家電製品ミニレビュー

ユーイング「水耕栽培 Green Farm」

~レタスも育つ! ゲーム感覚で野菜を収穫してみた

ユーイング「Green Farm UH-A01E」

 家電量販店を覗いていたら、大きめの金魚の水槽のようなケースを発見した。なんでこんなところに? と店員さんに尋ねると、どうやらこれは野菜を栽培する水耕栽培キットらしい。「私たちも実際に栽培したことはないんですが、レタスがワサワサできて面白いって話ですよ」と。

 店員さんも人づてに聞いただけという、ユーイングの水耕栽培キット「Green Farm」。ココで筆者が試さなければ誰が試す! ということで、本当にレタスがワサワサできるのかを調べてみよう! ワクワク♪

メーカーユーイング
製品名Green Farm UH-A01E
購入場所Amazon.co.jp
購入価格19,800円

こっ! これは子どもの夏休みの自由研究に最適かも!

 キットの内容は盛りだくさんで、栽培用のケースにACアダプタ、液体肥料にスポンジの苗床、計量カップにレタスの種など、栽培に必要なものはすべて入っている。あとは水さえあればその日からレタス作りがはじめられる。

 説明書はモノクロのほか、子どもでもよく分かるようにカラーイラストを交えた小冊子もある。小学校高学年ぐらいでも栽培できてしまうだろう。

 まずは準備と種まきを、写真で説明しよう。

トレイに水を4Lほど入れる。ここは撮影用に床で作業しているが、水4リッターを入れると重いばかりが、移動したときに水がこぼれてしまうので、設置場所で作業したほうがいい。うわわ!犬が自分の飲み水と勘違い(笑い)
液体肥料を水にまぜる。無色透明で臭いもなく、これっぽっちでレタスが育つのか? と心配になるが、結果を見れば明らか。トレイ中央にある青いものは、金魚の空気ポンプと同じで、水に酸素を溶かし込むもの
添付のスポンジに液体肥料を溶かした水をよく吸い込ませる。これがポイントのようで、スポンジの中にある空気を全部押し出す感じで水を吸い込ませる
苗床の蓋をセット。ちょうど水に浮いている感じになり、水が少なくなると苗床も水位にあわせて下がるので手間いらず
苗床の蓋をセット。大きく育つものは、間隔をあけて栽培する
水を含ませたスポンジを穴に押し込む
添付されていた種は、ジェンティリナグリーンというレタスの一種。売っているレタスのように丸くならない、ローメインレタスみたいなヤツらしい。種はもともとこんな色らしい
スポンジの上に1つのせて種まきは終わり
トレイについているゲージは、水の量を示すもの。1カ月近く水もやらなくていいし、水を換える必要もない
トレイをケースに設置する。ケースの大きさは幅が54.4cm、奥行き26.2cm、高さが30.5cmで、少し大きめの金魚の水槽という感じ
電源を入れて発芽モードにする。発芽モードは、2日間LED照明を点灯せず、種が土の中にいると勘違いさせるモード。2日経つと自動的に発芽モードが解除され、朝から夜までLED照明が点灯するようになる

 初めてでも、マニュアルを見ながら1時間程度で種まきまで終わる。1カ月ほど水をやる必要もないということなので、お手軽にもほどがありすぎってほどの手軽さだ。

だいたい2週目ぐらいから食べ始められるけど、ガッツリいくなら3~4週間

 種まきしたら、あとはひたすら待ち続けるだけ。Green Farmは1時間に10分ほど水に空気を送り、朝6時~夜の10時までLEDを点灯して野菜を育ててくれる(点灯時間は変更可能)。高輝度LEDが太陽の代わりをしてくれるので、日陰だろうと地下だろうと、どこでもスクスクと野菜が育つのだ。しかも笑っちゃうほど成長が早く、朝と夜で変化が分かるほど。ホントに……。

 その楽しさを言葉で表現するのは難しいのだが、昔に流行った携帯型の仮想生物育成ゲーム「たまごっち」を育てている感覚。どれだけ早く育つかは、写真で紹介しよう。

種まきした翌日には、もう発芽する
2日目。もう双葉が生えてきた!
3日目。茎が伸びてきた!
3日目の夜。何気なく水槽を見てみると、ほとんどの種の双葉が開いた!
4日目。双葉が大きくなって幅1cmほどに
7日目。本葉が生えてきた!
10日目。本葉2枚が大きく育つ。試しに1つ食べてみると、もうレタスの味がする
13日目。本葉はさらに大きく、別の本葉も芽生えてくる
16日目。ワシャワシャと折り重なるようになってきたので、間引きしてラーメンの具にして食べる。根っこは葉っぱ並みに立派に育っている
19日目。かなりたくさんできたが5人家族のサラダにはならないので、もう少し育てることに。お弁当や昼ごはんの彩りで数枚使うぐらいならもう十分
23日目。水槽の中はレタスで満杯! ラスト1枚の葉っぱを残して刈り取ると、またワサワサと生えてくるので経済的
カルパッチョを作ってみた。家族には大好評で、あっという間に完食

 サラダとして家族で食べるには3~4週間ほど必要だが、お弁当やおかずの彩りとして使うなら2週間ほどで食べられる。外側の大きい葉をキッチンバサミなどで刈り取っていくと、残った中央の小さな葉はすぐに大きく育つので、2日ほどすると食べた分だけ生えてくるという感じだ。

 店で売っているレタスに比べると、葉は柔らかくシャキシャキ感はあるうえ、サラダ菜のような柔らかさがある。もちろん味は、しっかりとしたレタスの味。これまでトマトやキュウリ、ピーマンやナスなどは家庭菜園で作ってきたが、自分でレタスが作れるとはちょっと感動した(笑)。

 なお水耕栽培のレタスは、土より2倍早く育つという。しかもGreen Farmは密閉されて虫も入らないので、完全無農薬の自家製野菜がワサワサと生えるので、おいしく安全な上に楽しいのが最大の特徴だ。

追加の種は3回分で2,000円と高めだがたくさん収穫できるのでお店と変わらないかも?

 楽しく実用的というのは1カ月利用してわかったが、コスト面はどうだろう? 1回目の種は、本体価格(実売21,000円前後)に含まれているが、2回目以降は種をメーカーから買わなければならない。その価格は、1まきぶんの種(種類が選べる)に液体肥料がセットになって3回分で2,000円、1回分は670円程度になる。少し高い気もするが……。

種は20種類の中から選べる。葉物以外だと、水菜や春菊、ルッコラやターサイ、クレソンやバジルなど。専用の申し込みはがきに、欲しい種を3種類書いて送ると、種×3袋、液体肥料3本、苗床のスポンジ3つが送られてくる

 一方電気代は、1日10円程度(実測値。最大消費電力は30W)なので、1カ月で300円。合計で970円程度になるだろう。これを市販のレタスに換算すると、年平均で250円として、およそ4個分だ。今回試してみたかぎり、数カ月栽培していれば4個分ほど収穫できそうなので、市販のレタスとほぼ変わらないコストといえるだろう。

 ただし本体価格の約2万円を回収するには、市場価格の高い野菜を作ってもなかなか難しそうだ。

市販の種も栽培できるか確かめてみた

 メーカーが用意している種は数が少ないので、市販の種でも栽培できるか実験した。試したのは、普通に丸くなるレタスと白菜、サラダ菜とホウレンソウ、そしてネギだ。液体肥料もDIY店で売っているものを購入してきた。またスポンジは100円ショップの食器洗い用のスポンジを購入して、適当なサイズに切って使った。

 結果はまったく発芽せず。色々調べてみると、発芽する気温や液体肥料の種類、水耕栽培向きの野菜かどうかなど、色々な要素がうまくかみ合わないと、面白いように育たないようだ。もし試行錯誤するのが面倒という場合は、メーカーの種と液体肥料を購入するのがいいだろう。

 筆者が試してみたところ、以下のような条件に合えば、たくさん収穫できるだろう。

(1)液体肥料は水耕栽培用の「ハイポニカ」がいい

 液体肥料には、2つの液をまぜて500倍程度に水で薄めて使う水耕栽培向け「ハイポニカ」が良い。価格は1Lで2,000円程度。水耕栽培キットは水が4L必要なので、液体肥料は1回8cc(大さじ1杯半)必要。1Lあると、何年も使えちゃう。

液体肥料として有名なハイポネックスを使ったが、水耕栽培用ではなくまったく発芽しなかった
水耕栽培向けのハイポニカという肥料に変えたところグングン野菜が育った。店頭ではあまり見かけないので、スポンジと一緒に通販で買うといい

(2)スポンジは水耕栽培用を使うと良い

 食器洗い用のスポンジは水をはじく性質があるため、水耕栽培用の水を吸うスポンジを購入したほうがいい。あらかじめ切れ目が入っていて手間も掛からず、300個で500円程度と安い。

(3)LED照明でキット内の気温は5℃ほど高め

 照明が意外と熱を持つので、キット内の温度は室温より5~10℃ほど高くなる。種に書かれている発芽や生育温度と、キット内の温度が一致していないと、さっぱり大きくならない。

市販の種と肥料でも、うまくいくとワサワサ収穫できる。種まきからおよそ4週後
丸くなる普通のレタスだが、4週程度では丸くならなかった
これは白菜。茎の根元を見ると白菜だっていうのが分かるし、味も白菜だ。あまりに新鮮な白菜は、葉っぱにトゲがあり食べるとチクチク痛いので、1日ぐらい放置したほうがいい
立派に育ったサラダ菜。売ってるものと大差ない。試しにスポンジを引っこ抜いたら、立派な根が生えていた
高級な九条ネギなら元が取りやすいかと栽培してみたところ、冬の野菜のためサッパリ生長せず。4週そだてて10cmぐらいにしかならなかった。ただし味はネギそのもの

 収穫して夕食のテーブルに出したのはコレ! ベトナム風生春巻きの“反対バージョン“だ。生春巻きはライスペーパーに葉っぱやエビなどを巻いて食べるが、コレはその反対で、葉っぱに米でできたビーフンとエビなどを巻いて食べる。生野菜をあまり食べない高1の娘もパクパク、家族にも超大好評であっという間に売り切れた。

収穫した葉っぱにビーフン、エビ、アボカド、チーズなどを巻いてチリソースで食べる。野菜のシャキシャキ食感がおいしい

ハーブ好きの女性はもちろん、理系のエンジニアもハマること確実のGreen Farm

 野菜を始め、植物の成長は遅く、あれこれ工夫したところで、結果が見えるまでに時間がかかる。しかしGreen Farmを使って野菜を栽培すると、午前と午後で成長の違いが分かるほどグングン育つ。生育の遅さにヤキモキしていた人には、ツボにはまること確実だ。というか筆者はまさにツボにはまった代表で、家庭菜園のトマトやキュウリには水やりさえしたことないが、Green Farmは日照時間の調整や液体肥料の濃度など、色々条件を変えて成長具合を工夫するなど楽しめた。

 もちろんハーブや家庭菜園を育てるのが好きな人にとっても、Green Farmは面白いほど野菜がたくさん、そして早く育つ不思議な水槽として楽しめる。本体価格は2万円以上して少し高いが、家庭用ゲーム機以上に楽しめる面白ガジェットとしてオススメしたい。

藤山 哲人