神原サリーの家電 HOT TOPICS

話題の“シェアハウス”で使うならこんな家電!

〜誰にでも使え、空間になじむ家電とは

 シェアハウスが広まってきたのは、ここ10年ほどのこと。ベッドやクローゼットスペースのある個室のほか、共有設備としてキッチン、ダイニング、リビング、シャワーブース(もしくはお風呂)、トイレなどがある。玄関は1つで、靴を脱いで上がるところなど、昔の下宿のようなイメージに近いかもしれない。個室に簡単なキッチンが付いている場合もあるし、規模も4〜5人程度の少人数タイプから、10人以上が入居するタイプまで様々。一般の住宅を改造したり、社宅だったものを流用する例などもある。

 家賃そのものは、特に安いわけではなく地域の相場並みで、共有スペースで使う家電や水まわりなどのための共益費も別途かかる。契約更新のサイクルが半年程度と短い代わりに、敷金・礼金等はないため、比較的気軽に入居できるといえるだろう。とはいえ、普通のアパート・賃貸マンションとは異なり、入居に際しては管理運営者による面接が行なわれるため、希望すればすぐに入居できるというものでもないようだ。管理の行き届いたシェアハウスほど、よりよいコミュニティを形成していけるように年齢や性別なども含めた選択をして、入居者を決めているのだという。

 最近、メディアなどで取り上げられることも多く、何かと話題になっているが、先日、愛知県・名古屋市にオープンするシェアハウスの家電製品を選んで欲しいという依頼が舞い込んだ。西区城西に今年7月にオープンした「LT城西」という、入居定員13人のシェアハウスで、吹き抜けを多用した重層的な空間が印象的だ。

名古屋市西区城西3丁目に建設されたシェアハウス「LT城西」。2013年7月から入居者が入り始めている。設計・監理は東京の成瀬猪熊建築設計事務所
「LT城西」の入居定員は13名。入居条件は社会人男女だが、入居前には管理者との面接がある

 担当したのは、このシェアハウスの共有スペースで使用する家電製品のセレクト。予算や希望をある程度ヒアリングした後で、それをもとに洗濯機や掃除機などの家事家電、キッチン・ダイニングスペースで使う調理家電リストを作成した。今回は、7月に開催されたオープンハウスで、シェアハウスに家電が導入された様子を取材してきた。共同で使う家電として、どのような視点で選んだのかを中心に、最近話題のシェアハウス事情なども併せてお届けする。

20〜30代を中心に人気を集めるシェアハウス

 「LT城西」の特徴の1つは、新築の建物で、シェアハウスのための空間を考えて、設計・監理は、若手建築士として活躍中の成瀬友梨氏と猪熊純氏が主宰する猪熊建築設計事務所が担当している。仕事のある日は帰宅した時に静かに落ち着ける住まいとなり、休日にはゆったりと過ごせるように考えられている。また、入居者同士の関わりが多過ぎず、少な過ぎず、心地よい距離感を保てる人間関係を築ける住まいを目指しているという。そのため、入居条件として、学生はNG、職を有する社会人であることが求められている。

 入居者の共有スペースとしては、1階にある2つのリビングのほか、2階にもクッションなどを置いてのんびりくつろげるスペースがある。大きな吹き抜けを設けることで、共有スペースを見渡すことができ、個室以外では常に入居者同士が、つかず離れずという形で暮らせるような空間になっているのだ。

1階に設けられた共有の洗面スペース
浴槽付きの浴場はなく、シャワーブースが2室ある
テレビは1台(管理者がセレクトしたもの)
1階の共有リビングの1室
2階の踊り場からリビングを見下ろしたところ。吹き抜けになっているので解放感がある

 また、「LT城西」では共有スペースには無線LAN、個室には有線LANポートも設置、換気システムとして室内からの排気と屋外からの吸気が混ざらないようにして暖房効率を高めた顕熱交換式第一種換気システムを採用している。

顕熱交換式第一種換気システムによる吸気口
顕熱交換式第一種換気システムによる排気口
管理スペースに設けられた顕熱交換式第一種換気システム

“みんなで使う”洗濯機と掃除機選びの基準

洗面台の反対側に洗濯機が2台設置されている

 さて、家電選びの具体的な説明に移ろう。1階にある洗面・シャワースペースには2台の全自動洗濯機が並んで置かれている。洗濯機選びの条件として提示されたのは、1人の占有時間が長くなってしまうため、乾燥機能のないものにすることと、できれば節水性の高いものにすることだった。

 となると、全自動洗濯機になるが、13人で2台の洗濯機を使うのだから、もしも使いたい時間が重なった時にも、残時間が表示されていることが好ましく、黒カビなどの心配なく、より衛生的に使えるものがよい。そこで選んだのが、シャープの7kgタイプの全自動洗濯機「ES-GE70N」だ。

 7sあれば、1人分の洗濯物なら、まとめ洗いも可能で、毛布やシーツなども十分に洗える大きさ。また、シャープの洗濯機ならではの「穴なし槽」ならば、黒カビが発生しにくく、節水性も高い。除菌効果のあるAg+イオンコートで部屋干しの際にもにおいがつきにくく、洗濯槽の衛生面にも役立つというわけだ。使用時に残時間が液晶表示されることや、急ぎの際に便利な「倍速コース」があることも選んだ理由だ。設置されたのをみると、白一色の空間の中でさわやかな印象を与えるブルーのカラーもよかったなと思っている。

シャープ 全自動洗濯機 ES-GE70N(7kgタイプ)
洗濯時に残り時間表示がされるため、次の人が使う際の目安になるのも選んだポイントの1つ
シャープならではの穴なし槽のため、カビが発生しにくく、使用水量が少ない

 洗濯機の向かい側、洗面台の右脇には、掃除関連用品を入れる棚が設けられている。7月の取材時点ではあいにく購入した掃除機が届いていなかったのだが、セレクトしたのはパナソニックのプチサイクロン「MC-SR20G」だ。今回の家電はすべて、予算的にはできるだけ抑えたいという要望もあり、フラグシップモデルという選択肢はなく、せいぜいミドルクラスまで。

 その中でもプチサイクロンは、その名のとおり、小型で誰にでも引き回しがしやすく、共有スペースはもちろんのこと、個室でも使いやすい。そして何より、ミドルクラスの小型サイクロンの中では、静音性が高いのがセレクトの理由となった。生活時間の異なる入居者がどんな時間帯に使用しても、他の入居者の迷惑になりにくいようにするには、やはりこの点がポイントになる。プチサイクロンは本体のサイレンサー構造によって、吸気音・モーター音・排気音を軽減。フローリングでの走行音を抑えるソフトキャスターを採用しているので、引き回している際の車輪の回転音なども響きにくいのだ。

洗面台の右側には掃除機を収納するスペースが設けられている。7月の取材時点では、購入した掃除機がまだ届いていなかった
セレクトした掃除機はパナソニックのプチサイクロンMC-SR20G

 また、紙パックと違い、ゴミをためないために排気もニオわず清潔に使え、下開き方式で誰にでもゴミ捨てがしやすい設計。アイドリングオフ機能やゴミ発見センサーなど、意識せずとも省エネに貢献したり、しっかりと掃除が出来る点も、複数の人が使う掃除機としては魅力的といえるだろう。LT城西では、次の人のために必ずゴミ捨てをしておくことを習慣づけて使ってほしいなと思う。

業務用大型冷蔵庫+引き出し式冷凍庫で食材を管理

冷蔵庫は846Lの業務用冷蔵庫で、カゴで各自の食材を管理する仕組みだ

 続いて、キッチン周りの家電を紹介しよう。今回、施主側が冷蔵庫については大和冷蔵の業務用のものを早めに購入している。846Lのもので、広い庫内をカゴで区分けして自分の食材を管理する仕組みだ。調味料については共益費で購入し、共有で使うのだという。

 ただし、この冷蔵庫には、冷凍機能がないため、別途「冷凍庫」を購入したいとの要望があった。選んだのは、ハイアールの引き出し式タイプの冷凍庫「JF-NUF-166A」。クリアケースが5個ついており、棚数は6段。上に電子レンジなどを置くこともできる。なるべく整理がしやすく、取り出しやすいものということでこのタイプに決定した。入居者が全員決まってみないと、冷凍の食材をどの程度活用するのかがわからないこともあり、現時点では1台しか購入していないが、状況を見てもう1台同じものを並べて設置する予定だ。ファン式で霜取り不要なのも共同で使うにはよいだろう。

 ただ、今後、こうしたシェアハウスの冷蔵庫関連を選ぶとしたら、省エネ性に優れ、冷凍室も備えた家庭用の冷凍冷蔵庫を何台か並べるのも、消費電力や使い勝手の点ではアリなのではないかと思っている。冷凍室を大きくとり、引き出し式になっているものなどを選べば、使いやすいのではないだろうか。

冷凍庫には、ハイアールの引き出し式タイプJF-NUF-166Aをセレクトした。同じ製品をもう1台購入することも検討しているという
棚数6段で、クリアケースが5個設置されている
引き出し式なので個別の冷凍品を分けて収納することが可能

ホワイトで統一したキッチン家電

 温め直しやオーブン調理、トーストなど、電子レンジやオーブンレンジをどれにするかも日々の食生活に密着した重要なポイントになる。今回、価格や性能面でメーカーを統一せずに選んだが、デザイン面でちぐはぐさが出ないように、カラーはホワイトで統一した。

 まずはトーストにもグラタンなどの焼きものやピザにも使えるオーブントースター。こちらは庫内が広く、約80〜250℃までの温度調整が可能なタイガーの「やきたて」KAE-G130を選んだ。時間・温度設定ともにダイヤル式のため、誰にでも使いやすいのが特徴だ。

冷蔵庫の反対側に設けられた調理電スペース。暫定的にこの形で置かれているが、いずれエレクターなどのスチールラックを導入予定だという
ピザトーストや簡単な焼きもの調理用のオーブントースターに選んだのはタイガーのやきたて KAE-G130
マイコンタイプで80度〜250度まで細かく温度設定ができるタイプ

 ごはんなどの温め直しから、本格的なオーブン料理、ヘルシーな過熱水蒸気調理まで幅広く対応するスチームオーブンレンジは、日立の「コンパクトヘルシーシェフMRO-LS7」に決定。オーブントースターや電子レンジとの大きさのバランスなども考えて、大きすぎないものにしている。あたためもボタン1つで自動ででき、オート調理の4つのボタンと扉に表示された番号との組み合わせでさまざまな機能が試せる。休日などにケーキやパンづくりにも役立ててもらえたらと思う。

スチームオーブンレンジには日立のコンパクトヘルシーシェフ「MRO-LS7」を選んだ
水タンクは本体下部にあり、スチーム調理からヘルシーな過熱水蒸気調理まで幅広く対応している
MRO-LS7の操作部。よく使うボタンがオート調理として独立しているので、誰にでも使いやすい

 大きめのコンビニ弁当も気軽に温められるような、フラットタイプの単機能の電子レンジも備えている。ハイアールの「JM-FH18A」はターンテーブルがなく幅30cmまでOKのタイプで、シンプルな操作パネルが特徴だ。

温め専用の電子レンジとしてハイアールのJM-FH18Aをセレクトした
ターンテーブルがないフラットタイプで幅30cmのコンビニ弁当も入る大きさだ
シンプルな操作パネル
オートボタンではないので、表示時間を目安に自分で設定して使う

 炊飯器は小型のタイプを2台との要望があり、タイガーの「tacook(タクック) JAJ-A550-WS」を選んだ。タクックはごはんを炊く際の蒸気を利用して、同時におかずも作れるようになっている多機能炊飯器。ロコモコ丼などのカフェメニューが載ったレシピブックが同梱されており、簡単に調理出来て便利な一台だ。

炊飯器としてセレクトしたのは、タイガーのtacook(タクック)JAJ-A550-WS
タクックは3合炊きの炊飯器として使うほか、1人分の炊飯+おかずづくりもできる多機能炊飯器だ
タクックの操作部。オーディオのようなデザインを採用している

 また、普通の炊飯器としてごはんだけを炊く際にも、小釜のタイプでは珍しい2.5mmという厚みある黒遠赤特厚釜を採用していて、ふっくらとしたごはんが炊ける。リゾットやチャーハンメニューもあるので、今回のシェアハウスに入居するような若い世代にはぴったりなのではと思って選んでいる。

ちょうどよいコミュニケーションがシェアハウスの魅力

 ところでアパートや賃貸マンションとも、昔ながらの下宿とも異なるシェアハウスの魅力とは何だろうか。

 オープンハウスに来場し、自身もシェアハウスに入居経験があるという男性に聞いてみた。

 「持ち帰った仕事も、個室よりも共有のリビングでやったほうが断然集中できるし、捗る。というのも、みんなの目があって『がんばってるね』など、励ましたり声を掛けたりしてくれるから。もちろん、仕事がない時には集まって話したり、いろいろな刺激を受けることができてよかった。みんな寝る時以外は、共有スペースにいて個室にこもる人がいなかったですよ」という。自分自身がシェアハウスの魅力や可能性を実感したことから、遊休不動産のシェアハウス化や、シェアハウスの企画や運営など行なうべく起業も考えているという。

3階踊り場から2階の共有スペースを眺めたところ。階段の奥にある白い箱状のスペースはトイレだ
13室ある個室のうちの1部屋。ダイキンの住宅設備用のエアコンが設置されている。衣類などを掛けやすいようにどの部屋にも長いバーが付けられている
個室には2つのコンセントのほか光LAN回線による有線LANポートがある。※共有部には無線LAN

 東京周辺にはシェアハウスも多いが、名古屋市では元々、実家から通う人が多いため、一人暮らしの第一歩としてシェアハウスを選択する人が多いと聞く。知らない者同士が気持ちよく暮らしていくためには、それなりに譲り合いの気持ちや協調性も必要になることだろう。

 そうした上で、“共有する家電”というのは、業務用とも異なり、一般の家庭用とも違う視点での大事な役割を果たすものだ。まだスタートメンバー募集の段階なので、実際の使い勝手点でのヒアリングができていないが、数カ月後にでもぜひ今回選んだ家電への感想を聞いてみたいと思っている。

神原サリー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」べく、家電分野を中心に執筆やコンサルティングの仕事をしています。モノから入り、コトへとつなげる提案が得意。生活家電・美容家電分野の記者発表会にはほぼすべて出席。企画・開発担当者や技術担当者への取材も積極的に行い、メーカーさんの現場の声を聞くことを大切にしています。