やじうまミニレビュー

サーモス「真空断熱マグ JCP-280C」

~冬にピッタリ、温かさをキープするマグカップ
by 正藤 慶一


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです



サーモス「真空断熱マグ JCP-280C」。カラーはブラックだが、全部で5色が用意されている。本体のシールはキレイに剥がせる
 良い粉を使い、良い器具で淹れたコーヒーも、マグカップに放っておけばやがては冷める。ステンレスボトルを使えば暖かさは長時間維持できるが、とはいっても室内で飲むには持ち手のあるカップの方が使い勝手が良い。飲みきれずに冷めてしまったぬるいコーヒーに口を付けるたびに、うまいこと温かい飲み物を保温してくれるマグカップはないものかと考えていた。

 そんな時、そんなニーズにピッタリと合致するマグカップを見つけた。その名も「真空断熱マグ JCP-280C」。メーカーはステンレスボトルのメーカーとしてお馴染みのサーモスだ。

メーカーサーモス
製品名真空断熱マグ JCP-280C
希望小売価格オープンプライス
購入店舗Amazon.co.jp
購入価格1,980円


 この製品、容量280mlのマグカップにしては、大ぶりでがっしりした作りとなっている。それもそのはず、本体表面はステンレス素材で、マグカップの内側に真空の断熱層を設けた魔法びん構造となっている。一般的なマグカップと違い、ステンレスボトルと同じ構造を採用しているため、保温性能が高いというわけだ。

 もう1つ、普通のマグカップと違う点は「フタ」があるところだ。フタはパッキンで本体にしっかりとはめ込まれており、飲む場合にはフタ全体を外さずに、フラップだけを開閉する。本体の脇と上部という、熱が漏れる場所を封じ込む構造となっている。ちなみに、密閉構造にはなっていないため、本体を逆さにすればフラップのスキマから内部の液体がチョロチョロと漏れる。この点はステンレスボトルの方が優れているが、本製品はもともと携帯するものではなく、室内でマグカップとして使うものなので仕方が無いところだ。むしろ、逆さにしても一気にこぼれないことを評価したい。

本体はステンレスの間に真空断熱材を備えた「真空断熱構造」。そのため、保温性能が高くなっている本体にはフタが付いている。通常は閉じておき(写真上)、飲む際にはフラップを開ける(写真下)

フタは取り外しが可能。パッキンにより本体にしっかりとフィットしている密閉構造ではないため、フタをした状態で本体を逆さにすると、フラップのスキマから液体がチョロチョロと流れ出る。ひっくり返しても、一般的なマグカップより被害は抑えられそうだ

 肝心の保温性能だが、パッケージによれば、100℃のお湯を1時間で約80℃、2時間で約70℃ほどまでキープできるという。陶器のマグの場合は、同じ100℃のお湯でも1時間で40℃弱、2時間で30℃弱とのことなので、数値だけを見るとかなりの差があることがわかる。

 では、その効果を実際に見てみよう。オフィスにあるウォーターサーバーのお湯でインスタントコーヒーを作り、約2時間、30分刻みで、真空断熱マグの温度変化を調べてみた。比較対照として、紙カップ、マグカップ、カフェで買った二重構造のタンブラーマグ(真空断熱ではない)でも同様に温度を計っている。なお、測定開始時のお湯の温度はすべて82.8℃。室内温度は約25℃だった。

真空断熱マグの保温効果を実際に調べてみる。測定開始時の温度は82.8℃同時に、カフェで買ったタンブラーマグ(写真左)とマグカップ(右から2番目)、紙カップ(右)の保温性能も調べてみる。コーヒーの量は、それぞれのカップの5~6分目ほど

【コーヒーの保温効果比較】
温度経過測定開始時30分後1時間後1時間半後2時間後
真空断熱マグ82.8℃74.4℃68.4℃62.7℃59.3℃
タンブラーマグ66.7℃56.1℃47.9℃43.8℃
マグカップ44.9℃34.4℃30.6℃29.3℃
紙コップ44.6℃34.7℃30.4℃29.2℃


 この結果、真空断熱マグの温度は2時間後で59.3℃。20℃以上落ちたが、飲んでみるとまだまだ熱く、コーヒーのおいしさが十分に楽しめる。一方マグカップは、30分後で40℃台といきなりぬるく、2時間後では29.3℃と、完全に冷め切ってしまった。カフェで買ったタンブラーマグは、本体が二重構造ということもあってなかなかの保温効果を発揮したが、それも1時間まで。2時間後は43.8℃とぬるく、おいしくなかった。真空断熱マグの保温効果は確かにあったのだ。

2時間後は59.3℃。まだまだ熱いコーヒーが味わえたマグカップは2時間後には29.3℃と、ほぼ室温並み。紙コップとほぼ変わらない結果となったタンブラーマグは、内部が金属製でかつ二重構造だったが、真空断熱マグには及ばず、2時間後は43.8℃。口当たりはぬるかった

 説明書によれば、保冷効果もあるとのこと。そこで、冷たいお茶を入れて計ってみると、測定開始時13.9℃だったのが2時間後でも16.8℃と、十分に冷たさを感じることができた。これなら、ジュースなど冷やしておいしい飲料も長く楽しめるだろう。一方、同じ温度のお茶をガラスのコップに入れたところ、2時間後は26.3℃と完全にぬるくなっていた。

【お茶の保冷効果比較】
温度経過測定開始時30分後1時間後1時間半後2時間後
真空断熱マグ13.9℃14.6℃15.5℃16.3℃16.8℃
ガラスコップ21.1℃23.6℃25.3℃26.3℃

 使っていて気になったのが、グイッと飲もうとすると、鼻にフタが当たってしまう点。もちろん飲む行為自体には何の支障もないが、いちいち当たってしまうのは煩わしい。また、取っ手はステンレス製のため、暖房の効いていない部屋では冷たくて持ちにくさを感じるかもしれない。ただし、このほかは気になる部分はなく、ニオイのこびり付きや金属臭さも感じられなかった。

 寒さが強まるこれからの季節は、温かい飲み物を飲んで体の芯から温まりたいもの。そこで真空断熱マグを使えば、マグカップよりも長時間、飲み物を温かくキープできる。冬を楽しむためのグッズとしてお勧めしたい。

取っ手はステンレス製カップ内部の線が、内容量280mlの目安となる


2009年 11月 12日   00:00