家電製品ミニレビュー
洗濯機に後付け、シャープの銀イオンホースはカビや部屋干し臭に効果ある? 実験してみた
2021年4月28日 08:00
洗濯物の部屋干しといえば、「梅雨どきのもの」と考えがち。でもソレは間違い! 近年はPM2.5や黄砂、そして花粉などの影響で、春から梅雨にかけての数カ月に渡って部屋干しせざるを得なくなっているケースもある。
花粉症の方はもちろん、洗濯物を外に干せない人にとってのマストアイテム。それがここでご紹介するシャープの「銀イオンホース AS-AG1」だ。実売価格は11,000円前後。
この製品、実は2020年の夏から発売されたものの、新型コロナウイルスの影響もあって発売当初はあまり認知されていない状況だった。しかし購入者の「効果絶大」という口コミで、2020年の年末から年始にかけて、徐々に売り上げを伸ばしている。最近では、家電量販店の洗濯機コーナーに銀イオンホースが並んでいることが多く、ブレイク寸前の売れ行き。
なにより、銀イオンホースはシャープ製だけど、日立でも東芝でも、パナソニックでもアクアでもどんなメーカーのどんな洗濯機にでも使えるのが人気の理由といえる。
部屋干しのイヤな臭いの原因は「洗濯物に残った雑菌」
部屋干しのイヤな臭いの原因は「洗濯物に残った雑菌」。これについては、テレビCMやいろいろなメディアで取り上げられているので詳細は割愛したい。簡単に説明すると「洗濯物や洗濯槽の裏側で繁殖しているカビ菌が、洗い上がりの衣類に付着。部屋干しすると、適当な水分と適度な室温のために一気に繁殖するので、臭いがする」というのが科学的に分かっている。
詳細を知りたい方は、下着メーカーであるグンゼのホームページ内の「部屋干しでも臭わない方法! 臭いの原因を知って正しく対策」をご覧になるといいだろう。
洗濯機のカビ菌への対策には、洗濯槽を酸素系漂白剤で洗ったり、イオン系を放出して洗濯が終わったあとに洗濯槽を除菌するなどの方法がある。しかし手間がかかる。
そこで登場するのが銀イオンだ。ご存知の通り「銀イオン(Ag+)」は「制汗・消臭スプレー」で有名。運動のあとにワキの下などへシュッとひと吹きすると臭いが抑えられる。汗の臭いを一瞬で消臭できるので、洗濯物の部屋干しの臭いにも効果的はなず! というのが銀イオンホースというわけだ。
ワキの下から臭う酸っぱい汗臭さを「Ag+スプレー」で消臭できるワケ
「Ag+スプレー」を汗をかいたワキにシュッ! とひと吹きすると、汗の酸っぱい臭いが消える。実は衣類消臭スプレーのように科学的に臭いを分解したり、別の臭いで臭さを軽減しているのではない。
そもそもワキの酸っぱいアノ臭いは、汗そのものの匂いではない。汗自体はそんなに臭わないのだが、ワキの下に生息している菌(汚いわけではなく、人と共生している菌類)が汗の適度な湿気と、汗に含まれるミネラルや皮脂、アカをエサにして、猛烈に繁殖することで臭いが出るというしくみだ。
つまり酸っぱい汗臭さは、人と共生している菌の“ウンチ”臭(ワキの臭いのものとなるメチルヘキセン酸や、酸っぱい臭いのもととなるパルミトオレイン酸)なのだ。靴下で蒸れた足の指の間から臭いがするのも同じ原理(イソ吉草酸アルデヒドの臭い)。ブーツが凄い臭いを出すのも同じ原理。
このような菌由来の臭いを消臭するのがAg+の消臭スプレーで、爆発的に増えた共生する菌をやっつけて(タンパク質を酸化させて分解)、臭いの発生源そのものを退治している(菌が減ればウンチも減る)。
この消臭(菌への作用)は、カビ菌に対しても有効だ。銀イオンホースの場合は、銀イオンを噴霧するのではなく、水に溶かし込み、その水で洗濯することで、衣服につく菌や洗濯槽の裏側につくカビにも対策できるという。なお、このホースだけで洗濯時の洗浄効果があるわけではないので、洗剤はもちろん必要なことは注意したい。
カビの繁殖で銀イオンの効果を実証
いくら「部屋干しの臭いが抑えられる」と言ってみても、数値化するのは難しい。そこで「その臭いの原因となるカビ菌の繁殖具合」を見てみることにしよう。これなら写真に写るから、一目瞭然だ!
用意したのは銀イオンホースを通した水と普通の水道水で、それぞれの水を使ってカビを培養するための寒天培地を作った。イオンの除菌効果などで何度も作ってきたカビ培養試験の培地。これまでの実験ではいちばんカビが繁殖していた、コンソメスープを少し溶かしたスペシャル培地を用意した。
それぞれの培地には、パンに発生したカビを使って「水道水」には「H2O」、「銀イオン水」には「Ag+」と綿棒を使って書いてみた。
このようにカビの発生や抑止の効果は一目瞭然。この銀イオンホースをつないでおくだけで、菌への効果が証明できた。赤ちゃんのいるご家庭の洗濯物は、塩素を使ったり、衣料消臭スプレーを使うより安心な洗濯物に仕上がるかもしれない。
取り付け簡単で、使えば使うほど洗濯槽のカビもキレイに
銀イオンホースの効果は、衣類の菌だけではない。ご存知の通り洗濯機は、洗濯槽の裏側や水の通り道がカビやすい。このホースを使えば、水の径路すべてに銀イオン水が流れるため、洗濯槽の裏はもちろん、糸くずフィルターの径路や排水径路も通る。使い込んだ洗濯機のカビを後から落とすのは大変なので、できるだけ早く銀イオンホースを使い始めた方がいいだろう。
また、定期的に酸素系漂白剤を使って、洗濯機の見えない部分を洗うと、よりキレイな洗濯機で洗濯ができるようになる。
取り付けは、機械が苦手な人でも10分とかからないはず。水道栓につながっている洗濯機のホースをいったん外し、その中間にこのホースを差し込むだけでいい。いまどきの洗濯機は、コンセント式のホースになっているので、ネジ締めも一切不要。ホースを2カ所「カチッ!」と差し込むだけだ。
洗濯機のそばのコンセントでは足りない場合は、別途三又ソケットなどを差し込んで、コンセントを増設。ここに洗濯機と銀イオンホースに付属するACアダプタを差し込み、USBポートを銀イオンホースにつなぐだけでいい。
なお銀イオン発生装置は、銀電極からAg+が水に溶け出す消耗品だ。1日1回洗濯した場合の寿命はおよそ1年なので、別売の4,400円の銀イオンカートリッジに交換する必要がある。ただ取り替えは非常に簡単で、交換の手順を説明するムービーも公開されている。
金属アレルギーの心配が少ない銀イオン
最後に気になるのは、金属アレルギーの問題だ。特定の金属に長時間触れていると、肌が赤くはれたりかゆみを伴うことがある。
しかし本製品は、金属の中でもアレルギーがほとんどない「銀」。歯の詰め物として銀が利用されているのは、金属アレルギーが少ないからだ。もし銀歯がNGという方や、銀の装飾品が体に合わないという方は、このホースを使わないことをオススメするが、ごく少数だろう(編集部注：すべての人に安全とするものではありません)。
また銀イオンは、噴霧するスプレーと違い揮発しない。だから下着類やタオルを洗っておくと、乾燥しても銀イオンでコーティングされた状態になるため、汗の臭いなどを抑えるシャツやタオルになる。
衣類消臭スプレーに比べれば圧倒的に安全性の高い銀イオン。赤ちゃん肌に直接触れるロンパースや最近脚光を浴びている布オムツなどを安心して洗濯できそうだ。
オススメするのは全世帯のすべての洗濯機!
この銀イオンホースをオススメするのは、すべての洗濯機。とくに「最近洗濯物がカビ臭い」と感じている方にはマストアイテムだ。なお機種は少ないが、洗濯機のハイエンドモデルには「銀イオン(Ag+)」を使ったモデルがある。この場合は同じ機能になってしまうので、本製品を使っても無駄になってしまう点に注意してほしい。
また、赤ちゃんのいるご家庭もぜひ使ってほしい。さらに自宅介護やペットのシーツなどを洗う場合にも、消臭・除菌効果を期待できる。加齢臭が気になる方には、シャツや枕カバーをこれで洗っていただきたい!
もちろん銀イオン水に加えて、塩素・酸素系の漂白剤を併用したり、柔軟剤を併用することも可能だ。
これだけ手軽に取り付けられて、洗濯するだけで自動的に銀イオン水が注入され、カビの発生も抑えるという「銀イオンホース」。使わない手はないと思うので、ぜひ購入されてはいかがだろう。
