家電製品ミニレビュー

ツインバード「精米御膳 MR-E700W」

~2万円以下で買える小型精米器
by 阿部 夏子
ツインバード「精米御膳 MR-E700W」

 精米という作業を初めて知ったのは二十歳を超えてからだった。農家の友人宅にお邪魔した時に、友人に付き添って精米所に行って、初めて(恥ずかしながら)米は最初から白い訳じゃなくて、周りを削って白くしているんだということを知った。その時は農協が所有する精米所に出かけていったのだが、精米器の大きさや運転音の大きさに圧倒された思い出がある。

 大きくて、うるさいと思っていた精米機だが、最近は家庭用の物も出ているという。一昔前までは米と言えば、白いのが当たり前だったが、最近は美容食としての玄米や胚芽玄米が注目を集めている。食の安全や健康志向の高まりも手伝って、家庭用の精米機はそれなりに需要があるようだ。

 今回紹介するのは、そんな家庭用の精米機ツインバードの「精米御膳 MR-E700W」だ。ツインバード工業は、米どころで有名な新潟に本拠地を置く企業だけあって、12年前から精米器を扱っている。いわく「精米したての米が一番おいしい」というのだ。今回紹介する精米御膳は、精米時間が短縮されている点が特徴となっている。


メーカーツインバード
製品名精米御膳 MR-E700W
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格16,215円


 精米器を使うのは今回が初めての体験となるが、業務用の大きさ、音を知っているだけにマンションで使えるのか少し心配だ。今回のレビューはそのあたりも含めてお伝えしたい。



意外とシンプルな構造

 製品が到着して、まず驚いたのはコンパクトなそのサイズ。200×310×240mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約3.6kg。玄米から白米にするのだから、当然サイズもそれなりに大きいだろうと思っていたので、ホームベーカリーと大差ない大きさには驚いた。これなら、キッチンに置いておける。

 本体は、中にぬかボックス、精米かご、撹拌棒がセットされていて、付属品といえば計量カップだけとごくシンプルな構造。

製品パッケージ本体側面本体上部
左から撹拌棒、精米かご、ぬかボックス、本体精米かごにセットして使用する撹拌棒蓋を開けた状態
電源コードの長さは約1.4mぬかボックスを取り外した状態
操作部。ダイヤルでモードと容量を選んだら後はスタートボタンを押すだけ

 精米御膳では、精米かごに玄米を入れて、回転させることで精米するという。一度に最大5合まで対応し、1合から精米することもできる。

 実は、これも少々意外に感じた点だった。最初に精米を使った時のイメージがあまりに強かったのか、精米というと一度に大量の米を処理するものだと思い込んでいたのだ。その勝手なイメージから、精米器は農家かあるいは大家族、よっぽど米にこだわりのある人しか使わないものだと思っていた。

 しかし、実際にはサイズも容量も、2人暮らしでも充分使いこなせるものだった。本体上部の操作ボタンもダイヤルで容量と、精白度を選べるようになっていてとてもわかりやすい。



胚芽モードから上白米まで多彩なモード

 というわけでさっそく使ってみよう。使い方もこれまたシンプル。まずは玄米を精米かごに入れて、容量を精白度を選択。後はスイッチを押すだけだ。

 精白後の米を見てもらう前に、まずは精白度の説明をしよう。精米御膳では3つの自動モードと、精白度を自分で調節するモードが用意されている。自動モードは以下の3つ。


モード名内容
上白米精白度が一番多く、ぬか層をしっかり落として精米するモード。仕上がりは一番白い
胚芽モード米の胚芽を一番多く残して精米するモード。仕上がりは一番茶色っぽい
白米みがきモード長期保存した白米の表面を取り除くモード。酸化した部分を取り除くことで味を良くする

 自動モードを選択した時は、精白度を別に選ぶ必要はない。モードボタンを押したら、後は容量を選んでスタートボタンを押せばいい。

 精白度調節レバーは3ぶ/5ぶ/7ぶ/白米の4つが用意されている。調節による仕上がりの差は以下の通りだ。


ぶつきぬかのとりのぞき量玄米度
3ぶ約3割70%
5ぶ約5割50%
7ぶ約7割30%
白米約10割0%


精米する前の玄米説明書では胚芽米の健康効果について説明されている精米時間は選択したモード、容量によって異なる。最長でも4分15秒(上白米・5合選択時)と5分以内で終わる手軽さが魅力だ

 ぶつきの数が少ないほど玄米に近い仕上がりとなる。この玄米に近い仕上がりというのがミソだ。というのも、精米器の人気を後押しする理由の一つに、玄米や雑穀米ブームというのがあるからだ。

 ある著名な理美容研究家が「白いものは食べちゃだめ」と指南している。これはつまり、米や白い食パン、砂糖などのことを指しているのだが、これらの食品は本来は白ではなくて削って、精白しているものだ。それよりはより自然に近い、「ブラウンカラー」の食べ物を摂ることが、美容や健康にとっては良いということだという。

 米に限っていってもそれは同様だ。精米御膳の説明書でも胚芽の効果を丁寧に説明している。それによると「米には16種類のミネラルと20種類のビタミン、8種類の必須アミノ酸が含まれているが、その大半は胚芽に含まれている」という。つまり、胚芽を一定量残したぶつき米は白米を食べるよりも健康に良いということだ。

 自宅で簡単にぶつき米を作れる精米機は健康的な食生活を目指す人にぴったりな製品だと言えるだろう。

音は掃除機程度

 前置きが長くなってしまったが、さっそく実際に使ってみよう。まずは自動モードの胚芽を選択し、スイッチを入れた。「どんな大きい音がするのか……」と身構えていたが、実際にはそれほどではない。もちろん、それなりの音はするがたとえていうなら掃除機程度。テレビを見るのには邪魔だが、夜使うのを躊躇するほどではない。

 本体上部には中を見ることができる窓が設置されていて、精米中の様子を見ることができる。ざるが高速で回転して、中の玄米も一緒に回転している。


精米している様子

 精米時間は、選択したモードや容量にもよるが、胚芽モード・3合の場合は約3分。あっという間に終わってしまった。取り出してみると、玄米より若干色は薄くなっているがまだ茶色がうっすらと残っている状態。

まずは本体に玄米をセットするこちらは精米前の玄米胚芽モードで精米したもの

 ざるを取り出すと下にはぬかびっしりとついている。このぬかは使用後、そのたびに取り出す。説明書ではぬかの活用法も紹介されている。ぬか床の作り方が丁寧に紹介されているほか、木綿の袋に入れて家具などを磨くのにも向くという。わが家では、肥料として使っている。

3合を精米したあとのぬか観葉植物の肥料としてぬかを活用している

 なお、精米後の米は熱を持っている。その状態で水に浸けると、米が割れやすくなってしまい、炊きあがりの味を左右するという。そのため、かごを取り出して1時間程度(5合)置いておく必要がある。早く冷ますために、米を広げたり、冷蔵庫に入れたりすると、米が乾燥して割れやすくなってしまうので、かごに入れた状態で時間をかけて冷ますのがポイントだ。

 あらかたの熱を取った胚芽米をさっそく食べてみる。味は玄米よりもクセがなく、食感ももちもちとして白米とそれほど変わらない。ただ、ニオイは白米とは違うのでそこが気になる人もいるかもしれない。私個人としては、栄養分を考えたら白米よりも断然胚芽米を選ぶ。精米御膳では5ぶや7ぶなど胚芽の割合を選べるので、いくつか試して自分の好みを見つけるのも良さそうだ

精米後の米はざるに入れてしばらく放置する炊きあがった胚芽米。色はやや黄みがかっているが、味は白米とそれほど変わらない本体で精米した米。左から玄米、3ぶつき、5ぶつき、7ぶつき、白米


こだわりたい時の上白米

 胚芽米ももちろんおいしいが、お寿司など素材の味をシンプルに楽しみたいならやはり白米も捨てがたい。精米御膳では通常の白米モードのほか、削る面積を多くした上白米モードも備える。使い方は先ほどと同じで、モードと容量を選んでスイッチを押すだけ。削る面積が多いだけあって、精米時間はぶつき米に比べると長め。5合を選んだ場合で約4分15秒となっている。

上白米モードで精米するとぬかも白っぽい色になる左が市販の米、右が上白米モードで精米したもの。市販の米に比べても白い市販の米(左)、白米モードで精米した米(中央)、上白米モードで精米した米(右)

 通常の白米モードで仕上げた場合、仕上がりは市販の米よりも黄色っぽくなる。それが上白米では、市販の米よりも白く、粒も小さめだ。感心したのは割れている米が少ないこと。小型の精米機でここまで質の高い精米ができるなんて驚きだ。

 本体のお手入れは外側はから拭き、中の撹拌棒、精米かご、ぬかボックスは取り外して水洗いできる。説明書によると精米かごと撹拌棒は消耗品だという。毎日1回程度使用した場合、約2年での交換を推奨している。

 本体そのものの手入れは特に苦にならないが、やっかいなのがぬかの始末だ。ぬかは軽くて飛び散りやすいので、本体の周りやふた部分にある溝にすぐに入り込んでしまう。ぬかボックスを取り出す時は、なるべく飛び散らないように静かに作業を進めたい。同様の理由で、ぬかを捨てる場所、保管する場所をあらかじめ決めておくのがお勧めだ。袋などにそのまま入れると、後で飛び散ってしまうので、密閉容器や小さな袋などに入れた方が良いだろう。

本体の溝などにぬかが入り込んでしまう本体の周りにぬかが飛び散ってしまう


炊事の流れの中に組み込める手軽さ

 今回初めて精米器というものを使ったが、何よりその手軽さに驚いた。大げさなものというイメージがあったが、これならば毎日使えると感じられた。なにより精米したてのお米はおいしい。自宅で、好みの精米の度合いまで選べるなんてなんとも贅沢だ。

 唯一今回苦労したのが、玄米を手に入れるところ。今回は知り合いの農家に譲ってもらったが、これがもっと手軽にスーパーなどで買えるようになると、精米器の需要もぐんと増えそうだ。

 精米御膳は操作やお手入れが簡単で、精米器を初めて使った私でも迷うところがなかった。2万円以下で買える精米器入門機種として広くお勧めできる。






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2010年7月20日 00:00