コヤマタカヒロの男の料理道具!
鍋だし作りや味染み機能が便利なパナソニックの卓上IH調理鍋
by コヤマタカヒロ(2014/12/9 07:00)
12月に入り、ずいぶん寒くなってきた。この季節の定番メニューとして食卓に登場する機会が増えているのが鍋物。筆者宅は小さい子どもがいるため、以前に比べてその機会は減っているものの、それでも冬の間は、週に1回以上は鍋もしくは鍋風の煮込み料理が食卓を飾る。
これまでは、食卓で加熱しながら鍋を食べるときは、カセットコンロを使っていたが、鍋の位置が高いため、若干食べづらく、また、食卓で火を付けることにちょっとためらいもあった。
そこで気になっていたのが卓上で使えるIH調理器と対応鍋。ちょうどタイミングよく編集部より、使う機会をいただいたので、早速試してみたい。
メーカー名 | パナソニック |
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製品名 | 卓上IH調理器 KZ-PG33 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 13,694円 |
それでは製品の基本機能をチェックしてみよう。まずはIH調理器。本体サイズは304×345×54mm(幅×奥行き×高さ)。IH調理器としては、鉄、ステンレス鍋は利用できるが、多層ステンレス鍋やアルミ鍋は使えない。オールメタル加熱には非対応だ。
消費電力は最大1,400Wで、とろ火から弱、中、強まで7段階の火力に対応。操作ボタンなどはすべて本体前面に搭載しており、コースを選んだあと「スタート」ボタンを押すことで、加熱できる仕組みだ。
付属の鍋は表面にフッ素樹脂加工を施したステンレス鍋。内径が244mm、深さは72mmで、大人なら、3~4人で鍋を食べられるサイズ。表面が加工されているため、焼き調理をしても焦げつくことがなかった。このため、しゃぶしゃぶや水炊きだけでなく、すき焼きなど、幅広い鍋料理に対応できた。
KZ-PG33の特徴といえるのが「鍋だし作りコース」や「味しみこみコース」などの自動コース搭載していること。このため、ただ単に加熱するだけではない使い方ができる。また、上下の加熱ボタンを同時に長押しすることで、最大熱量(消費電力)を1,000Wにセーブする機能も搭載。電力のアンペア契約が低い家庭などでも、ブレーカーが落ちることを気にせずに使えるのが便利だ。
ボタンひとつで簡単に鍋のだしが取れる
最近ではスーパーに様々な味の鍋だしが売っている。しかし、いろいろと鍋を食べていると、最も飽きないのはシンプルな昆布だしにポン酢の組み合わせだったりする。このシンプルな鍋をより簡単に、美味しく作れるのが「鍋だし作り」コースだ。
付属の鍋に水と昆布などを入れて、コースを選んで電源オン。元々の水温にもよるが5、6分後に、だしが取れたことをアラームで知らせてくれる。
だしをとるときには、沸騰させてしまうとアクが出たり、昆布臭くなることがある。しかし、鍋だし作りコースでは完全に沸騰させることなく、火力を自動的に弱めてくれるのだ。
さらに、市販の粉末だしなども、事前にしっかりと溶いておくことで、このコースが利用できる。あとはアラームが鳴ったら、火の通りにくい食材から順番に投入していく。
自動的にオン/オフすることで大根にしっかり味が染みこむ
もうひとつの便利な機能が「味しみこみ」コース。このコースでは、設定した時間内で加熱と停止を何度か繰り返すことで、食材を煮崩れさせずにしっかりと味を染みこませることができる。
そもそも、煮物などで食材に味が染みこむのは、加熱時ではなく、冷ましているときだ。このため、飲食店などではこまめに火の強さを変えたり、休ませたりして食材に味を染みこませている。KZ-PG33では、その手間を自動的にやってくれる。
今回はおでんを作ってみた。まずは鍋だし作りコースで昆布だしをとる。そして、醤油やみりんなどの調味料を入れ、別途、下ゆでしておいた、2センチほどに輪切りした大根を投入する。そのあと、昆布を取り出した上で、一度煮立たせたら、コースを味しみこみにセット。あとはタイマーを5時間にセットするだけで、大根にしっかりと味が染みこむのだ。
おでんの大根などは、弱火でずっと加熱していると、柔らかくなりすぎて煮崩れすることがある。しかし、この味しみこみコースではずっと加熱をせず、定期的に休むため、大根が柔らかくなりすぎない。食材を柔らかくしたい煮込み料理などには、別のコースを選ぶと良いだろう。
大根にしっかりと味が染みたら、あとは揚げ物などを追加して10分ほど加熱すればおでんの完成。このおでんの大根の美味しさは家族からも非常に評判がよく、2歳児が一人で大根ひとつ食べてしまうほどだった。
また、食材を長時間煮てスープを取りたいときにも便利だった。たとえば鶏スープ。鶏の手羽先を水から煮て沸騰させたら、タイマー機能で5時間ほど弱火で炊く。これだけで、優しい鶏だしが作れる。あとは生姜やネギをちょっと足して、塩で味を調整するだけで十分に美味しい鶏スープが楽しめるのだ。
このような長時間のスープ取りは、タイマー機能付きのガスコンロを使っていても、寝ている間に作るといったことができない。しかし、火が付かないIH調理器なら、そういった使い方も可能。安心感が違うことを強く感じた。
KZ-PG33があれば鍋以外の料理も手軽になる
KZ-PG33は、普段の料理に活用しても非常に便利だった。ガスでの調理のようにずっと監視しておく必要がなく、それでいて火力も十分。温度調整も簡単で、料理の“面倒”な部分の多くをなくせる印象だ。さらに、付属の鍋は汎用性が高く、鍋の食材を煮込む以外の使い方に対応できるのも良い。
鍋以外の料理にもいくつか挑戦してみた。まず第一がごはんを炊くことだ。残念ながら炊飯コースなどは搭載されていないため、すべて手動で設定するのだが、やってみると意外に簡単だった。
3合ほどのお米と水を投入し、中火~強火(6もしくは7)で加熱する。10分ほどすると鍋の中がぶくぶくと泡立ってくるのがわかる。鍋ふたがガラス製なので、中の状態がわかりやすいのも良かった。
泡だった状態でしばらくキープし、泡が小さくなり、水分が減るのを待つ。泡が減ってきたら、火力を1か2にセットし、切タイマーで10分にセット。タイマーが切れたら、炊飯完了だ。これだけで美味しくごはんが炊けた。炊く量やお米の状態によって設定時間などは変わってくるが、それほど悩むことなく炊飯できる。
また、付属の鍋の底が広いため、鯛飯やパエリア作りにも適している。
続いて鍋底の広さを利用してステーキを焼いてみる。表面がフッ素加工が施されているため、若干焦げ目は付きにくいが、片面を中強火でしっかり焼き、もう片面を焼くときはふたをして中までしっかりと火を通すことで、ステーキも美味しく焼けた。フライパン代わりとしての役割は十分に果たしてくれた。
続けて、温度調整がしやすいことを利用して蒸し料理作りに挑戦。子どもたちの大好物である茶碗蒸しを、白だしと卵で作った卵液で作ってみた。
何度か試してみたところ、火力2~3ぐらいの弱火で7~9分ゆっくりと火を通すと、「す」が入ることもなくなめらかな茶碗蒸しが作れた。ガス火で蒸すのに比べて、安定して作れるのがIH調理器の魅力と言える。
鋳物ホーロー鍋でゆっくりカレー作りに挑戦
KZ-PG33は、ステンレス鍋や鉄鍋なら利用できるので、筆者所有の鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」を使って無水カレーを作ってみた。
大量のタマネギ、セロリ、トマトなどを刻み、バーミキュラに投入していく。あとはふたをして、弱火でゆっくりと数時間煮込むだけだ。野菜から出た水分がカレーのスープとなる。
実際に作ってみて感じたのが、IH調理器と鋳物ホーロー鍋、そして無水調理の相性がいいことだ。鋳物ホーロー鍋で作る料理は大半が、弱火でコトコトと調理する。IH調理器なら火力調整も簡単にでき、さらにタイマー設定ができるため、長時間のコトコト調理が非常にやりやすいのだ。
また、長時間のコトコト料理は前日などから仕込むことが多く、そのためにコンロがひとつふさがるのも不便だったが、KZ-PG33で煮込むことで、ガスコンロを使ってその日の料理もスムーズに作ることができた。
3時間ほど弱火で煮込み、水分がしっかりと出たらルウやチャツネなどを投入してカレーが完成。にんじんなど野菜の甘みもしっかり出て、さらにスパイシーさも両立した激うまカレーができあがった。
KZ-PG33は、1,400Wの高火力に対応したIH調理器だ。付属の鍋は汎用性が高い約24cmサイズで、通常の鍋からおでん、焼き調理など幅広く対応できる。
同製品よりも安いIH調理器はあるが、鍋だし作りコースや味しみこみコースなどの半自動の便利なコースを備えているのは大きな魅力だといえる。また、鋳物ホーロー鍋などとの相性も良いため、鍋だけでなく煮物やシチュー、カレーなどを作るときにも重宝する。
さらに、弱モード時の動作音が約25dBと静かなため、食卓の会話を妨げたり、テレビの音声が聞き取りにくくなることもなかった。多彩な使い方ができるKZ-PG33があれば、これからの寒い時期にピッタリの様々な料理作りに大活躍するだろう。