家電製品ミニレビュー

貝印「SELECT 100 マルチブレンダー」前編

~“混ぜる”から“泡立てる”まで1台6役
by すずまり
貝印「SELECT 100 マルチブレンダー」

 以前からスティックタイプのミキサーが気になっていた。いわゆるフードプロセッサーやミキサーの場合比較的大きめのガラス容器が付属しており、材料を移し買えて使うスタイルとなる。一方スティックタイプの場合、普段使っている鍋やグラスの中で直接材料を調理できるのである。スティックタイプだけあって、キッチンの面積もさほど必要としない。使用後の置き場所にも困らない。もともと拙宅のキッチンは広くないため、コンパクトな製品は大歓迎なのだ。

 どれにすべきか迷っていたところで、先端のアタッチメントを交換することにより、それ1台でジュース、とろみのあるスープ、ミンチ、泡立てなどの下ごしらえができるという貝印の「SELECT 100 マルチブレンダー」が目にとまった。なにしろ多機能大好き! しかもスタンドがついており、背面には容器が収納できるという構造も気に入った。

 というわけで、今回は前編、後編の2回に分けてこの製品を紹介する。前編は製品の基本的な機能について、更にジューサー、マッシャーの使い勝手を見ていこう。


メーカー貝印
製品名SELECT 100 マルチブレンダー
標準小売価格12,600円
購入場所楽天市場
購入価格6,980円

パワーは2段切り変え

 「SELECT 100 マルチブレンダー」は電源コードのついたハンドル、シャフト、ガード(およびガードカバー)、アタッチメントという4つのパーツで構成されており、用途に合わせてアタッチメントを交換すれば様々な料理の下ごしらえに対応できるというわけである。パッケージとしてはこのほかに洗浄用のブラシと、食材をかきだせるクリーナー(へら)が1本ずつ、および取扱説明書、専用のレシピ集「キレイレシピ」が付属する。

マルチブレンダーのセット一式本体とアタッチメント、ガードカバーマルチブレンダーを横からみた様子
スタンドの裏側にはグラインダーがセットできるスイッチ。LOは低速(毎分12,000回転)、HIは高速(毎分17,000回転)シャフトの上には水位レベルの上限が

 ハンドルにはグリップしやすいくびれが設けられており、くびれの表には「LO」(低速/毎分12,000回転)、「HI」(高速/毎分17,000回転)という2つのスイッチがついている。このスイッチを押し込んでいる間アタッチメントが回転し、離すと停止する。そのパワーは氷も粉砕できるほど。ただし押しっぱなしで固定はできない。そのため、慣れないうちは無駄に握力を使ってしまう上、回転による振動などで疲れを感じることもある。そんなときは低速から利用するといいだろう。ただし5分以上の連続運転はできないので、続けて使用する場合は一旦操作を中止してからとなる。

 現在販売されている同種の製品群と比較しても、グリップした感じは悪くない。筆者は割と手が小さいほうだが、違和感なく握ることができる。本体サイズは高さ34cm、直径6cmで、重さは約740gだ。持ってみると確かに重さは感じるが、先端部分のアタッチメントが勢いよく回転することからしても、重さが安定感につながっている感じがした。

アタッチメントを付け替えて1台6役をこなす

 マルチブレンダーの機能を分けるアタッチメントは、生肉や魚をつぶしたり刻むのに適した「ミンサー」、煮たり茹でたりと加熱調理した野菜をつぶして混ぜるのに適した「マッシャー」、野菜や果物を砕いてジュースを作るのに適した「ジューサー」、マヨネーズなど、とろみのあるものを混ぜ合わせるのに適した「ウィスク」、生クリームの泡立てなどに適した「ビーター」など、シャフトの先端に取り付け可能な5種類のブレードのほか、ガードごとセットすることで乾物を砕いて細かくできる「グラインダー」の合計6種類が用意されている。

アタッチメント。左から右回りにビーター、ウィスク、ミンサー、ジューサー、マッシャーシャフトの先端にガードをとりつけ、アタッチメントを装着する仕組みミンサーを取り付けた例
ガードには3本のつめがあり、アタッチメントをカバーしているアタッチメントの取り外しには、付属のブラシやクリーナーの柄を用いるガードにガードカバーを取り付けた例
グラインダーのパーツ。左から容器、パウダープレート、ふた、グラインダーブレードグラインダーにマルチブレンダーをセットした例

 「ミンサー」「マッシャー」「ジューサー」「ウィスク」「ビーター」の基本的な使い方は、材料の表面にアタッチメントが当たるようマルチブレンダーを沈め、スイッチを入れるだけだ。小刻みに上下させることで材料がつぶされ、混ぜられてゆく。「グラインダー」を使用するときはグラインダーブレードをセットした容器に適量の材料を入れ、ふたをしたらアタッチメントを装着していないマルチブレンダーを上から合体させ、スイッチを入れればよい。より細かく粉砕したい場合は、中にパウダープレートを追加する。

 ガードのつめが金属容器に当たって気になる場合は、ポリプロピレン製の「ガードカバー」を装着すると衝撃がやわらぐ。

 取扱説明書には、「ミンサー」なら底面積の広いボウル状の容器、「ジューサー」や「マッシャー」をガラス製のコップで使用するなら厚みが2mm以上あるものを使うなど、それぞれのアタッチメントに適した容器や分量が紹介されているので必見だ。これを無視すると調理に時間がかかったり、材料が飛び散るなどの失敗を招く確率が高くなるので注意が必要なのだ。

付属のブラシとクリーナークリーナーの先端部はシリコン製取扱説明書と、オリジナルの「キレイレシピ」が付属する。取扱説明書の中にもレシピが紹介されているので要チェックだ

アタッチメントの「マッシャー」を取り付けての低速および高速回転の様子生クリーム作りで活躍する「ビーター」を取り付けての低速および高速回転の様子

 それでは各アタッチメントを使った料理に挑戦しながら、その使用感を見てみよう。

バナナ、きな粉、ココアのスムージー(ジューサー)

 まず手始めに、付属の「キレイレシピ」に掲載されていたバナナ1本、きなことココアいずれも大さじ1、氷50g(約4個)、牛乳50ccを使ったスムージーを作ってみた。使用したのは「ジューサー」だ。最近シェイプアップのために、毎朝バナナと牛乳がベースのドリンクをミキサーで作っているのだが、それをマルチブレンダーの「ジューサー」で試してみたというわけ。

 それまで使用していたジューサーの容器を使うわけにもいかないため、容器として100円ショップで購入した大きめのガラス瓶を使用することにした。調べてみたところ貝印でも専用カップが販売されているらしい。こだわりたい方はそちらを入手してもいいだろう。

 作るに当たって、まずは一口大にカットしたバナナと氷を瓶の中に入れた。マルチブレンダーのアタッチメントを「ジューサー」用に交換し、氷が砕けるまで混ぜる。まだスティックタイプのミキサーに慣れていないこともあり、かなりおっかなびっくりである。さらにきな粉とココアと牛乳を加え、さらに滑らかになるまで混ぜる。するとひんやりと冷たく、優しい甘さのスムージーが完成した。

 氷が砕けるほどかなりハイパワーであることが分かる。これならクラッシュドアイスも簡単に作れるだろう。作業途中で手を休めるときは、付属のスタンドが非常に便利だ。しかしアタッチメントについた水分などの受け皿を用意した方がよさそうだと感じた。

栄養と繊維質が豊富な朝食用のスムージーをつくるバナナと氷を容器にいれるアタッチメントは「ジューサー」にする
ある程度混ざったら残りの材料を追加して、さらに混ぜるスムージーの完成!スタンドにマルチブレンダーを立てかけられるのは便利だが、受け皿を用意しておこう

バナナ、パイン、ブルーベリーのジュース(ジューサー)

 マルチブレンダーの使い方にほんの少し慣れたところで、アタッチメントの周りにカバーを装着してみた。カバーを取り付けることで、金属部分が隠れ、容器への当たりが緩和されるのだ。

瓶の中に材料をすべて入れてみた

 材料はバナナ1本、カットパイン4個、リンゴジュース適量、牛乳適量、冷凍したブルーベリー1つかみ。全部瓶に入れたら、カバー付きのマルチブレンダーを入れて滑らかになるまで混ぜた。1分程度で繊維質タップリの朝食用のドリンクが完成だ。

 液体の中に浮き上がる程度の量の固形物の場合、完全に砕けているかどうかを目視することはなかなか難しい。ときおり全体をかき混ぜて粒し残しがないかどうか確認する必要があった。アタッチメントのサイズも小さいため、一度に全部合わせて、全体を勢いよく攪拌しながら砕いていく大きなアタッチメントのついた専用のミキサーに比べると、多少の手間が生じるのは仕方ないことかもしれない。本製品の場合は、きな粉とココアのスムージーを作ったときのように、固形物を先にある程度砕いてから液体と混ぜるほうが効率的のようだ。

 なお、カバーがなかったときに比べて幾分振動はやわらいだような気がする。洗い物が1つ増えてしまうが、使う容器によっては金属同士がふれあう嫌な感覚がなくなるので重宝しそうだ。

「ジューサー」にカバーをつけて使用何度か確認しながらジュースが完成少々粒は残ったが、口当たりはかなり滑らかな仕上がりになった

ビシソワーズ(マッシャー)

 スティックタイプのミキサーで連想するのが、鍋の中で直接使用するシーンではないだろうか。そこでジャガイモを使った冷製スープ「ビシソワーズ」を作ってみた。使用したアタッチメントは「マッシャー」である。

 材料としてジャガイモ、たまねぎ、コンソメスープ、牛乳、水、バター、ドライパセリを用意する。鍋でスライスしたジャガイモと玉ねぎをバターで炒め、コンソメスープで柔らかくなるまで煮込む。ジャガイモに火が通ったのを確認したら、火を止めて牛乳を加え、マルチブレンダーで材料を丁寧に砕いてゆく。滑らかになったらさらに牛乳と塩、胡椒で味を調えてできあがり。冷えたところでグラスに注いでドライパセリを振ってみよう。

ビシソワーズの材料バターで炒めたジャガイモと玉ねぎをコンソメスープで煮込むアタッチメントには「マッシャー」をチョイス

 鍋の中で直接材料を潰す――これはかなり憧れたシーンだったのだが、実際試してみたところ、鍋底が広いとなかなか大変だと感じた。鍋の底面積に対してマッシャーのサイズを考えれば当然のことだが、全体をくまなく砕くにはちょっとした根気が必要となるのだ。また、アタッチメントは鍋の底よりも数ミリ上にあるため、ただ上から押しつけるだけでは隙間の分だけ材料が残ってしまうのだ。こちらもときおり全体を混ぜながら、固形物の感触を確かめつつの作業となった。

鍋の中で材料をつぶしてゆく。火は必ず止めること!ジャガイモと玉ねぎの形が消えたスープ冷やして完成だ

 完成したビシソワーズを飲んでみると玉ねぎの粒が残っていた。フードプロセッサーやミキサー並の滑らかさにするまでは相当時間がかかりそうだ。マッシャーだけにこだわらず、ジューサーと併用するともう少し滑らかさが増すようにも感じたが、完璧とは言い難い。

 だったらフードプロセッサーやミキサーを使えばいいじゃないか、と思うかもしれないが、ミキサーを出す程でもないという量や、反対に量が多すぎて一度に処理するのは難しいケースもある。大きな洗い物が増えることに抵抗感を感じる方もいるだろう。そんなときはこのようなスティックタイプのマッシャーが役に立つのだ。もう少し鍋底が狭いと作業しやすくなるに違いない。広く浅い鍋より、狭く深い鍋を選んでみるといいのかもしれない。

 明日は、今回紹介しきれなかった「グラインダー」「ウィスク」「ビーター」「ミンサー」の機能について詳しく紹介する。





2009年9月10日 00:00