やじうまミニレビュー
無印良品「じぶんでつくる紙管こどもイス・大」
無印良品「じぶんでつくる紙管こどもイス・大」 |
小さな子供がいると、必ず一度はやられる家具や壁への落書き。我が家も壁などに落書きされて、苦労した。落書き帳なども渡しているが、なぜか「やっちゃいけない」ということをやってしまうのが子供だ。
今回レビューする無印良品「じぶんでつくる紙管こどもイス」は、親子で一緒に協力しながら組み立てることができるキットだ。紙製なので、完成したイスに自由に絵を描くことができる。家具に好き放題いたずら書きができるという、子供にとっては夢のような商品だ。
メーカー | 無印良品 |
製品名 | じぶんでつくる紙管こどもイス・大 |
販売価格 | 1,900円 |
購入場所 | オンラインストア |
子供用の椅子なので、完成時の大きさは287×290×376mm(幅×奥行き×高さ)と小さい。適応身長の目安は100~120cmで、適応年齢の目安は5~6歳前後となっている。娘は5才で身長が110cmなのでピッタリだ。今回購入したのは「大」サイズだが、適応身長目安90~110cm、適応年齢目安3~4歳前後用の小サイズも1,700円で用意されている。
製品の原材料は再生紙。紙といっても、1つ1つのパーツはかなり固く、厚みがあって頑丈。子供用の組み立てイスではあるが、ハサミで切り取ったり、接着剤を使用するため、小さな子供一人で作ることはできない。子供と一緒に作るときは、親が目を離さないように注意しよう。
さっそく作ってみよう。本体のほかに必要なのは大きめのハサミと、パーツを固定するためのクリップや洗濯バサミなど。取扱説明書は商品パッケージの裏側に書かれている。一面で組み立て方が全て解説されているので、文字はかなり小さめだ。
まずは、イスのカバーに当たる部分から作り始める。ミシン目をハサミで丁寧に切っていく。外側の一番目立つ部分なので、ここは慎重に進める。雑に切るとミシン目のギザギザが目立ってしまうので注意が必要だ。
セット内容に接着剤も含まれている。基本的に接着剤でどんどんつけるだけで完成する | 接着剤は一般的な木工用ボンド。小学生のころに授業で使ったのを思い出して、懐かしい気持ちになった | ケースカバーをはじめに作る。ミシン目がついていて切りやすいが、ハサミで切り口をきれいにしておくと完成したときにキレイ |
次に付属の木工用ボンドでパーツを接着し、それぞれの面を作る。はじめに作るのは背面、座面、右足、左足。さきほど切り落としたイスカバーの不要な部分をヘラ代わりに使って、ボンドを全体に伸ばすようにしっかり塗る。
この作業は娘にも手伝ってもらい、私は最後の仕上げだけ行なったのだが、5才の子供でもきれいに塗ることができた。「まだできないだろう」とハラハラ見ていたのだが、こんなこともいつの間にかできるようになっていて、子供の成長に驚いてしまった。娘はとても楽しそうだ。
接着したら、クリップや洗濯ばさみではさんで固定して乾くのを待つ。娘はこの時点でイスになるということが信じられないらしく、しきりに「本当にイスになるの?」と何度も質問してくる。
座面のカバーと背面のカバーが完成。切るのは10分もかからない | 接着剤をつけて伸ばす。娘は不器用だが、きれいにむらなく塗っていた | これで座面の完成。足や背面も同様に作る |
説明書には乾くまで10分程度とあったが、10分では接着剤が固まらず、2時間ほど置いてやっと完全に乾いた。制作する季節にもよると思うが、座面、足などは強度に関係する部分なので気長に待ったほうがよさそうだ。
それぞれの面が完成したら、足をつなぐ補強棒を差し込む。さらに座面を足に接着し、接着剤が乾くまで放置する。乾いたら座面と足の接合部に接着剤を塗るのだが、この時点で付属の接着剤が残りわずかになってしまった。
クリップや洗濯ばさみで押さえておくとズレずにしっかり接着できる。中は空洞なので軽い | 座面、背面、足が貼り終わったら、接着剤が乾くまでしばらく待つ | 補強棒を足に差し込む |
穴のまわりを接着剤で接着し、固定する | 足の断面に接着剤を塗り、上から座面を貼る | 雑誌など重しをのせて、乾くまで待つ |
座面のカバー、背面のカバーをくるむようにそれぞれ貼り付けるのだが、この時点で接着剤がなくなってしまい、新たに木工用ボンドを追加して購入した。カバーは白いカバーと染めていない自然な色の2色から選ぶことができる。娘と相談し、今回は白いカバーに決定した。
付属の木工用ボンドでは足りず、追加で購入してしまった。少し高めの「速乾タイプ」にした | カバーを取り付ける。カバーは折り目に添ってしっかり折り目をつけておいたほうが貼りやすい。浮いてしまうので、しばらく手で持って待つ | 背面にカバーをつけた状態。しっかり貼っておく |
最後に背面を座面の穴に差し込み、接着剤で固定する。ゆがみを防止するためにカバーの上に雑誌を置き、一日乾燥させる。これで完成だ。作るのはとても簡単だが、接着剤が乾燥するまでの待ち時間が長いので、製作は丸一日以上かかると思った方がよいだろう。
単なる板が立体的になっていく様子を見て、娘は「なるほど!」と感心していた。教材としても役に立ちそうだ。
背面を座面の穴に差し込み、穴の周囲は接着剤を塗っておく | かなり頑丈なイスだ。紙でできているので軽く、子供でも持って移動できる | 背面からみると、補強棒に背面が差し込まれているのがわかる。接着剤で固定しているので、背面がずれたり、落ちたりすることはない |
■子供の個性が発揮されるイスへの落書き
今回使用するのは水性顔料マーカー「PROKEY」。マーカー類は、小さな子供が扱うときは必ず親が目を離さないようにする |
イスが完成したら今度はお待ちかねの落書きタイムだ。本体は紙なので、油性だけでなく水性のペン、色えんぴつ、クレヨンなども使える。ただ、クレヨンや色鉛筆は座った時に服などに色が移ってしまうおそれがあるので、今回は水性ペンを使った。
サインペンで壁や服に落書きされると大変なので、子供達には普段お絵かき用としてクレヨン、クーピーペンシルしか与えていない。初めて使うサインペンに娘はとても喜んでいた。
娘が絵を描いていると、つい「お花を描いたら?」など、具体的にこちらの希望を言いたくなったが、グッとガマン。家具に落書きができる機会は滅多にないので、娘の描きたいものを描かせてあげたい。「何でも好きなものを描いていいよ」というと、満面の笑みでサインペンを持った。
楽しそうにガンダムのモビルスーツらしきものを描き始める娘。好きなように描かせてあげよう |
しかし、描く様子を見て開いた口がふさがらなかった。ガンダムオタクな娘は、嬉しそうにガンダムのモビルスーツばかり描いていたのだ。もちろん、5才の子供が描いているものなので、グチャグチャなのだが……
クイン・マンサ、V2ガンダム、ガンダムF91ハロ、キュベレイ、コアブロック。ふだんPS3のガンダム無双をやりこんでいるので、ガンダムシリーズのキャラクターやモビルスーツ、戦艦を娘はほぼ覚えている。最初は「黒い三連星を描きたい」と言っていたのだが、3体描くのが大変なことに気付いて途中で変えたり、色々悩んでいる。「何を描くか」と悩む時間も楽しいようだ。
完成したイスを見た娘は満足そうだ。ふだんは絶対に描くことができない家具に、自由に好きな絵が描けて至福のひとときだったらしい。描いている間は、ガンダムの解説をしながら終始笑顔だった。
出来上がったイスは、世界にたった1つしかない、娘のオリジナルだ。自分で作ったイスは愛着があるようで、大事に扱っている。我が家では、テレビを見るのにちょうどいい高さのようだ。
親は「こういう風に」と口出ししたくなるが、小さい子供が滅多に使えないサインペンで、自由に絵を描けるチャンスでもあるので、ぜひあたたかく見守ってあげてほしい。
娘が座ったところ。座面の高さは280mmで、5才の娘は座るとちょうど足が付く | 安定感があり、よほどのことをしなければ倒れることもない |
全体的に角張っていて、素材も固いので、下にヨチヨチ歩きの赤ちゃんがいるご家庭では、転んでイスの角に頭などを打たないよう見守る必要がある。
紙製ということで、当初、耐久性は期待していなかったのだが、かなり頑丈なので驚いた。子供が乱暴に持ち歩いたり、座ったりしてもビクともしない。これなら長く使えそうだ。
世界にたった1つの娘専用ガンダムイス。自由に絵を描かせてあげれば、喜ぶこと間違いなし! |
無印良品のサイトでは、組み立てる過程で得られる5つの体験を紹介している。その解説に感心してしまった。
「発見(リサイクルしよう)」、「協力(力をあわせよう)」、「創造(イメージをふくらまそう)」、「心 (大事に使おう)」、「記憶(わたしの思い出)」。実際に子供とイスを作ってみて、この通り全ての体験ができたように思う。
3~6才の大事な幼少期に、すばらしい体験ができる手作りイスキット。価格以上に得るものが大きいので、小さなお子さんがいるご家庭にぜひおすすめしたい製品である。
2010年 5月 19日 00:00
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