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やじうまミニレビュー

愛工業「オカカ7型」

〜ハンドル式で削りやすい鰹節削り機
by 但見 裕子


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


愛工業「オカカ7型」。製品パッケージ

 鰹節は便利でおいしい食材だ。これをかけると何でもおいしくなる。大根おろしに鰹節をかけるのもいいし、お豆腐に鰹節もいいし、ごはんにのせてお醤油をかけたのも実力が高い。もちろん、汁もののだしにもいい。鰹節が好きだ。

 ふだんはスーパーのパック入り削りぶしを買っているが、時々は少し遠くの鰹節専門店まで量り売りを買いに行く。そこはいつも、店中に削り立ての鰹節の香ばしい香りが立ちこめていて、何だかうれしい場所だ。実際、そこで買った削り立ての鰹節は香りが高くておいしい。

 ただ、買ってきてすぐはいいのだが、だんだん香りがとんでしまい、使い終わる頃にはスーパーのと変わらなくなってしまうのが惜しい。

 丸ごとの鰹節と専用の鰹節削り器を入手して自分で削れば、毎日おろしたての鰹節が使えることはわかっているのだが、むかし実家でやっていた時のことを思い出すと気が重い。

 祝いごとか何かで丸ごとの鰹節をもらったのがきっかけだったと思うが、一時期だけカンナのような削り器で削って使っていたのである。削り器とは、「鰹節箱」とも言い、木製のティッシュケースくらいのものだ。箱の上部に刃がとりつけられており、それに鰹節を押しつけて、木を削るように薄く削っていく。箱の下は引き出しになっていて、できた削りぶしはそこに貯まるようになっている。

 最初は珍しいので、祖父が「見本を示す」と言ってなかなかきれいな削り目を披露したり、私たち子供も喜んで削ったりしていたのだが、だんだん面倒がってみんなやらなくなった。母親も毎日のことでいやになったのだろう、削り器はしまい込まれた。鰹節を削るのは、力もコツも必要でなかなか大変なのだ。

 今の私が鰹節用削り器を買っても、また同じことになりそうで手が出せない。

 そう思っていたところに見つけたのが愛工業株式会社の鰹節削り機「オカカ7型」だ。ハンドル式であまり力がいらず、簡単に鰹節が削れるという。「やさしく 楽しく 削ります」というキャッチフレーズだ。

 「オカカ」という商品名があまりにもそのものずばりで笑ってしまう。1970年に「1型」を発売して以来、改良を重ねてきた製品なのだそうだ。今回は、枕崎産鰹節2本とのセットで購入した。

 ちなみに、愛工業では「プロオカカ」という、飲食店用の鰹節削りも作っている。鰹節の専門家なのだ。


メーカー 愛工業
製品名 鰹節削り オカカ7型
希望小売価格 7,140円
購入場所 楽天市場
本体価格 4,725円
鰹節2本付属セット 5,900円

 「オカカ7型」は何とも言えない地味な茶色で、キッチン用品と言うよりも大工道具か何かのようなこわもてのルックスだ。大きさは、高さ24.8cm、幅21cm、奥行き20.5cm。重さは850gある。

 本体のほかに鰹節2本、取扱説明書と数枚のリーフレットが付属する。一通り取説を読んで、さっそく使ってみようと思ったが、この取説が少し読みにくかった。

到着した荷物。今回は鰹節セットにしたので、右側に鰹節が2本包まれている 取扱説明書、各種リーフレットが付属する

 たとえば、突然「『花』をつくります」という表現が出てくる。少しとまどったが、読んでいくと、どうも鰹節業界では丸ごとのを「節」、削ったのを「花」と呼び、鰹節を削ることを「花を作る」と言うのだとわかった。

 あるいは、「鰹節が外れない程度の力で押さえ体の『1の押さえ部』または『2の押さえ部』を押さえながら、つまみを握り回転(右回り)して削ります」という記述がある。「押さえ体」というのは「各部分の名称」図に出てきたからわかる。鰹節を固定するための板状の部分だ。しかし「1の押さえ部」「2の押さえ部」は、突然出てきて意味がわからない。

 先をずっと読んでいくと、「削る際は、基本的には写真1のように手で押さえますが、鰹節が大きくて押さえにくいときは写真2のような感じで押さえてください」という趣旨のことを言っていることがやっとわかった。

 この取説の文章は、「オカカ7型」のことをよく知っている技術者さんが書いた文章なのにちがいない。自分たちには周知の事実なので「花を作る」や「押さえ部」で通じると考えて書くのだろう。しかしこの機械を初めて使う人にそんなことはわからないので、取説は第三者の立場の人がわかりやすく書いた方がいいと思う。

「オカカ7型」。手前の茶色っぽいところが「押さえ体」だ。 鰹節を入れる「押さえ体」を開いたところ この「引き出し」に、削れた鰹節がたまる

 付属の鰹節の包装を開け、とりあえず削ってみることにした。

 ハンドルのわきの部分がパカッと開くので、そこに鰹節を差し込んで左手で押さえつけ、右手でハンドルを回すと、刃が回転して鰹節が削れるらしい。下が引き出しになっていて削りぶしがたまるのは、カンナ式と同様だ。

 オカカ7型に付属するリーフレットには「よい面と向きを見つけて削ります」と、削りながらいいやり方を見つけるという趣旨のことが書いてある。

 それとは別に、鰹節についてきた「かつお節の削り方」というリーフレットがあって、これは鰹節の頭側と尾側の見分け方、削る方向など、詳細に書いてある。削る方向が違うと、粉になってしまい、きれいな削りカツオにならないという。

 ただ、これは実はカンナの場合の削り方についてのみ書かれたものなのだ。写真もカンナの場合しか掲載されていない。「オカカ7型」の場合、どちらから差し込んで削ればいいのだろうか?

 ここは、「オカカ7型」で、まずは削ってみるという姿勢でのぞむことにして、とにかくやってみよう。まずは、尾側と思われる方から入れてみた。左手で押さえつけ、右手でハンドルを回す。ゴリゴリと音がして、削れているのがわかる。しばらくやって、削れたものがたまる「引き出し」を開けてみた。

 だめだ。花がつおでなく、粉がつおになっている。方向が違っていたらしい。反対の頭側から入れてやりなおした。

 最初はゴリゴリいっていたが、じき手ごたえがなめらかになってきた。「カシュン、カシュン」と軽やかな音がする。よさそうだ。頭側からが正解だったらしい。どんどん削っていく。リズミカルに、音と手ごたえを感じながら回すのはなかなか楽しい。

 しかし、それなりに力は要る。特に、押さえている左手に力がかかるようだ。試す前の想像では、鰹節を機械がしっかりホールドしてくれて、手動鉛筆削り機のように人間は回す方だけやっていればいいのかと思っていたが、そうではなかった。


削っているようす。力はいらないのでリズミカルに回すことを心掛ける


 少し削って、引き出しを開けて様子を見てみた。

 できた削りぶしはは、専門店で売っているような、ふわっとした幅広のものではなく、幅が狭くて薄く、細かくカールしている。「糸カツオ」という名で、トッピング専用として売られているものに近い。鰹節独特のいい匂いがフワーンとして、一口つまんで食べてみると、やっぱりおいしい。

削れた鰹節は形が整っていてきれいだ 削った鰹節の切り口。光沢があって美しい

 とりあえず、この引き出しがいっぱいになるまで削って、一番だしをとってみようと思った。キッチンで立ったままだと疲れそうな気がしたので、持っていってリビングのテーブルに置き、ハンドルを回す。座ってやった方が安定もいいようだ。テレビなど見ながらでもやっていられるのはいい。カンナ式の削り器ではよそ見して削っていたらケガをする可能性がある。

 やがて十分な量が削れたと思えたので、鍋にお湯を沸騰させ、鰹節を一気に入れた。火を止めて、鰹節が沈んだらふきんで漉すのは基本通りである。

 きれいな黄色い色のかつおだしがとれた。

沸騰したお湯に投入してだしをとる 清潔なふきんで濾す 黄金色のいいおだしがとれた
豆腐のお味噌汁にした。いつもと同じ具なのに味が違う

 この黄金だしを、お味噌汁に仕立てることにした。お味噌とお豆腐を入れてさっと煮るだけのシンプルなものだが、おわんについで飲んでみると「おいしい!」。思わず!をつけたくなる香りと味わいだった。

 専門店で買ってくる削り立てで、だしをとった時よりも格段においしい。

 お店では朝からどんどん削ってショーケースに入れているから、少なくとも数時間は経っている。きのうかおととい削ったものの時もあるかも知れない。しかし、このお味噌汁のだしがつおは、削ったばかりの、本当の削り立てだ。おいしくないわけがない。大満足の味だ。

削り立ての鰹節を、冷ややっこにいっぱいかけた

 次は、冷やっこにかけてみることにした。お豆腐と鰹節は夫の二大好物なので、その当人のリクエストである。

 「じゃあ、お豆腐とネギを用意してくるから、その間に好きなだけ削ってね」と渡しておいたら、「これは結構面白い」と言いながら、数分の間に思いっきり削っていた。私より力があるから楽なのだろう。

 薄切りの鰹節をたくさんのせた冷ややっこはおいしい。

 翌日は、おかかめしを作った。ネコめしとか、海苔段ごはんとも呼ぶあれだ。まずは鰹節を削る。削っていくと、スムースな音と感触が続くときもあれば、なんだか引っかかったような感じの音になって回しにくくなる時もある。鰹節の身は自然の魚を加工したものなので、削るところによって感触が変わったり、引っかかったりするのだ。

 また、削り続けて切断面の面積が広くなってくると、摩擦が強くなって回しにくくなる。そのたび新しい鋭角から削り始めるなど、削る面を工夫していく必要がある。

 お弁当箱にごはんを敷き詰め、そこに鰹節をまんべんなくかける。お醤油をぱっぱとたらして、次は海苔をのせる。そしてまたごはんと鰹節、お醤油と海苔、と段々にしていくのだ。

 これをしばらく置いて、なじませてから食べようと思う。鰹節とごはんと海苔がしっかりなじむとおいしいからだ。

 1時間ほど待ってから、ふたを開けて食べたおかかめしは削り立ての鰹節の香りがお醤油とあいまって、とてもおいしかった。

お弁当箱におかかめしを作る しばらく置くと、鰹だしが出た醤油が御飯に染みこんでおいしくなる 箸で掘ると、三層に重ねた断面が見える

 「オカカ7型」は、鰹節を家で削りたい人、削り立ての味を楽しみたい人にと、よく考えられた実直な製品だと思う。

鰹節を載せて、醤油をかけただけの猫まんまもおいしい 冷たいそばに、大根おろしと鰹節をかけていただく。単純な料理ほど鰹節の味が良くわかる

 ただ、それなりに力なり手間は必要で、手放しで「力いらずでラクラク」と言っておすすめできるものではない。一方で、安全に削れる、目を離していても手だけ動かしていれば削れるというメリットは間違いなくある。

 「それなりの手間はかかるけど、削り立てのおいしい削りぶしが得られる」製品ととらえるべきだろう。

 毎日のおいしいごはんを丁寧に作っていきたい人は、一度検討してみていい製品なのではないだろうか。



2010年 5月 20日   00:00