老師オグチの家電カンフー

スマートスピーカーが棒立ちスタイルである理由
2017年9月13日 07:30
AI対応のスマートスピーカーが、雨後のタケノコのように出てきました。そのフォルムはどれも切った竹のような筒状! マイクやスピーカーの指向性からそうなっているんでしょうが、海外の人にも雨後のタケノコって言葉を教えてあげたいです。
スピーカーと名乗っていますが、スマートスピーカーのキモはマイクとクラウドにあるAIです。音声コマンドで操作できるのが普通のBluetoothスピーカーとの違いで、声によるショッピングや音楽再生、家電製品のオン/オフなどができます(細かい機能は製品によって異なる)。
音声コマンドでモノを操作するのは新しい発想ではなく、古くは千夜一夜物語(アラビアンナイト)にも見られます。「開けゴマ!」と言うと、盗賊が財宝を隠している洞窟の扉が開くという、あれです。
さて、スマートスピーカーは何の扉を開くのか? それは、スマートホームの世界でしょう。シャープのロボット掃除機「COCOROBO(ココロボ)」など、これまでも音声認識を搭載した家電製品はあります。ですが、会話する家電が家中に溢れたとしたらどうでしょう。うるさいでしょうし、メーカーや製品によって音声でのコマンド形式が異なれば面倒です。
もし自分がメイドをたくさん雇っている主人だと想像してみてください。出身がフィリピン、マレーシア、インドネシアとバラバラで、同じ英語で話すにもそれぞれクセがある。メイドの出身地(家電であればメーカー)が同じだったとしても、用事をいちいち担当ごとにリクエストするでしょうか。普通は、執事かメイドのリーダーに指示すると思います。
スマートホームにおいてスマートスピーカーは、執事やメイド、奴隷の長として、代表して主人や家族の命令を各家電に伝える存在になるでしょう。なので、いつでもどこでも言葉が聞こえるよう、複数のマイクを内蔵し、執事や奴隷頭のように直立不動で立っているのです。いつも聞き耳を立てている存在ですし、形があった方が命令しやすいので、最初はあんな立ち姿の方がいいでしょう。ユーザーがスマートホームに慣れてくれば、目立たない「壁に耳あり」状態になるかもしれません。
「開けゴマ!」のストーリー「アリババと40人の盗賊」では、盗賊に命を狙われていた主人公アリババを女奴隷モルジアナが機転を利かして救います。いつでも話を聞いているAIは、いずれオレオレ詐欺を防止するようになるかもしれません。中国のIT企業アリババ集団もスマートスピーカー(Tmall Genie)を発表しましたが、AIの名前はモルジアナにすべきじゃないですかね、ジャック・マー会長!