やじうまミニレビュー
セイコークロック「KR885N」
~手回し充電や携帯電話の充電が可能な、ライト付き目覚まし防災クロックラジオ
by 片岡 義明(2013/9/10 00:00)
防災時に役立つライトや手回し充電機能、携帯電話およびスマートフォンの充電機能などを搭載した多機能ラジオが数多く発売されているが、今回紹介する「KR885N」は、それらの機能に加えて、目覚まし時計としても使用できるクロックラジオだ。
ふつうの防災多機能付きのラジオと違って、平常時には目覚まし時計として使うことを想定しているので、時計部分が大きく、さらにスヌーズ機能も搭載されている点が特徴だ。
メーカー | セイコークロック |
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製品名 | KR885N |
希望小売価格 | 8,925円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 5,618円 |
さっそく本体の様子を見ていこう。サイズは170×67×157mm(幅×奥行き×高さ)。本体重量は約500gとなっている。
電源は単三形アルカリ電池3個に加えて、容量800mAhのニッケル水素充電池も内蔵しており、手回し充電で内蔵充電池の充電も行える。このほか、別売りのACアダプターにも対応する。なお乾電池とACアダプターを併用している場合は、ACアダプターが優先される。
外観で目立つのは上部に搭載された大きなハンドルだ。持ち運ぶ際に握りやすく、ハンドルの上部にはライトの点灯ボタンが付いているので、点灯/消灯の切り替えもしやすい。LEDライトはランタンのようにして部屋全体を照らせるほどは明るくないが、夜道を歩く際に使う分には十分な明るさだ。
手回し充電を試す
手回し充電を行うときは、このハンドルを引き起こして回すだけで充電ランプが点灯する。ハンドルの回転方向はどちらでもOKで、回し始めはゆっくりと、そのあとは1秒間に2回転のペースで回転させる。ハンドルの回転は重すぎることなく、変な引っかかりもなくスムーズに回せる。
手回し充電を2分間回した状態で、時計のみでは約8日、ラジオは約15分、LEDライトは約25分使えると説明書には記載されている。実際に残量がほぼゼロの状態から2分間回して試してみたところ、LEDライトは28分2秒、ラジオ(FM)は15分57秒間使用できた。
ハンドルの回転を止めると液晶画面に数秒間、バッテリー残量が表示される。この手の商品で充電池の残量を確認できる機能を持つものは少ないが、この製品なら安心だ。また、平常時でも本体背面の充電ボタンを押せば、約2秒後に液晶画面に残量が12秒間表示される。
ちなみに、内蔵充電池の残量がゼロに近付くと、残量表示のアイコンが点滅し、ラジオとライトと非常用ブザーは使えなくなる。ただし時計だけは点滅表示後も約8日間は使用可能だ。
USBやACからも充電できる
内蔵充電池は手回し充電のほか、USBで充電することも可能で、付属の充電用コードと充電用アダプターを使ってPCやモバイルバッテリー、USB ACアダプターなどのUSB端子に接続する。充電中は液晶画面上で残量表示が点滅し、充電状況を知らせる。USB経由での充電時間は約4時間と説明書に記載されているが、実際にLEDライトが点灯しない状態から充電を始めて時間を測定したところ、満充電までに4時間10分かかった。なお、ACアダプターによる充電も可能で、こちらの充電時間は約5時間となっている。
時計やラジオ
時計機能については、背面の針回しつまみを使って時刻やアラームをセットする。針回しつまみはふつうの目覚まし時計に付いているものと同じように、つまみを引いて回せば現在時刻のセット、押し込んだ状態で回せばアラーム時刻のセットとなる。アラームは電子音またはラジオのどちらかを選択可能で、電子音にセットすると常にスヌーズとなり、アラームが鳴ったときに時計上部のスヌーズボタンを押すと、鳴っているアラームが一度止まり、数分後に再び鳴り出す。
スヌーズはアラームをセットした時刻から約40分間、繰り返すことが可能で、アラームを完全に止めるにはアラームスイッチをOFFにする。この辺りの使い勝手はふつうの目覚まし時計と変わらない。また、スヌーズボタンは時計部のライトの点灯スイッチも兼ねている。
ラジオを使う場合はFMアンテナを伸ばしてから、ラジオボタンを約2秒押すとスイッチが入る。アンテナは7段で、最も長い状態で約490mm(実測)。操作ボタンはラジオボタンのほか、AM/FMの切り替えボタンと、選局ボタンと音量ボタンが[+]と[-]の2つずつ用意されており、ボタン数は計6つ。選曲ボタンは1回押すごとにAMは9kHzずつ、FMは0.05MHzずつ周波数が変わるようになっており、1秒以上押し続けると早送りになって受信状態の良い放送局に合わせられる。ただしプリセット機能は搭載されていないので、放送局を頻繁に切り替えて使うような人にはおすすめできない。
モバイル機器への充電もOK
携帯電話やスマートフォンを充電する場合は、付属の充電用コードと充電用アダプターを使って端末に接続する。携帯電話はドコモ、au、ソフトバンクに対応しているほか、USBケーブルも接続可能で、iPhoneのLightningケーブルや30ピンケーブルなども接続できる。充電中は液晶画面に内蔵電池の残量が表示され、残量ゼロになるまで充電できる。内蔵充電池の容量は説明書に記載されていないが、フル充電の場合から充電した場合、一般的なスマートフォンで約20~30%の充電が可能とのこと。実際にiPhone 5を充電してみたところ、約42分で46%→74%まで充電できた。なお、乾電池から携帯電話/スマートフォンへの充電はできない。
便利な非常用ボタン
このほか、便利だと思ったのは非常用ブザーを搭載している点だ。背面の赤いボタンを押すだけですぐに鳴らすことができる。ソニーが今夏に発売した防災用多機能ラジオ「ICF-B88」には非常用ブザーの代わりに笛が付いていたが、ボタンひとつで大音量の電子音を鳴らせるKR885Nのほうが安心感がある。内蔵充電池の残量が無い場合は使えないというリスクはあるが、そんなときは手回し充電を行うという手もある。
KR885NはICF-B88に比べると液晶表示や搭載していることや、見やすい時計やスヌーズ付きアラーム機能が魅力で、平常時から目覚まし時計としてベッドサイドに置いて使用すれば、災害が起こった場合にすばやく外に持ち出せる。また、ICF-B88と同じようにイヤホンジャックを装備しているのもポイントが高い。
ただし時計機能が充実している分だけ、本体サイズと重量は、ソニーのICF-B88よりも大きく重い。また、常時ベッドサイドに置いて使うことを想定しているものなので、どうせならラジオに緊急警報放送(EWS)や緊急地震速報の受信機能を搭載してほしかった。これらの点に納得できるのであれば、平常時から使える防災多機能ラジオとしておすすめだ。