家電製品ミニレビュー

実売5,400円で買えるポッド式コーヒーメーカーの実力

廉価なポッド式コーヒーメーカーを試す

UCC上島珈琲「EP3 Pelica」

 今回は、UCC上島珈琲のポッド式コーヒーメーカー「EP3 Pelica」(以下ペリカ)を紹介する。これは、UCCオリジナルの「エコポッド」というコーヒーポッドを使う抽出機で、2012年に発売された製品だ。

 実は、昨年末に後継機種の「EP31 Pelicaプラス」も発売されているのだが、おかげでペリカの値段が下がった。発売直後は、8,000円前後で販売されていたのが、Amazonでは5,400円前後で買えるのだ。ポッド式コーヒーメーカーとしてはかなり安い。

 というわけで、廉価なポッド式コーヒーメーカーが、どれぐらい使える製品なのか試してみようというわけだ。ちなみに、ペリカの本体色は24色も用意されている。今回は「ナイトブラック」にした。

メーカー名UCC上島珈琲
製品名EP3 Pelica
希望小売価格オープンプライス
購入価格5,400円
購入場所Amazon.co.jp

レギュラーコーヒー中心のラインナップ

 到着したペリカの箱は意外なほど大きかった。本体も写真で想像していたよりも大きいのではないかとビビったが、ペリカ本体は小さかった。A4のコピー用紙ほどの広さがあれば置ける。本体は組み立て済みだ。

ポッドを入れる部分がペリカンのくちばしを思わせる
本体サイズは262×158×244mm(幅×奥行き×高さ)と小さい。置き場所はA4コピー用紙ぐらい

 ペリカは部品の点数も比較的少ない。実はUCCのエコポッドシステムは、ポッド式コーヒーメーカーでは主流の圧力を掛けて抽出するタイプではなく、ドリップ式なので、本体の構造が簡単なのだ。もちろん、コーヒーポッドもそれを前提に作られているので、形は似ているけれども、圧力をかけることを前提としているエスプレッソ用のカフェポッドと互換性はない。

 エコポッドは、全部で12種類。ホットコーヒー以外にアイスコーヒーや日本茶、紅茶、烏龍茶も用意されている。エコポッドはドリップ式のコーヒーメーカーなので、ラインナップもレギュラーコーヒー系が多く、カプチーノやラテなどは用意されていない。

 今回試したコーヒーポッドは、「リッチブレンド」と「モカ&キリマンジァロ」だ。リッチブレンドが普通で、モカは、ちょっと高級という位置づけだ。

 価格は、リッチブレンドが409円、モカ&キリマンジァロが615円する。両方とも10ポッド入っているので、1杯当たりのコストは40円~60円というわけだ。Amazonなどでは、少し安く買えるので、1杯当たりのコストは30円~50円ぐらいと思えば良い。

ちゃんとおいしいコーヒーができる

 ペリカの操作は、2つのボタンと1つのダイヤルで行なう。ボタンは電源ボタンと、スタートボタン(抽出ボタン)、ダイヤルはお湯の量の調整だ。

 簡単に手順を追ってみよう。まず、水タンクに水を入れる。コーヒーカップを抽出口の下にあるトレイに置く。電源ボタンを押す。エコポッドをセットする。ダイヤルで抽出量を決める。お湯が沸いたらピーピーと鳴るので、スタートボタンを押す。コーヒーが抽出されるという単純でわかりやすいものだ。

基本操作はこれだけ
水タンクは固定式
シンプルな操作部分
今回試した2種類のポッド
くちばしの部分を開けるとポッドのホルダーが見える
ポッドをセットした状態。いったんホルダーを取り出してセットするとやりやすい

 抽出時間は、2杯分を淹れるときで3分ちょうどぐらい。1杯分なら2分をちょっと切るぐらいだ。すごく早くはないが、待てるぐらいの時間だ。ただし、お湯が沸いた状態で、スタートボタンを押すという操作が必要なので、ちょっと二度手間な感がある。

 ペリカの動作音は静かだ。夜中に一人でコーヒーを淹れていても家族を起こすようなことはない。エスプレッソマシンやポッド式コーヒーメーカーの中には、抽出時にかなり大きな音がするものもあるが、そういう心配はない。

コーヒーカップのトレイは、保温機能などがないシンプルな構造
コーヒーカップをセットするときは、トレイの高さを調整できる
抽出されたコーヒー

 淹れたコーヒーは、かなりおいしい。素直に入れたドリップ式コーヒーの味だ。

 これは、お湯の温度が適切なことと、ドリップするときに途中で待ち時間を入れて、ちゃんと蒸らしを行なうのが有効なのだろう。ちなみに、抽出後の飲料の温度は約85℃に固定されている。

 モカ&キリマンジァロも試してみた。これもおいしい。香りが高く、リッチブレンドの違いはパッと分かる。ちゃんと、ポッドの差がわかるコーヒーメーカーなのだ。

 ちなみに、本体の水タンク容量は460ccだ。普通のカップが140cc、マグカップが180ccが目安なので、計算では3杯分も可能なはずだが、3杯目は水を足すように言われることが多い。実用範囲は2杯分だと思った方が良い。

 ポッド式の利点は、日常的な操作が簡単なことだ。ポッドを交換する際に、ホルダーごとポッドを取り出して、使ったポッドを捨てるという作業が楽だし、新しいポッドをセットするのも簡単だ。おいしいドリップコーヒーは飲みたいけど、ペーパードリップ式は面倒という人にはありがたいシステムだろう。

操作面では改善して欲しいところがある

基本的な操作は、「スタートガイド」を見れば大丈夫。ただ、エラーメッセージも書いて欲しかった

 しばらくペリカを使っていると、思わずイラッとすることが何度かあった。

 たとえば、3杯目のコーヒーを淹れようとして、お湯が足りないときや、2杯続けてコーヒーを淹れたい時などだ。

 お湯が足りない時は、LEDの点灯と点滅速度で教えてくれるのだが、これがかなりわかりづらい。

 また、ポッド式は1ポッドで1杯のコーヒーを淹れる前提になっているため、2杯目を続けて淹れるときは、電源スイッチが入っている状態で、ポッドを交換しないと、スタートボタンが押せる状態にならない。同じポッドで2杯目を淹れないように、チェックしているのだ。

 まぁ、これはしょうがないのだが、1杯目を淹れるときも、電源スイッチを入れる前や、お湯が適温になる前の状態に、ポッドを交換していると、交換したと認めてくれない。つまり、お湯が沸いてピーピー鳴っているのに、スタートボタンを押しても抽出が始まらない。ポッドのフタを1回開閉してやらないと、手順を進めてくれないのだ。これもエラーメッセージがわかりにくいので、気がつくのに時間がかかる。

 メンテナンス面では、ポッド式コーヒーメーカーならではの作業がある。使ったあとは、本体に残ったお湯を排水しておくように勧められている。つまり、普通のコーヒーメーカーだと「ハイッ! 入れた水は全部沸かしました。それでコーヒーを淹れて、全部サーバーに送り出してあります。本体内にお湯は残っておりません」で以上終了なのだけど、ポッド式は、本体内のお湯の量より、容量が小さいカップに1杯ずつ淹れるので、どうしても本体内にお湯が残ってしまうのだ。

 ペリカでは、カップの代わりに、付属の計量カップをトレイに置き、電源ボタンを押してから、スタートボタンを3秒以上長押しすると、排水が行なわれる。しかし、このスタートボタン3秒長押しというのが、なかなか覚えにくい。本体には何も書いてないので、間違えて、電源ボタンを長押しして電源を切ってしまうことが多かった。

排水を行なうときは、付属の計量カップをセットする
12月に発売された「Pelicaプラス」。操作パネルがずっとわかりやすくなっている。ペリカを使ったあとだと、ありがたみが分かる

 とはいえ、ここに述べたことの大半は、新製品のPelicaプラスでは改良されているようだ。たとえば、操作パネルには「水補給」を求める専用のLEDがあり、「排水」という独立したボタンもできている。なるほど、後からでるものはちゃんと改良されているのだ。

これから買うならプラスがオススメ

 最初は、価格に惹かれて使ってみたペリカだったが、付き合ってみると、コーヒーはまともに淹れてくれるし、音は静かだしで、きちんとした製品だった。さすが豆屋さんが考えたシステムだけあって、ちゃんとしたコーヒーを淹れてくれる。実売価格5,400円ながら、ちゃんと実用的なシステムだ。

 ただ、操作面ではとまどうことがあるので、予算に余裕があれば、Pelicaプラスも検討してほしい。毎日のイライラが少し減ると思う。

 同じようなポッドシステムの製品と迷った時は、主に飲むコーヒーの種類で決めれば良いだろう。ペリカが使っているUCCのエコポッドは、とくにレギュラーコーヒーが中心のユーザーにお勧めしたいシステムだ。

伊達 浩二