家電製品ミニレビュー

シャープ「スリムイオンファン PF-ETC1」

~プラズマクラスター搭載でオールシーズン使える高級扇風機
by 戸井田 園子
シャープ「スリムイオンファン PF-ETC1」。スタイリッシュな縦長のスリムボディでスッキリと省スペース

 昨年の夏以来、節電対策の有効アイテムとして注目が集まっている扇風機。今年は各社から、様々な新製品が登場しています。シャープからは、プラズマクラスター搭載のスリムファンが発売。スタイリッシュなデザインが特徴です。


メーカーシャープ
製品名スリムイオンファン PF-ETC1
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシ.com
購入価格40,000円


デザインコンセプトは「薄型テレビの隣」

 スタイリッシュで画面も大きな薄型テレビが普及した今、インテリアのイメージも大きく変化しています。そんな空間にマッチするのがこの扇風機。テレビの横に置いてもスッキリ馴染むというコンセプト通り、タワー型スピーカーのようなデザインがAV機器とよく馴染みます。

 また、スリムなボディと上に向けて細くなるフォルムのため、高さはあるけれど邪魔な感じがしないのも良いところ。テレビの横だけでなく、部屋の隅にもスッキリ納まりインテリアアイテムとしても好印象です。

 本体サイズは240×240×870mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約4kg。適応畳数は約12畳です。

やわらかく優しい風を遠くまで届ける独自設計

ゆるやかにカーブをしつつ吹き出し口へと続く内部の送風経路の様子

 しかし、見栄えばかりにこだわった訳ではありません。空気力学に基づいて設計されている独自の新送風システム「エアロダイナミックフォルム」により、柔らかい風を遠くまで届けることを可能にしています。しかも、濃度1立方cm当たり25,000個のプラズマクラスターイオンも発生しますので、イオン発生機としても活用できます。

 本体内部を見ると、「送風経路」はゆるやかにカーブを描きつつ長さが確保されています。この送風経路の幅を徐々に広げることで、風速が低下して風を押し出す力に変わり、やわらかな風が送り出せるとのこと。さらに、ホースの先をつまむと水が遠くまで届く原理と同様に、「吹き出し口」の幅を狭くすることで風を遠くまで届けます。実際に風を浴びると、当たりの強さは感じないのに、遠くまでしっかり風が届きます。

 風量は、DCモーター搭載により32段階に調整が可能。消費電力は、最小運転の「1」で2.0Wと超省電力。最大運転「32」でも24Wなので、従来の扇風機に比べるとかなり省エネ設計になっています。また運転音も、最小運転の「1」なら17dBと非常に静か。実際に運転してみると、本当に微風で風の音が感じられない程度の状態でした。

首振り範囲は60度・90度・120度と選べるため、状況に応じて使い分けられる

 徐々に風量を上げていくと、16段階前後で一般的な扇風機の「中」くらいの印象。Maxとなる最強はテーブル上の紙はひらひらと飛んでいくくらいの風量になります。当然、風切り音やモーター音がそれなりにしますので、実際の生活空間では「中」前後の使用が多くなりそうです。

 実際に風を出してみると、吹き出し口が細長いため、風が届く範囲は丸型の扇風機と比べると狭く感じます。しかし、吹き出し口にはルーバーがあり、上に60度・下に20度の範囲でスイング可能。左右への首振り範囲は60度・90度・120度の3段階で設定ができるため、これらを組み合わせることで広範囲に風が届くように設計されています。特に一般的な扇風機の左右首振り範囲は、90度までが多いので、120度はかなり左右に大きく動く印象で、部屋の隅々まで風が届くと実感できます。


タッチパネルの操作パネルで直観的に使える

風量・風向他、運転モードなど全て、天面のタッチパネルで操作できる。円形のインジケータは風量を表し、サイドにはデジタル表示もされます

 風量調整・上下スイング・左右首振りなどの操作は、全て上面のタッチパネルで行ないます。風量は、円形のインジケータ部分を指でなぞると増えたり減ったりし、同時にサイドに風量を示す数値が表示されるなど、直観的に操作ができます。1コマ4段階に割り振られているので、微調整はインジケータ下にある送りボタンで調整可能。しかし筆者は、細かく調整をするときも、基本的にはインジケータで操作していました。

 また、タイマー設定や運転モードの変更などの操作も、アイコンや数値が表示されるので、比較的分かりやすいでしょう。左右首振りのボタンは、押すごとに60度・90度・120度と角度が点灯されるので、今がどの状態なのか直ぐに識別できます。

 ただ、上下スイングは、ボタンがいつも点灯状態で変化が無いため、動いているか否かが操作パネルで判断しにくいと感じました。同様の操作は、リモコンでも可能。遠くから風量・風向を調整したい時には便利です。リモコンを使わない時は、背面に収納できる配慮もされています。

左右の首振りはスイッチを押すごとに角度が点灯される。画像は90度を表示しているところ背面のスペースにリモコンを差せるようになっているのがユニーク!スケルトンモデルで見ると、こんな感じに納まっていますタイマーは1・2・4・6の4パターンで設定可能。画像は「切・1時間」と「切・6時間」の表示

通年使用できる多彩なモード

4つの運転モードは、アイコンが表示されて識別できる。左上から「涼風モード」=ファンのマーク、「室内清浄モード」=家のマーク、「衣類脱臭モード」=衣類のマーク、「センサーモード」=◎

 また、この扇風機には、多彩な運転モードが搭載されています。風量に強弱をつける「リズム風」や「切・入タイマー設定」など定番機能の他、プラズマクラスター扇風機として通常使用する「涼風イオンモード」、部屋の空気を効果的に浄化する「室内清浄モード」、部屋干しの生乾き臭を脱臭する「衣類脱臭モード」、部屋の温度・湿度に応じて風量を1レベル強めたり弱めたりする「センサーモード」など、4つの「イオンモード運転」が特徴です。

 「室内清浄モード」は、風量・風向とも空気浄化に最適な状態にコントロールされて運転します。1時間後に自動停止するので、お客さんが来る直前などに使うと有効です。「衣類脱臭モード」は、上下スイング+左右スイング60度に設定されているので、洗濯物をその範囲に置くようにしましょう。「センサーモード」は、風量を自動調整してくれるだけでなく、プラズマクラスターイオンの表示が消灯したり風量表示ランプも暗くなるので、就寝時に活用すると快適でした。

 風を浴びて涼を得る通常の扇風機として使用する場合は「涼風イオンモード」にして利用します。風量・風向とも自由に設定できますが、上下スイングなしの左右首振りが適しているようです。また、イオン発生機として利用したい時は、上下ルーバーを上向きにしてイオンを部屋全体に循環させるようにするのがおすすめとのこと。

日々の手入れは基本なしだが、定期的な手入れは怠らずに!

 最後はお手入れ。外部には羽根が出ていないので、日々の手入れは特に必要なし。しかし、空気を吸い込むフィルター部分は1カ月に1回程度の手入れが必要となります。ボディ下方にある吸込口カバーは手で外れますので、中にあるフィルターカバーとフィルターを取り出し、掃除機でホコリを吸いましょう。掃除機をかけるついでにさっとできる程度のことなので、そんなに負担になることはありません。

フィルター部分の手入れは、1カ月に1回。吸込口カバーを開けてフィルターカバーとフィルターを外して掃除機で吸えばOK

 また、6カ月に1回の目安で、風路内部の掃除が推奨されています。本体サイド部分のカバーは外れるようになっていて、風路部分を直接掃除することができます。合わせてプラズマクラスター発生のユニット(電極部)の手入れも必要です。清掃ブラシが側にセットされているので、電極部のホコリをとればOKです。なお、このユニットは、1日24時間運転した場合約2年で交換が必要となります。ランニングコストに含めておきましょう。

ユニット部分とその掃除用ブラシが納まっている部分。こちらは6カ月に1回程度の手入れが目安

機能充実でオールシーズン使える1台

 見た目の格好良さだけでなく、省エネ・静音性・風量調整の細かさ・風が届く範囲など、基本性能は非常に考えられて設計されています。状況に応じて、運転モードや風向・風量を細かく使い分けることができるので、オールシーズン活用できる扇風機といえるでしょう。

 実売3~4万円という価格は、扇風機にしては高い部類になりますが、上記の性能に加え、イオン発生機の機能もあることを含めて考えれば、投資にみあった満足感は得られると思います。特に、テレビやAV機器でオシャレなインテリアにしているリビングやホームシアターなどに置くには、おすすめめです。






2012年6月28日 00:00