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第15回:一番長持ちするアルカリ電池はどれ? 国内メーカー乾電池比較!


今回は国内有名メーカー6社のハイグレードアルカリ乾電池をテスト。どれも家電量販店などでよく見るヤツだ

 スーパーや家電量販店には、いろんなメーカーの電池が並んでいる。でも実際のところ、どれが本当に長持ちでハイパワーなのかは、見ているだけじゃ分からない。

 なかでも電池選びに悩んでしまうのがアルカリ電池だ。どれも「長持ち」「パワフル」が謳われていて、いずれも強そうなネーミングに金色を使ったカラーリングで、他社製品よりもワンランク上っぽい感じを出そうとしている。

 その上、種類もめちゃくちゃ多い。100円ショップで手に入るものから、コンビニや電気店、ホームセンターやスーパーなどのプライベートブランド商品など、「どれを買ったらいいのか分からない」という人がほとんどだろう。なにせ筆者も新製品が出ると、ネーミングとデザインに惑わされて、レジに持って行ってしまうほどだ(笑)。

 この混沌とした――いや、それを通り過ぎて有象無象が魑魅魍魎とした乾電池選びを、少しでも分かりやすくするために、今回の家電LABOではアルカリ乾電池の性能比較をしてみることにしよう。

 Do it onself!

 「分からんことは、自分で調べる!やってみる!」をモットーとしている家電LABOだ。乾電池を無駄に強制放電させて「高い電池を買ったのにそれほどでもなかった」なんて失敗をしないように、筆者が電池ソムリエなって性能を調べた結果を発表する!

 なおニッケル水素電池の性能比較についは、以前に「ニッケル水素電池はどれを買えば良い? 国内メーカーガチンコ対決!【前編】」同【後編】を参照していただきたい。

パソコンで制御できるスイッチボックスと、パソコンにつながるテスターを使い、独自に開発したテストプログラムで24時間稼動! これも立派な実験装置。実験方法は、お楽しみに!

さすがに全部テストすると時間がかかりすぎるので、ハイグレードタイプに限定

 さて、実験を始めるに当たって、対象となる製品を選ぼう。意気込み的には、買える電池はすべて買って、100円ショップのものから国内メーカーまですべてやりたいところ。しかーし、電池の実験は1種類調べるのに30時間ほどかかるので、実験を終える頃には、また新たな電池が出ていることだろう(笑)

 そこで今回は国内の主要電池メーカーに絞って調べたい。前述の通り、メーカーによっては複数のアルカリ乾電池を発売しているので、複数のラインナップがある場合は、一番ハイグレードな電池をチョイスした

 なお記載している価格は、2012年8月現在のヨドバシカメラの通販価格となっている。文中では、「高い」「安い」などを述べているが、すべてこの価格を基準としている。この点は予めご理解いただきたい。

【富士通(FDK):PremiumG】

富士通の最高グレード「PremiumG」。2012年4月から発売されたニューフェイスだ

 アルカリ乾電池のラインナップが最も多い富士通は、小電力機器向けの「R SPEC」、デジタル機器やオモチャ向けの「G PLUS」、大電力のデジカメやストロボ向けの「PremiumG」がラインナップされている。ここでは最高グレードの「PremiumG」をテストした。

 基本的なスペックや価格、サイズのラインナップは次の通りとなっている。





価格(単3×8本) 1本あたりの価格 使用推奨期限 液漏れ防止
840円 105円 10年





太さ 長さ プラス極太さ プラス極高さ 重さ
14.00mm 50.45mm 5.00mm 1.80mm 24g

※長さは、プラス極の凸も含めた値。プラス極の太さは凸部分の直径、高さは凸部分の高さとなっている。以下も同じ





単一 単ニ 単三 単四 単五 006P

【日立マクセル:ボルテージ】(単3×8本 610円)

日立マクセルの「ボルテージ」。製品に入れておいた電池が液漏れしてしまったら、その修理代も保証するという強気の液漏れ防止設計

 日立マクセルのアルカリ乾電池は「ボルテージ」のみ。「ボルテージクレール」なるものもあるが、これはラッピングを女性向けにしただけで中身はボルテージだ。他社の電池と比べるとかなり安いので、電池の寿命が短いのかどうかを確かめる必要がありそうだ。

 特筆すべきは、「5年間の液漏れ保証」。これは液漏れして機器を破損してしまった場合は、替わりの電池を無償でくれるだけでなく、機器の修理代まで保証するというもの。今のところ日立マクセルだけしか実施していないようだ。





価格(単3×8本) 1本あたりの価格 使用推奨期限 液漏れ防止
\610.0 \76.3 5年





太さ 長さ プラス極太さ プラス極高さ 重さ
14.00mm 50.50mm 5.15mm 1.50mm 23g





単一 単ニ 単三 単四 単五 006P
-

【ソニー:STAMINA】(単3×8本 780円)

ソニーの「STAMINA」。スーパーやコンビニではほとんど見かけないが、家電量販店ではおなじみ。販売コーナーの基本カラーが白と緑なので一目瞭然だ

 ソニーのアルカリ乾電池は、お買い得な「アルカリブルー」と、パッケージなどに塩化ビニルを一切利用していない環境に配慮した「アルカリグリーン」、そしてハイグレードの「STAMINA」の3シリーズがある。価格は並の値段だ。





価格(単3×8本) 1本あたりの価格 使用推奨期限 液漏れ防止
\780.0 \97.5 5年





太さ 長さ プラス極太さ プラス極高さ 重さ
14.10mm 50.25mm 5.20mm 1.50mm 23g





単一 単ニ 単三 単四 単五 006P

【三菱:POWERアルカリEX】(単3×8本 790円)

三菱からはハイグレードタイプの「POWERアルカリEX」。比較的手に入りやすく、基本カラーに紫色が使われているのが特徴的

 三菱のラインナップは、小電力向けの「アルカリG」と、大電力向けの「アルカリEX」の2タイプがある。ここではハイグレードの「アルカリEX」をテストした。価格としてはソニーと同じだが、どれほどの違いがあるのかに注目したい。





価格(単3×8本) 1本あたりの価格 使用推奨期限 液漏れ防止
\790.0 \98.8 5年





太さ 長さ プラス極太さ プラス極高さ 重さ
14.00mm 50.30mm 5.20mm 1.70mm 23g





単一 単ニ 単三 単四 単五 006P

【パナソニック:EVOLTA】(単3×8本 880円)

「犬も歩けばEVOLTAに当たる」ほど、スーパーやコンビニでも見かけるパナソニックのハイグレード電池「EVOLTA」

 「世界一長持ち」としてギネスブックに登録されたことを宣伝に謳っているEVOLTA。今や売ってない店を探す方が難しいほど、どこでも売っている定番の電池だ。パナソニックのアルカリ乾電池のラインナップには、ハイグレードの「EVOLTA」のほかに、小電力用「アルカリ乾電池」の2タイプがある。

 サイズを測ったところ、ごくわずかだが、他の電池に比べ太くなっているようで、電池が入りづらい機器もあるだろう。細かいことだが、単5形と、9Vの006P電池は発売されていない。





価格(単3×8本) 1本あたりの価格 使用推奨期限 液漏れ防止
\880.0 \110.0 10年





太さ 長さ プラス極太さ プラス極高さ 重さ
14.20mm 50.50mm 5.30mm 1.55mm 24g





単1 単2 単3 単4 単5 006P
× ×

【東芝:IMPULSE】

東芝のアルカリ乾電池は「IMPLUSE」のラインナップのみ。比較的入手しやすく、名前も強そうなのでハイグレードモデルなのか気になる

 東芝のアルカリ乾電池は「IMPULSE」のみ。価格帯はEVOLTAや富士通PremiumGと同じだ。しかし、液漏れに関して一切触れていない。とりあえず高いIMPLUSEは、どの程度のものなのかが非常に気になる。





価格(単3×8本) 1本あたりの価格 使用推奨期限 液漏れ防止
\880.0 \110.0 5年 ×





太さ 長さ プラス極太さ プラス極高さ 重さ
14.00mm 50.40mm 5.20mm 1.60mm 24g





単1 単2 単3 単4 単5 006P

小電力の豆電球点灯では富士通・パナソニックの2強

 まずは、小電力の機器で使った場合の性能を比較してみよう。実験は乾電池1本で、2.5V 0.3Aの豆電球を何時間点灯できるかを測った。具体的な例を挙げると、LEDや豆電球の懐中電灯やランタン、小型の携帯ラジオや音楽プレイヤー、電子辞書やICレコーダなどで各社の電池がどれほど長持ちするか? という実験になる。別な言い方をすると、モーターが入っていない機器での寿命と思ってもいいだろう。

 なお、電池の電圧は時間とともに落ちてゆくが、「終止電圧」とよばれる電池の寿命を示す0.9Vを下回るまでの時間を計測している。

■■注意■■

・以降の実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わるので、独自に実験を行なっても必ず同様の結果にならない点にご注意ください。
・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。
小電力機器を何時間連続で利用できるかのグラフ

 一番長持ちするのは富士通で、およそ10時間半。次にパナソニックという結果となった。ただ、グラフを見るとよく分かるとおり、パナソニックのエボルタは、始終高い電圧を出し続けるが、富士通は低めになっている。この電圧の違いは、音楽プレイヤーや電子辞書など電子機器系では気にならないが、もし懐中電灯に使う場合は、「PremiumG」は「EVOLTA」に比べるとチョット暗めと感じるかも知れない。

 3位はソニーと日立マクセルが同着で9時間15分。ソニーはパナソニック同様に高い電圧を出し続けるが、日立マクセルはダラダラと低い電圧のまま寿命となる。懐中電灯ならソニーの「STAMINA」がいいだろう。日立マクセルの「ボルテージ」は単三が8本で610円の割りに、790円のソニーと同じだけ使えるので、電圧の気にならない電子機器系にはオススメの電池と言えるだろう。また小電力の機器は電池を入れっぱなしにしてしまうことが多いので、5年間液漏れ保証のある日立マクセルは付加価値も高い。

 5位は富士通やパナソニックのハイグレード電池と同じ880円という価格ながら、8時間50分しか持たなかった東芝だ。小電力機器で東芝の「IMPLUSE」を使うとかなり損をすることになる。

 最下位はソニーと同じ価格ながら、8時間半しか持たなかった三菱の「POWERアルカリEX」。小電力機器で使うなら、三菱よりソニーの方がよさそうだ。

 さて価格の話もでたことなので、1時間当たりの電池代も計算してみたのが、次のグラフだ。なお電池代は、単3電池8本セットの価格を元に、1本辺りの価格に直している。

小電力機器で使った1時間あたりの電池代

 グラフが短いほど経済的で、価格の割りに長持ちということを示している。逆に長くなるほど不経済で、長持ちしない割りに価格が高いということだ。一番価格と寿命が見合っていたソニーを規準とすると、日立マクセルが最も経済的で、東芝が一番不経済となる。

 ここから言えるのは、決して高い電池が長持ちするわけでもなく、「安かろう悪かろう」とも言えないという点だ。

大電力機器の連続利用ではパナソニックと日立マクセルの2強

豆電球を抵抗(白い四角い部品)に替えて、大電力機器で使った場合の利用時間を調べる

 次に、大電力機器で使った場合を調べてみよう。具体的には、デジカメやストロボ、乾電池式のシェーバーやモーターが使われているおもちゃ、そしてスマートフォンの緊急充電器といった製品を想定している。実験では1.5Ωの抵抗を使ったので、およそ1,000〜700mAの電流が流れている計算だ。

大電力機器を連続して使うと、利用時間にかなりの差が出た

 大電力でも一番長持ちしたのはパナソニックの「EVOLTA」で、2時間4分利用できた。始終電圧も他に比べると高く、伊達にギネス認定を謳い文句にしているようではなさそうだ。

 2位は、日立マクセルの「ボルテージ」で1時間50分。3位の840円で買った富士通を、610円で買った日立マクセルがブチ抜いてしまったという下克上だ。これだから電池は怖い……。日立マクセルのアルカリ乾電池は「ボルテージ」のみのラインナップしかないが、小電力から大電力までワイドに対応できる高性能電池と見ていいだろう。

 3位は、2位と30分ほど離され1時間23分持った富士通の「PremiumG」だ。小電力機器ではいい成績を収めたが、大電力機器には不向きのようだ。大電力機器で使うなら、同じお金を払うならEVOLTAを買ったほうがいいだろう。

 4位はソニーの「STAMINA」が1時間9分利用できた。続けて57分使えた三菱の「POWERアルカリEX」が5位にランクイン。

 最下位は、値段は880円と立派なのに、利用できた時間は54分とさっぱり長持ちしない東芝の「IMPLUS」。マクセル同様に東芝のアルカリ乾電池は「IMPLUSE」のみとなっているが、小電力機器でも下から2番目という成績で、価格と性能が見合っていない。

 さてこちらも、1時間あたりの電池代をはじき出して、経済性を見てみよう。

大電力機器を連続利用したときの1時間あたりの電池代

 大電力機器に使う場合で一番経済的なのは、1番目に経済的なのは日立マクセルの「ボルテージ」、2番目がパナソニックの「EVOLTA」だ。両者ともに利用時間も経済性も1、2位なので、モーター内蔵機器やデジカメ、ストロボなどではどちらかを使うといいだろう。

 富士通「PremiumG」は「EVOLTA」と同じ価格ながら、大電力機器はそれほど長く利用できなかったので3位に転落。4、5位の三菱とソニーは価格に見合った性能という感じだろう。

 そしてブッチギリに経済性が悪いのは、1位の「EVOLTA」の半分以下しか利用時間がないのに、価格は「EVOLTA」と同じという東芝の「IMPLUS」だ。もちろん経済性はEVOLTAの2倍以上という結果に終わった。「IMPLUS」を好んで使っている人は、かなり損をしていることになるので、電池を見直したほうがよさそうだ。

実用に近い「大電力・間欠利用」では上位4社で混戦

 さて大電力機器の連続利用では、パナソニックの「EVOLTA」が圧倒的な強さを見せた。しかし、実験内容を否定してしまいかねないが、大電力機器の多くはスイッチのON/OFFを繰り返して使うモノが圧倒的に多い。連続して長時間使うものと言えば、オモチャや乾電池式のシェーバー、スマホの緊急充電器、そしてEVOLTAがギネスに認定されたときのように、乾電池式のロボットで何日間も連続で動かしてトライアスロンをやるぐらいのものだろう。

 そこで同じ大電力機器でも、スイッチをONにした状態とOFFにした状態を繰り返す間欠利用をして、より実用に近い大電力機器の使い方をしてみよう。ただ、1分使って29分休ませてといったようにONの状態が短いと、実験に何週もかかってしまうので、ここでは10分間ONにしたあと、スイッチをOFFにして20分間電池を休めるようにした。

 テストの結果は、次の通りだ。

大電力機器を間欠利用したときの利用時間

 結果的に、上位4社が7時間〜7時間8分の間にひしめいてしまった。ちょっと見にくいので、上位から3社ずつに区切ってグラフにしたのが次だ。

先のグラフから上位3社を抽出したグラフ

 1位はなんと、連続利用では振るわなかった富士通の「PremiumG」。7時間8分10秒利用できた。2位は、わずか30秒差の7時間7分40秒でソニー「STAMINA」がランクイン。 分に四捨五入すると同率1位としてもいいだろう。電池を休息させている時間を抜いた実利用時間は、ともに148分だ。

 3位は7時間4分ジャスト利用(実利用時間144分)できたパナソニック「EVOLTA」。ただ6時間30分を過ぎた時点で、限りなく寿命の0.9Vに近くなっているが、最低時には0.902Vと首の皮一枚でつながった感じだ。気温が少し違っていたら4位に転落していたかも知れない。

 4位〜6位のグラフは次の通り。

大電力機器を間欠利用したときの利用時間。下位3社を抽出

 グラフ上は下位グループに入ってしまっているが、第4位は7時間1分20秒(実利用時間141分)持ちこたえた三菱の「POWERアルカリEX」。3位との差は2分40秒差しかなく、1位〜4位はかなり混戦する結果になった。

 5位は日立マクセルの「ボルテージ」で、1〜4位より1ターン少なく6時間36分40秒、実利用時間にすると137分となった。これまで安いのに好成績を収めてきたが、大電流機器での間欠利用では振るわなかったのが残念だ。

 最下位は東芝の「IMPLUS」で上位4社と2ターン差ある6時間2分ジャスト(実利用時間122分)となった。しかも5時間半を過ぎたターンでは、寿命の0.9Vまであと0.08Vと、これも首の皮1枚で危なかっしさを見せた。

 この折れ線グラフでは、実利用時間にどのぐらいの差があるか分かりにくいので、棒グラフにしてみると次のようになる。

大電力機器を間欠利用したときの実利用時間(実際にスイッチがONになっていた時間)

 連続利用に比べると1社を除いて11分間の勝負となっているのが分かる。富士通「PremiumG」はパナソニック「EVOLTA」と同価格帯だが、間欠利用したときに「元が取れる」と考えるといいかも知れない。そして700円台だがソニーの「STAMINA」と三菱の「POWERアルカリ」も大電力の間欠利用ではコストパフォーマンスの高い電池と言えるだろう。

 さて、先のグラフに連続利用したときの時間も合わせて表示すると、次のようになる。

乾電池を連続利用した場合と間欠利用した場合の利用時間の違い(回復力)

 このグラフから分かるのは、電池を休みながら使った場合の回復力の違いだ。乾電池はマンガンでもアルカリ乾電池でも、休み休み使うと内部の物質が再び活性化して、連続利用するより長く使える(ニッケル水素電池は連続でも間接でもほぼ同じ時間となる)。これが乾電池の回復だ。

 連続利用と間欠利用の差が少ないパナソニックと日立マクセルは、回復力が低いため、長時間の連続利用向けと解釈してもいいだろう。逆に差が84分もある三菱、79分あるソニーは、回復力が高く、間欠利用に適した電池と言ってもいい。

 例えば富士通とソニーと比べた場合、旅先で名所ごとにスナップ写真を撮るような使い方の場合をすると、ソニーの方が回復力の高さが効いて、富士通よりもたくさんの写真を撮れる可能性が大ということだ。

 最後に、間欠利用した場合の電池代も比べてみよう。

大電力機器を間欠利用した場合(実利用時間)の1時間あたりの電池代

 連続利用の時と違い、上位4社の利用時間が11分という短い時間に集中したため、価格差がそのまま反映されている。中でも目を引くのは、日立マクセルのコストパフォーマンスのよさだろう。単3電池8本セットで610円という価格ながら、上位4社の140分台に負けず劣らずの137分も使えたため、ランニングの安さが際立つ結果となった。また700円台のソニーと三菱も大電力の間欠利用ではコスト的に有利だ。

 残り3社は800円台だが、大電流の間接利用で使うならパナソニックの「EVLOTA」より富士通「PremiumG」がオススメ。なぜなら富士通の回復力が高いため、旅先のスナップを撮るデジカメなどで使うと、さらにコストパフォーマンスがよくなる可能性が大きいからだ。

超大電力のミニ四駆でも性能比較

念のため説明すると「ミニ四駆」は、プラモデルながらもレースができる競技用車両だ。ほとんどの男子が知っているだろう

 ひと通り実験を行なったが、ここで電池が余ったので、最後に「超大電流」を流したg場合の実験をしてみよう。それは、どの電池がミニ四駆を速く走らせられるか、という実験だ。

 ミニ四駆のレースは、基本的には走破タイムを競うので(中には定時通過を競うレースもあるけど)、モーターも一般的な模型のモーターと違い、桁違いに高速回転し、とてつもなく大電力となっている。

 さらに積載できるモーターには高速性重視、パワー重視などのいくつかがあるが、今回は「マッハダッシュモーターPRO」なる、スッゲー速そうなのを搭載してみた。スペック的には、20,000〜25,000回転/分で、消費電流は2,600A〜3,500mAという化け物だ(笑)。どれだけ化け物か分からないという人には、単3電池2本を1分半〜2分半で使い切ると言えば分かってもらえるだろう。スマホの緊急充電池でも、乾電池がチンチンに熱くなりながら使い切るまで1時間かかるが、これならたったの2分で使い切ってしまう。それがモンスター級の大電力「ミニ四駆」なのだ。

 実験装置は以下のとおり。実験内容については、見た目に面白かったので、ムービーで見てもらいたい。

ミニ四駆のタイヤを別に買ってきて、独自のシャーシダイナモを作った。タミヤ製のもあったんだけど、スッゲー高かったので自作(笑) シャーシダイナモの車軸にはプーリー(滑車)を取り付け、モーターを回すようになっている。このモーターの電圧を測れば速度を数値化できるというしくみだ 実験装置につないだところ。右のグレーのテスターは電池の電圧、左の赤いテスターはミニ四駆の速度を示す電圧となっている

★movミニ四駆の動画を入れる

 みるみる電池がなくなるのが目に見えて分かるほど、“超”大電力というのがわかっていただけただろう。ついでに、0.1mm単位の精度が必要な筆者の工作の腕も分かって欲しかったりする(笑)。

 このオリジナルの実験装置を使って、電池の電圧の下がり具合と、ミニ四駆の速度をグラフ化したのが次だ。ただその前にチョット断りを入れておきたい。電圧のグラフは10秒単位で値を取っているので、これまでのグラフに比べるとかなり荒いものになっている。これは、2分で電池を使いきるような前提で、電池の測定システムを作っていないためだ。一方、速度のグラフは1秒単位で取っているので、かなりジグザグしている点もご了承いただきたい。

超大電力のミニ四駆を駆動できる時間。終止電圧は電池2本なので1.8Vとなる

 まずは電池の電圧から見てみたいが、ここでもお断りを入れさせていただく。単三電池を2本を使うので、これまでと違いスイッチONする直前(グラフの00:00)は3.2Vとなっている。また本来であれば、電池1本が0.9Vで終止電圧(寿命)とされるが、グラフがますます荒くなってしまうので、1本あたり0.8V、2本で1.6Vまでデータを取っている。さらにモーターは振動などで電圧が不安定になるため、1.6Vを割った瞬間から30秒間データを取り続けている。

 置きが長くなってしまったが、ここから電池の特性についてみてみよう。電圧を一番高く、そして長く出し続けられたのは、富士通の「PremiumG」だ。次いでパナソニックの「EVOLTA」となった。しかし、1.8Vの終止電圧で見てみると、三菱の「POWERアルカリEX」が富士通並に高い電圧を出し続けている。次いで4位はソニー「STAMINA」となり、5、6位は日立マクセル「ボルテージ」と東芝「IMPLUSE」がほぼ互角という結果になった。「なんで610円の日立マクセルと880円の東芝が互角なのか?」という購入価格の違いは、もう棚上げにしてしまおう。

 さて、電圧は富士通、三菱、パナソニックという順になったが、はたしてミニ四駆の速度は電圧と同順だろうか?

ミニ四駆の走行速度。実際に200km/h出ているわけではなく、電圧を感覚的な速度に変換したもの

 グラフの縦軸はミニ四駆の速度を示しているが、実際に200km/hも出ているわけじゃない。これはレーシングカーの速度に合うように、発電した電圧を速度に変換したものだ。

 もしコースが2分程度で走行できるぐらいの距離であれば、スタートダッシュの速さで三菱が1位だろう。2位は僅差でパナソニックという感じだ。第3位は、電圧は高かったもののあまり速度が出なかった富士通だ。おそらく富士通は、高い電圧を出せるものの、モーターが消費する3,500mAまで電流を取り出せないのだろう。

 3位以下は、もう混戦状態。ソニーのスタートダッシュはいいのだが、15秒を過ぎると速度が見る見る落ちていく。真逆なのは東芝でスタートダッシュは遅いものの、2分の手前で猛烈なラストスパートを掛けているのが分かる。日立マクセルは、その中間を行くといった感じだ。

 このように超大電流になると、電池から取り出せる電流の頭打ちが出てきてしまうため、高い電圧を出せる電池が一番速いというワケではなくなるのだ。言うならば、パナソニックと三菱はモーター(エンジン)につながる燃料パイプが太く電流(ガソリン)をガンガン送れるが、富士通は燃料パイプが細く少ない電流(ガソリン)しか送れず速く走れないが、6分20秒も走れることになる。

 さて速度のグラフでは混戦を極めてしまい、順位がはっきりしないので、2分間の平均速度を求めて比較してみよう。

ミニ四駆の2分間の平均速度

 平均速度で見てみると、僅差の接戦がよく分かる。先の速度の折れ線グラフから考察したとおり、三菱が1位、次いでパナソニック、3位は富士通となっているようだ。4位以下の混戦も、4位が日立マクセル、5位がソニー、最後にチェッカーフラッグを受けたのは東芝という結果だったらしい。

 もしミニ四駆でタイムアッタックを狙うなら、三菱「POWERアルカリEX」かパナソニックの「EVOLTA」が表彰台への近道となる。

コレを買えば損しない電池と機器別に最適な電池はコレだ!

 さて国内有名メーカー6社のアルカリ乾電池をテストして、その結果をさまざまな角度から見てきたが、最後に「こんな機器には、この電池が最適」という結果をまとめておこう。

どんな機器やシーンでも長持ちで高い電圧を出せるEVOLTAを使っておけば損はない

 とりあえずどんな機器だろうと、コイツを入れておけば損はしないという汎用アルカリ乾電池を選んでおこう。それは、パナソニックの「EVOLTA」だ。

 今回行なったテストで、常に上位2位以上あたりに食い込んでいたのはEVOLTA。値段はそれなりに高いが、長寿命で高い電圧を出し続けれらるので、性能と価格のバランスも取れている。つまり損はしない電池だ。よって電池選びが面倒な場合は、とりあえずEVOLTAを買っておくのがいいだろう。

 豆電球式の懐中電灯やランタン、小型の携帯ラジオなどには、常に高い電圧を出せるパナソニック「EVOLTA」がオススメ。また、多少豆電球が暗くなるが富士通の「PremiumG」も費用対効果が高いので良いだろう。

高い電圧が出せるパナソニック「EVOLTA」 電圧はやや落ちるが、購入価格が安かった富士通「PremiumG」も良い

 LED式の懐中電灯や音楽プレイヤー、電子辞書やICレコーダなど、電圧の低さがそれほど機能を左右しない機器では、利用時間的に富士通の「PremiumG」がベスト。日立マクセルの「ボルテージ」も、購入価格の安さでオススメだ。

電圧が機能を左右しない電子機器には富士通の「PremiumG」 日立マクセルの「ボルテージ」も、購入価格が安い割に良かった

 モーターを内蔵する乾電池式のシェーバーやおもちゃ、そしてスマホの緊急充電器など、連続してかなりの電力を消費する機器には、長時間利用でき、1時間あたりの電池代が最も安かったパナソニックの「EVOLTA」、もしくは日立マクセルの「ボルテージ」をおすすめしたい。

大電力機器をより長時間使いたい場合はパナソニックの「EVOLTA」 日立マクセル「ボルテージ」は、EVOLTAよりも利用時間は少し短くなるが、価格は安かった

 デジカメやストロボ、電動歯ブラシやハンディ無線機など、大電力でも電池を休み休み使う間欠利用の多い機器には、富士通「PremiumG」もしくはソニーの「STAMINA」がオススメだ。ただ旅先でのスナップ写真のように、電池を休ませている時間が長い場合は、ソニーの方が良いかもしれない。回復力の高さで、富士通よりも多くシャッターを切れる可能性が大きい。

電池を休ませながら使うなら富士通「PremiumG」 休ませる時間が長いときはソニーの「STAMINA」の方が有利
高価な機器では5年間液漏れ保証が大きなアドバンテージになる日立マクセルの「ボルテージ」

 常備灯やあまり使わない機器のリモコンなど電池を入れっぱなしにしてしまう機器は、液漏れに強い電池がベスト。「5年間の液漏れ保証」つきの日立マクセル「ボルテージ」の一択だ。機器の修理代まで保証しているので、高価な機器にも向いているだろう。

 イザというときの備蓄用電池なら、10年間と期限が長い富士通の「PremiumG」かパナソニックの「EVOLTA」を緊急時の持ち出しセットに入れておきたい。

備蓄用の電池なら使用推奨期限が10年間ある富士通の「PremiumG」かパナソニックの「EVOLTA」
今買っておけば、2020年まで持ち出し袋に入れっぱなしでも大丈夫ということになる。左がパナソニック、右が富士通

 ミニ四駆のタイムアタックなど、とにかく大電流が欲しいという場合は、三菱の「POWERアルカリEX」もしくはパナソニックの「EVOLTA」がいい。中でも瞬発力を重視するなら三菱、少しでも長く大電流が欲しい場合はパナソニックという使い分けをするといい。

瞬間的に大電流を取り出せる、三菱の「POWERアルカリEX」 大電流を少しでも長く取り出したい場合は、パナソニックの「EVOLTA」

 人に個性があるように、電池にも個性があり、用途によって向き不向きがあるのが分かった。今回は国内の有名メーカー6社に絞ったが、リクエストがあれば100円ショップやプライベートブランドなどの性能テストにもチャレンジしたい。ただ、チョット疲れたから少し休ませてください! 筆者も間欠利用してもらわないと、利用時間が短くなっちゃので……。ともかく、今回の実験結果を電池を買う際の目安にしてもらえると非常に嬉しい。





2012年9月5日 00:00