やじうまミニレビュー
セガトイズ「家(うち)あげ花火」
■ウチでバーチャル花火大会! だから「家あげ花火」
セガトイズ「家(うち)あげ花火」 |
夏の風物詩と言えば花火大会。たとえ遠くでわずか数センチの大きさにしか見えなくても、スーパーで売っている手持ち花火では絶対に味わえない音と光のファンタジーだ。
とはいえ、間近で見ようと出かけると車は渋滞し、人ごみで足の踏み場もない。しかもみんなビール片手に空を仰いでいるので、トイレの前は大渋滞だ。しかも近年の不景気で、数年前までやっていた花火大会が中止になってしまったり、近所にできた大きなマンションで見えなくなってしまったりと、観客にとっては毎年厳しい状況が続いている。
そんな悩みを一挙に解消するのが、自宅で本物そっくりの打ち上げ花火が楽しめるという触れ込みの「家あげ花火」(ウチあげ花火)だ。なかなか洒落たネーミングだが、本当にそっくりなのだろうか、子供たちは喜ぶのだろうか?
メーカー | セガトイズ |
製品名 | 家(うち)あげ花火 |
希望小売価格 | 15,540円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 11,441円 |
■見た目はプラネタリウムそっくり!
仕組みは簡単だ。透明な半球カバーを開けると、レンズが4本ついている。大きなレンズは、大型の花火を映写し、小さな花火は花火大会でもよくある脇に打ちあがった小さな花火を4つのレンズ映写する。
大きな花火は、本体横から何枚かの花火がセットになったフィルムカセットをセットする。小さな花火は、レンズの下に直接セット。
要は、昭和のころにあったスライド映写機、またはOHPことオーバーヘッドプロジェクタだ。レンズの下に光源があり、花火が描かれたフィルムを光源が照らすことで、壁や天井に大きく映写されるというわけだ。
もう1つ大砲みたいなレンズもついているが、これは花火が上がっていくときに見える小さな光の玉を映写するレンズだ。そう「びゅ~っ!」って上がっていくときに見えるあの光を再現する。
本体横には、小さいながらも結構いい音が出るスピーカーも装備しており、映像に合わせて「ピュー」音や「ドカーン」「バチバチ」といった臨場感あふれる音声が流れる。しかも、
打ち上げ終えると「わ~~~~っ! ザワザワ」という観客の歓声まで再現!
これには笑った。でもよく考えると、歓声というのはかなり重要なポイントで、通販番組でカメラの外にいるおばちゃんたちの笑い声や「へーっ」「安ーい」という声に惑わされて、商品が猛烈に欲しくなるのと同様、バーチャル花火大会をよりリアルに見せてくれる。
パソコン用のスピーカをつなぐだけでも迫力が違う |
小さいスピーカながら本体に共鳴するのか割と低音域も出ていたが、それでは飽き足らないという場合は、外部スピーカの接続端子が出ている。通常のヘッドフォンと同じ3.5φのステレオジャックなので、密閉式のヘッドホンやPC用のスピーカなどを接続すると、さらに低音が響いて臨場感が増す(ただしモノラル)。
基本的なしくみはこんな感じだが、実際動かしてみるとかなり細かくコンピュータで制御され、開発メンバーの苦心がしのばれる。
■ウチで10号玉を打ち上げてみる
まずは設置場所が重要。地上から打ちあがる様子を再現できるように、ポスターや絵画、テレビや家具、そして窓や梁などがない壁を探す。ワンルームマンションなどでは、打ち上げ場所に苦労するかもしれない。ただし、文末に荒業を紹介するので、最後まで目を通していただきたい。
打ち上げ場所として、ふざけたほど適さない部屋。什器やポスターその他で壁が見えない…… | 幅2m程度の壁が見えていればOK。花火は天井と壁の境目あたりに映すので、ローボード程度なら問題ない |
ちょうどいい壁が見つかったら、壁から2mほど離れた床やローテーブルに装置を置く。マニュアルによれば、天井との境目に花火の中心が来るように、レンズを斜め60度に傾けるとあったが、真上に向けて天井に映写してもなかなか迫力ある花火になる。ただしこのとき、ヒューッ! と上がっていく玉は、天井と壁の境目で屈折してしまうのが泣き所。
壁や天井に投影される花火の大きさは、およそ3~4mぐらいだ、ただし投影機なので壁や天井に近づけると小さく・明るく写り、遠ざけると大きく・暗くなる。投影するレンズにはピント調整機能もあるので、距離に合わせてはっきり写るように調整しよう。
本体の角度を調整して境目に大きな花火の中心が来るようにセットする。周りの小さな花火の位置も合わせて調整 | 本体をピント調整モードにして、大きな花火と小さな花火のピントを調整する | ピント合わせはカメラと同様にレンズをまわすだけ |
各ボタンに長押しモードがあるので、最初は少し難しいかも知れない |
一番簡単な花火の打ち上げ方は、「いつでも発射ボタン」を押すだけ。軽く押してやると、小さな花火が打ちあがり、長押しすると大きな花火が打ちあがる。
花火大会のように単発で打ち上げたり、連発で打ち上げたりと緩急をつける場合は、花火大会モードを使う。モードには、次のパターンが用意されていて、何発かを連続して打ち上げてくれる。
早打ち上げ | 花火大会の開始をイメージさせる連発花火の打ち上げ |
単発打ち上げ | 1つ1つの花火を単発で打ち上げる。花火大会で言うと、スポンサーの名前が放送されたあとに打ち上げられるアレ |
段打ち上げ | どっかん! どっかん! と連続して打ちあがる。大会中盤あたりで見られる打ち方 |
スターマイン | 中盤の盛り上がり時や閉会直前のように、景気よくたくさんの花火が打ちあがる |
単発打ち上げをしている様子 |
段打ち上げをしている様子 |
スターマインをしている様子 |
また4つのパターンをランダムに打ち上げる「連続打ち上げ」と、4パターンの打ち上げを5つ組み合わせてオリジナルの花火大会を作る「オリジナル」モードもある。
日本酒やウィスキーを片手に鑑賞するなら単発でしんみり、ビールやサワーを片手に鑑賞するなら、スターマインなどがお勧めだ。
仲間や家族で鑑賞する場合は、「連続打ち上げ」で寒暖をつけてやると、より花火大会っぽく盛り上がることウケアイ。
花火大会モードは歓声も入っている |
実際に、小学生の娘2人と中学2年生の娘、そして筆者の奥さんと母に実演して見せたところ、予想外の大盛況。打ちあがるごとに「ワーッ! すごーい」だの「可愛い!」だのと歓声を上げ、拍手喝采だ。父としての威厳を見せ付ける良いアイテムになること間違いない。
■花火大会開催のポイント
打ち上げ師となるお父さんは、必ず小型の懐中電灯を用意して開催に望むこと。実際の打ち上げ現場と同じで、打ち上げる玉のカートリッジを差し替える際、真っ暗な部屋の中では裏表が見分けられないのだ。表面には、突起がついているなどの工夫がされていればよかったのだが、その違いが微妙過ぎて指の触覚だけでは分からない。そして裏表を間違って装置にセットしてしまうと、文字や絵が鏡文字になってしまい「ちょっとタンマ! やり直し」となってしまうのだ。
カセットを表裏反対に差し込んでしまうと、鏡文字になったり逆さまになってしまうので注意する | 普通の状態 |
そして部屋はできる限り暗くすること。雨戸や遮光カーテンなどがあれば、きっちり閉めて真っ暗にしよう。装置の光源には、おそらく高輝度LEDが採用されているが、やはり2m離れてしまうとかなり光も弱くなってしまう。テレビや常夜灯をつけた状態などでは、クッキリ花火が見えないので注意して欲しい。
■家あげ花火のココがスゴイ!
1.花火が広がるところ
最初は小さく開き、数秒で大きく映写されるので、実際に花開く感じが絶妙に再現されている。これは大きな花火のみとなっているが、レンズにズーム機構がついており大きさをコンピュータで調整しているのだ。
2.打ちあがる小さな玉
花火大会を間近で見たことがある人ならお分かりと思うが、この火の玉は花火の爆発直線の数秒間だけ見えなくなる。火の玉が消えてから花火が輝きだす絶妙な秒数が実にリアルだ。
3.花火の種類の多さ
1枚のカートリッジには5つの花火が用意されていて、全部で40種類。加えて、添付の透明フィルムに油性マジックでキュッ! と描けばオリジナルの花火も打ち上げられるのだ。花火にこだわらず、誕生日のメッセージなどを書いておけば、ちょっとしたサプライズにもなるだろう。
大きな花火を際立たせる小さな花火も全部で10種類。組み合わせは腕の見せ所だろう。
4.外部スピーカーをつけるとかなりいい音がするところ
サンプリングレートは、およそ8kHz~11kHz(AMラジオ程度)といったところで、音域の広い花火の音はところどころ音割れしてしまっている。がっ! この音割れがより爆発音っぽい金属音を出している。
■オリジナルの花火はこんな感じ
添付の花火カートリッジで飽き足らない場合は、自らデザインした花火を打ち上げることだってできる。作り方は簡単で、専用の透明フィルムにマジックで描くだけ。より花火らしく見せるなら、周りを黒く塗る必要がある。しかしフィルムは直径3cmと小さく、塗りつぶすのは難しい。手先がかなり器用な人が塗りつぶしを担当する必要がありそうだ。
小学校2年生の娘に描かせてみた。例の菌のマンガらしい(笑)マジックでの塗りは、むらになりがち |
ただ解決方法はある。パソコンのペイントソフトなどを使って、3cmの円を拡大して作業すれば驚くほど簡単にできる。できあがったらインクジェットプリンタで透明シールに印刷し、切り抜いたら専用フィルムに貼るだけだ。
パソコンを使うと、かなりハイクオリティな花火ができる |
有名な花火の写真をダウンロードするのもいいし、ステンドグラスの写真などを使っても面白い花火ができぞうだ。
■打ち上げ場所がなくたって大丈夫!
装置を物置の屋根に置き、北側の窓の少ない外壁に投影してみようじゃないか |
光源になっている高輝度LEDは非常に明るく、大きなレンズでは30cm離れた場所でも350ルクス、小さなレンズでは150ルクス程度あった。大きい方は天井に大きな蛍光灯が並ぶオフィスの明るさ、小さい方はホテルの落ち着いたロビーの明るさといったところだ。
しかもレンズで集光しているので、一般的な照明より光は拡散しないハズ。であれば、部屋を出て屋外で楽しむことだってできるんじゃないか? ということで、さっそく実験してみた。
建物の外壁と装置の間はおよそ2m。ここから2階の壁に向けて花火を打ち上げてみよう。
結果はご覧のとおり。
じゅうぶん鑑賞に堪える明るさだ |
大きな花火は予想以上に明るく投影できる。花火の上部は、装置からおよそ3m離れているので、直線距離にして3.6mほど。これなら高さ4m以上でもイケそうだ。
さすがに小さな花火は、高さ4mまでは届かず上部が見えないが、下部はうっすら投影できる!
もし部屋に打ち上げる場所がなければ、家やアパートなどの壁面を利用しても大丈夫だ。大きなシーツをベランダからたらし、スクリーン代わりに使えば、より鮮明に、そして大勢で楽しめる。キャンプ場などに持ち込んで、仲間と遊べば場がかなり盛り上がるだろう。
2009年 8月 20日 00:00
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