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やじうまミニレビュー

ユニデン「地震津波警報機 EWR200」

〜停電時でも受信できる地震津波警報機
by 伊達 浩二


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


何を警報してくれるのか

ユニデン「地震津波警報機 EWR200」

 9月1日は、1923年(大正12年)9月1日に起きた関東大震災にちなんだ防災の日だ。すでに80年以上も前の出来事だが、不意の災害への備えを思い出すための重要な記念日だ。今日は、防災の日にちなんで、家庭用の地震津波警報機を紹介しよう。

 今回紹介するのは、ユニデンの「地震津波警報機 EWR200」だ。一般家庭で使われることを前提にした製品で、直販価格は6,980円だ。今回は発売前だったので、ユニデンから商品を借用してレビューしている。



メーカー ユニデン
製品名 地震津波警報機 EWR200
希望小売価格 オープンプライス
直販価格 6,980円


 「地震津波警報機」というと、地震や津波を予知してくれることを期待してしまうかもしれない。しかし、残念ながら現在の科学技術では、地震を予知することはできない。

 では、この地震津波警報機が何をしてくれるのかというと、1)震度5弱以上の地震が起きた時、2)大規模地震の警戒警報が発せられたとき、3)津波警報が発せられとき、4)地方自治体の長から避難命令などの放送の要請があった場合、に警告音で知らせてくれる。

 EWR200の基本構造は、FM放送の受信機だ。NHKをはじめとするラジオ放送では、災害を防止するために、「緊急地震速報(EEW)」と「緊急警報放送(EWS)」という2種類の特別な放送が用意されている。1は緊急地震速報の、2〜4は緊急警報放送の機能だ。

わかりやすいパッケージ 主な仕様 パッケージ内容。電源はACアダプタ。白いのは停電時用の専用充電池

 緊急地震速報は、気象庁が観測した地震のP波(縦波)を受けて発令される。地震災害の大半はS波(横波)によって起きるが、S波はP波よりも遅いため、震源から遠い場所であれば、到着時間に数秒の差がある。つまり、警報を受けてから、地震が起きるまで数秒の余裕ができるので、その間に危険物から離れたり、頭を守るなどの行動が取れる。一言で言えば「間もなく大きな地震が来ます」という警報だ。

 地震を予知してくれるわけではないが、数秒間の覚悟と余裕を与えてくれる可能性があるわけだ。

 緊急警報放送は、主に津波警報を知らせてくれると思っていて良いだろう。一言で言えば、「大きな地震が発生し、津波が来る恐れがあります」という警報だ。津波の速度は遅いので、地震速報に比べれば、到着までの余裕はある。

 まとめて言うと、この装置を設置することによって、「間もなく大きな地震が来ます」、「大きな地震が発生し、津波が来る恐れがあります」という警報を受けられるようになるわけだ。

 前説が長くなってしまったが、この装置が何をしてくれるのか、パッとわかりにくいところがこの製品の特徴の1つなので、お許しいただきたい。

本体正面。ボタンが少なく操作は迷わない。これ以外の操作部は右側面の音量調整だけ 本体右側面。左から音量、アンテナ端子、その下のくぼみにACアダプタの端子 本体裏面。穴が多いのは、壁に設置することを考慮しているため

FM局の選択が機能を決める

 さて、EWR200の物理的な設置はとても簡単で、FMラジオの電波が入り、コンセントが用意できる場所があれば良い。普通のFMラジオと違うところといえば、本体内に付属の充電池を入れることと、基本的にAC電源で使用することぐらいだ。充電池は、停電した時のバックアップ用で、通常は使用されない。停電時でも24時間以上は監視モードで動作するという。ついでに停電時には、白いLEDが点灯して、この装置の位置を示してくれる。

受信アンテナはとても長い

 最近のビルやマンションではFMラジオの電波が届きにくい場合があるので心配していたが、オフィスと自宅で試したところ、本体のアンテナを伸ばすことで、問題なく受信できた。奥まった場所にあるパーティションで囲まれた会議室でも受信できたので、ラジオとしての性能は一定以上の水準にあるようだ。

 なお、どうしても受信状態が悪いときは、アンテナ入力端子があるので、これにアンテナを接続すると良いだろう。FM放送用のアンテナを備えているビルはほとんどないが、周波数帯の近いUHFアンテナ端子につないでも、そこそこ使用できる。

 さて、この製品の設置作業で重要なのは、使用するFM局の選択だ。ここまで述べたように、EWR200はFM放送波をつかって警報信号を受け取るのだが、この警報の内容がFM局ごとに異なり、一部の局では警報を出さないところもある。つまり、どのFM局を選ぶかによって、この製品の機能が決まってしまうのだ。

 EWR200には、電源スイッチがなく、電源をつないだ状態ですぐにラジオ放送が聞こえる。電源スイッチがないのは、うっかり切っていて警報が受け取れないということを防ぐためだ。

 次に「+」と「−」のキーで、放送局を選ぶ。この放送局の選択が、ちょっと難しい。

 まず、緊急地震速報については、地元の民放FM局を選ぶのが基本だ。なぜなら、NHKは全国共通で緊急地震速報を放送するので、地元以外の地震も警報してしまうのだ。緊急地震速報を放送している民放FM局は、その放送エリア内の地震だけを警告するようにしている。

 一方で、津波を警告してくれる緊急警報放送を放送している民放FM局は少ない。製品に付属のラジオ放送局ガイドによれば、2010年4月現在では、エフエム東京、J-WAVE、静岡エフエム、エフエム福岡、ぐらいしか実施されていない。

 まとめて言うと、上記4局のエリアの人は、その局を選んでおけば良い。次に、内陸部で津波情報が必要なければ地元の民放FM局を、津波情報が必要であればNHKを選ぶといいだろう。地元に民放FM局がない場合もNHKとなる。オフィスは都内なのでエフエム東京にセットした。

 選局が終わったら、セットボタンを押す。これで「監視中」のLEDが点灯すれば、EWR200は待機状態になって、ひたすら信号を待ち続ける。

ACアダプタを接続し、専用充電池をセットしたところ。充電池は単三電池4本分の大きさなので、本体の大きさがわかる 放送局を選択している状態。受信感度や音質は良好

 最後に、緊急警報放送については、「セット」キーを長押しすることで、受信地域を設定できるので、自分の都道府県コードをセットしておくと良いだろう。こうしておけば、遠く離れた場所の津波情報で起こされることはない。

 なお、待機モードのときは、万一の際に警報音を聞き逃さないように、音声を少し大きめに設定しておくことをお勧めする。もともと、ある一定以上に音声を小さくすることはできないようになっているのだが、警告音は大きめにこしたことはない。

 余談だが、この製品の受信性能と、大きめのスピーカーによる音質は、かなり高い水準にある。この技術を生かしたポータブルラジオがほしくなったぐらいだ。待機状態をオフにすれば、通常のラジオ音声も聞こえるので、AC電源やFM放送限定多少の制約はあるが、ラジオ代わりとしても使用できるだろう。

受信状態を実験してみる

 さて、無事に設置は終わったのだが、待っていても、警報は全然来ない。もとより、震度5弱以上の地震や津波がそんなに頻繁に起こっては困ってしまうのだが、警報が来たときにどんな動作をするのか知りたい。

 今回は、メーカーのユニデンにお願いして、実験装置を用意していただき、受信状態を再現してみた。


緊急地震速報の受信実験。言葉の内容は、実際の放送とは異なります 緊急警報放送の受信実験。言葉の内容は、実際の放送とは異なります

 詳細は動画を見てほしいが、警報信号が届くと、特徴のある警告音の放送とラジオの音声が再生される。また、「速報/警戒」というLEDと、周りを照らすための白いLEDが点灯する。なお、動画中の音声は実験装置で設定した合成音声なので短いが、本来の放送ではもう少し情報量があり「緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください」などと放送されるそうだ。

コストと有効性

 EWR200の良いところは、一度購入して設置してしまえば、電気代以外はコストがかからない点にある。何かのサービスに加入する手間や月々の会費を払う必要はない。

 組織や設備が整っている放送局が情報元ということもあって、情報の信頼性が高いのも利点だ。

 逆に欠点は、信号を伝える手段をFM放送波に頼っていることだろう。EWR200の受信性能はポータブルラジオとしてはかなり良い水準にあるが、たとえば地下室を始めとして、間取りや立地によっては受信できない可能性は残る。

 また、設置したその場にいなければ警報を聞くことはできない。会社勤めで昼間は部屋に誰もいない一人暮らしの人が自宅に設置しても、あまり役にたたない。この製品が向いているのは、家族が在宅していることが多い家や、小規模なオフィスなど、常に人がいる場所なのだ。

 つまり、この製品は、緊急地震速報や緊急警報放送の限界を理解した上で、万一の災害に備える手段として、設置するのが有効だ。いつか地震が来るということを思い出すためにも、目に付きやすいところに設置したい。




2010年 9月 1日   00:00