家電製品ミニレビュー

ダイキン「うるおい光クリエール MCK75K」 前編

~選択のポイントは“光速ストリーマ”と大風量
by 清水 理史


ウイルス対策に空気清浄機を

 もはや流行は避けられないかのように、日々話題になっている新型インフルエンザ。新学期を迎えた娘の学校でも、毎朝の体温計測が義務づけられているし、近所の学習塾やバレエ教室からも「熱があったら休んでください」という旨の手紙が頻繁に届く。

 こうなるとさすがに他人事とは思えない。手洗いやうがいに精を出し、外出時もマスクを常に持ち歩くようにしているが、同時に家庭での対策も見直そうと、空気清浄機、それもウイルス対策を搭載した空気清浄機に注目してみた。

 シャープ、三洋、パナソニック、そしてダイキンと、空気清浄機を販売している各メーカーとも独自のウイルス対策機能を搭載しているが、最近ではその効果を研究機関などと協力して発表するようになってきた。

 たとえば、弊誌で掲載したニュースをざっとチェックしみても、シャープがプラズマクラスターイオンが鳥インフルエンザに有効だと発表していたり、パナソニックがナノイーによる鳥インフルエンザの抑制効果を検証していたり、ダイキンが同社のストリーマ放電が鳥インフルエンザに有効と発表していたり、三洋電機が「ウイルスウォッシャー」が新型インフルエンザと同型の「H1N1」型に有効と発表していたりと、空気清浄機の大手4社はインフルエンザへの効果を公表している。

 インフルエンザの場合、飛沫感染の確率の方が高そうなので、実際の環境でどこまで有効化はわからないが、感染の確率を少しでも下げる努力はしておきたいところだ。


選択条件はウイルス対策技術+大風量+加湿機能

ダイキンの加湿空気清浄機「うるおい光クリエール MCK75K」。9月に発売されたばかりの新製品で従来製品からストリーマ放電が1.5倍に強化されている

 というわけで、各社の製品を一通りチェックし、最終的に選んだのが、9月に発売されたダイキンの新型加湿空気清浄機「うるおい 光クリエール MCK75K」だ。今回は2回に渡って製品の機能、実際の使い勝手などをじっくり紹介していく。


メーカーダイキン
製品名うるおい光クリエール MCK75K
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシ.com
購入価格51,800円


 まず最初に、なぜこの製品を選んだのか。その理由は3つある。

 最初のポイントは、同社独自の技術「光速ストリーマ」が採用されている点だ。前述した鳥インフルエンザへも有効性が検証されている技術だが、しくみとしては、本体内部のストリーマ放電ユニットから放出された高速の電子が、空気中の窒素や酸素と合体することで強い酸化分解力を持った活性種に変化する。この活性種がウイルスや菌などを分解、除去するというわけだ。

本体に内蔵されているストリーマ放電ユニット放電ユニットを取り外したところ。針が備えられた3つの放電部が3つある

 なにやら難しいが、他の技術と違うのは、このプロセスを空気清浄機内部で行なうという点だ。他社のウイルス対策技術は、本体で生成したプラズマや電解水を放出して、空気中のウイルスに対抗するという方式だが、ダイキンの光速ストリーマは内部で生成されたストリーマの空気を本体のフィルタ部分などに通し、外部から取り込んだ空気を内部で除菌するというしくみになっている。

 当然、ストリーマの一部は空気中にも放出されるはずだが、個人的には放出されたものが部屋のどこまで行き渡って、どれくらいの時間存在し、どこまで活動するのかわからないよりは、内部で集中的に除菌するという方が効率が良さそうだと考えたからだ。

 しかも、新型となるこのMCK75Kでは、従来製品よりストリーマが強化されている。ストリーマ放電の放電量が従来製品の37μAから55.5μAへと、1.5倍に増やされておりウイルスの分解・除去スピードが4倍にも強化されている。

 もちろん、この場合、部屋の空気をどこまで取り込めるかがカギになる。しかし、そこはパワーで定評があるダイキンの製品。MCK75Kという型番が示す通り、最大風量は7.5立方m/分とかなりの大容量だ。

背面の送風口。大風量に対応した製品だけあって、開口部も広い

 単純に風量だけ比べれば、もちろんもっと大容量な製品は存在するのだが、業務用だったり、価格が高い場合が多い。その点、MCK75Kは実売価格で5万円前後とさほど高くないうえ、加湿時も7.5立方m/分と能力が落ちない。同じ価格帯だと他社製品は6.5立方m/分と若干風量が少なく、加湿時の風量が落ちる製品が多い。

 風量が多いということは、それだけ広い部屋に使えるうえ、狭い部屋で使ったときの効率も良い。これが2番目の選択ポイントというわけだ。

 最後の3番目のポイントは加湿機能を搭載している点だ。インフルエンザ対策を考えると、単に空気をきれいにするだけでなく、湿度も高く保てる製品が必要になる。そこで加湿機能が必要というわけだ。

 加湿フィルターは水車式(正式には気化エレメント回転式と言う)になっており、周囲に取り付けられた水桶が回転しながら水をくみ上げ、それを上からこぼしてフィルターに水を浸透させるようになっている。つまり、フィルターが水に浸っていないのでいつまでも清潔な状態を保てるわけだ。

加湿機能を搭載し、空気の清浄にプラスして湿度もコントロールできる。水タンクは前面に搭載される側面から吸い込んだ空気がフィルターを通った後に、この加湿フィルターを通過。上部から排出されるときに湿った空気になる

 しかも、今回の新製品(MCK75K)からは、前述したストリーマを水車と加湿用の水にも照射する「キレイ水加湿」にも対応している。本体上部側面側で放電によって作られたストリーマは、前面のフィルタ部分を通って、加湿用の水が溜められたタンクを通って、水車のフィルターへと当たる。これにより、水やフィルターも常に除菌し続けているわけだ。

 このプロセスは加湿機能を使わないときにも有効となっており、たとえば夏場に空気清浄機能だけ使っている場合でも、水タンクやフィルター部分を常に除菌し続けてくれる。冬場に加湿機能を使おうと思ったら、内部がカビだらけだった……などということも避けられるわけだ。


トータル機能に優れた加湿空気清浄機

 このように、今回はダイキンのMCK75Kを選んだ理由を紹介したが、要するに、第三者機関に認定された最新のウイルス対策技術を搭載し、大風量で広い範囲を効率的にキレイにでき、しかも加湿機能までクリーンということになる。

 特に風量や加湿能力というのは、最近では、ウイルス対策技術にばかり目がいってしまいなかなかチェックしきれないことが多い。そういった意味では、パワーに定評があるダイキンの製品なら安心だ。

 さて、実際の使用感だが、今回はここまでにして、続きは次回の後編で紹介することにしたいと思う。






2009年9月14日 00:00