タケヤ化学工業「ライスポケット」

　お米の保存を、皆様はどうなさっているだろうか? 私の場合、長い間、買ってきた2㎏入りの袋の口を輪ゴムで止めて、そのまま流しの下に保存していた。「保存」と呼ぶにはあまりにも単純である。

　しかしこれでは、いい年をした既婚女性としてあまりにデリカシーに欠けると考え、桐の小さな米びつを買って使いはじめた。いわゆる大げさな計量米びつと違って小ぶりで、可愛らしくていいと思ったのだ。桐材は着物タンスに使われることでもわかるように、湿気を防ぎ虫がつかないとも言われていて、それも気に入っていた。

　しかし、この桐びつにはちょっとした問題点があったのである。

　四角い箱の中のお米をすくって出すのだが、最後の方のお米を使い切ることができない。計量カップで追い詰めても、持ち上げて斜めにしても、きれいに出してしまうことができないのだ。仕方なく、前のお米が少し残った上から新しいお米を入れることになるわけで、これが微妙に気持ちがよくない。本当は気持ちよく使い切りたい。

　さらにいうと、木の米びつは洗えないことも少し不満だった。食べ物を直接入れるのだから、たまにはすみずみまで洗いたい。

　と思っていたところ、「お米を冷蔵庫で保存」と大きくうたったタケヤ化学工業の「ライスポケット」を見つけた。お米を冷蔵庫にコンパクトに収納でき、かつ、低温保管することでおいしく食べられるというのである。

　まるで冷水筒のようなあっさりした形をしていて、ふたは軽量カップを兼ねている。同じ米びつと言っても、例の桐の四角いのと並べてみると、まるで別用途の製品みたいに見える。本体サイズは104×170×274mm(幅×奥行き×高さ)。2㎏のお米が入る。

桐の米びつ(5kg入り)と「ライスポケット」同じ用途の製品とも思えない	桐の米びつは、最後にどうしてもお米が残ってしまう

　発売元のタケヤ化学工業は、プラスチック製品全般を得意とするところらしい。保存容器やお弁当箱などの家庭用品から、フィギュア・トーイに至るまで手広く手がけている。

　さっそく「ライスポケット」にお米を入れて使ってみた。中ぶたは全面がパカッと開くので、袋からザッと流し込めて楽だ。中ぶたを閉め直し、計量カップを兼ねた口ぶたをしめて、出来上がりである。なお、この中ぶたはやや柔らかい素材で、パチンとではなくジワリ気味に閉める感じになっている。

左奥が中ぶた、手前が計量カップを兼ねたふた、右が本体。2㎏のお米が入る	口が広く開くので、お米を入れやすい

　最悪の場合、「下に向けたときにお米の重さでふたが開く」ような惨事の可能性があるので、周囲が良く閉まっていることを確認した方がいい。

　では冷蔵庫に入れてみよう。「ライスポケット」は、大きさ的には片手で持てるのだが、なにしろ2㎏のお米が入っているので両手でしっかり持とう。

　まず冷蔵庫の棚に、横にして置いてみた。見たところ牛乳パックを2つ重ねたくらいの感じで、2㎏のお米が入ってるとは思えないコンパクトさだ。また、この角度から見るとほぼ白一色なので、冷蔵庫の内部の白色と非常になじむ。

　次に野菜室に、縦にして置いてみた。これも十分ありだと思った。ただ、うちの冷蔵庫の野菜室は下の方にあるので、かがんだ姿勢から持ち上げるのにちょっと力がいる。しかし、万が一フタが外れてしまった際に一番被害が少ないと思う。

　「ドアポケットにもピッタリのサイズ!」と書いてあったのでドアポケットにも入れてみた。うちの冷蔵庫は、両開き扉で、右扉のペットボトル用のスペースには入る。ただし、左扉の牛乳パック用スペースではピッタリというよりキツキツな感じだ。本体のサイズが104×170×274㎜(幅×奥行き×高さ)なので、ドアポケットに入れるつもりならば、スペースを確認しておいた方が良い。

横にして冷蔵庫の棚に入れる。コンパクトで邪魔にならない	野菜室に縦に入れることもできる	ドアポケットにも入るが、ちょっと大きめなので冷蔵庫によってはキツイかもしれない

ふたが計量カップを兼ねる

　計量カップがふたを兼ねているというのは便利だ。その目盛りが「一般米」、「無洗米」、そして水などを計るための「計量」に分かれているのも親切だと思う。

　個人的には、なによりのメリットは「これなら最後までお米を使い切れて気持ちがいい」ということだ。あっさりした機能本位のデザインも好ましいし、簡単に洗えるのも嬉しい。

　「ライスポケット」は、常に大量のお米を貯蔵する家庭には向かないと思うが、うちのように少量ずつ買っては使い切る家の場合、とても向いていると感じた。

　あるいは、一人暮らしでふだんあまり御飯を炊かない人、お米を1袋買ったら何カ月も保ってしまうような人にこそ、おすすめできると思う。「ライスポケット」に密閉して冷蔵庫にしまっておけば、長期間保存しても、風味が落ちたり虫がわいたりすることもないはずだ。