家電製品ミニレビュー
ドウシシャ「オーブントースター MA-OT0701」
ドウシシャ「オーブントースター MA-OT0701」 |
使いやすいトースターを選んでいくと、結局オーブントースターになるようです。
我が家は毎朝パン食ですが、機能的にはスチームオーブンレンジでも焼けるので、最初はトースターはいらないと踏んでいました。が、実際毎日やってみると裏返すのが面倒で、1週間で断念。「ガス台のグリルで焼ける」と聞いてそれも使ってみましたが、火力が調整しにくく、どうしても焦げてしまうためこれも早々にあきらめました。
省スペースなタイプがいいと思い、小型のポップアップトースターを購入しましたが、山形のイギリスパンが部分的にしか焼けないとか、厚切りパンがひっかかるといった不都合に直面。結局、オーブントースターに買い替えるしなかいという結論に達しました。
ここ最近、テレビ番組でもオーブントースターの活用方法がよく紹介されていて、どうやら身近なオーブントースターが再注目されているようです。そんなとき、ドウシシャの「オーブントースター MA-OT0701」を知り、さっそく使ってみました。
メーカー | ドウシシャ |
製品名 | オーブントースター MA-OT0701 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 9,450円 |
■オーブントースターに見えない円柱形のデザイン
「オーブントースター MA-OT0701」は、ドウシシャの“Modern design for all”、MAシリーズのひとつで、秋田道夫氏によるデザインの製品です。以前、同シリーズの電気ケトル(MA-EK0701)をレビューしたことがありますが、スタンダードな機能を持ち、シンプルで飽きのこない、鏡面仕上げが印象的なデザインの製品でした。
今回のオーブントースターも印象的な鏡面仕上げはそのままですが、横から見た形は円筒形でかなり変わった形。本体のサイズは外形が430×301×219mm(幅×奥行き×高さ)とかなり横長で、一見オーブントースターに見えず、サイズもまるで魚を焼くロースターのようです。
庫内は280×230×67mm(幅×奥行き×高さ)で、奥行きの深い横長のドーム型。重さは約3.9kgありますが、もともとあまり移動させる製品ではありませんし、持ちやすいせいかスペックで見るよりも軽く感じます。
半円を組み合わせたようなシルバーとブラックのデザイン。一見オーブントースターには見えません | ガラス窓にはMAシリーズのロゴ“Modern design for all”がプリントされています | 横から見ると、全体的に円筒形の変わった形なのがよくわかります |
外形は円柱を横たえたようなイメージで、扇形に開くとびらを右手にある大きな取っ手で奥に開きます。この開閉自体はとてもスムーズで違和感はありません。とびらを手前に開く一般的なオーブントースターに比べると開口部はそれほど広くありませんが、庫内自体があまり広くないため大きな食材を入れてもヒーターに近づきすぎてしまいますから、この程度の開口部で十分ではあります。
また、庫内の形もほぼ円筒形で、上下に一本ずつ遠赤外線ヒーターがセットされ、その中央部分に焼き網が位置しています。外形も庫内も、全体的にかなり独特の形をしていますが、これは、ピザの焼き釜のように庫内をドーム型にすることで、熱が全体に伝わりやすくなるよう考慮された結果。食パンも上下のヒーターからほぼ同じ距離で焼けるしくみになっています。
右側にあるハンドルで奥へとびらを開きます。指一本でも開くほどスムーズ | これが最大に開いた状態。上部だけなので開口部は少し狭く感じます | 本体底部にくず受け用のトレーがセットされています |
■意外に深い奥行き。イギリスパンも余裕で2枚焼ける
このオーブントースター、機能的には右手前にある15分までのタイマーと、右側面にある「上」「下」「両面」のヒーター切替スイッチで強度を調節するだけのシンプルな構造です。
消費電力は1,000W。オーブントースターの種類によっては1,200Wや1,300Wなどさらにパワフルなタイプも存在しますが、いろいろな冷凍食品を見ていると1,000Wまでの時間しか書いていないことが多いので、実際に使っていてパワー不足を感じることはありませんでした。実際にトースト時間は2枚で3分ぐらいで仕上がり、忙しい朝にうれしいスピードです。
また、奥行きが深いためポップアップトースターでは上の部分まで焼けないような、大型のイギリスパンも2枚余裕で入りますし、市販のパンピザなども角皿に置いてもさらにスペースに余裕があるため、周りについてしまうようなこともありません。
本体右手前にあるタイマーツマミは15分までセット可能です | 右側面のヒーター切替スイッチは通常「両面」で使います | イギリスパンを2枚同時に焼いても十分余裕がある、奥行きのある庫内 |
■耳までサクサクでドーム型の効果が実感できる
そして、肝心のドーム型の庫内で一気に焼く効果ですが、トーストは確かに全体的にむらなく耳までカリッと香ばしく焼き上がり、中はほくほく。厚めのトーストほどこの効果がよくわかり、実際に食べてみると、耳がおいしく焼けることでこんなに食感が違うのかと驚きました。パン自体がおいしく焼き上がるので、マーガリンを塗らずに食べても満足できるようになって、思わぬカロリーセーブになりました。
ただ、逆にこの“耳までおいしい”効果のせいで、かなりカロリーが高いクロワッサン生地のトーストにはまってしまって困りました。耳のクロワッサン生地のサクサク感がとてもおいしくて、この食感はなかなかやめられません。
角皿は焦げ付くと手入れが大変なので、アルミホイルを敷いて使います | 外側はカリっと焼け、内側はやわらかに仕上がります | フランスパンの焼きあげも、カリっとおいしく最高です |
また、ポップアップ型だとしっかり焼いたとき、焼けすぎの部分とまだこんがり焼けていない部分ができてしまいがちですが、このオーブントースターの場合は耳までカリッと仕上がるので、“薄いトーストをしっかり焼く派”にもおすすめです。
■料理にも使える十分な奥行き
パンがおいしく焼けるMAシリーズのオーブントースターですが、奥行きの広さは、もちろん料理にも役立ちます。
たとえば揚げ物も温め直しするだけでカリッとおいしく焼けます。試しにロースター風にさんまも焼いてみましたが、斜めにすると十分焼けて、焦げ目もばっちり。写真のように、油の出るものは受け皿にアルミホイルにシワを作って敷いておくと油が落ちやすく、身が貼り付かないのでおすすめです。
フライドチキンの温め直しも皮がカリっと仕上がります | 試しに受け皿にサンマをセットしてみたところ、ちょうど入りました | サンマがまるごと入るぐらいなので、切り身なら複数一気に調理できそう |
タイマーが15分しかないためあまり本格的な料理には向きませんが、庫内の温度が上がりすぎればサーモスタッドが働いて一時的にヒーターがオフになりますし、温度が下がれば自動的にオンに戻ります。
油ものを調理するとどうしても庫内が汚れますが、庫内の造りはシンプルですし、底面の受け皿も取り外しできますから、内側全体をウェットティッシュなどで拭き上げるだけでもかなりキレイに仕上がります。
ちなみに、外側の光沢仕上げを活かすには、マイクロファイバーのクロス(100円ショップでたいてい売っています)が便利。水拭きして乾かないうちにすぐマイクロファイバークロスで拭き上げてやれば、買ったときの輝きがすぐ戻ります。
まったく問題ない焼き上がり。中までしっかり火も通っていました | グラタン皿も2個同時にセットできる奥行きがあり、食パンの焼き上げ以外でも用途は広くあります | 庫内はほぼフラットな円筒型なので手入れは簡単です |
■高さがある素材は焦げが気になる
使っていて少し気になったのは、半円形になった庫内の構造上、高さが少し足りないと感じることがあったこと。焼き網をセットするレーンが一箇所しかなく、高さを調整できないためそうなるのですが、クロワッサンなど背の高いものだと、天井のヒーターに近くなりすぎて部分的に焦げることがありました。
あまりギリギリになるようなら、火力を「下」のみにして焼く方法もありますが、せっかくの火力の効果を下げるのももったいなく感じるので、焦げそうな上部にアルミホイルをかぶせて焼くのもいいかもしれません。
また、一般的なオーブントースターよりも上のヒーターが近いせいか、焼く時間が短いとヒーター周辺を中心にして焼け方がグラデーションになりやすいのも少し気になりました。トーストの場合はある程度時間をかけて焼くとほぼ均一に焼けるのですが、これは庫内の反射熱で全体が仕上がる前に、軽く温めただけで出してしまったときに目立つようです。ヒーター周辺から焼けているのがわかる、グラデーション状に焼き加減の差が出ます。
高さがあるパンだとヒーターが少し近くなりすぎます | そのまま焼くと、ヒーターに近い部分だけが焦げやすくなります | ベーグルなど厚さのあるものは、上にアルミホイルを置いて焼くとこげません |
外側はパリパリ、中はモチモチが楽しめます | ガラス窓からは様子がよく見えます。ヒーターから離れた、奥側や手前などは少しムラになりやすいようです | ある程度時間をかけると全体がムラなく仕上がりますが、軽く焼くのが好きな方だと少しヒーター跡が気になります |
トータルで見てみると、やはりこのオーブントースターの最大の魅力は機能から逆算された独特のデザイン。ドーム型なら熱が回りやすく、カリッと仕上がるというのは、四角いオーブントースターしか見てこなかったため驚きでした。
この独特のデザインならテーブルに出しっぱなしでも生活感が出すぎない点も魅力です。MAシリーズはシルバーとブラックで統一され、ファミリーというよりも男性の部屋に似合いそうなものが多いのですが、これもワイヤーラックにセットされていてもしっくりきて、さらに魅力が引き立つかもしれません。
機能的にはシンプルなので、これひとつでさまざまな調理をこなしたいというよりも、シックなインテリアにぴったりくるオーブントースターがほしいとか、毎朝のトーストにこだわりたいといった用途に使うほうがおすすめの1台です。
2009年8月24日 00:00