東北電力、東京電力からの融通量を拡大へ

~勿来発電所の接続方式を変えて幹線容量を有効活用
勿来発電所の接続方法の変更。東京電力から東北電力への送電をなくすことで、使用できる連系線の容量が増加する

 東北電力は、東京電力との間で電力融通量を増やすための方策について協議が成立したと発表した。

 現在、東北電力は電力需給が逼迫しており、東京電力から140万kWの電力融通を受けている。現状では、このうち110万kWを東京電力から、相馬双葉幹線という連系線(送電網)を通じて受電している。

 今回の協議の結果、東北電力と東京電力が半量ずつ受電している、常磐共同火力勿来発電所への接続方式が変更される。

 これまで勿来発電所が発電した電気は、8号機が東京電力に、9号機が東北電力に接続されており、それぞれの半量を相互に送電する方式がとられていた。この場合、東京電力から東北電力へ、8号機の発電分の半量が送電されていた。

 今後は、8号機と9号機の両方の電気を、いったん東北電力にすべて送り、その後、東京電力へ60万kWを送る。こうすることで、東京電力から東北電力への送電がなくなり、その分の容量を東京電力からの融通電力を送るために使用できる。

 相馬双葉幹線の送電容量は631万kWとされているが、東北電力から東京電力への送電容量が約500万kW、東京電力から東北電力への送電容量が約120万kWと非対称になっている。今回の措置は、この120万kWという限られた容量をできるだけ実際の融通に利用することが目的と考えられる。

電気系統利用協議会(ESCJ)による国内の連系線と運用容量。(C)2007 電力系統利用協議会
東北電力へ直接送電できるのは、北海道電力と東京電力だけであることがわかる。その2本の幹線の容量が、他社から融通できる電力の上限となる


(伊達 浩二)

2011年8月9日 15:59