見かねた中学2年のお姉ちゃんが登場!

ヘラではぜんぜん歯が立たない……クッキー作りの経験者であるお姉ちゃんが介入行動に入る! 少しまとまったが、まだ粉っぽい痺れを切らした母が軍事介入! どんどんツワモノが出てくるぞ!

 筆者はクッキー作り未経験なので見守るしかない。中学2年の姉の力を持っても生地が粉っぽいということを耳にすると、今度はクッキー作りの長老である奥さんが介入! これでようやく生地として塊になった。

 できた生地の1/4程度を取り分け、先に作ったココアバターを混ぜて、色の付いた生地作りをしていると……生地が硬く中学生の姉をもってしてもマーブルに、母が介入しても改善が見られず、筆者はただ見守るだけ。そこに奥さんが新兵器、フードプロセッサーを導入してきた。

均一に混ざらずマーブルになってしまう新型兵器を導入。こういう場合は「フードプロセッサやミキサーで生地を混ぜるといい」という長老からの通達
一瞬で均一に混ざり、フレーク状のクッキー生地ができる熱が入ったためか生地が柔らかくなり、小学生でも簡単にコネられるようになった

 どうやらクッキー生地を混ぜるときは、部屋の温度を高めに設定してやるか、ミキサーやフードプロセッサを使うといいらしい。同様にして白い生地もフードプロセッサにかけたところ、粉っぽさは一気に解消された。

 あとは生地を伸ばすだけ。っと、その前にお菓子の家のパーツの型紙を切る作業が待っている。この型紙を元に、生地を均一に伸ばしていこう。

オーブンシートに印刷された型紙を切り取る切り取った型紙と生地の大きさを比べながら、パーツが取れる面積に伸ばしていく厚さを均一にするため、コンビニの割り箸(竹製)を使った

 厚さを均一にする必要があるので、生地の両脇に割り箸を置いて伸ばすといい。同梱されている生地の分量は、厚さ4mmが基準になっているので、分厚いとパーツが取れず、薄いと生地が余ってしまう。厚さも重要なポイントなので注意しよう。

 すべての生地を伸ばし終えたら冷蔵庫の片付けだ。そのままの生地では柔らかすぎて、パーツの切り出しができないので、冷蔵庫で30分以上冷やして生地を固まらせる。

午後7時:家のパーツを切り出そう!

 切り出し作業をする前には、机に少量の水を広げ、そこにラップを掛けて机が汚れないようによう。これをやらないと、机も生地も大惨事となる。

 生地を冷蔵庫から取り出したら、素早く型紙を当ててパーツを切り出していく。室温まで生地が温まってしまうと、粘性を取り戻し作業しづらくなるから注意しよう。

 パッケージ裏の説明では切り出しに包丁を使っていたが、大きいパーツや直線はピザカッターが圧倒的に便利。手元にあればぜひ活用して欲しい。

大きなパーツの切り出しは、楽しく作業できるパーツを切り出しては、余分な生地をもう一度コネて板状にしてを繰り返す

 型紙には生地の色と必要枚数が書かれているので、パーツを切ってはオーブンのテンパンに乗せていこう。中には星型の小さなパーツなどもあり、ピザカッターや包丁だと太刀打ちできないものもある。こんなときは、きれいなカッターナイフやデザインナイフを使うと作業がはかどるかもしれない。

 なお写真を見ていると楽しそうに見えるかも知れないが、切り出すパーツは全部で48点! 一気に切り出すならいいが、パーツを切っては余りをコネてもう一度板状に伸ばし……を繰り返すので、作業量は思ったよりも多い。最後の方になると、楽しさはなくなり、完全な労働になってくるので覚悟して欲しい。我が家の場合は家族総出の人海戦術だったが、独身でコレを作るのは強い忍耐力と、寂しさに折れない心の翼が必要だ。カップルなら何をやっても楽しいハズなので、勝手にやってクレ!

 すべてのパーツが切り出せたら、170℃のオーブンで15分ほど焼く。パーツが多いので、家では2回に分けて焼き上げた。

できたては柔らかいので、平らな机の上に置いて硬くなるまで冷やすこと家の壁にレンガ模様を入れたりする余裕がなく、シンプルな一戸建てのパーツになってしまった小さいパーツもこんなにたくさんある

 もし自分でこのキットを作るなら、屋根や壁にナイフや楊枝などを使って飾りつけをするといいだろう。我が家ではパーツの切り出しに必死になりすぎて、飾りを一切忘れてしまった。っつーか、そんな余裕がなかったというのが正しいかも?


 さらに致命的な忘れ物も! 艶出し用のたまごの塗り忘れだ! 焼き上がりにポツンと机の上にたたずんでいた、解きたまごがシュールだったことを書き加えておこう。

 さて、パーツがすべて焼きあがった時刻は、午後9時!

 途中で夕食を食べたり、お風呂に入ったりしていたものの、3時スタートですでに6時間を経過している。

午後9時:あせりは禁物! くっ付けては冷やしを繰り返す組み立て

 お菓子の家の棟上げ式を始める前に、まずアイシングなる接着剤を作る。同梱の粉砂糖に、卵白を半分ほど入れかき混ぜる。これにレモンを数滴たらすとクリームのように滑らかになる。あまり柔らかいと作業が大変なので、卵白の量を調整して固めのアイシングを作るように心がけたい。

卵白に粉砂糖を入れてよく混ぜ合わせる。レモンを入れると滑らかになるので、泡だて器の中でダマになる程度硬くするといい。ちょうどコンクリートぐらいになるのがいいみたいだレモンを入れてかき混ぜると、生クリームのように滑らかになる。なめるとかなり甘い 

 できあがったアイシングは、同梱の絞り器に入れて接着剤と同じ要領で使う。接着部分には、かなり多めにアイシングを盛っておかないと、クッキーの歪みなどで隙間ができてしまい、なかなか接着できないので注意だ。

アイシングを盛ってパーツを組み立てるクッキーが割れてしまった場合もアイシングで接着。なかなか硬化しないので、輪ゴムなどで仮止めしながら作業する

 本当は、各パーツを接着しては冷蔵庫で冷やして固めるという作業を繰り返すのだが、時間的にソレは無理(笑)。なにしろこの時点で午後9時半を過ぎており、小3の娘は眠くてリタイヤ。小6の娘は、ハナから興味ないので、頼れるのは大きなお姉ちゃんだけだ。ガンバレ! 父は見守っているゾ!

小さいパーツも丹念に作る。眠む~煙突にかけるハシゴができた!

 アイシングが固まる前から次々に組み立てていったので、家が崩壊すること数回。それにもメゲずに、午後10時やっと完成した!

アイシングを絞って……屋根や煙突を取り付けていく……完成したら冷蔵庫で1時間ほど冷やす

 そして完成したのがコレ! 時刻は夜中の12時。取り掛かってから9時間後である! ふぅ~。疲れた。

できてみると、なかなか可愛いものになった同梱のサンタは煙突から進入中アイシングが雪のようでクリスマスにはピッタリ

 翌朝、奥さんの「机においてあったクッキーハウス。子供たちが喜んでたよ」ってセリフが、せめてもの救いだ。ぜひ親子でこの罰ゲーム、いや、クッキーハウス作りにトライして、絆を深めて欲しい。

 パッケージには対象年齢などの記載はなかったが、お菓子作りが得意な子なら中学生以上、まったくお菓子を作ったことのないという人なら、大人でも「少し」難しさを感じるだろう。

 パーツの組み立てでは、技術の腕も試される。プラモデルや工作が得意な子であれば中学生以上、まったく経験のない場合は大人でも「かなり」難易度が高い。

 男女を問わない「技術・家庭科」を教わっている中学生以上には、とってもいい勉強になるはずだ。なにより現代っ子に欠けている忍耐力が鍛えられる。




2009年 12月 3日   00:00