家電製品ミニレビュー

東芝「空気清浄機 CAF-KM22X」

~長く使えてパワフル、しかもリーズナブルな加湿空気清浄機
by 清水 理史

効率よく空気をきれいにしたい

東芝の加湿機能付き空気清浄機「CAF-KM22X」

 停電による電力の停止、少なくなった電力を助けるための節電など、家電製品にとっては厳しい状況が続くなか、家電の使い方や選び方も、これからは見直しが必要になってきそうだ。

 もちろん、ムダな電力は使わないに越したことはないが、それでも、これだけは欠かせないという家電製品が、どの家庭にもあるはずだ。炊飯器やトースター、洗濯機などの生活必需品もそうだが、我が家で言えば、花粉症対策に欠かせない加湿空気清浄機も、その1つだ。

 今年の花粉は、天候の影響で飛び始める時期は遅かったものの、飛散量が多く、普段より強く症状が出ることもあるだけに、部屋の空気をなるべくきれいにして、湿度を高く保っておきたい。しかし、その一方で、停電に備えたり、節電に努めるとなると、加湿空気清浄機を常に稼働させておくというわけにはいかない。空気清浄機と加湿器といったように、個別の製品を稼働させるのもムダだろう。

 そこで、求められるのが効率だ。いろいろな機器を常時稼働させて電力を消費するのではなく、1台の機器のみで、なるべく短時間に空気をきれいにしたり、湿度を上げたりして、使わないときは停止させておけば、節電にも貢献できるはずだ。

 もちろん、短時間とはいえ、瞬間的に大きな電力を消費してしまっては節電につながらない。そこで、消費電力をなるべく押さえながら、それでいてパワフルな加湿空気清浄機ということで選んだのが、東芝の加湿機能付空気清浄機「CAF-KM22X」だ。


メーカー東芝ホームテクノ
製品名CAF-KM22X
価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格24,406円


ハイエンドモデルなのにリーズナブル

 東芝の「CAF-KM22X」は、気化式の加湿機能を備えた空気清浄機だ。型番からもわかる通り、適用床面積は空気清浄運転で22畳となる大容量タイプの製品。サイズも399×265×614mm(幅×奥行き×高さ)とかなり大きめの製品となっている。

 製品としての特長は、長持ちでパワフルということ。長持ちという点については後で詳しく紹介するが、フィルターの寿命が10年のため、しばらくの間は交換いらずで利用できる。そしてパワフルという点については、風量が強運転で4.8立方m/分、加湿能力は最大600ml/時を誇っている。

本体正面側面

 正直、スペックだけを比べれば、同じ22畳向けとなる他社製品の中には、本製品よりも若干風量や加湿能力が高い製品も存在する。しかし、そのような他社製品が実売価格で4万円を越える中、本製品の実売は3万円前後、場合によっては2万円台前半と、かなりリーズナブルになっている。パワフルな加湿空気清浄機が欲しいが、予算はあまりかけたくないという人には、まさにうってつけの製品だろう。

6畳の仕事部屋は15分でOK

 実力に関しても、まったく心配ない。電源ケーブルを接続し、スイッチを入れると、上部の吹き出し口から強烈な勢いで風が吹き出してくる。

 風のスピードが速いというよりは、たくさんの風が一度に吹き出してくるようなイメージだ。狭い部屋で使うと、反対側の壁にあるカレンダーやカーテンなどが、風で揺れるほどのパワフルさがある。ここまでパワーがあれば、短時間の動作でも、あっという間に部屋の空気をきれいにすることができるだろう。

筆者の仕事部屋(6畳ほど)で使ってみた。短時間で部屋の空気をきれいにできるうえ、湿度も素早く上昇させることができる

 加湿能力も強力で、約6畳ほどの筆者の仕事部屋で稼働させてみたところ、稼働前は湿度40%(室温20.4℃)の部屋が、約7分ほどで49%(19.8℃)になり、20分後には53%(19.9℃)になった。空気の清浄能力を考えても、狭い部屋なら10~15分も稼働させれば十分な清浄、加湿効果が得られると考えていいだろう。

 気になる消費電力だが、ワットチェッカーで確認してみたところ、加湿清浄モードでは常にフルパワーで動作する「連続」で70W前後となった。決して低い値ではないが、短時間の利用と考えれば、効率としては悪くないだろう。

 通常、加湿器や空気清浄機は部屋の大きさに合わせて製品を選ぶが、短時間の利用ということを考えると、やはりなるべくパワフルな製品を使った方が効率がいい。物理的なサイズが大きいので、置き場所を確保するのが難しいかもしれないが、個人的には、このパワフルな空気清浄と加湿機能を1回あたり10分、1日に2~3回程度だけ使う方が効率的に思える。

 なお、消費電力については、動作モードによってかなり違いがあり、加湿清浄モードの場合、動作モードが強で70W、中で12W、弱で6Wだった。空気清浄のみの場合、強で68W、中で10W、弱で3.5Wとなる。

 加湿清浄の場合、前面の操作ボタンで動作モードを「標準」にしておくと、温度と湿度によって風量が自動的に制御され、消費電力も自動的に切り替わる。強の連続運転で短時間のみ使うもよし、標準で消費電力や動作音を押さえつつ長めに使うも良しといったところだ。

強はかなりの動作音

風は上部の吹き出し口から出る。強にするとかなりパワフルで音も大きい

 動作音については、動作モード次第といったところだ。風量が大きい場合、やはり「ゴー」という感じの風の音がかなり耳に付く印象だ。これはパワーと引き換えにガマンするしかないだろう。

 風量を中(パネルの風量を示すインジケーターでランプが3つ点灯)にすると、音はかなり小さくなるが、それでも「ゴー」という感じの音が聞こえてくることに変わりはない。しかし、リビングなどでテレビを見ていれば気にならないレベルなので、利用場所によっては気にならないだろう。

 風量が弱(パネルの風量を示すインジケーターでランプが1つ点灯)は、抜群に静かだ。ほとんど音が聞こえない。ただ、この場合、吹き出し口の上に手をかざすと、ほんのり感じられるという程度にしか風が出ない(風量は0.6立方m/分)。

 寝室などで使う場合には弱が適しているかもしれないが、それなら寝る前の10分のみフルパワーで使って、後は止めておくといった使い方の方が効率的に思える。本製品の場合、とにかく短時間で空気をきれいにして、湿度を上げるという使い方の方が向いている印象だ。

底面の水に回転式のフィルターを浸し、それを気化させる方式。水の音はまったく気にならない

 なお、加湿は内部の円形のフィルターを回転させながら、水をファンで気化させる方式となっている。この方式の場合、製品によっては水の音が気になる場合もあるが、本製品では水の音も聞こえず、静かに利用できた。


10年使える長寿命フィルター

フィルターは普段のお手入れは必須だが、10年利用可能

 本製品のもう1つの特長は、長寿命なフィルターだ。製品のWebサイトなどを見ると、集じんフィルターと気化フィルターが10年使えると記載されており、交換の必要がほとんどないとされている。

 もちろん、使い方によってはもっと早く寿命が来ることもあるだろうし、空気清浄機能の効率を考えれば寿命前に交換した方が良いケースもあるだろうが、交換についてあまり気を配る必要がないのは大きなメリットだ。

 ただし、これはあくまでも交換期間が長いというだけで、お手入れが楽という意味ではない。フィルターに関しては2週間に1回程度、掃除機などでホコリを取り除く必要があるうえ、加湿タンクのトレイも同じ頻度で清掃する必要がある。また、気化フィルターについても3カ月に1回は取り外して清掃することが推奨されている。

 本製品は、東芝ならではのピコイオンユニットが搭載されているおかげか、吹き出し口から出てくる空気がとてもさわやかな印象がある。このさわやかな空気を常に保つためにも、お手入れ自体はこまめにしておく必要がありそうだ。

側面にあるピコイオン発生ユニットピコイオンユニットを取り出したところ。加湿タンクとは別に、内部に水を入れておく必要がある

シンプルな操作も好印象

 以上、東芝の加湿機能付き空気清浄機「CAF-KM22X」を実際に使ってみたが、短時間で部屋をきれいにしたいというニーズにぴったりの製品と言える。価格を考えても、部屋の大きさを問わず、いやむしろ狭い部屋を短時間でキレイにするために使うのに適している製品と言える。

操作はシンプルでわかりやすい。普段は加湿空清か、空清、どちらかかのボタンを押すだけで利用できる

 また、実際に使ってみて感心したのだが、操作がシンプルなのも好印象だ。ボタンは「ピコイオン」、「切タイマー」、「入タイマー」、「加湿空清」、「空清」、「切」の6つのみとなっており、動作モードの切替は「加湿空清」や「空清」ボタンを複数回押して、表示部のランプを確認しながら切り替えるのみとなっている。たくさんのボタンがあると、使い方に迷うが、これなら迷うことなく使えるだろう。

 タイマーも1時間単位で9時間までオン、オフを組み合わせすることができるツインタイマーとなっており、就寝後1時間でオフにし、さらに5時間後の起きる直前にオンにするといったように、組み合わせて利用できる。

本体サイズを考えると、給水タンクはもう少し大きくてもいいかもしれない

 個人的には、ここまで本体サイズが大きいのだから、水タンクの容量(3.2L)がもう少し大きいと、給水の手間が減ってありがたいのだが、衛生面を考えるとこまめに交換する意味もあるので、これは許容範囲といったところだろう。

 とにかくコストパフォーマンスが高いので、気軽に購入できるのがメリットの製品と言えるだろう。






2011年3月29日 00:00