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家庭向け太陽光発電システムって実際どう?
“ソーラーマニア”藤本健が体験した5年間【第2回】

〜代理店選びが大事。結局170万円で導入しました
by 藤本 健
前回は太陽光発電システムを導入を決めた経緯に触れたが、今回は具体的な製品選びについて紹介する

 前回の記事で書いたとおり、6年前の自宅新築時に、数十年来の念願叶って太陽光発電システムを導入した。家の設計図はもちろん、土地さえも決まっていないときから準備を開始したので、その選択には1年以上の時間を費やしたことになるが、これがなかなか大変なことだった。今回は、その製品選びについて書いていくことにしよう。

 なお、本稿ではリアルなお金の話が出てくるが、家庭用太陽光発電システムの黎明期ともいえる2004年当時のものであり、価格相場は今とはだいぶ違うことを、あらかじめご理解いただきたい。

 [第1回目はこちら]


メーカー選びよりも代理店選びの方が大事

 さて、太陽光発電を導入する場合、多くの人が考えるのは「それで元が取れるのか?」ということではないか。筆者の場合、「太陽電池が趣味」であったため、必ずしも元を取ることを目的としていたわけではないのだが、それでも採算性というのは重要な課題ではあった。数百万円の買い物になるわけだから、安易な選択はできない。より多く発電してくれる機材をいかに安く導入するかが大きなカギとなる。

 しかし、“太陽光発電ブーム”といわれる今でさえ、太陽光導入に関する情報が少ないのに、当時は本当に皆無に近い状況で、まさに手探り状態。ビックカメラやヤマダ電機など大手量販店が扱っていたわけではないし、かといって街の電気店が扱っているというわけでもない。まずは、メーカーに電話をしたり、Webを使ってカタログを請求するところからのスタートだった。

2004年当時に集めたカタログ。手元に残しておいたのは、最終的に購入したシャープのものだけだった

 集めたカタログは、当時の4大メーカーである、シャープ、京セラ、三洋電機、三菱電機のもの。ただ、これらはイメージ的な内容が中心で、各社で何がどう違うのかなどは、さっぱり分からない。出ている情報は発電効率、パネルの大きさ、パワーコンディショナー(パワコン)の容量といった、通り一遍のスペックくらいで、金額も個別部品の単価が出ている程度だから、トータルでいくらになるかはまったく分からないのだ。

 そもそも、この太陽光発電システムをどうやって買うのかということが分からない。おそらく知らない人も多いだろうが、太陽光発電システムは、設置工事業者である各メーカーの代理店から購入する。そして、これらの代理店と詳細を詰めながらシステムの提案をしてもらい、金額を提示してもらって決める、というのが一連の流れなのだ。

 最初はそんなことすら知らなかったので、代理店に行き着くまでも結構時間がかかってしまったくらいだ。よく太陽光発電の訪問販売でのトラブル事例が新聞などの記事にもなっているが、こうした訪問販売業者も代理店の1つ。訪問販売だから悪いというわけではなく、代理店によってかなり技術面、ノウハウ面で実力差があるので、どの代理店を選ぶかが、実は製品選び、メーカー選びよりも大切だったりもする。

 中には現場も設計図も見ずに、「今日、契約いただけたらお安くしますよ、オール電化のための機材もセットにしたらさらにお値引きを……」なんて言ってくるところもあるが、これは論外。屋根の図面や方角、そこに影がどうできるかなども綿密にチェックしなくては、どの部材を使うかは決まらないし、価格だって出るわけがないのだ。


複数の代理店と交渉。シャープか、三洋か

 そのようないかがわしい業者を避けつつ、実際に商談を進めていった代理店が3社。そのうち1社は、筆者が以前雑誌の編集をしていた当時、自然エネルギーの連載記事を書いてもらっていたNPO的な小さい会社だった。ほかの2社の提案内容のチェックなどもお願いしつつ、彼らなりの提案をしてもらったのだ。いろいろとアドバイスももらえて、とても役立ったのだが、太陽光発電システムの設置を専業としているわけではないため、仕入値が結構高かったらしく、価格が折り合わず、最終的には断ってしまった。

 残る2社のうちA社は、ネットの掲示板で相談した、愛知の設置業者から紹介してもらったところ。シャープの代理店だ。B社は、太陽熱温水器も同時に扱っている三洋電機の代理店だ。A社は三菱電機の製品も扱っているということで、それぞれいくつかのパターンで提案をしてもらったのだ。

 屋根の設計が固まった時点で、その図面を元に代理店の担当者と打ち合わせをして、最初の提案書を出してもらった。全部掲載するとキリがないので、一番よかったと思った見積書を1つずつ掲載しておこう。

シャープの代理店であるA社の見積書 A社が添付した簡易図面
B社は三洋電機の代理店で、太陽熱温水器も同時に扱っている。こちらが見積書 B社の見積詳細

 A社はシャープの発電容量3.6kWのシステムで、B社は三洋電機の3.8kWのシステム。見て分かるとおり、フォーマットはマチマチであり、A社にはごく簡単な図面が添付されている一方、B社は太陽温水器とセットで購入するなら15万円引きといったことも書かれている。

 当時の資料をさらにひっくり返したところ、この2つを検討したデータも出てきた。この15万円の割引をした後の税込み価格を、発電容量1kWあたりの単価を算出していたのだ。その結果、A社だと1kW当たり約57万円、B社だと1kW当たり約69万円となる。そう、セット割引をしても、三洋電機のシステムのほうが20%以上割高という結果となったのだ。

当時、発電容量1kW当たりの単価を比較計算した紙。左がB社、右がA社

 その後、両社と何度もやりとりをし、パターンを少しアレンジしてもらったり、もう少し値引いてもらったりしたが、この大きな価格差は埋まらず、最終的にはシャープ製品を扱うA社に決めたのだ。

 繰り返しになるが、これらは2004年当時のもの。現在の代理店は、各社とも見積書と一緒に、より詳細な図面や発電予想など、細かいデータもいっしょに提案してくるようだ。検討する際には、そうした資料もじっくり目を通すといい。逆に、もし当時のように単に見積書だけを持ってくるようなところは、スキルが低い代理店と疑ったほうがよさそうだ。


気になるスペック「変換効率」と「公称最大出力」に隠されたトリック

 このやり取りをしている中で、1つ面白いことに気づいた。それは、太陽光パネルの「変換効率」は、ユーザーにとって重要な要素ではないということだ。

太陽光パネルのスペック表(当時のシャープのカタログより抜粋)。変換効率が高ければ高いほど、パネルの性能が良いことになり、少ない面積で多く発電できることになる

 変換効率とは、ソーラーパネルが受けた太陽光エネルギーのうち、何%を電力に変換できるか、を表わすスペック値。つまり、変換効率が高いほど、そのパネルの性能が良いことになる。メーカーの広告でも、この変換効率が非常に強調されているし、報道などを見ても「世界最高の変換効率○○%が実現された」といったものが出ているため、変換効率が一番重要なような気がしてしまう。多くの人がこの値を気にしているだろうが、買う側にとってはこれが大きなトリックになっているのだ。

 もちろん、同じ大きさ、同じ価格のパネルのなら、変換効率が高い方がいいに決まっている。しかし実際には、パネルの大きさや価格は各社とも異なっており、変換効率が高くなると、当然価格も高くなる。結局のところ、導入するシステムの発電容量が3kWなら、パネルの変換効率がどうであれ、基本的には同じ量の電気を発電してくれるのだ。

 変換効率によって変わるのは、パネルの面積。変換効率が高いパネルならば、小さい屋根でも大きい容量のパネルが乗せられるのわけだ。実際、シャープよりも三洋電機のパネルのほうが変換効率が高く、3.8kWと大きいシステムの提案を受けたわけだが、シャープよりも割高だったため、見送ったのだ。


 スペックとしてはもう1つ、パワコンの「公称最大出力」についても触れたい。

こちらも、当時のカタログに掲載されていたパワコン。定格出力は3.0kWとなっている

 このA社の見積にある太陽電池(太陽光発電パネル)の「ND-150AM」は、多結晶型で公称最大出力が150W。これを24枚並べるから、スペック上の発電量は150W×24=3.6kWという計算になる。それに対し、その太陽電池の出力を100Vの交流に変換するパワコンには「JH-S302」というものが選ばれいる。パワコンについては前回紹介したとおり、太陽光で発電した「直流」の電気を、家庭用の「交流」に変換する装置のことだ。

 ところが、このパワコンのスペックを見ると、定格出力が3.0kWとなっており、どう考えても容量不足だ。

 この点を担当者に指摘したところ、意外な答えが返ってきた。「公称最大出力というのは、あくまでも公称であり、実際には7割も出ない。瞬間的に8割程度出ることがあるかもしれないが、その場合パワコンの容量に頭打ちされるだけだから、3.0kWで十分だ」というのだ。

 「それでは、3.6kWなんて数字は詐欺だ!」とは言ったものの、各社ともそれは同様であり、シャープが特別おかしいというわけでもないそうだ。この担当者の話はまさにその通りだった。そうしたことまでハッキリと説明してくれることで、担当者への信頼感が増したのも事実。詳細は次回また紹介する予定だが、発電した電力が3.0kWを超えたのを目撃したのは、過去6年間で数回、それも一瞬だけであった。このパワコンの容量は、3.6kWのパネルにとっては十分なものだった。


補助金を引いて、実質負担額は約170万円でした

 一方、システムそのものとは関係ないが、金額面で大きな要素となったのが、補助金だ。

 今年、太陽光発電システムを導入すると、発電容量1kWあたり、国から7万円の補助金が出る(住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金)。これが2004年当時は、4万5,000円の補助金が出た。3.6kWであれば、16万2,000円という計算になり、馬鹿にならない金額だ。

 さらに、横浜市からも同額の補助が出たので、補助金の合計は32万4,000円となった。A社の見積額から考えると、約15%に相当する(細かいことだが、A社の見積書では横浜市からの補助金予想が18万円と書かれていたが、見積書を作った3月には確定しておらず、その後16万2,000円ということに確定した)。

 さて、ここで改めて見積書を見てみると「申請費用他」ということで10万円が計上されていることに気づいた。32万4,000円をもらうのに、10万円の手数料を代理店に引かれるのは、多すぎではないか。そこで当時、いろいろなことを調べているうちに、自分で申請手続きをする方法も分かってきたので、「これは自分で申請するから手数料をなしにしてくれ」と交渉してみたのだ。実は「申請費用」というのは、何も補助金だけでなく、各種手続きに必要なものなので、ゼロにするのは難しいという話だったが、最終的にはマケてもらい、国や市に対して自分で手続きを行なったのだ。

 しかし、これはあまりおすすめしない。書類の申請は非常に煩雑な作業で、下手をすると、うまく補助金がGETできなくなるなどリスクも伴う。それでも値切りたい場合は、自己責任での挑戦になることをご理解いただきたい。

 というわけで、補助金を差し引いた最終的な実質負担額は、約170万円。3.6kWのシステムを導入することになったのだ。


工事は驚くほど簡単に終了。「系統連系」が終わればいよいよスタート

 代理店との契約は5月末に完了したのだが、実はこの時点では家の基礎工事もまだ終わっておらず、屋根なんてまだまったくない状況。屋根の上に乗せるパネルだから、屋根が完成しないことにはそこから先には進めない。パネルの設置には、屋根ができる11月まで待たなければいけなかった。

 ちなみに、その屋根は、希望は日本での太陽光発電にベストといわれる30度の角度を要望していたのだが、諸般の事情から、建築用語で「四寸勾配」と呼ばれる21.8度となった。また屋根材には、軽くて丈夫といわれるガルバリウム鋼板を採用し、この上に架台を取り付けての設置だ。

太陽光パネルを設置した翌日の写真。まだ家は完成していないが、太陽電池のパネルが24枚キレイに並んでいるのが確認できる

 その工事はというと、予定日であった12月第1週のある日、たった半日の作業で終わってしまった。当日、ぜひ立ち会いたかったのだが、あいにく取材の仕事が入ってしまい、途中過程をまったく見ることができず、翌日には完成していた。まあ、そのくらい簡単に終わってしまう工事だからこそ、既築住宅へも、住んだ状態のまま問題なく取り付けることが可能なのだ。

 ただ、取り付けたら即、発電、売電が開始されるわけではない。取り付け後は毎日晴天が続いてもったいない気がしたが、東京電力の配電線に接続する「系統連系(けいとうれんけい)」という儀式がすまないことには、正式な運用は始まらないのだ。

 系統連系が終わり、実際に稼動したあとの話は、次回改めて紹介していこう。(次回は11月19日掲載予定です)





2010年11月12日 00:00