【グッドデザインエキスポ2009】
透明のアームが美しいデスクスタンド、ピアノの鍵盤のように光るLEDなど照明器具

 グッドデザイン賞の候補作品約2,000点を展示する「グッドデザインエキスポ2009」が、28日、東京ビッグサイトで開幕した。会期は30日まで。開催時間は10時から21時までで、30日は16時で終了。入場料は1,000円。家電Watchでは、会場にて公開された照明器具やキッチン用品、日用雑貨品を中心に紹介する。



どうやって光る? 透明のアームが美しいLEDデスクライト


山田照明 「Z-LIGHT NORLYS(ノーリス) Z-6000」
 照明器具のコーナーで見物の注目を集めていたのが、山田照明の「Z-LIGHT NORLYS(ノーリス) Z-6000」だ。

 ノーリスは消費電力は7Wながら白熱電球40Wの明るさが得られる、LEDのデスクライト。ノルウェー語でオーロラを表わすノーリスという言葉通り、透明のアームが優雅に光る姿はとても美しい。

 しかし、初見ではどうやって光を発しているのかが分からなかった。というのも、アームの先端には光源らしいものは見当たらない。台座からケーブルを引っ張っているのかとも思ったが、透明のアームの中にはそのような線は確認できない。となると、LEDはアームを支える土台部に埋め込まれていることになるのだが、それがなぜ、曲がったアームを通過して、アームの先端から光を発するのだろうか?

 その答えは「反射」。台座に埋め込まれたLEDが、アーム内で反射を繰り返し、先端がカットされた面でのみ強く光を放つ仕組みになっている。そんなに反射して発光効率が悪くならないかと心配にもなるが、「スネルの法則」という法則に基づき100%反射するため、光の減衰も少ないという。

 見た目の美しいデザインは言うまでもないが、それを支える理に適った仕組みも美しい。発売中なので、思わず目を奪われた方は、購入を検討してみてはいかがだろうか。

透明のアームは、先端からのみ光が放つ構造となっている上からみたところ。アーム内に配線があるようすは見られないが……実は本体内にLEDが隠れており、そこから放たれるひかりがアーム内を反射し、先端から光が出る仕組みになっている

極細の蛍光灯を用いたスリムなデスクライト「Tubelumi」


 デスクライトでもう1つ気になった製品がある。日商テレコムの「
日商テレコムのデスクスタンド「Tubelumi」
Tubelumi(チューブルミ)」だ。

 チューブルミの特徴は、一般的な蛍光灯のデスクスタンドとは比べものにならないほどスリムなフォルムだ。それもそのはず、光源には、蛍光管の細さが特徴 の蛍光灯「CCFL(冷陰極蛍光ランプ)」を採用している。液晶テレビのバックライト光源として有名な光源だ。CCFLはこのほか、消費電力が少ない、点 滅に強い、寿命が長いなどの特徴もある。

 おもしろいのが、この細いアームを折りたたんで寝かせられる点。夜中に目覚めても目に強く入りそうにないため、足元光や間接光としても利用できそうだ。

 現在、エコな光源としてLEDが人気を博しているが、蛍光灯もまだまだ健在であることを思い知らせてくれるような製品だ。

光源にはスリムなCCFL(冷陰極蛍光ランプ)を採用。本体もそれに伴ってスリムになっているアームを折りたたむことで、間接光としても使用可能


 ピアノの鍵盤のようにON/OFFを切り替えて光るLEDライト

  台湾のQisda Corporationでは、遊び心のあるLEDライトを数多く出展している。

 「Piano QLD-203」は、スティック状の長細いLEDユニットが縦に12個並んだデスク用のLEDスタンド。特徴的なのがON/OFFの切り替え方で、それぞれのLEDユニットを手前に引く/押すだけで切り替わる。つまり、12個それぞれにON/OFFが設定できるので、このうち1灯だけ点けたり、1個置きに点灯して格子模様にしたりなど、さまざまな明かりが作り出せるのだ。

 それぞれのユニットを押す動作や、白と黒とが交互に点灯するようすは、まさに“ピアノ”という名にふさわしい。ちなみに、大型のフロア置きタイプも用意されている。

「Piano QLD-203」は、12個のLEDユニットを重ねた照明器具。写真はピアノの鍵盤のように格子状に光っているが……それぞれのユニットを別々に点灯できるため、このように全部明かりを点けることも可能もちろん、写真のように1つだけ点灯することも可能だ


「Piano」の明かりを切り変えているところサイズが大きいフロアタイプもある。中央部のスイッチで、ランプの色や点灯部位を変えられる

 「Crystal QLD-101」は、クリスタルのような多面体のユニットを組み合わせて光るLEDライト。リモコン操作で色や明るさが変えられ、自動でグラデーションを描くオートモードも備えている。

 この多面体ユニットには、ユニット同士を接続する端子が付いている。これらを組み合わせて、オリジナルの形態に作り変えることも可能。端子部にはマグネットが備わっており、取り付け、取り外しは非常に簡単だ。

クリスタル状のLEDが光る「Crystal QLD-101」カラーLEDなので、さまざまな色の光が楽しめるクリスタルには端子が付いており、これを組み合わせることで好みの形状に作り替えられる

「Crystal」は、カラーと明るさをそれぞれリモコンで変えられる自動で色や明るさを切り替える3パターンのモードも備える

 このほか、前述の「Norlys」のように、光源の存在が感じられない照明器具「Coral QLD-102」がある。オブジェのような造形で光源の存在が感じられず、照明機器のようには見えない。インテリア性の高い製品だ。
 
「Coral QLD-102」Norlysのように、LEDが本体内に隠れている


“ガイシ引き配線”が醸し出すレトロな雰囲気の照明器具


昭和電工の「取付式ガイシ引き照明器具」。1963年まで家庭で使用されていた電機の配線方法
 最後に紹介するのは、昭和電工の「取付式ガイシ引き照明器具」だ。

 もしかしたら、製品写真を見て“懐かしい”と思う人もいるかもしれない。というのも、ガイシ引き配線は1963年まで一般家庭で使われていた電気の配線方法なのだ。当時の電線は絶縁性が低く、電線を壁から離して配線することで、漏電を防ぐ必要があった。そこで使用されたのが、陶器製で電気が通らないガイシだった。ただし、現在は電線の絶縁性が発達したため、壁の中に配線できるようになり、ガイシは一般家庭から姿を消した。

 本製品は、そんなガイシ引きの照明を21世紀に持ってきた製品だ。往時を思わせるレトロで懐かしい雰囲気が漂うが、ガイシやシーリング、セードは有田焼、ガラスセードはオリジナルの吹きガラスを使用するなど細部にまでこだわっており、どちらかというと“嗜好品”としての意味合いが強くなっている。居酒屋や博物館のほか、一般家庭でも導入事例があるようだ。

 新しい技術やデザインが目出つグッドデザインエキスポだが、それだけにガイシ引き配線はほかにはない懐かしい雰囲気を放っており、来訪者の注目を集めていた。

写真の白い物体が「ガイシ(碍子)」。陶器のため漏電の心配がないガイシやセードなど、パーツはすべてオリジナルというこだわり。カラーバリエーションも用意されている



(正藤 慶一)

2009年8月29日 12:04