家電製品ミニレビュー
ユーイング「水耕栽培 Green Farm」
~レタスも育つ! ゲーム感覚で野菜を収穫してみた
by 藤山 哲人(2013/9/27 00:00)
家電量販店を覗いていたら、大きめの金魚の水槽のようなケースを発見した。なんでこんなところに? と店員さんに尋ねると、どうやらこれは野菜を栽培する水耕栽培キットらしい。「私たちも実際に栽培したことはないんですが、レタスがワサワサできて面白いって話ですよ」と。
店員さんも人づてに聞いただけという、ユーイングの水耕栽培キット「Green Farm」。ココで筆者が試さなければ誰が試す! ということで、本当にレタスがワサワサできるのかを調べてみよう! ワクワク♪
メーカー | ユーイング |
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製品名 | Green Farm UH-A01E |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 19,800円 |
こっ! これは子どもの夏休みの自由研究に最適かも!
キットの内容は盛りだくさんで、栽培用のケースにACアダプタ、液体肥料にスポンジの苗床、計量カップにレタスの種など、栽培に必要なものはすべて入っている。あとは水さえあればその日からレタス作りがはじめられる。
説明書はモノクロのほか、子どもでもよく分かるようにカラーイラストを交えた小冊子もある。小学校高学年ぐらいでも栽培できてしまうだろう。
まずは準備と種まきを、写真で説明しよう。
初めてでも、マニュアルを見ながら1時間程度で種まきまで終わる。1カ月ほど水をやる必要もないということなので、お手軽にもほどがありすぎってほどの手軽さだ。
だいたい2週目ぐらいから食べ始められるけど、ガッツリいくなら3~4週間
種まきしたら、あとはひたすら待ち続けるだけ。Green Farmは1時間に10分ほど水に空気を送り、朝6時~夜の10時までLEDを点灯して野菜を育ててくれる(点灯時間は変更可能)。高輝度LEDが太陽の代わりをしてくれるので、日陰だろうと地下だろうと、どこでもスクスクと野菜が育つのだ。しかも笑っちゃうほど成長が早く、朝と夜で変化が分かるほど。ホントに……。
その楽しさを言葉で表現するのは難しいのだが、昔に流行った携帯型の仮想生物育成ゲーム「たまごっち」を育てている感覚。どれだけ早く育つかは、写真で紹介しよう。
サラダとして家族で食べるには3~4週間ほど必要だが、お弁当やおかずの彩りとして使うなら2週間ほどで食べられる。外側の大きい葉をキッチンバサミなどで刈り取っていくと、残った中央の小さな葉はすぐに大きく育つので、2日ほどすると食べた分だけ生えてくるという感じだ。
店で売っているレタスに比べると、葉は柔らかくシャキシャキ感はあるうえ、サラダ菜のような柔らかさがある。もちろん味は、しっかりとしたレタスの味。これまでトマトやキュウリ、ピーマンやナスなどは家庭菜園で作ってきたが、自分でレタスが作れるとはちょっと感動した(笑)。
なお水耕栽培のレタスは、土より2倍早く育つという。しかもGreen Farmは密閉されて虫も入らないので、完全無農薬の自家製野菜がワサワサと生えるので、おいしく安全な上に楽しいのが最大の特徴だ。
追加の種は3回分で2,000円と高めだがたくさん収穫できるのでお店と変わらないかも?
楽しく実用的というのは1カ月利用してわかったが、コスト面はどうだろう? 1回目の種は、本体価格(実売21,000円前後)に含まれているが、2回目以降は種をメーカーから買わなければならない。その価格は、1まきぶんの種(種類が選べる)に液体肥料がセットになって3回分で2,000円、1回分は670円程度になる。少し高い気もするが……。
一方電気代は、1日10円程度(実測値。最大消費電力は30W)なので、1カ月で300円。合計で970円程度になるだろう。これを市販のレタスに換算すると、年平均で250円として、およそ4個分だ。今回試してみたかぎり、数カ月栽培していれば4個分ほど収穫できそうなので、市販のレタスとほぼ変わらないコストといえるだろう。
ただし本体価格の約2万円を回収するには、市場価格の高い野菜を作ってもなかなか難しそうだ。
市販の種も栽培できるか確かめてみた
メーカーが用意している種は数が少ないので、市販の種でも栽培できるか実験した。試したのは、普通に丸くなるレタスと白菜、サラダ菜とホウレンソウ、そしてネギだ。液体肥料もDIY店で売っているものを購入してきた。またスポンジは100円ショップの食器洗い用のスポンジを購入して、適当なサイズに切って使った。
結果はまったく発芽せず。色々調べてみると、発芽する気温や液体肥料の種類、水耕栽培向きの野菜かどうかなど、色々な要素がうまくかみ合わないと、面白いように育たないようだ。もし試行錯誤するのが面倒という場合は、メーカーの種と液体肥料を購入するのがいいだろう。
筆者が試してみたところ、以下のような条件に合えば、たくさん収穫できるだろう。
(1)液体肥料は水耕栽培用の「ハイポニカ」がいい
液体肥料には、2つの液をまぜて500倍程度に水で薄めて使う水耕栽培向け「ハイポニカ」が良い。価格は1Lで2,000円程度。水耕栽培キットは水が4L必要なので、液体肥料は1回8cc(大さじ1杯半)必要。1Lあると、何年も使えちゃう。
(2)スポンジは水耕栽培用を使うと良い
食器洗い用のスポンジは水をはじく性質があるため、水耕栽培用の水を吸うスポンジを購入したほうがいい。あらかじめ切れ目が入っていて手間も掛からず、300個で500円程度と安い。
(3)LED照明でキット内の気温は5℃ほど高め
照明が意外と熱を持つので、キット内の温度は室温より5~10℃ほど高くなる。種に書かれている発芽や生育温度と、キット内の温度が一致していないと、さっぱり大きくならない。
収穫して夕食のテーブルに出したのはコレ! ベトナム風生春巻きの“反対バージョン“だ。生春巻きはライスペーパーに葉っぱやエビなどを巻いて食べるが、コレはその反対で、葉っぱに米でできたビーフンとエビなどを巻いて食べる。生野菜をあまり食べない高1の娘もパクパク、家族にも超大好評であっという間に売り切れた。
ハーブ好きの女性はもちろん、理系のエンジニアもハマること確実のGreen Farm
野菜を始め、植物の成長は遅く、あれこれ工夫したところで、結果が見えるまでに時間がかかる。しかしGreen Farmを使って野菜を栽培すると、午前と午後で成長の違いが分かるほどグングン育つ。生育の遅さにヤキモキしていた人には、ツボにはまること確実だ。というか筆者はまさにツボにはまった代表で、家庭菜園のトマトやキュウリには水やりさえしたことないが、Green Farmは日照時間の調整や液体肥料の濃度など、色々条件を変えて成長具合を工夫するなど楽しめた。
もちろんハーブや家庭菜園を育てるのが好きな人にとっても、Green Farmは面白いほど野菜がたくさん、そして早く育つ不思議な水槽として楽しめる。本体価格は2万円以上して少し高いが、家庭用ゲーム機以上に楽しめる面白ガジェットとしてオススメしたい。