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ポータブル電源で仮想の避難生活 大容量コンパクトなJackeryとスターリンクで通信も

緊急時を想定し、「Jackery ポータブル電源 2000 New」を使って様々な家電やスターリンクによる通信確保も自宅で試してみた

毎年9月は防災月間。地震、台風、豪雨といった自然災害に対する意識を今一度高めつつ、最近では電力の供給不足による停電の可能性も考えておいた方が良さそうな情勢だ。特に直近では南海トラフ地震のリスクが平常時より増しているとされ、この9月からは台風の危険性も高まってくる。

もしもの災害で避難しなければならなくなったとき、あるいは長時間の停電が発生したとき、食料品などの備蓄があることは大事。そして、それと並んで気をつけたいのは、いかにして電力を確保するか。なぜなら電力があれば、食料保管の問題を解決でき、さらには衛星通信機器を動かせればインターネットから情報収集できる環境も簡単に構築できるからだ。

そんなわけで今回は、災害対策にもよさそうな新発売の「Jackery ポータブル電源 2000 New」とともに、万が一の停電時や避難生活に備えた使い方をいろいろとシミュレートしたので紹介していく。

災害対策にも最適化された「ポータブル電源 2000 New」の進化点とは?

地震や洪水などの災害が発生したとき、自宅に留まって助けを待つこともあれば、離れたところにある避難所に身を寄せることも、場合によっては出先で被災して車内で過ごすこともあるかもしれない。そこに大容量のポータブル電源があれば間違いなく大きな助けになる……というのは、きっと容易に想像できることだろう。

仮に災害で電力インフラがマヒしてしまえば、復旧に数時間~数日かかることも覚悟しなければならない。その間、水や食料品のみならず、情報を得るためのテレビやラジオ、スマートフォンやノートパソコンといった電子機器はいわば生命線になりうる。

ただし、外部電源が必要なものはいうまでもなく使用不可。バッテリー動作する機器であっても長くはもたない。モバイルバッテリー程度だと、あっても少し心もとない感じだ。

そんなときに、持ち運びが容易で手軽にAC電源やUSB電源などを取り出せる大容量のポータブル電源が重宝する。特に2024年8月に発売されたJackeryの新製品「ポータブル電源 2000 New」は、まさしく災害対策に適したモデルとして進化している。

「Jackery ポータブル電源 2000 New」

まずポータブル電源のスペックに注目してみると、電源容量は2,042Whで、定格出力は2,200W、瞬間最大出力は4,400Wとなっている。電子レンジやIH調理器、さらには家庭エアコンのような消費電力の大きい家電製品も難なく稼働させられる性能をもつ。

内蔵電池にはリン酸鉄リチウムイオン電池を採用している。一般的なリチウムイオン電池と比較すると、耐久温度が高いこと(同モデルは稼働時最大45℃)と、寿命が長いこと(充電サイクル数が4,000回超過時、70%以上の電源容量が保証される)が強みとして挙げられる。夏場の暑い季節でも安心して使えるだけでなく、いつ発生するかわからない災害への備えとして考えたときにも、このあたりは重要なポイントだ。

そして実は大きな進化点といえるのが本体のサイズと重量。2,000Wh容量帯の製品の中でも最小かつ最軽量だという。従来機の「ポータブル電源 2000 Pro」の後継として、それと同等の性能をもちながら、幅が5cm近く圧縮され、高さは約1.5cm、奥行きは5mmそれぞれ小さくなった。キューブ形状に近いコロンとしたシルエットになり、ぱっと見で明らかにコンパクト感が伝わる。重量も約17.9kgでおよそ1.6kg削減され、可搬性がさらに高まった。

この軽量コンパクト化を可能にしたのが「CTB(セル・トゥ・ボディ)」という技術の新たな採用。電気自動車に使われている構造で、電池パックに車体の構造体としての役割を持たせたものであり、部品点数を減らしてスペースを確保でき、電池セルをより多く搭載できるようになった。実際に電池セルモジュールのスペース利用率が59%改善され、従来のバッテリー構造よりスペース利用率を15%向上。エネルギー効率もアップできたほか、より高強度で耐久性も上がったという。

そのうえで、JIS規格で定められているIEC60068-3-3という耐震試験をパスしている。これは、震度7相当の振動にも耐えるタフネスさも持ち合わせていることを意味している。地震の揺れでポータブル電源が壊れてしまい、せっかくの備えが台なしになる、みたいな心配もせずにすみそうだ。

従来機の「ポータブル電源 2000 Pro」と同等の性能ながらさらなる小型・軽量化を果たした

出力は、最大計2,200WのACコンセントが3個、最大100Wと30WのUSB Type-Cポートが1つずつと、18WのUSB Type-Aポート、さらに120Wのアクセサリーソケットという構成。3~4人家族のスマホ、タブレット、ノートパソコンと、同時にいくつかの電化製品に電力供給する、といった使い方もカバーしてくれるバランスのいい装備だ。価格は239,800円 。

ACコンセント×3、USB Type-C×2、USB Type-A×1、アクセサリーソケットという構成

暑さの厳しい季節はエアコンと冷蔵庫に優先して電力供給

では、この新しい「ポータブル電源 2000 New」が、停電時や災害時にどんな風に活躍してくれるだろうか。

たとえば災害などによって自宅が停電してしまったとき、まず心配になるのが冷暖房や冷蔵庫の中の食料品だ。とりわけ近年は夏場の暑さがますます厳しく感じられ、冷房のない室内だと熱中症の危険性が高まるうえに、食料品の傷みが早く進む可能性も高い。なんとかしてエアコンや冷蔵庫・冷凍庫を生かしたいそんな場面は、「ポータブル電源 2000 New」の出番だ。

試しに筆者宅のエアコン(冷房定格出力2.2kW、6畳用)に使ってみると、その時の室温に近い27℃の冷房設定で概ね200W余りの電力消費、予想稼働時間は約8時間となった。1~2℃低めの温度設定にすると300Wを超えることもあったが、この程度なら「ポータブル電源 2000 New」の大容量のおかげで、暑さの厳しい時間帯は軽く乗り越えられそう。

熱中症予防を想定して、まずはエアコンで試してみる
そのときの室温に近い温度設定での電力消費は200W余りで、稼働時間は8時間以上確保

次に冷蔵庫でも試してみた。実はつい最近、消費電力の少ない新しい冷蔵庫(年間消費電力量249kWh)に買い替えたのだが、そのおかげか、内部が十分に冷えている状態だと消費電力はわずか10Wほど。瞬間的に20Wまで上がることはあったものの、「ポータブル電源 2000 New」が満充電であれば3~4日間はもつと思われる。

食材が傷んでしまわないように冷蔵庫に電力供給
ほとんどの時間帯で10W程度の電力消費となり、3~4日間は維持できそう

電源だけで高速インターネット環境を確保する

冷暖房や食料品の不安を解消できたら、今度は周辺がどのような状況にあるのか情報収集しておきたい。ただし、付近一帯が停電している場合、自宅Wi-Fiなどのインターネット回線が使えないのは当然として、通信事業者が提供している携帯電話網(基地局)もダウンしている可能性がある。

そうなれば、たとえスマホの電源は生きていても通信は基本的に不可能だ(ただし、予備電源を設置している基地局も少なくないため、停電後しばらくの間は使える可能性がある)。

スマホ自体は使えても、停電が長引いてもし携帯基地局も稼働できなくなれば通信は不可に

ポータブル電源にテレビやラジオをつないで、番組を通じて情報を得るのもいいだろう。でも、インターネットを利用できれば、より広い視点から情報を集めることも、災害用伝言板で安否確認もできる。自分たちのおかれている現状をSNSなどで発信することで、救助や復旧の優先度を判断してもらう助けにもなるかもしれない。

そういった場面で役に立つのが衛星通信だ。以前なら大型の専用機材が必要で、個人では到底維持できない高額の費用がかかっていた衛星通信も、今やずいぶんお手軽に使えるようになった。その代表格といえるのが、米SpaceX社の提供する「スターリンク(Starlink)」だ。

実際に、まだ記憶に新しい1月の能登地震の支援活動においても、避難所でスターリンク通信の電力としてポータブル電源をJackeryが提供し、現地でも活用されていた

ポータブル電源とスターリンクの衛星通信機材

個人向けの衛星通信機材としては、据え置きメインとなる少し大きなアンテナサイズのStarlinkや、持ち運び用途を考慮したStarlink Miniなどが用意されている。災害対策用として考えているのであればどのサイズでも問題ない。今回は標準サイズのStarlinkを利用してみた。

いったんバルコニーで組み立ててみたが、建物の壁で空が遮られる範囲が多いため、設置場所にはあまり向かないようだ

スターリンクを稼働させるにあたって必要なのは電源のみ。そして、一番重要なポイントとなるのは設置場所だ。通信相手がはるか上空を周回する衛星なだけに、可能な限り開けた、空がよく見える場所にアンテナを設置したい。

改めて、空が比較的よく見える駐車場に設置してみた。電線の影も影響しやすいので要注意

準備は、マニュアルに従ってアンテナを組み立てて地面に置き、ポータブル電源から電力供給するようにして、あらかじめスマホにインストールしておいた専用アプリで設定するだけ(アプリインストールは平常時にやっておきたい)。あとはアンテナが衛星を自動追尾して、通信に最適な環境を維持してくれる。

設置場所に立ち、専用アプリで空をスキャンする。多少の障害物はあっても通信は可能だった
しばらく待って「オンライン」になればインターネットにアクセスできる

消費電力は50W前後で、24時間以上は動作してくれそう。通信速度も(環境やタイミングにも左右されるとはいえ)Wi-Fi接続で下り276Mbpsとかなりの高速さだった。SNSの閲覧や投稿ができるのは当然として、YouTubeの高画質動画の再生もスムーズで、非常時の通信手段としては十分すぎるほどだ。

スピードテストの結果は276Mbps。常にこの速度が出るとは限らないが、非常時用としてはもったいないほどの通信品質
スターリンク稼働時の消費電力は50W前後だった

月額料金は6,600円から、機器本体は55,000円からということで、非常時の利用だけだと少し負担が大きく感じられるけれど、日常の(バックアップ回線としての)利用も含めて考えるなら選択肢としては大いにアリではないだろうか。

UPS機能でデスクトップパソコンの作業も安全に

ところで、最近のJackeryのポータブル電源は簡易的なUPS(無停電電源)機能を搭載しており、新しい「ポータブル電源 2000 New」ももちろん対応している。

たとえば自宅コンセントにポータブル電源をつなぎ、さらにポータブル電源に家電をつないでいる場合は、自宅コンセントから家電に“パススルー”で電力供給する形になる。もし停電が発生し、自宅コンセントからの電力供給が断たれたときには、瞬時にポータブル電源からの電力供給に切り替わる仕組みになっているのだ。

デスクトップパソコンとモニターにパススルーで電力供給中

最近はゲリラ豪雨とともに落雷が発生するケースも増えている。落雷時には電力が瞬断されることがあり、特にデスクトップパソコンで作業しているときには強制的に電源がオフになって、最悪の場合は作業中のデータを失ってしまうこともありうる。

しかし普段から「ポータブル電源 2000 New」経由でデスクトップパソコンに電力供給していれば、UPS機能でそうしたトラブルを防げる可能性が高い(サーバーシステムなどシビアな環境での利用は推奨されていない)。不安定な天候が続く昨今だけれど、Jackeryのポータブル電源があれば常に安心してパソコン作業にも励めるのだ。

高負荷な処理の最中にコンセントからの電源をオフにしてみたが、パソコンは全く問題なく稼働し続けた

UPSとパススルーの両機能があることでメリットがあるのは、もちろんパソコンだけではない。エアコンや冷蔵庫といった日々の生活に欠かせない家電も、コンセントとの間にポータブル電源を普段からつないでおけば、バッテリーの劣化を気にせず、非常時も使い続けられるという安心感が得られる。

車中避難にも、コンパクトになったポータブル電源が活躍

もし自宅に被害があった場合、車中避難(車中泊避難)という選択肢もある。2016年の熊本地震でも、公共の避難所にくらべてプライバシーが守れること、ペットや乳児などがいる家庭などで、車中泊で過ごした人もいたという。

災害に遭遇するのは何も自宅にいるときだけとは限らず、クルマで出かけた先で被災し、車中避難を余儀なくされる可能性もある。もしくはクルマで向かった避難先で、避難所の設備等の都合からそのまま車中泊することもあるのではないだろうか。しかしそんなときでも、ポータブル電源が助けになってくれる。

クルマのラゲッジスペースに載せてみた。コンパクトなおかげで他の荷物を載せる余裕がある

「ポータブル電源 2000 New」はサイズがよりコンパクトになったこともあり、ラゲッジスペースがそれほど広くない車種でも積み込みやすい。生活必需品や、先ほど試したスターリンクの機材など他の荷物を載せることも考えると、このボディサイズの小ささはありがたいところ。

ペットボトル飲料やスターリンクの機材などを載せてもまだまだ大丈夫

ハイブリッド車やEVのなかには、クルマのバッテリーからAC電源などを直接取り出せる場合もある。けれど、いつでも移動できるようにクルマ側のエネルギーはできるだけ残しておきたいし、そうした機能を持たないガソリン車もまだ多い。いずれにしても、単独で電力が得られるポータブル電源は、車中避難においても大きな役割を果たしてくれるはずだ。

スマホ、ノートパソコン、充電式電池など、複数機器にまとめて電力供給できるパワフルさは車中避難時にも心強い

停電や避難生活の安心のために併用したいソーラーパネル

いくら大容量のポータブル電源とはいえ、供給できる電力量には当然ながら限界がある。もし冷暖房や冷蔵庫、衛星通信に携帯端末と、多くの機器に同時につないでしまえば、そのぶんポータブル電源を使える時間も短くなる。そうでなくても、停電や避難生活が長引けば電力不足に陥ることは避けられない。

そこで「ポータブル電源 2000 New」とともに上手に活用したいのがソーラーパネルだ。最適な組み合わせは、最大200Wの電力を生み出してくれるソーラーパネル「Jackery SolarSaga 200」。これは、「ポータブル電源 2000 New」とセットになった「Jackery Solar Generator 2000 New」としても販売されている。

「ポータブル電源 2000 New」と「SolarSaga 200」

日差しのある日中なら、このソーラーパネルから「ポータブル電源 2000 New」本体に給電することで、稼働時間を延ばしたり、電池切れ状態から回復させたりできる。

筆者が試したのはやや日差しの弱いタイミングではあったけれど、それでも60W以上の電力が安定して得られた。これなら消費電力10Wの冷蔵庫や、50W前後のスターリンクをずっと稼働させられる。条件が整えば、扇風機などの電化製品も一緒に長時間使い続けられるだろう。

日差しがやや弱い日だったが、それでも60W以上の電力を確保
スターリンクも長時間の稼働が可能に

また、ソーラーパネルにつなぐ電源ケーブルの途中には、USB Type-AとType-Cの給電ポートも1つずつ用意されている。ポータブル電源への給電が必要ないときは、このUSBポートでスマホなどを直接充電するのもOKだ。

ソーラーパネルの電源ケーブルはUSB充電用のポートも2つ備えている

ソーラーパネルは半分に折りたためるので、ポータブル電源と一緒にクルマのラゲッジスペースに積み込んで持ち運ぶのにも苦労しないサイズだ。

半分に折りたためるのでクルマで運ぶのも楽々

コンパクトなのに大容量で長寿命、災害対策にベストなポタ電だ!

新しい「ポータブル電源 2000 New」は、実機を見ても大幅にコンパクトになったように思う。使っていないときでも邪魔にならずにしまっておけて、でも、いざというときには頼りになる存在。大容量、大出力のポータブル電源がこのサイズ感にまとまっていることで、一段と魅力がアップした。

いつ起こるかわからない災害を見越して、長期保管時に自然放電を抑え、バッテリー寿命を延ばす「バッテリー節約モード」や「超ロングスタンバイモード」といった機能も取り入れている。リン酸鉄リチウムイオン電池による長寿命と、最大5年間の製品保証との合わせ技で、長期に渡って安心して使えるのもいいところだ。

南海トラフ地震の話題などもあって、これまではなんとなく先延ばしにしていた防災対策に、多くの人が本気になり始めているようにも思う今日この頃。いつか対策しなければならないのなら、今購入しても長く使えて安心なJackeryの「ポータブル電源 2000 New」を検討してみてほしい。

(提供:Jackery Japan)